2008年04月

2008年04月28日

筋・軟部組織の治癒過程(12)

○滑膜の治癒過程(4)

 結合組織の化生によって修復が行われますので

 一般的な創の治癒過程とそんなに変わりありません。・・・・・が

 治癒過程が関節腔内で進行して行く。→これが一つのポイントになります。

 結論から、

   関節拘縮に注意!!

関節腔内には、滑膜、滑液、関節軟骨の3つがあります。
 滑膜の一番の特徴は、関節腔近傍に分有する毛細血管のネットワークであります。
 これが滑液の生成、循環給液産生機構に直接作用しています。
 滑液はヒアルロン酸の他にムコ多糖体を含んでいます。
 関節軟骨は硝子軟骨で基質の主成分はコンドロイチン硫酸で弾性があります。
 関節の外層は線維膜です→治癒過程はおよそ靭帯に準じます。
 軟骨の治癒過程も述べました。

治癒過程

一般には、炎症反応から滑膜炎を引き起こします

 滑膜炎がおこります。
  ○浮腫、うっ血、などが約2〜3週間かけて起こります
   血管の拡張→血漿の毛細血管からの露出→白血球からの遊走による
   毛細血管からの脱出が順序におこる。
   液体成分が組織内に出て行くので組織内内圧が高まり、リンパ管が閉塞する場合が多い
   関節液吸収遅延がおこるとますます関節内圧が高まります。→→→→→→その結果
   軟骨の変性がおこりやすくなります。
   この時期が3〜4週間がこの時期になりますので、注意が必要です。

外傷性の場合でも同様ですが、
   外傷の刺激により滑膜の内張り細胞は活動を高める。
   B型細胞はヒアルロン酸の生成を促進し、細胞自体が肥大されていきます。
   滑液以外には、滲出液が増大します。
   滑膜には血管が多数存在しているため、わずかの外傷でも関節液に赤血球を認める。
   血腫の吸収時期には多核白血球が多くみられるが、慢性期にはリンパ球を多数認める。
   滑膜腔内の血液は刺激物として作用し、滑液の分泌過剰になる。
   関節液に脂肪を認めたら、関節内骨折が存在しています。→骨の治癒過程

 血腫が存在する場合。
   血腫の量が問題になります。
   滑膜や滑液が血液凝固作用をもつ。
   血液が少量であるとき損傷も小さく吸収も早いので特別な心配はない。・・・・が
 
   多量に出血し、関節腔内で凝血が起こっている場合は、
   滑膜や滑液の抗凝固作用の能力を越えたことを示しており、
   凝血が吸収されないままで放置される癒着が起こり、関節機能障害も起こる。
   約3〜4週以降に結合組織の増殖が多くなってきます。
   このときに結合組織が増殖過剰や線維性の癒着などがが始まります。

以上が滑膜の治癒過程の留意点になります。

まとめると

 関節構成体軟部組織すなわち、滑膜、関節軟骨、関節包、靭帯などの一連の
 炎症、損傷によって関節性の拘縮を起こさないことの一言につきます。

ここでもやはり、大雑把には、3日、3週間、3ヶ月が一つの目安になっていますね。


拘縮については、また述べていきます。


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2008年04月25日

筋・軟部組織の治癒過程(11)

○滑膜の治癒過程(3)

知ってるようで知らない関節包の説明です。
なにか治癒過程にはなかなか到達しませんが、重要です。

関節が痛む。痛い!!・・・・無理するなという身体の警報の発生です。

関節包の内部や関節の周囲には神経受容器が多く存在します。

みなさんが、関節を動かすとき痛い!! あるいは何か変?違和感がある。
腫れて痛む等などの異常を感じる事ができるのも、この神経受容器のおかげです。

少し専門的ですが覚えておいて損はありません。
この関節の受容器を利用した手技が非常に多いのです。

<関節の受容器>
関節包の内部や関節の周囲には神経受容器が多く存在します。
この関節受容器は、関節の位置や運動、関節包への機械的ストレスを感知する。

主にType機銑犬裡桓鑪爐△蝓△修譴召谿曚覆辰紳世気凌牲仞維の支配を受けています。

 ○Type機ヾ慇疂颪寮維膜に存在。

 ○Type供ヾ慇疂饒澗里砲泙个蕕紡減澆垢襪、大部分は線維膜に分布する。

 ○Type掘ヾ慇疂饉囲の靭帯や関節内靭帯に存在するが、関節包には分布しない。

 ○Type検ヾ慇疂颪寮維膜、関節包内靭帯・副靭帯に存在。
        脂肪ヒダ、周囲の血管特に滑膜に存在する。
       
 Type気蓮▲襯侫ニー小体様で関節の位置と運動を感知、運動の速度と方向を感知。

 Type兇蓮▲僖船望体様で運動と圧力の変化に反応、関節包の横方向のストレスに反応。

 Type靴蓮▲乾襯悟Т鏨浜佑納囲の筋活動を反射的に抑制し、
        関節に過剰なストレスを防ぎ運動ブレーキをかける。

 Type犬蓮⊆由神経終末で過剰な関節の運動を感知、変形の機械的刺激や
        炎症などによる化学的刺激に関節痛の信号をだします。        

これらの受容器が関節の異常を感じ、痛みという警告を発生させているのです

このように、関節面である関節軟骨、関節半月などの軟骨には、知覚の受容器も神経の
遊離終末もなく、痛みを感じないはずなのに、関節軟骨が変形したときや関節内に
炎症がおこると、はじめから痛みを感じるのです。
この痛みは軟骨そのもので感じているのではなく、関節包自体が腫れたりして、
内圧が高くなったり、関節運動が滑らかでなかったり、関節運動の軌道が異常なために、
敏感な関節包や靭帯に異常なひねりや引っ張りをおこし、それが痛みを引き起こすのです。

そのほかには、炎症による炎症産物である発通物質であるブラジキニができ、さらに
プロスタグランジンなどが関与しします。


無理やり関節を動かしたり、捻ったり、引っ張ったり、こじたりすることは関節自体にとっては、
全く利益がなく無意味であり、むしろ傷害であることが理解できると思います。




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2008年04月23日

筋・軟部組織の治癒過程(勝

○滑膜の治癒過程(2)

知ってるようで知らない関節包の二層構造の説明しました。今回は、

関節包の異なった二層構造の主な働き

<関節包の主な働き>
  
○内側の滑(液)膜の働き
   
 滑膜は滑膜ヒダの表面から出る小さな多数の突起をもつ滑液絨毛から滑液を分泌する。
 滑液は滑膜から分泌され関節腔を満たします。
 滑膜は滑液という粘っこい潤滑液を分泌して関節面を潤しかつ軟骨に栄養を与えます。
 
  関節頭と関節窩が、擦りあって動くときに、お互いの関節面がギシギシきしんだり、
  傷つかないようにスムーズな動きを確保しています。
  滑液は関節滑膜細胞が産生する液体で、健康人では少量で、淡黄色で透明である。
  ヒアルロン酸やコンドロイチン酸をふくんでいるので、糸を引くような粘調性があります。
  液性成分としては、血漿成分を約二分の一程度含んでいます。
  滑液の血漿は、栄養素を含み、関節軟骨に栄養を供給しています。
  関節軟骨には血管・神経がなく→軟骨は痛みを感じません。→感じるのは滑膜
                      軟骨自体には栄養血管がありません。
 このように滑膜は軟骨の栄養は滑液と関節包の滑膜の血管から供給されています。

 滑膜は変形時の機械的刺激や炎症どの化学的刺激を感受し、関節痛の信号をだす。

○外側の線維膜の働き
 
 関節の安定、保護
 
  安定のため線維膜は、破れにくい皮のような結合性線維でできた膜でできています。
  この線維膜がさらに強化されてできたものが副靭帯、側副靭帯で、関節包内をまもるものが、  関節包内靭帯です。
  また血管や神経が豊富に分布しています。


皆さんが、関節を動かして痛む、あるいは、腫れて痛むという場合は、

 関節包の外側の組織である線維膜や、関節包に密着している靭帯や腱・腱鞘、あるいは
 筋ー筋膜の傷害や異常によりみとして身体の警報の場合。
 あるいは、 
 関節包の滑膜自体の炎症や関節腔内の軟骨の変形や損傷などにより、
 関節腔内の滑液や滲出液が増大した場合のようなわずかな腫れる場合、あるいは
 出血などのより血液の増大や感染などのばあいは、風船のようにパンパンに腫れ関節包内の  内圧が高くなったりすると、滑膜が痛みの警報を発するような場合があります。

一つの関節の痛みを、単純に考えれば、関節包の痛みに集約されるかもしれません。

臨床メモ
 滑液の検査は関節腔内の異常を知るうえで重要な手段です。
 皆さんは関節内穿刺(一般に水を抜く)を嫌いますが、必要な場合も多いのです。
 痛みの原因を知る事ができます。→関節穿刺の目的について
 漫然と関節穿刺を繰り返すのではなく、穿刺の後が本当の治療です。
 


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2008年04月21日

筋・軟部組織の治癒過程(宗

○滑膜の治癒過程(1)

今回は知ってるようで知らない関節包について。
 
 関節包は二枚の膜からできています。・・・・・・・知っていました?
   関節包は、
   ○内側が滑(液)膜からできています。
   ○外側が線維膜からできています。

<関節の構造>
 二本の骨で向かい合った関節は、様々な方向に動くとともにテコの支点としても働き、
 効率よく、筋肉で発生したエネルギーを腱に伝達し靭帯により方向性やを変えたり、
 力を制御・保護されながら、曲げたり伸ばしたりしながら目的とする動作を達成します。

 二本の骨の固定されて動かない方を基部、動く方を可動部と呼んだりします。
 この関節面はスムーズにうごく事で始めて関節の役割を果たすわけですね。
 関節面は基本的には、運動しやすいように向かい合った骨の面の凸部を関節頭
 凹のほうの骨の面を関節窩と呼んでいます。
 互いの面は鏡の表面のように滑らかな硝子軟骨(関節軟骨)でおおわれています。

関節包は、この関節頭と関節窩を周りからスッポリと包みこんでいます。
 
 包まれた空間を関節腔と呼んでいます。
 関節腔内には、軟骨の動きを助けたり、栄養を供給する少量の滑液が存在しており、
 接触面のより良い安定性の確保のために軟骨性の関節唇や関節円板、関節半月という
 軟骨を持っている場合もあります。

 関節腔内は、陰圧になっており関節をキッチリと強める作用があります。
 そしてこの関節包を周囲からとりまいて補強し、脱臼などを防いでくれるのが、
 おびただしい数の靭帯や腱が密着しており、さらに筋肉も補強作用を助けているのです。

 以上が大まかな関節の構造です。


<関節包の構造>
 関節包は内外二層の構造から成り立っています。
 
 外層は骨膜の表層部につづく線維膜で、強い結合組織からなる丈夫な層です。
 この層の線維はそれぞれの部位もしくは層によって特定の走行をとり、一部では密な集団や
 束をつくっており、各関節包の特定の部位を強めてています。

 内層は軟らかい結合組織から成り立っており、滑(液)膜といいます。
 滑膜はしばしば滑膜ヒダとなって関節腔内に突出している場合があります。
 その大きなものは脂肪組織を含み、対向する関節面の適合しない部を補い、
 関節内の死腔をうめています。。
 滑膜ヒダの表面からは、小さな多数の滑膜絨毛の突出がみられる。
 ・・・・・・・・→膝関節の膝蓋下脂肪体や滑膜ヒダが代表的です。

以上のように関節包はこのように性質の異なった2枚の膜からできています。

簡単にまとめれば、
 
 関節包は二枚の膜でできている。
 外層は線維組織で関節の保護作用。
 内層は滑膜で滑液を分泌し、関節を滑らかに、且つ関節腔内の軟骨などに栄養を与えてる。
 
外層の線維膜は概ね靭帯に準じます。
内層の滑膜は次回に



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2008年04月18日

筋・軟部組織の治癒過程(次


○腱の治癒過程(4)

 腱自体に再生修復作用があるかどうか、様々な意見があります。
 まあ、それはともかくとして、

腱が損傷すると、

第一段階
 腱鞘組織(パラテノン)あるいは腱鞘からの前駆細胞から線維芽細胞を増殖し、(3〜4週間)
 3〜4週で、筋の牽引力を伝えるための抗張力が強くなります。
 その後は、膠原組織(コラーゲン線維)をつくり欠損部に着床します。
 5〜6週でほぼ癒合しますが、当然正常の腱組織ではなく瘢痕組織です。
 6〜8週以降は、
 膠原繊維が腱の部をその走行に沿って縦に並び、
 周囲は横の方向に並び腱鞘様組織になっていきます。
 このような過程を経て、腱の癒合と腱の滑走性が出てきます。
 そして、仮腱と呼ばれる腱になるまでには、なんと約5ヶ月間かかります。

第二段階
 ここからは、、運動を負荷していくと再修正されていきます。
 新しい膠原繊維が本来の引っ張られる方向に均一で平行な配列に変わっていきます。
 完成されるには、なんと約3年を要するといわれています。

運動がなぜ必要か?
 線維性組織には、線維方向に伸張が加わると肥大・成長する原則があります。
 有効刺激が反復して加わると、腱内および腱周囲の細胞に対するシグナルとなり、
 コラーゲンを追加する働きがおこり腱の横断面積が大きくなります。
 その結果、腱は、引っ張り強度が増します。
 肥大すればするほど伸張刺激も強くしなければ有効刺激として働きません。
 丈夫な腱に成長するためには適当な有効な引っ張り刺激が必要です。
 裏返せば、癒合直後の伸張刺激は、わずかで良い。

腱の入れ替わり
 自然の状態では1年で約5%と非常にゆっくりと新しい線維と変換されています。
 大部分が目に見えない微細損傷の修復過程として入れ替わっています。

腱の治癒で重要なことは
 腱が癒合しても周囲と癒着していまって動かなければ、腱の作用のエネルギーの伝達作用が
 なくなるわけですから、意味がありません。
 何度も繰り返しますが、
 腱が癒合し、抗張力を残し、周囲組織との癒着を防ぎながら滑走性を残す。
 という相反する治癒機転を考慮しなければなりせん。


運動開始の時期
 手術後の縫合の運動の開始の目安は抗張力が強くなる3週が一応の目安になります。
 ギプス固定後の運動開始時期も3週間〜6週以降が一つの目安になります。
 腱周囲の損傷程度とそのための瘢痕化と抗張力の回復と関節の拘縮の問題を常に
 考慮して運動療法をしなければなりません。
 本当に充分な負荷をかけていいのは、5ヶ月以降になりますね。
 アキレス腱断裂後の運動では運動開始時に再断裂する場合が多いので注意。
 

 皆さんが、過度な安静、過度な負荷、過度な回数、過度な可動域訓練にならないように、
 治癒過程を知る事は非常に重要です。



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2008年04月15日

筋・軟部組織の治癒過程(察

○腱の治癒過程(3)

<腱の構造>
 
 腱のほとんどが線維性組織から成り立ち、組織の基本は膠原繊維です。

 腱は膠原組織の密な集合体である腱原線維から成り立っており、牽引力のかかる方向に
 平行に配列されています。
 
 この腱原線維と腱細胞が腱線維を形成しています。
 腱線維の集合体がいわゆる腱と呼ばれています。
 一つの腱線維の周囲は内腱鞘で被われ、線維間には血管があり腱を栄養する。

 これらの多数の腱線維が緻密に平行に走って、一次腱束を形成する。
 この一次腱束は結合組織に被われお互いに隔てられています。→外腱鞘
 この隔てる隔壁のなかを神経や血管が走っています。→腱鞘間膜
 一次健束が多数集まって二次健束を形成する。
 これらの腱束はそれぞれ内・外腱周膜に被われる。
 
 最終の健束すなわち「腱」はさらに腱傍組織に被われる。
 この腱傍組織(パラテノン)は腱を保護し、腱の滑りを良くする働きを持つ。
 
 腱傍組織(パラテノン)は外腱鞘を包む粗い組織で、腱構造には属さない。
 この腱傍組織は鞘になっており全長にみられるが、屈曲するところのみにある腱もあります。
 また、腱が特に強い摩擦にさらされる所では、前回のべたような特別な構造を持った
 付属器官が存在しています。
 たとえば、
 指屈筋腱などで腱鞘が腱周囲を被っているトンネル部分は、腱傍組織がなく腱は滑液による
 潤滑機構を有しています。同じようにトンネル部では腱鞘間膜もなく代わりに、索状の組織が 腱に付着しています。血行の豊かな腱鞘間膜の代わりを果たしています。

 この腱傍組織(パラテノン)は腱の血行と滑走に大切な構造です。
 つまり、治癒過程にも腱の作用に果たす重要な役割を果たすわけですね。

<腱の血行>

 ○腱の血行は、長い腱では両端よりそれぞれ三分の一までは起始部、停止部より
  血行があるが、この血行は中の三分の一の栄養はできません。
 
 ○中の三分の一は、腱鞘間膜および索状の組織が血行を確保します。
 
 ○腱傍組織を有する腱は非常に血行に富んでいるが、腱鞘内の血行は粗く
  索状の組織による血行が重要になっています。
 

今回はここまで、少しわかりづらかった?でしょうか?

 腱の治癒過程で重要なことは、筋の牽引力を伝える強い抗張力と滑走性という機能が
 同時に必要になります。
 
 腱自体が損傷や傷害を受けた際は、腱が癒合しながら、且つ周囲組織との癒着を防止し、
 滑走機能を残す。という相反する修復過程が必要になります
 腱が癒合しても周囲と癒着していまって動かなければ意味がありません。
 腱の大きな作用である、筋肉からのエネルギーを伝達し、目的とする動作ができなくなる
 わけですから、非常に重要になるわけですね。
 
 そのために少し構造が特殊的であり、修復過程には血行が重要なために、あえて腱の構造を
 詳しく述べてみました。


 

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2008年04月11日

筋・軟部組織の治癒過程(此

○腱の治癒過程(2)

知ってるようで知らない腱

治癒過程までもう少し「腱」についての説明です。臨床的にも重要です。

 ○筋がエネルギーを産出させ、、腱はそのエネルギーを伝達させることが主なる目的です。
  エネルギーを効率よく確実に安全に伝達するために、腱自体は次の作用を持つ。
   1、筋の収縮を骨・筋・皮膚に伝えるために、腱自体が緊張することでその目的を果たす。
   2、腱自体は強い抗張力と滑走性をもちこれが柔軟性とも関連し、保護作用も備えている
   3、ゴルジ器官という筋収縮抑制機構をもつ。
  以上が前回の復習ですね。

腱自体の構造と治癒過程の説明にはいる前に、
今回は、腱がエネルギーを伝達する際に臨床で知ってほしい事の説明です。

 腱が力を伝達し目的の動作をするとき、どうしても腱が周囲組織の間を動く必要が生じます。
 そのために、周囲の組織、筋・腱・骨に接する部分に大きな抵抗と摩擦が生じます。
 腱や周囲組織の抵抗と摩擦による組織の炎症や損傷や力の伝達の損失を防ぐために、
 腱付属の器官の助けが必要になります。
 
<腱付属の器官>

1、滑液包
 潤滑に必要な粘りのある滑液を適量にいれる小さな袋状の器官です。
 薄い膜(滑膜)から成り、その膜の中身は空虚でへしゃがています。
 滑液は滑膜から生成されています。
 
 筋または腱と骨との間にある結合組織の包で滑膜に被われ,その中に粘液様の滑液を入れる
 擦れあう内面を滑液が潤滑し、腱の動きにともない滑液包は変形しながら損傷を予防します。
 関節腔と交通するだけでなく多数の腔に分かれることがある
 存在される場所により、皮下滑液包、筋下滑液包、腱下滑液包など
 典型的な例は、前膝蓋滑液包、膝蓋上滑液包、鵞足滑液包など。
 肩の傷害では肩甲下滑液包、上腕二頭筋長頭腱滑液包もよく炎症をおこします。
 肩甲骨の内上角滑液包・下角滑液包などの炎症は「肩こり」とよく間違えられます。
 
滑液包は関節のいたるところに存在しており炎症がおこりやすく、傷害も多く、臨床では重要です
力任せの粗雑、乱暴な手技により、炎症させる場合も多く注意が必要です。

2、腱鞘
 筋膜に由来する線維性の半管状の嚢で、骨に付着し、腱を通しこれに滑動性を与える。
 
 これは管状滑液包ともいわれています。
 滑液包と同じ性質の器官です。
 
 形状は、大雑把には、・・・・・・・・・・以下は、想像してみてください。
 管という名前のとおり、小さなマカロニのような管状になった状態の側面に切れ目を入れ、
 その切れ目側を骨の上に置いたような形状をしています。
 その小さなマカロニの内面と外面の間に少量の滑液が入る鞘状構造を形成しています。
 マカロニの内面を、腱が通りマカロニの切れ目に腱間膜があり外面の外側が腱線維鞘です。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以上、こんな形を想像していただければ良いと思います。
 
 内面の層を腱の滑液鞘といい、滑膜と同様の性状をもつ。
 滑液鞘は腱に直接触れる部分と、反転してそれにつづく外側を被う部分があります。
 両部分の間に少量の滑液が入っています。
 
 滑液鞘の外層は腱の線維鞘といいます。反転した部分の外側になります。
 線維性結合組織からなり、滑液鞘内・外層の移行部からは腱間膜または長い腱の紐がでて 骨に付着し、血管・神経を導きます。
 滑液鞘は往々にしてこれら全体を支える強い鞘状靭帯によって包まれます。
 典型的な例は指の屈筋腱などです。
 臨床的には狭窄性腱鞘炎のデベルバン病や
        手指屈筋腱の限局性肥厚による、ばね指などが特に有名ですね。

3、筋滑車
 腱が急に曲がっている場所へ固定し、且つ動きやすくするための繊維性の輪で、腱側の面は
 軟骨に被われることが多い。
 典型的な例は、外眼筋の上斜筋
 
4、腱弓
 筋の起始あるいは付着が弓状の腱索となり、その凹下側を血管、神経などが通る。
 典型的な例は、ひらめ筋腱弓

5、種子骨
 腱付着部付近で腱の中に入っている小骨片のことです。
 腱が骨の突出部上を通り、、かつ旺に移動する場所で摩擦抵抗を減らすため、また、
 テコの原理により力のモーメントを大きくするために発生したもの。
 骨化することなく軟骨片からできるときは、種子軟骨という。
 典型的な例は、膝関節の膝蓋骨です。
 

腱の構造と治癒過程は次回に。



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2008年04月09日

筋・軟部組織の治癒過程(后

○腱の治癒過程(1)

知っているようで知らない腱について

皆さんも、スジ=関節の周囲→靭帯・腱・筋という感覚をお持ちだと思います。

よく似た靭帯は説明しましたね。簡単に復習すると、

関節靭帯は、
 関節運動の激しいところの関節包の線維膜の一部に発生した特に強靭な結合線維です。
 時に弾性繊維を含む靭帯を副靭帯、副靭帯が両側にあると側副靭帯という。
靭帯の作用は、
 骨と骨を結合させ、骨格機構の安定させ、関節運動を一定の枠内に制限し方向性を与える
靭帯の配列は
靭帯は、張力にかかる方向の他の方向にも少しの張力を受けるので、線維が交叉している。

本題の腱は、

腱は解剖学的には筋の補助装置とされています。
 
 筋は自らが伸びたり縮んだりする作用をもち、骨格筋の筋線維は随意筋です。
 しかし、腱自体は筋のように自ら伸びたり縮んだりすることはできません。

 つまり、筋はエネルギーを生産し、、腱はそのエネルギーを伝える役目をしています。
 
 筋の両端が腱となり骨あるいは靭帯、皮膚などにつきます。
 腱の形状は基本的には索状ですが、筋の形により様々な形状を持ちます。
 筋の形状から、骨だけでなく二腹筋のように筋腹と筋腹と連結する中間腱や
 多腹筋(腹直筋)のように多数の筋腹をもち、これらが腱束によって腱画をつくっている。

腱の作用は、

 1、筋の収縮を骨に伝える作用が主となり、腱が緊張することでその目的を果たす。
   このため膠原繊維の配列に多少の違いがあります。

 2、筋収縮による牽引力を伝ええるために強い抗張力をもつ。一方では、
   筋収縮に対する牽引力に滑走する事ができるという作用機能を持つ。
   これは柔軟性とも関連し、保護作用も備える
   
   健束は張りつめた状態ではなく、波状の小さなうねりを呈して、ゆとりを持つ。
   そのために、急激な運動のストレスが加わってもある程度の弾力をもち腱の損傷を防ぐ。
   またこの弾力が戻る力によって筋力が補われる。
   硬い組織である骨に対しても保護機転が働くことになります。
 
 3、特殊な抑制作用がありこれも損傷防止に作用する。
   腱は力学的な負荷に対する特殊神経終末と疼痛神経線維をもつ。
   これらは中枢神経と連絡して安全機構として働く。
   筋収縮→腱のゴルジ器官→?b線維→脊髄後根→脊髄後角の抑制性介在ニューロン
   →脊髄前角に在る運動神経に伝えられその動きを抑えます。
   その結果、引っ張られている筋の動きを抑え、それ以上に引っ張れないようにして、腱損傷   を防ぐ。

腱の配列は、

 腱は張力が一定しているので、線維は規則正しく平行に配列いて腱の働きに備えている。
 健束は張りつめた状態ではなく、波状の小さなうねりを呈して、ゆとりを持つ。

構造
 以上の作用を保持するために腱の構造は少し特殊的であるます。
 靭帯とはかなり異なっています。
 今回はここまでとします。
 治癒過程から少し遠ざかりましたが治癒過程で覚えておいて損はありません。




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2008年04月07日

筋・軟部組織の治癒過程(検

○筋損傷の治癒過程

 筋が損傷した場合、

 1、筋細胞は再生します。・・・・・・非常に特徴的です。
    ただし、損傷が強い場合や血行障害を起こした場合は、やはり瘢痕治癒します。
 2、筋膜系を考える。

筋ー筋膜の関係は一つのユニットとして、常に考慮しよう。

1、の筋細胞の再生について
 
 筋損傷の2、3日後に、
 衛星細胞→筋芽細胞→発芽して→筋管細胞→筋線維が再生されます。 
 受傷後2週間経過すると、ほぼ正常の筋線維の形態を呈します。
 筋細胞自体の再生能力の高さはすごいですね。
 ただし筋芽細胞は筋組織に由来するもので、結合組織ではない。(Walkar)
 
2、の筋膜系については、
 その外に筋は単に直接的な外傷だけでなく膜系に重要な要素があります。
 筋が収縮・弛緩を繰り返すためには、筋細胞の膜系が大変重要であります。
 日常のオーバーユースなどで筋の膜系が微細損傷を受ける事は充分考えられるし、当然
 機械的外力などによっても膜系は損傷を受けます。

 筋細胞の膜系が損傷を受けた場合は、浸透圧の関係で、細胞外液中のCaが大量に
 細胞内に流入します。
 これによって細胞内の生理的環境が変化し、筋の変性と壊死を生じる結果がおこります。
 その他の酵素によって筋原線維が分解され崩壊が進みます。
 筋は単に直接的な外傷けでなく、このような膜系によっても変性・壊死が起こります。
 変性・壊死の結果、修復のためマクロファージや好仲球などが処理を行う。
 こちらは、結合組織由来ですね。よって、膠原組織の修復作用と同様です。

動物実験においては、
 筋再生の完了まではサルの打撲で6週間で筋間に膠原繊維は多いが良好な修復が見られた
 (Allbrookなど)
 ラットの腓腹筋外側頭筋腹中央を切断し、ただちに縫合すると、8週間を経過すると、
 切断・縫合部は筋線維により修復され、筋自体の興奮伝導性が回復した。(浦部)
 つまり、筋は切断後であっても、断端しの正確な再縫合さえ保たれれば、一つのユニットとして
 修復される可能性が高いとしています。
 しかし縫合した筋が組織学的に完全に回復するかどうかはまだ明らかになっていません。

総合的に筋損傷は、
 筋の部分損傷の治癒は組織学的にあるいは機能学的に3〜6週間がピ−クとされています。
 その後はゆっくりと回復していきます。
 一般的に、充分な筋力などを含めた回復には3ヶ月〜6ヶ月という期間なります。
 
 瘢痕化組織などがある場合は、弾力の違った部分ができますので、早期に筋力を出しすぎると
 再損傷がおこりますので注意を要します。
 
 慢性化すると損傷部位の硬結あるいは陥没も触知され、伸張力の低下、筋力の低下などが
 顕著になります。

 筋挫傷(肉離れ)などでは、通常に見られる現象として皆さんもよくご存知だと思います。
 HPで筋挫傷について簡単に説明しています。



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2008年04月04日

筋・軟部組織の治癒過程(掘

○靭帯の治癒過程

 知っているようで知らない関節靭帯について
  
<靭帯とは?>
  
  関節運動の激しいところでは、関節包の線維膜の一部に強靭な結合組織線維が発生し、
  この結合組織線維を靭帯と呼んでいます。
  結合組織線維に弾性繊維を含む事もあります。これを副靭帯と呼んでいます。
  副靭帯が、関節の両側に発生するときは、特に側副靭帯と呼んでいます。(膝、肘関節)
  つまり、
  靭帯は関節を構成する骨を連結する強靭なコラーゲンの線維束です。

<靭帯の主な機能は?>

 1、生理的な関節の運動を正しく誘導する誘導機能。
 2、生理的な限度を超えた異常な方向への関節運動を阻止する抑制機能。

 以上の点かから、いろいろな名称が付けられています。
  付着靭帯:2骨間の連結を強固にするもの
  補強靭帯:関節包を強厚にするもの
  抑制靭帯:関節運動を抑制するもの
  指示靭帯:関節運動の方向を確実にするのに役立つもの
  導靭帯:血管・神経などを関節に導くもの
  以上は関節包外にある関節外靭帯です。
  関節包内にも靭帯があり、いろいろな機能を果たすものを関節内靭帯といいます。
  関節内靭帯では、股関節の大腿骨頭靭帯は有名です。

<治癒過程>
 
 基本は結合組織線維と時に弾性繊維が含まれるので創傷とそれほど変わりません。
 機能的には更に強い強靭さと弾力性が要求される事になります。

 損傷後、
 数時間で白血球やリンパ球が集まり、24時間後には単球やマクロフアージが多くなり、
 壊死組織の貧食を行う。
 線維芽細胞ヶ増えコラーゲンが形成され2週間後には肉芽が確認される。
 数週間後には線維芽細胞、マクロフアージが減少し、線維芽細胞が扁平化して、
 約2ヶ月後にはほぼ正常に近づく。
 
 自然治癒に向かう三つの条件
  ○損傷靭帯が連続性を保っているかどうか血行が良いかどうか
  ○修復中に靭帯に一定の張力がかかっているかどうか
  ○損傷靭帯に強大な力がかからないかどうか
 以上の3点が揃った場合に外見上は2ヶ月でほぼ正常

おおまかにはやはり3ヶ月は必要になります。


touyou8syok9 at 08:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 筋・軟部組織の治癒過程 | 靭帯