〜百寿者のマイクロバイオームで増加する新たな胆汁酸の生合成経路〜
長生きの秘訣を探るため、慶應義塾大学医学部の本田賢也教授を中心とする共同研究グループは、国内の百寿者(平均107歳)から便サンプルを採取し、腸内細菌叢と代謝物の解析を行いました。
その結果、百寿者の便中にはisoalloLCA(イソアロリトコール酸)という二次胆汁酸が特異的に多い事を見出し、その胆汁酸を合成できる腸内細菌株を同定しました(2021年7月30日リリース)。
また、isoalloLCAがグラム陽性病原性細菌に対する強い抗菌活性をもつ事を明らかにし、マウス実験でもその抗菌効果がある事を突き止めました。
つまり、百寿者の腸内ではisoalloLCAを合成する細菌が増加し、isoalloLCAが豊富に存在しているためグラム陽性病原性細菌の排除が促進され、健康な腸内環境を維持できるのではないかと考えられます。
百寿者から単離されたisoalloLCAを合成する腸内細菌株は、難治性感染症に対する新たな予防・治療に応用できる可能性もあります。
(参)マイクロバイオーム
ヒトの体に共生する微生物(細菌・真菌・ウィルスなど)の総体の事です。