これまでの説明で、相場の変動というものは、ランダム(でたらめ)に生じるのではなく、「1/f揺らぎ」を持ったうねりとなって現れるものだということを納得していただけたでしょうか。

 ところで、これまでバイオリンの音の波形や相場変動の波形を分析する際には、表計算ソフトExcelの「フーリエ解析」機能を利用しました。

 今日は、この「フーリエ解析」機能を使って、相場変動を予想する方法を紹介します。

 さて、昨日の記事の中では、「静かな相場」と「荒れた相場」の特徴を説明し、「静かな相場」では、市場価格は相場の傾向線(トレンドライン)の周りで揉み合う動きをすると述べました。

 もし、今後しばらくの間、我が国の株式市場では「静かな相場」が続くと仮定したら、来年2月末の日経平均株価はいくらぐらいになっていると思いますか?

 「静かな相場」では、過去の一定時点から直近までの相場の傾向線と市場価格の変動サイクルが分かれば、それらを将来に引き延ばすことにより、将来の予想をすることが可能と考えられます。

 (ただし、今後「荒れた相場」が到来すれば、こうした予想は成り立たないことに注意してください。)

 Excelの「フーリエ解析」では、相場の傾向線が分かれば、市場価格の変動サイクルを割り出すことができます。ただし、「フーリエ解析」を行う場合、分析する波に含まれるデータ数は、2の累乗(例:32、64、128、256・・・最大4096個)であることが条件となります。

 そこで、昨年11月末から直近までの日経平均株価のデータのうち、直近の32個、64個、128個、256個を取り出して、相場の傾向線と市場価格の変動サイクルを割り出してみましょう。

 ここで、相場の傾向線は取り出したデータを回帰分析して計算します。また、回帰分析する期間でひと巡りする波(周波数1の波)を変動サイクルと定義します。

 下のグラフを見てください。左側のグラフは、昨年11月末から直近までの日経平均株価と、直近から過去32日、64日、128日、256日の間の日経平均の傾向線(トレンドライン)をそれぞれ示したものです。

 黒い線は日経平均株価の日足グラフ、ピンク色の線は過去256日間の傾向線、青い線、赤い線、緑の線は、それぞれ、過去128日、過去64日、過去32日の日経平均株価のトレンドラインを示しています。

NK225cycle















  一方、右側のグラフは、回帰分析を行った期間(直近から過去32日、64日、128日、256日)において、実際の株価と傾向線との乖離幅を計算し、それを「フーリエ解析」することにより、変動サイクルを求めたものです。 

 ピンク色の線は過去256日間の変動サイクルを示しています。また、青い線、赤い線、緑の線は、それぞれ、過去128日、過去64日、過去32日の変動サイクルを示しています。

 前にバイオリンの音の波形でお見せしたように、波というものは、1つのパターンがずっと繰り返し出現するという性質があります。そこで、上で求めた傾向線と変動サイクルを将来に引き延ばせば、将来の相場変動を予想することが可能です。

 下のグラフを見てください。5色の線が描かれており、グラフの右隅近くには縦のラインが引かれ、そこから右矢印で予測値と書いてあります。

NK225forecast
















 
 縦のラインの左側には、昨年11月末から直近までの日経平均株価の日足グラフが黒い線で示されています。また、ピンク、青、赤、緑の線は、上で取り上げた分析期間(32日、64日、128日、256日)における、傾向線と変動サイクルを合成したものです。

 たとえば、ピンクの線は過去256日間の大まかな相場のうねりを表しています。また、緑の線をみれは過去32日間の相場のうねりを読み取ることができます。

 縦のラインの右側(予測値のエリア)に延長された4本の線は、過去の相場のうねりを将来に引き延ばして、将来の相場変動を予想したものです。

 グラフの右隅は来年2月末の日経平均株価の予想水準になります。過去256日間および過去32日間の相場変動を将来に引き延ばしてみると、いずれも7千円台半ばの株価水準となりました。

 他方、過去64日間および128日間の相場変動を引き延ばしてみると、4千円台から5千円台という極端な安値になりました。これは、上の左側のグラフを見ればわかるように、過去64日と過去128日の傾向線が極端な右肩下がりとなっているためです。

 このように、「フーリエ解析」で相場予想をする場合、過去何日分のデータを分析対象とするかによって、予想が大きく異なってきますので、「フーリエ解析」を使って、精度の高い予想を行うことは難しいといえます。

 しかし、直近までの傾向線と変動サイクルに注目して、当面の相場が上げ基調なのか、下げ基調なのかを判断する材料としては役立つものと思われます。

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