涅槃会(ねはんえ)というのは、お釈迦さまのご命日の法要である。
ということで、タイトルの「盛り上がった」というのは如何か?

だが、確かに盛り上がったのである。
なぜなら、4年ぶりに子供達に来てもらったからである。
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洞泉寺では、毎年保育園の子どもたちとともに涅槃会を行なってきた。
だが、コロナのせいで、それも途切れてしまった。

ようやく、日常が戻った。
本当に、ようやく、である。

法要の後、子どもたちにお話をする。
とはいえ、涅槃会である。

「人はみーんな死んじゃうんだよ〜、お友達もみんなね」では刺激が強すぎる。
かといって、諸行無常の解説というわけにもいかぬ。

結局、ノープランで挑むより仕方がない。
だが、手ぶらで臨むには少々手強い相手なのである。

とりあえず、「みんなはお寺に来たことある?」と聞く。

「ひーじぃじのお葬式できたー!」
「そうなんだ、ひーじぃじの名前はなんて言うの?」
「知らなーい!」

こんなやり取りから始まった。
正面には、お釈迦様が亡くなった時の様子を描いた涅槃図がかけてある。

「この真ん中で寝ている人は誰だかわかる?」
「ほとけさまー!」
「よくわかったね」
「だって、今日はほとけさまが死んじゃった日なんでしょー!」

どうやら、先生たちが予備知識を授けてくれたらしい。
子どもたちも慣れて来たらしく、どんどん質問が来る。

「あの白いのは何?」
「あれはゾウさんだよ」
「えー、へんなのー」

実は涅槃図は江戸時代に描かれてものである。
当時の絵師は、象など見たこともないのだ。
それで、伝え聞く姿を想像で描いているから、ちょっと変なのだ。

「きもー、きもー、きゃー」

大騒ぎである。

「みんなに質問だけど、一番大切なものって何?」
「あたまー、かみのけー!」

坊さんを目の前にして、いい度胸である。

「和尚さんだって、昔は髪の毛あったんだよ」
「えー、どのくらいあったの?」
「このくらい、パーマもかけてたし」
「えー!」
「けっこうモテたしねー」
「えー!!」

若いだけに、リアクションのキレは抜群である。

「他に大切なものってある?」
「いのちー」
「いのちー、いのちー!」

正解である。
みんな、命を大切にしてほしい。
そして、自分の命が大事なように、隣の友達の命も大事だということをわかってほしい。

生きとし生けるものが、ともにその存在を尊重し合えるような、そんな美しい世界を一緒に創っていこうね!