糖鎖ブログ

膵臓がん細胞表面の糖鎖をレクチン融合薬で狙い撃ち

〜ポスト抗体医薬としての新規抗がん治療薬開発へ〜


これまで、レクチンの多くは血液凝集活性を持つと考えられてきたため、生体に投与する薬剤として利用されることはほとんどありませんでした。

今度、筑波大学医学医療系と産業技術総合研究所創薬基盤研究部門の共同研究グループは、以下の事実を明らかにしました。

(1)難治がんの代表である膵がん細胞表面に強く発現している糖鎖と、それを特異的に認識するレクチン(糖鎖結合能力を持つタンパク質)を発見しました。
(2)レクチンに抗がん薬を融合させたLDC(Lectin Drug Conjugate)は、血液凝集などの副作用がなく、安全に生体に投与できることをマウスで確認しました。
(3)細胞最外層を覆っている糖鎖を、レクチンにより標的するという新規アプローチにより、様々なマウス膵がんモデルの治療に成功しました。

現在、抗体薬によるがん標的治療が盛んに開発されていますが、標的となるタンパク質抗原はほぼ探索し尽くされており、今後大きな発展は望みにくい状況です。さらに、抗体医薬による数百万〜数千万円/年/がん患者さんという高額な薬価は医療経済の破綻を招く恐れがあります。

今回、安価なレクチンにより細胞表面糖鎖を標的するというアプローチに成功したことは、がん治療だけでなく、多くの疾患に対する新しい治療戦略としての可能性を切り開いたと言えます。




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ほ乳類神経幹細胞が変化するメカニズムを明らかに

〜学習記憶・認知機能改善に向け飛躍的な医療発展に期待〜


神経幹細胞は、脳・神経系を構成する主要な3つの細胞(ニューロン・アストロサイト・オリゴデンドロサイト)を全て産み出します。神経幹細胞は、実は大人になっても少数ではあるが存在し続け、脳機能に重要な役割を果たすことが、近年明らかとなってきています。

また、老化に伴ってその数が減少することが示されつつあることからも、学習記憶や認知機能維持との関連が強く示唆されています。しかし、脳を発達させるために、神経幹細胞が変化するメカニズムの詳細は不明でした。

今度、九州大学大学院医学研究科の佐野坂司特任助教・今井拓也准教授・中島欽一教授らの研究グループは、同研究院の伊藤隆司教授・三浦史仁講師らの共同研究により、神経幹細胞の性質が変化するメカニズムを明らかにしました(2017年9月21日リリース)。

同共同研究グループは、モデルマウスを用いて、脳を発達させるため必須であるDNAメチル化と呼ばれる神経幹細胞のゲノム修飾(遺伝子のスイッチON・OFFを司るゲノムであるエピゲノム)に着目することで、脳の神経幹細胞を基点とした神経回路形成のためのゲノム修飾が、3つのステップ(遺伝子スイッチON・OFFの移り変わり)から成り立っていることを明らかにすることに成功しました。

本研究成果は、学習記憶能力や認知機能をゲノムから根本的に制御する基礎を明らかにしたもので、これにより、今後の分子標的医療へ向けた飛躍的な発展が期待できます。


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ノルアドレナリン神経の多様性を発見

〜恐怖記憶とその消去には異なるノルアドレナリン神経が関与〜


生物学的実験で、恐怖を誘発しない音をラットに提示した後に、恐怖体験として軽い電気ショックを脚に与える訓練を行うと、ラットは音によって電気ショックの到来を予測することを学習し、音に対してすくみ反応(体を動かさずしばらくじっとしている行動)という恐怖反応を示すようになります。これを恐怖条件づけ学習といいます。

その後、音のみを繰り返し提示すると、音に対するすくみ反応は徐々に減少してきます。これを消去学習といいます。

これら二つの学習には、脳幹にある青斑核という脳領域から分泌される神経伝達物質のノルアドレナリンが重要であることが分かっています。また、これまでの定説では、青斑核ノルアドレナリン神経の神経細胞群は全て均一で、脳の各領域に一様に分布し、音などに対して一様の反応をするというものでした。しかし、ノルアドレナリン神経の働きはよく分かっていませんでした。

今度、理化学研究所を中心とした国際共同研究グループはラットを用いて、二つの学習時における青斑核ノルアドレナリン神経の役割について調べました。その結果、
(1)これまでの定説を覆し、ノルアドレナリン神経細胞群は均一ではなく、扁桃体および前頭前野につながる(投射する)それぞれの細胞群が存在すること
(2)恐怖条件付け学習には扁桃体に投射する細胞群が、消去学習には前頭前野に投射する細胞群が関わっていることが分かりました(2017年9月19日リリース)。

現在、不安障害などの精神疾患に対して、ノルアドレナリンを標的とした治療薬が使用されています。今後、今回発見した二種類のノルアドレナリン神経細胞に特異的な遺伝子マーカーを同定し、選択的に標的とすることができれば、より効果的な治療法の開発につながると期待できます。


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慢性透析患者の生活の質(QOL)を高める新治療法

〜「電解水」を用いた透析が透析の副作用を抑える〜


現在、国内の透析患者数は30万人を超え、その数は年々増加しています。本邦の血液透析は世界的にも優れていますが、治療の副作用である透析合併症を完全に抑えることは難しく、患者さんの就業率や生活の質(QOL)の低下が問題となっています。

この透析合併症の原因には透析中に生じる生体内の酸化ストレスと炎症が関わっていると考えられていますが、現状、これらの要因を完全に抑える手段はありません。慢性疾病患者さんの社会復帰と就業が求められる現在、透析合併症を抑える新たな治療法の開発が重要な課題となっています。

今度、東北大学大学院医学系研究科の中山昌明特任教授のグループは、慢性透析患者さんにおける透析治療の副作用を改善する「電解水」を用いた新規の透析システムを開発しました(2017年9月15日リリース)。

2006年より東北大学と(株)日本トリムは、水の電気分解によって生成される水素分子を含む水(「電解水」)が生体内で酸化ストレスを抑えることに注目し、本水の透析治療への応用を目指し共同研究を行ってきました。

今度、臨床試験の中間発表として「電解水」透析システムを用いることで、透析後の疲労感や全身掻痒感、高血圧といった副作用を抑えることができる可能性を明らかにしました。

本結果は「電解水」透析が慢性透析患者さんの生活の質(QOL)を向上させる事を示しており、本透析システムによる治療は、透析患者さんの健やかな日常生活および積極的な社会復帰に貢献することが期待されます。


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ダウン症の出生前治療を可能にする新規化合物

〜ダウン症iPS神経幹細胞の増殖を促進〜


ダウン症は約千人に一人の確率で発症し、最も多い染色体異常と言われています。知的障害や先天性心疾患など様々な合併症を伴います。ダウン症は体細胞の21番染色体が1本多く計3本(トリソミー)であることで、過剰な遺伝子の働きにより引き起こされます。

DYRK1Aは21番染色体上に存在する遺伝子のひとつで、ダウン症の人で過剰に発現していることが判っています。また、ダウン症モデルマウスやダウン症iPS細胞では神経幹細胞があまり増えず、神経幹細胞により供給される神経細胞数の低下が脳構造の発達不全の原因の一つであると考えられます。

しかし、現在はダウン症の出生前診断も可能となっていますが、根本的な治療法はまだないのが現状です。

今度、京都大学医学研究科の小林亜希子助教、萩原正敏教授らの共同研究グループは、ダウン症(21トリソミー)で神経細胞数の増加を抑えている遺伝子を特定し、その機能を防げることで神経細胞を正常に増やすことができる化合物アルジャーノンを発見しました(2017年9月5日リリース)。

また、ダウン症のモデルマウスがまだ胎仔の時期に母マウスを通じてアルジャーノンを投与したところ、大脳皮質の異常や学習行動の低下といった症状が改善しました。


今年もあと一ヶ月となりました。クリスマス、忘年会など忙しい日々と思いますが、風邪などひかぬ様に皆さまご自愛下さい。


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血液細胞の分化に必要な遺伝子をオンにするスイッチ

〜RUNX1がDNA脱メチル化を誘導する機構を解明〜


人の体には300種類以上の細胞があるといわれており、それらの細胞は全て同じ遺伝子のセット(ゲノム)を持っています。それぞれの細胞が異なる機能を持つためには、その細胞に必要な遺伝子だけがオンになり、それ以外の遺伝子はオフのまま抑制されなければなりません。この遺伝子発現のオン、オフを決めているものの一つがDNAメチル化とDNA脱メチル化です。

DNAは、塩基配列(A,T,G,Cの並び方)により遺伝情報を保存しています。この塩基配列は、一生を通じて変化しません。一方、塩基配列のうち「CG」の並びになっているC(シトシン)は多くの場合メチル基(-CH3)が付加されメチル化シトシンとなっています。シトシンとメチル化シトシンは、細胞の状態によって可逆的に転換します。

遺伝子の発現制御に関わる領域のCG配列がメチル化されていると、その遺伝子の発現は抑制されていますが、メチル基が外れる(脱メチル化)と、発現がオンになります。DNAの脱メチル化は、細胞の分化を制御する大事な役割を担っていると考えられますが、どの遺伝子がどのタイミングで脱メチル化されるかなど、詳しいメカニズムは分かっていません。

今度、理化学研究所の共同研究チームは、血液の細胞が作られる際にゲノムの広い領域にわたってDNAメチル化の状態が変化することに着目し、脱メチル化を制御しているタンパク質を突き止めました。RUNX1(ランクス1)と呼ばれるタンパク質は、血液細胞の遺伝子発現を制御することが知られており、決まったDNA配列に結合する転写因子の一種です。

RUNX1の働きを詳しく調べたところ、DNAに結合したRUNX1は脱メチル化に関わる酵素群を引き寄せることがわかりました。さらに、ヒトiPS細胞(人工多能性細胞)から血液細胞を分化させる際にも、RUNX1によるDNA脱メチル化が重要な働きをしている可能性が示されました(2017年9月7日リリース)。

白血病などの血液疾患では、RUNX1の機能に異常が生じていることが報告されています。今後、RUNX1によるDNA脱メチル化と疾患との関係が明らかになれば、新たな治療法の開発が期待できます。


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発達期の脂肪酸不足が統合失調症発症に関連

〜核内受容体を標的とした新しい治療薬へ期待〜


統合失調症は、幻覚、妄想、認知機能異常など、さまざまな症状が現れる精神疾患です。その生涯罹患率は人口の約1%と高く、一旦発症すると、完全な回復は困難であることが少なくないため、より効果的な治療法や予防法の開発が望まれています。

統合失調症は主に思春期以降に発症しますが、発症しやすさは遺伝的要因に加えて環境要因が関わることが知られています。

オランダと中国における独立した二つの大飢饉の期間に妊娠期を迎えた母親から生まれた子どもは、将来の統合失調症の発症率が約2倍になったという疫学的知見をもとに「妊娠期の一時的な栄養不良」が環境要因の一つとなり得ると考えられています。しかし、このような環境要因と精神疾患をつなぐ分子や生物学的メカニズムの手がかりは不明です。

今度、理化学研究所の吉川武男チームリーダー、前川素子研究員らの共同研究グループは、マウスを用いた研究により、脳発達期の脂肪酸の摂取不良が統合失調症発症リスクに関与する可能性があることを示しました(2017年9月5日リリース)。

同研究グループは、統合失調症の臨床的・分子遺伝学的見地から、多価不飽和脂肪酸の欠乏が特に重要と考え、マウスの脳発達期に多価不飽和脂肪酸(特にアラキドン酸とドコサヘキサエン酸)の摂取制限を行い、成長後にどのような異常が現れるかを詳しく調べました。

その結果、(1)脳発達期の不飽和脂肪酸欠乏が将来の精神疾患発症リスク増大につながる可能性 (2)そのメカニズムとして核内受容体遺伝子のエピジェネティク変化が関与する可能性 (3)核内受容体作動薬が統合失調症の新しい治療薬になる可能性を明らかにしました。

本成果は、統合失調症の発症機序解明と核内受容体を標的とした新しい創薬につながるものと期待できます。


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筋萎縮性側索硬化症に似た症状をグリア細胞の異常が引き起こす機序を解明

〜筋萎縮性側索硬化症の治療薬の開発に拍車〜


筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、脳・脊髄にある運動ニューロンが変性・脱落する病気で、進行性の筋力低下を引き起こし、死に至る難治疾患です。運動ニューロンがなぜ変性・脱落するかを含めその発症機序は不明であり、有効な治療法が存在しません。

ALSの患者さんでは脳・脊髄のグリア細胞に存在するグルタミン酸輸送体(グリア型グルタミン酸輸送体)GLT1の発現が減少することやALSモデル動物ではグリア型グルタミン酸輸送体GLT1とGLASTが共に減少することが報告されており、これらのグリア細胞の異常が運動ニューロンの変性・脱落に関与することが推定されています。

しかし、グリア型グルタミン酸輸送体の発現減少が運動ニューロンの変性・脱落の直接的な原因か、あるいは運動ニューロンの脱落に伴う二次的な現象なのかは不明でした。

今度、東京医科歯科大学難治疾患研究所の田中光一教授、杉山香織大学院生、相田知海准教授の研究グループは、九州大学、Zurich大学(スイス)との共同研究で、脊髄のグリア細胞の機能異常がALSに似た進行性の筋力低下や脊髄運動ニューロンの脱落を引き起こすことをつきとめました(2017年8月24日リリース)。

今後、グリア細胞の機能不全が関与するALS・アルツハイマー病・脳梗塞等の病態解明と新規治療法開発への応用が期待できます。


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