糖鎖ブログ

補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する糖鎖

細胞膜の表面に発現するタンパク質や脂質に結合している糖鎖が注目されていますが、特にN−アセチルノイラミン酸(シアル酸)という単糖を含む糖脂質はガングリオシドと呼ばれ、脳神経系の組織にきわめて多く存在しています。

当初、ガングリオシドは脳神経系の発達に大切な分子と考えられていましたが、近年の研究により脳神経系の維持や損傷時の修復に必要な分子と考えられ、その欠損状態はアルツハイマー病などの神経変性を起こす以下のプロセスも名古屋大学古川鋼一教授らの研究グループによって分かっています。

糖鎖の異常→細胞膜(脂質ラフト)の異常→制御不能な補体の活性化→炎症→神経変性→アルツハイマー病など発症

つまり、ガングリオシド欠損による細胞膜の構造異常が脂質ラフトの異常を招き、補体制御因子の機能異常が発生し、その結果、補体の活性化、炎症反応そして神経変性に至ったことが判明しています。

なお、補体は自然免疫系のなかの重要なシステムの1つで多くの場合、抗体と協同して生体防御に働きますが、単独でも病原体や異物の除去において有効な役割を果たしています。補体因子の多くは肝臓で作られますが、脳神経系組織においても独自に生成され機能しています。

補体系は脳の発生過程で不要物質の除去をしますが、一方でアルツハイマー病など多くの神経変性疾患において補体系の活性化がアミロイドβの形成など炎症と変性の原因となり補体阻害剤がアルツハイマー病の病変を緩和することも確認されています。

以上のようにガングリオシド欠損が神経変性をもたらすメカニズムの解明において、アルツハイマー病のような変性疾患のプロセスと重なる「炎症から変性」という現象が見えたことは大きな成果といえます。


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世界で初めて、腸内常在菌が産出する物質の全貌が明らかに!!

ヒトの腸内には1,000種類以上、一人あたり160種類程度、大腸全体では100兆個にも及び腸内常在菌が棲息し、生体の健康状態との関連は密接で、免疫系、大腸癌、肥満、寿命などへの影響が報告されています。

低分子の腸内常在菌の代謝産物は、腸上皮細胞に吸収され血中に移行し全身の細胞への影響も高く腸内常在菌の菌体成分より健康や疾病に強く関与していると推測できますが、これまで、詳細な研究は少なく、存在する成分さえ不明でした。

今度、協同乳業、理化学研究所らの共同研究において、世界で初めて腸内常在菌の活動と関わりのある約120種類の成分を検出することに成功しました(2012年1月25日)。

本研究では腸内常在菌の代謝産物の全貌を明らかにする目的で、同じ両親から生まれたマウス2群(無菌マウスと通常菌叢定着マウス)に分け、広範囲の成分を分離・分析することが可能な装置CE-TOFMSを用い、大腸内容物の代謝物質解析を実施し、腸内常在菌の代謝産物を網羅的に分析しました。

その結果、179成分が検出され、腸内常在菌が産出する物質、吸収する物質、影響を与えない物質など、腸内常在菌の活動と関わりのある代謝産物の詳細が世界で初めて明らかになりました。一方、これまで腸管内に存在していることすら知られていない多数の成分が検出されると同時に、酸化ストレスマーカーであるオフタルミン酸が無菌マウスからのみ、自然免疫との関連性があるプロスタグランジンE2が通常菌叢定着マウスのみから検出されるなど、多くの発見がありました。また、腸内常在菌主要グループの菌数と各代謝産物濃度との相関性を調べたところ、腸内での構成比が比較的低い腸内常在菌の方が代謝産物濃度の差に強く影響を与えている可能性が示されました。

本研究の成果は、将来的には、様々な疾病患者の大便内容物のデータを集積することで、病気の発症メカニズムの解明や、検便で特定の疾患の発症リスクを推定する第1歩になることが期待されます。


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脳卒中の多くは下半身の筋肉量の減少が原因

1958年から1981年までの24年間、日本人の死因の第1位であった脳卒中は、今は第3位と数が減りはしていますが、やはり怖い病気として位置づけられています。

周知のように、脳はほぼ全ての臓器をコントロールしています。例えば、言語中枢、知覚中枢、運動中枢のみならず、呼吸や心臓、循環器の中枢も脳に存在し、さらに表面は頭蓋骨によって守られています。

また、脳には血液脳関門という関所が存在し、血液から脳内への物質の移行は自由にはできず、有害な物質はこの関所で遮断され、容易に脳内には入れないようになっています。従って、人体で最も大切な臓器ゆえに保護されている脳内で出血や血栓が発生するとは非常に考えにくいことです。

実は、それでも脳内で血液があふれ、出血や血栓を起こさざるを得なくなるのは下半身に原因があります。「老化は足腰から」とよく言われますが、年齢とともに下半身の筋肉の量が減り、筋肉内の毛細血管の数も少なくなり、下半身が冷えます。すると、下半身にあるべき血液は居場所を求めて上半身に集まります。

結果、「血」や「熱」などが下半身から上半身に上がってくると、動悸、息切れ、肩こり、頭重感、不眠、顔の発赤など漢方でいう「昇症」という症状が起こります。つまり、脳血管内にあふれた血液は出血を起こしたり、血栓をつくり脳卒中を引き起こします。

従って、人間の筋肉の70%以上は腰より下に存在し体熱の40%を発生しますので、運動などで下半身を鍛えると下半身の筋肉が発達し、筋肉中の毛細血管が増加し血液の量が増えて脳卒中を予防します。確かに、脳卒中を起こす多くの人に「足の冷え」があることは理にかなっていることになります。


今年は寒波の影響で大雪に見舞われています。今日は節分、寒波を追い払うぞ!と気合を込めて豆をまき、福を呼び込みます!


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神経機能における「糖鎖の役割」に注目する神経糖鎖生物学

核酸(DNA・RNA)、タンパク質と並ぶ第3の生命鎖として生命活動を制御する糖鎖。その多様性と柔軟性は、とりわけ神経回路の形成や機能制御において発揮されます。糖鎖がどのように神経機能を制御し、逆に神経活動によってどのように影響を受けるのか。特に記憶・学習の制御機構や糖鎖作動原理などの「糖鎖機能ドメイン」を対象とした神経糖鎖生物学が糖鎖科学研究者と神経科学研究者が多動的・多層的に協力することで新たな研究領域として注目されています。

本領域は、(1)細胞外糖鎖による神経機能の制御機構と(2)細胞内・細胞表面糖鎖による神経機能の制御機構から成ります。神経については、グルタミン酸受容体、トラフィック(短期記憶)や回路再編、回路・シナプス形成などの記憶・学習にとどまらず、広範な機能を対象にしています。

両分野は連携して「糖鎖機能ドメイン」から受容体/相互作用分子、分子動態/細胞内シグナル、統合的神経機能に至る制御機構を解明します。さらに、従来の糖鎖、神経の研究に加えて、細胞内シグナル、構造などを含めた多角的なアプローチによってコンセプト作りに貢献する研究が必要となります。

このように、さまざまな階層やモデルを用いて多角的に検討することにより、単独研究では辿り着くことが困難な新しい糖鎖行動原理を提唱できることが期待されます。また、糖鎖が持つ構造的多様性と多様な細胞間認識や可塑性などを特徴とする神経系との関連性の理解を深めることで「神経糖鎖生物学」という学際領域が創生できます。なお、2011年9月27日に名古屋大学にて第1回シンポジウム/公募研究説明会が開催されました。


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腸内細菌の減少がうつ病などの「心の病」を発症させる

有害なストレスに曝されると、生体は主として体と脳をつなぐ回路のHPA軸(視床下部ー下垂体ー副腎軸)と自律神経系の交感神経を興奮させ、外界の変化に順応します。

このうち、HPA軸の発達や成熟には生後の環境が深く関係します。例えば、新生児が生まれた直後に母性愛のない母親に育てられると、成長後のHPA軸の反応が亢進しつづけ、脳機能の障害を招き、さらに亢進が長期にになると、海馬の神経細胞でアポトーシス(細胞死)が起こり、記憶など高次脳機能に重い障害が発生します。

九州大学の須藤信行教授は生後すぐに定着する常在菌が外界因子としてHPA軸の発達に深く関与しているのではないかと考え、複数の人工菌叢(キンソウ)マウスを作製して、ストレスと腸内細菌との関連を研究しています。

その結果、腸内細菌叢はHPA軸の反応性を決定する重要な環境因子の1つであることが明らかにされました。具体的には腸内細菌がいないマウス(GFマウス)と常在腸内細菌のいるマウス(SPFマウス)を狭い容器に入れたり、体の自由を奪う拘束ストレスを与えたところ、GFマウスではHPA軸の反応性が亢進し、SPFマウスでは反応性は少なく、そのGFマウスに常在腸内細菌を棲むようにSPF化すると、HPA軸の亢進が抑制されました。

さらに、GFマウスとSPFマウスの脳内神経成長因子や脳内伝達物質の濃度を比較したところ、GFマウスは海馬や前頭葉でのBDNF(脳由来神経成長因子)、セロトニン濃度などがSPFマウスと比較して、有意に低下していることが分かりました。

以上より、腸内細菌叢の違いにより、人の成長後のストレス反応性が異なること、腸内細菌叢は脳内に神経成長因子や脳内伝達物質を送っていることが明確に示され、うつ病などの「心の病」は腸内細菌の減少が原因と考えられるようになっています。


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口呼吸を改め鼻呼吸によって花粉症に強い体を作る

ヒトは誕生から1年位で、食道と気道の区別がなくなり、それと並行して言葉をしゃべる能力がついてきます。言葉をしゃべるようになるに従い、口からも呼吸できることを発見し、口呼吸が習慣化することがあります。

しかし、口は呼吸器ではないので口呼吸が習慣化すると、細菌やウィルスなどの異物(以下異物と記す)への抵抗力が弱まり、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患が発生し悪化します。

口で呼吸すると、空気がドライヤーのような働きをして、鼻の中と口の中が乾きます。さらに、口は異物を除去する粘膜も繊毛もないので、体に侵入してくる異物などと闘う白血球を作り出す扁桃腺も乾き、大量の異物が扁桃腺に住み着くようになります。そして、異物を消化し切れなくなった白血球は体内の移動中に抱えていた異物を全身にばらまくようになります。

取り込まれた異物は、体内を巡り細胞に炎症を起こします。炎症が気管で出ればぜんそくに、皮膚に出ればアトピー性皮膚炎に、目や鼻の出れば花粉症が発症します。特に花粉症の場合は鼻づまりが起こると、鼻呼吸ができなくなり、口呼吸に頼り、さらに症状が悪化します。

一方、鼻呼吸が習慣化していれば、空気清浄機、加湿器、滅菌器としての鼻の機能が活性化されますので、扁桃腺も生き生きして免疫機能が回復し、花粉症に強い体が作られるようになります。

なお、口呼吸の習慣化の2大要因は(1)幼児期における早すぎるおしゃぶりの取り上げと(2)幼児期に限らず激しいスポーツです。幼児期における水泳は特に注意が必要です。

是非、今年は鼻呼吸を習慣化することで、間近に迫る花粉症の症状を軽減したいものです。

1月も終わりに差し掛かるとお鼻がムズムズする日があります。あ〜今年もソロソロなのだな〜。何しろ長期戦です。スギもヒノキも両手に花ですから…涙


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生命現象を網羅的・体系的に解析する糖鎖工学

生命現象を網羅的・体系的に解析する研究はゲノムに始まりタンパク質を経て糖鎖に到達しています。ゲノム解析によって、ヒトの遺伝子数は22,000個前後と推定され、この遺伝子数の枠内で記憶や思考のような脳の高次機能を達成するためには、遺伝子の発見調整やタンパク質の修飾が必要です。なかでも、細胞表面に発現しタンパク質に付加される糖鎖は、細胞接着や細胞間認識をコントロールすることで、細胞機能に深く関わっていると考えられています。

現在変化する糖鎖と結合するタンパク質については、必要に応じて2次元電気泳動法などを用いて解析したり、糖鎖については、2次元HPLシステムを用いて細胞に発現する糖タンパク質のN-結合型糖鎖をすべて同定したり、さらに遺伝子についても、120以上の糖鎖生合成および分解酵素遺伝子の発現変化を網羅的に解析できるマイクロアレイシステムが完成し、細胞の分化などに伴う糖鎖パターンの変化を遺伝子発現レベルでも分かるようになっています。

自然科学研究機構 生理学研究所の池中研究室では、これらの手法を用いて様々な研究が行われています。例えば、神経幹細胞の分化に伴う糖鎖パターン変化を調べ、神経細胞・グリア細胞の運命決定や領域特異性付与に関わる糖鎖の同定を進めるとともに、糖転移酵素遺伝子導入によって神経幹細胞の維持や分化を制御する手法の開発も行っています。

また、神経変性疾患に侵された脳や疾病モデルマウスの脳における糖鎖パターンを正常モデルと比較することで、障害された神経細胞機能と糖鎖の関係を解明できる可能性があると考えています。さらに、癌細胞の増殖や転移との相関を調べることも重要な研究課題としています。従って、これら現在進行中のプロジェクト以外にも、糖鎖と細胞機能との関係の研究は多くの可能性を秘めており、今後さらに発展することが期待されています。


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全身に分布するマクロファージは存在する部位や働きによって名称が異なる

もっとも原始的な免疫機能をもっているマクロファージは細菌や異物などの大きな外敵が侵入すると食べて処理(貪食機能)するのが、基本的な役割ですが、それ以外に古くなった自己細胞を食べたり(掃除機能)、外から抗原が進入したことをリンパ球に知らせる(抗原提示機能)などの役割を担っています。

この様な機能を有するマクロファージは全身に存在していますが、それら全てが1種類の細胞ではなく、存在する部位によって、それぞれ特有の進化をとげ、形や役割が微妙に異なっています。そこで、それぞれ異なる名称で呼ばれています。

例えば、
(1)血液中を循環し、体内に炎症が起きると、その部位に移動するマクロファージは単球と呼ばれています。

(2)肺では、マクロファージは気管にいて呼吸に伴って入ってくる細菌や異物を処理し、感染症を防ぐ肺マクロファージ

(3)肝臓では、感染症が発生すると細菌などを食べて処理する肝臓クッパー細胞

(4)脳では中枢神経系にいて、異物や異常代謝物などを処理する脳グリア細胞

(5)血管を形成する内皮細胞で細菌などを貪食する血管内皮細胞

(6)全ての免疫組織にいて、貪食機能を退化させ、抗原提示機能を強化した樹状細胞などがあります。

以上の様に、白血球(顆粒球・リンパ球)のみならず、赤血球や血小板さらには血管の祖先でもあるマクロファージは、体内のあらゆる部位において休むことなく重要な働きをしています。


マクロファージ七変化ですね。テストに出題されそうな名称が沢山…と思うのは、考え過ぎかしらん?本当はドラゴンボールに出てきそう。と密かに思った私は古いかしらね。


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