〜陣痛や授乳を司るオキシトシンのリズムを解析〜


ホルモン物質オキシトシンは出産時の子宮収縮に働く事が知られており、陣痛促進剤として利用されています。また、授乳時には母乳を乳腺から放出させる射乳よ呼ばれる機能に必須です。

陣痛や射乳に際して、オキシトシンは数分に1回の波(パルス)として脳下垂体から分泌され、子宮や乳腺に到達しますが、このリズムを作り出す仕組みはよく分かっていません。

今度、理化学研究所、福島県立医科大学生体情報伝達研究所の共同研究チームは、母体における出産・授乳時に鍵となるオキシトシンを作る神経細胞(オキシトシン神経細胞)の脈動をリアルタイムに可視化する技術を開発しました(2022年7月22日リリース)。

同共同研究チームは、遺伝学ツールの発達したマウスを用いて、出産や授乳期のオキシトシン細胞の活動を詳細に記録する事に初めて成功しました。また、オキシトシン神経細胞への入力神経マップを作製し、これを基に特定の神経細胞を活性化する事で、母体におけるオキシトシンの脈動を人為的に操作できる事を示しました。

本研究成果は、出産期・授乳期の母体機能を支える神経基盤を解明する上で重要な知見であり、将来的には産婦人科医療に貢献する基礎的知見へと発展するものと期待できます。