〜うつ病の客観的診断法開発への応用に期待〜


うつ病は、抑うつ気分(気分の落ち込み)、意欲低下(喜びや意欲の喪失)に加えて、罪悪感、自殺念慮など様々な症状を呈し、自殺に至る危険が高い精神疾患で、重症度の評価は不可欠です。従来、本人の主観的な訴えに基づいた専門家による面接等での重症度評価が一般的でした。

今度、九州大学大学院医学研究院を中心とする共同研究グループは、抑うつ症状を呈する患者さん(うつ病や躁うつ病患者)から採血し、微量の血液成分から数多くの代謝物を同時計測できるメタボローム解析を行い、うつ病の重症度に関連する血中代謝物(3−ヒドロキシ酪酸、ベタインなど)を発見しました。

また、罪悪感、自殺念慮などそれぞれの症状毎に関連する代謝物が異なることを発見しました。さらに、自殺念慮の有無や強さを予測するアルゴリズムも開発しました(2016年12月19日リリース)。

本研究成果は、うつ病の客観的評価法開発および臨床検査応用に大きく貢献するだけでなく、うつ病の病態解明や、見出した代謝物をターゲットとした食品・薬品開発促進への波及も期待されます。

※メタボローム解析とは
血液など生体試料中に存在する低分子化合物(代謝産物あるいはメタボライト)を質量分析装置等の分析機器によって網羅的に測定する分析手法。