〜細胞における新たな温度調節機構の発見〜


動物は、活動に適した温度になるように、体温を様々な方法で調節しています。それでは、生命の最小単位である個々の細胞も自身の温度を環境温度の変化に応じて調節しているのでしょうか?その疑問に対する答えは得られていません。

今度、京都大学大学院工学研究科の村上光博士課程学生、長尾耕治郎助教、梅田眞郷教授らは、変温動物であるショウジョウバエの細胞の温度を測定する事により、環境温度が低下すると、細胞は自ら温度を上げようとする事を発見しました(2022年3月16日リリース)。

この温度の調節は、細胞自らが温度の変化を感知して細胞を構成する脂質分子の形を変化(折り曲がり)させる事で達成されていました。さらに、今回見つけた細胞の温度調節に関わる役者は哺乳動物をはじめとした幅広い生物に存在していました。

本研究により、「寒くなると細胞は自ら温度をあげようとする」という新たな温度調節機構が見出されました。

また、この研究により、細胞自らによる細胞の温度調節にミトコンドリアでのエネルギー代謝が重要である事が示されました。