2010年12月

2010年12月30日

肩関節(59)

肩関節

インナーマッスルの回旋筋群の問題のなかで、

今回は、回旋筋でも、特に問題になるのは腱板疎部の問題です。

たとえ、アウター・インナーマッスルが正常に動いても上腕骨と肩甲骨を繋げている

関節包の弾力性・伸長性が無ければ肩甲上腕関節が正常に動くわけがありません。

前回の復習として

○静的安定効果の関節包の問題

関節包、腱板、関節上靭帯の伸長性の問題でしたね。

いいかえれば関節包の外層部の線維膜の弾力性と伸長性の問題になります。

上腕骨頭が関節包内で十分に転がり、滑走運動できる余裕が必要なのです。

また関節腔内に十分な余裕がなければ関節包内圧の上昇も問題になります。

これは関節上腕靭帯における Weitbrecht孔(ワイトブレヒト孔)の閉鎖の問題にも

つながっています。


○関節包を含めて腱板疎部の問題。

いろいろ異論もあろう化とは思いますが、

これは、ある意味では関節包の内層の滑膜の問題に関すると思っています。

臨床において非常に多く遭遇する肩関節周囲炎の分類と頻度(信原による)

 1)烏口突起炎(5%)
 2)上腕二頭筋腱炎(12%)
 3)肩峰下滑液包炎(2%)
 4)変性性腱板炎(外傷性腱板炎・腱板不全断裂)(41%)
 5)石灰沈着性腱板炎(4%)
 6)臼蓋上腕靭帯障害(不安定肩関節症)(3%)
 7)いわゆる「五十肩」(疼痛性関節制動症)(25%)
 8)肩関節拘縮(外傷後など)(8%)

となっています。

如何に腱板が影響していることが理解できます。

肩甲上腕関節の問題として、

特に手術の適応以外の臨床においては、疼痛と可動域制限が問題になります。

疼痛においては、炎症が問題になります。

腱板は非常に血行に富んでおり、特に腱板疎部は疼痛閾値が有意に低いとされています。

加えて周囲には、

肩甲下滑液包が存在しています。

 この肩峰下滑液包の上面の一部は、三角筋下面の筋膜、肩峰下面、烏口肩峰靭帯、

 肩鎖関節下面の関節包と一体しています。

 加えて肩峰下滑液包の下面の一部は、腱板表層に密着し一体しています。

上腕二頭筋腱滑液包が存在し関節包内と交通している。

肩甲下滑液包も存在しこの滑液包は、Weitbrecht孔を介して関節包と交通しています。

炎症による様々な疼痛は、滑液包炎、関節包の内圧の問題にもなるわけです。

疼痛は可動域に影響を与えることはモチロンですが、治まった後にも様々な問題を引き起こします。

腱板疎部は棘上筋腱と肩甲下筋腱との間隙の疎な結合組織で覆われた部位で、

そのこの間隙により、内旋・外旋における両筋腱間の軋櫟は軽減されるという点は説明しました。

加えて

鳥口上腕靭帯や腱板疎部の周辺は滑膜に富んでおり炎症は様々な部位に波及し易い。

したがって、

炎症後における腱板疎部の療痕化による伸張性の低下は、肩甲上腕関節の外旋、内旋機能の働きを

阻害し、著明に肩関節運動を制限すると考えられます。


一般の皆さんは、肩の屈曲、外転障害を気にされますが、これには外旋、内旋運動が

できなければまず不可能なのです。

臨床上

 ○回旋筋腱板―関節包―関節上腕靭帯(上・中・下)の伸長性

 ○関節包内を含めた滑膜包炎の炎症あるいは関節腔内圧

 ○回旋筋が集合している腱つまり腱板を中心とした肩周辺筋群の圧痛

 ○持続的な回旋筋群の攣縮により運動が制限

以上が非常に多く臨床では問題になると思います。


多くはこれまで述べています。

これらの問題を様々な手技手法にて解決していくわけです。

最近はインナーマッスルの運動のみが注目されて故障されている人が多くみられます。

とにかく、インナー・アウターマッスルのみ注目され、忘れられているようです。

ご注意してください。


今年は今回で終わります。

肩関節については複合関節であるのでもう少し続きます。

来年もよろしくお願いいたします。

皆様が健康で幸多い年でありますように!!

touyou8syok9 at 17:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節 | 回旋筋腱板

2010年12月27日

肩関節(58)

肩関節

回旋筋は肩甲上腕関節において動的な安定機構で働いています。

肩甲上腕関節は、インナーマッスルの回旋筋群を構成している棘上筋、肩甲下筋、棘下筋、小円筋が

運動しながら求心性の安定機能を果たしながら、アウターマッスルとが協同して

屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋という運動が可能になるのです。


前回

回旋筋を様々な手技で上手に処理できればそれだけでいいのか?の問題ですが、
(あくまでも肩甲上腕関節の問題として)

単純に回旋筋の問題であれば回旋筋を処置できれば、それだけでもOKです。

しかし、

実地臨床では実際はうまくいかない場合のほうが圧倒的に多いのです。

回旋筋のみをターゲットにしても到底対応できません。

なぜでしょう?


回旋筋が動的安定機構であるならば、静的な安定機構があるのです。

それが、関節包であり、腱板であり、関節上腕靭帯(上・中・下)なのです。


関節包は上腕骨頭と肩甲骨関節窩を包み関節腔をもち内層は滑膜、外層は線維膜から成る。

腱板は4つの回旋筋群(棘上筋、肩甲下筋、棘下筋、小円筋)の腱で構成されます。
 
加えて肩甲上腕関節の安定化は腱板によって補強されています。

その腱板は、

関節包の上半分は関節包と癒合しており、関節包とともに線維性の筒の構造物を形成しており、

分離することは困難である事も述べました。


上腕骨―肩甲骨関節窩をつなげている関節包の上半分は腱板と一体化しているのです。

関節包は上腕が動くことにより、関節包の各部が、その運動により緊張したり、弛緩したりします

たとえ筋が上手に緊張、弛緩できるようになっても、この関節包が弛緩、緊張できる事が不可能であれば、

これまた肩甲上腕関節を動かすことができないのです。

肩関節の疾患における運動障害、可動域制限因子としてこれは重要です。


次に、

肩甲上腕関節の関節包は腱板のほかにも関節上腕靭帯が補強に携わっています。

関節上腕関節は、上・中・下の靭帯が存在し、この靭帯も肩甲上腕靭帯の運動によって
弛緩と緊張が生じることとなります。


その他にも鳥口上腕靭帯(関節包の一部分?)、上腕二頭筋長頭(関節包内の一部分)
なども重要ですね。


いかがでしょう?

これが、筋だけの問題ではない大きな理由の一つです。


この関節包の緊張と弛緩をコントロールすることは肩甲上腕関節にとって必要不可欠です。


回旋筋―回旋筋腱板―関節包―関節上腕靭帯(上・中・下)

これらは一体にして考える必要がありますね。

関節包を含めた関節上腕靭帯(上・中・下)および腱板の緊張と弛緩の関係、つまり

正しい適切な伸長性の確保が重要になるのです。


加えて関節包内の圧力、関節内圧も影響します。

通常の正常な肩甲上腕関節の下垂位においては、関節包内圧は陰圧になっています。

この陰圧も関節の安定化に役立っています。

つまり、

肩甲上腕関節の関節包および周囲の靭帯・腱などが弛緩しているばあいは、

関節包の内圧はそれほど高くないということです。

反対に肩甲上腕関節の運動や関節包や靭帯が緊張時には関節包の内圧は上昇して高くなるのです。

このように回旋筋の動的な筋による安定機構のほかに静的安定機構が共に

正常に働く事で肩甲上腕関節が機能することになります。



肩関節の施術、治療において、インナーマッスル、アウターマッスル主体になり

忘れられている重要な要素ですが、治療の中核となる基本の基本として非常に重要です。

静的安定要素の施術、治療を忘れていませんか?


今までのブログで様々な関係を述べていますのでぜひ確認して欲しいと思います。


次回で肩甲上腕関節における回旋筋腱板は終わる予定です。





touyou8syok9 at 20:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節 | 回旋筋腱板

2010年12月20日

肩関節(57)

肩関節

回旋筋群の肩甲下筋は直接触れることはできません。

しかし治療法は様々あると述べました。


よく利用されているのが脊髄反射経の手法を利用する方法です。

最も代表的なのが次の二つの方法です

○Ⅰa群神経線維の利用

 関節が外力によって受動的に動かされると、その筋肉のⅠa群線維の興奮は、

 伸張反射を誘発して自動的に収縮します。

 同時にその拮抗筋に対してⅠa抑性介在ニューロンが発火しその拮抗筋が弛緩します。
 
 たとえば、

 内旋外旋中間で内旋させ棘下筋を反応させ元の位置に戻る際には、拮抗筋である

 肩甲下筋を弛緩させることができます。


○ゴルジ腱器官のⅠb線維の利用

 この線維は、筋肉に発生する張力を検知します。

 加えてⅠb線維は、能動的な筋肉の収縮によって生じた張力に反応します。

 能動的という運動様式が先ほどの受動的の運動様子と違います。

 同時にⅠb線維の抑制介在ニューロンを介して抑制的にその筋肉が反応します。

 回旋筋の内旋・外旋の自動運動時にゴルジ腱器官に働く張力によってⅠb抑制ニューロンを発火させて、

 その筋肉を弛緩させる事ができます。

 拮抗筋ではありません。能動的に筋肉の収縮させた筋肉そのものが弛緩します。


これらの方法は治療において利用される良く知られた方法ではあります。

一方隠れた関節不安定を確認できる方法でもあります。

その他は、

各回旋筋群に対しての運動療法も利用されますね。


みなさんはインナーマッスルである回旋筋群の問題はこれであらかた解決したように感じますか?



touyou8syok9 at 20:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節 | 回旋筋腱板

2010年12月16日

肩関節(56)

肩関節

肩甲上腕筋群のインナーマッスルとしての回旋筋群である

棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋について述べている最後の肩甲下筋の途中で

腱板疎部に移ってしまいました。

話を戻します。

肩甲下筋は肩のインナーマッスルとして唯一触れることができない筋です。

触れることができるとすれば、

小結節、小結節稜付近は触れる事が出来ても、腱の一部? あるいは本当に肩甲下筋の腱?

あるいは、腋窩部の広背筋や大円筋に隠れた一部の下方線維?

つまり、大部分は隠れてしまい、体表から筋腹には十分触れることができません。

つまり、直接触れることができないため、手技が十分に発揮することができない。

手前味噌になりますが、

触圧覚刺激法という手技においては、

直接筋腹に触れることができない筋肉においてもそのターゲットとなる筋走行に

手技を実施すれば深層筋にまで影響を与えることができることができます。


臨床において、棘上筋の筋緊張あるいは筋短縮を緩めようとする場合。

回旋筋群の棘上筋は僧帽筋上部線維に被われています。

この多くの場合、僧帽筋の上部線維は筋スパズムによって緊張しています。

 1、触圧覚刺激法にて最表層部の僧帽筋上部線維を筋スパズムを消失させる。

 2、その奥に隠れている棘上筋の筋走行に触圧覚刺激法を行う。

   棘上筋の筋スパズムを解除させる。

 3、棘上骨の肩甲棘と鎖骨の間から指を入れ込みかなり起始から停止部付近まで

   筋を触れることが可能になり初めて直接的に棘上筋に手技が可能になる。


しかし、肩甲下筋は触圧覚刺激法においても大部分が肩甲骨に邪魔され効果がないのです。

つまり臨床では直接的な手技は肩甲下筋に対してアプローチし辛い非常に厄介な筋になってしまいます。


このような場合に有効な手段は?

様々な方法があるとは思います。

多くの先生方が得意の治療・施術法があると思います。

インナーマッスルの回旋筋の運動療法あるいはストレッチ等も多く述べられています。

でも重要な点が置き去りにされているような気がしています。

もう少しだけ述べてそろそろ肩甲上腕関節における回旋筋腱板は終わろうと思います。


touyou8syok9 at 21:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節 | 回旋筋腱板

2010年12月13日

肩関節(55)

肩関節

腱板疎部

腱板疎部損傷の臨床症状は?

肩関節が可動域の制限をおこす拘縮型あるいは不安定型の二種類に分類される。

1.不安定型

 不安定型は若年層(平均23歳)に多発する。

 主な訴えは疼痛で90%以上にみられる。
 
 安静時痛よりむしろ外転・外旋位の運動時痛を訴える。

 圧痛は90%以上にあり、腱板疎部の著明な圧痛であるが、その部位は烏口突起の一横指外側にある。

 この他の訴えには、

 肩のだるさや肩から上肢にかけてのしびれ感など肩の不安定性に起因する訴えが多い。

 他覚的には肩関節の下方へのゆるみすなわちlooseningが80%に認められる。

 loosening slipping現象は肩関節の内旋位のみにみられ、外旋位では消失する。

2. 拘縮型

 拘縮型は主として年齢層が比較的高い(平均35歳)、

 肩関節の挙上、外旋の可動域制限と運動時に疼痛が主訴となっている。

 などが特徴的であるとされています。


いかがでしょうか?

腱板疎部はこのように拘縮と不安定という相反する病態をおこす部位です。

理由は今まで解剖学的にも述べています。


このように腱板疎部の損傷は腱板周囲の組織つまり肩甲下筋や棘上筋の不均衡のみならず、
鳥口上腕靭帯を含めた関節包や関節上靭帯や滑液包炎あるいは上腕頭筋長頭などに影響を与え、

腱板の血行障害や加齢による変化あるいは関節包内圧の変化なども加わり、

不安定肩(loose shoulder)や50肩・40肩に代表される凍結肩(frozen shoulder)にいたり、

肩甲帯の機能不全にも影響を与え様々な肩関節周囲の疾患に発展することは想像される。


ちなみに肩関節の第一人者と言われる信原氏の肩関節周囲炎の分類と頻度では

 1)烏口突起炎(5%)
 2)上腕二頭筋腱炎(12%)
 3)肩峰下滑液包炎(2%)
 4)変性性腱板炎(外傷性腱板炎・腱板不全断裂)(41%)
 5)石灰沈着性腱板炎(4%)
 6)臼蓋上腕靭帯障害(不安定肩関節症)(3%)
 7)いわゆる「五十肩」(疼痛性関節制動症)(25%)
 8)肩関節拘縮(外傷後など)(8%)
となっています。

本当にこの腱板疎部周囲は非常に臨床に重要です。

 

touyou8syok9 at 20:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節 | 腱板疎部

2010年12月09日

肩関節(54)

肩関節

腱板疎部

○腱板疎部の周囲の滑液包

 肩関節における三大滑液包が存在しています。

 肩甲下滑液包、上腕二頭筋腱滑液包、肩甲下滑液包の三つの滑液包です。

 肩甲上腕関節の関節包と交通している滑液包には、

 上腕二頭筋腱滑液包と肩甲下滑液包との二つが存在しています。

 
1、上腕二頭筋長頭腱滑液包

 結節間溝滑液包鞘を通じて直接関節腔とつながっています。

 上腕二頭筋長頭腱が結節間溝を通る部分を鞘状に包んでいる。

 この結節間溝では、棘上筋と肩甲下筋の線維が結合していると報告されている。

 また滑液鞘は結節間溝の下端で閉鎖性に終って二頭筋腱の表面に移って終わる。

2、肩甲下滑液包
 
 烏口突起の基部で肩甲下筋の腱の下にあり、上・中関節上腕靭帯の間にある

 Weitbrecht孔を介して関節包と交通しています。


もうひとつ臨床で問題になるのが、

3、肩峰下滑液包です。

 肩峰下滑液包の上面の一部は、三角筋下面の筋膜、肩峰下面、烏口肩峰靭帯、

 肩鎖関節下面の関節包と一体になっています。

 そして、肩峰下滑液包の下面の一部は、腱板表層に密着し一体となっています。

 肩峰下滑液包、三角筋下滑液包、鳥口下滑液包(個々の滑液包か一つの滑液包かの定説はない)が、

 腱板と肩峰ー三角筋アーチの狭い空間に滑液包が十分に広がることは、肩の機能関節としての
 重要な第2肩関節の動きを滑らかにすることになる。


肩峰下滑液包における肩の第二関節としての動き

 肩関節外転挙上時(三角筋および腱板収縮時)には、

 肩峰下滑液包はその包の形のまま肩峰下を移動するのではなく、
 肩峰下滑液包の上面と下面の線維性結合部を中心キャタピラを転がすように滑動し、
 肩峰下滑液包の前面と後面は三角筋の前と後方の線維によって肩峰の下に
 折り畳まれる様に引き込まれる。

 肩甲上腕関節の運動が円滑に行われるには肩峰下滑液包の機能は重要です。
 
 肩峰下滑液包の肥厚や内腔縮小などの障害は、

 可動域低下と密接に関係し、弾発肩の弾発音やインピンジメントなどの原因となっています。


回旋筋である肩甲下筋の説明から、腱板疎部のお話になり思わぬ方向に移りました。

それは、

腱板疎部が棘上筋と肩甲下筋との間の薄い膜様の構造である解剖学的弱点であり

腱板の上には烏口上腕靭帯が存在し、烏口上腕靭帯が烏口突起から腱板疎部を通り

大結節及び小結節に付着しており、その付着部は棘上筋を取り囲むように付着して

腱板と関節包の間にまで線維を伸展させ、棘上筋前縁と滑液包面を補強しています。


加えて腱板の下には、上腕二頭筋長頭腱が存在し結節間溝においては棘上筋と肩甲下筋の

線維が結合してます。


そして、腱板疎部周囲には肩甲上腕関節にの運動に重要な役目を果たしている

滑液包まで話が進んで行きました。


この腱板疎部周囲の解剖や機能を十分に知ることは、肩関節の臨床においては

非常に重要なことだと思っています。

もうすこし続けます。




touyou8syok9 at 21:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節 | 腱板疎部

2010年12月06日

肩関節(53)

肩関節

腱板疎部における注目すべき機能

○上腕二頭筋長頭

 上腕二頭筋は上腕の筋としてポパイの力コブの筋肉である屈筋として有名ですね。
 
 すでに述べたように、

 上腕二頭筋長頭は肩甲骨関節結節、上方関節唇を起始として、

 関節包内で鳥口上腕靭帯の下方で棘上筋と肩甲下筋の間である腱板疎部を走行し、

 上腕骨の結節間溝中に入り結節間滑液鞘に包まれ関節腔を出て筋腹に移行します。

 一方の短頭は、肩甲骨の鳥口突起からおこり下方に走り筋腹に移行し、

 長頭・短頭が合して、紡錘形の筋腹をなし、強い腱となって前腕の橈骨粗面に付着します。

長頭は前腕を外転し、短頭は前腕を内転します。
この筋が全体として働くときは、前腕を屈曲しかつ回外します。
 
非常に大きく力もあり、簡単に表層から触れることができるのでアウターマッスルのように見える筋肉です。


しかし、腱板疎部周囲における上腕二頭筋長頭はインナーマッスルとして作用します

上腕二頭筋長頭の機能

 ○上腕二頭筋長頭腱は結節間溝に位置するために、上腕頭を内旋時、外旋時にも安定させ、

  挙上時にも上腕骨頭の上方への移動も防ぐ役目を持っています。

 ○棘上筋腱と肩甲下筋腱の腱板による支持の不足している(関節包の上関節上腕靭帯を含めて)
  腱板疎部という弱点部を補強している。

  いいかえれば、

  上腕二頭筋長頭筋腱は鳥口上腕靭帯、前・下方から上関節上腕靭帯によって包みこまれている。

 ○上腕二頭筋長頭腱は、肩甲上腕関節の外旋位、内転位で結節間溝内を近位に滑走する。

  結局、長頭筋の緊張は高くなる

  また、内旋位、外転位では遠位に滑走するので緊張は低下する。

  上腕二頭筋腱は外旋、内転方向において緊張する。

  長頭筋腱による骨頭の安定化は肩関節外旋位で最も効果が高まる。

 この長頭筋腱の緊張は上腕骨頭の求心性を高めている。

 ○上腕二頭筋長頭腱は、上方関節唇を持ち上げることで、骨頭の上方移動を抑え、

  安定化を高めている。


上腕骨頭が肩甲骨関節窩における回転の軌跡が破綻すると、

上腕二頭筋腱長頭の不安定性や亜脱臼が生じ、炎症が起こる可能性が十分考えられる。


また、上腕二頭筋長頭による強力な牽引力や骨頭による剪断力によって、肩上方関節唇損傷

(SLAP lesion superior labrom anterior to posterior lesion)は有名です。

ヤーガソンテスト(Yergason test)も有名です。


このような結果、

上腕二頭筋長頭腱の安定性と腱板疎部の機能不全は密接にかかわるとされています。




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2010年12月02日

肩関節(52)

肩関節

腱板疎部における注目すべき機能

○鳥口上腕靭帯

 肩甲上腕関節の上腕の下垂位の外旋、伸展制限として働いている。
 
 下垂位外旋で強く緊張する。
 腱板疎部は前後方向で狭くなり、骨頭の安定化に役立つ。

 反対の内旋では鳥口上腕靭帯は弛緩する。
 腱板疎部は前後に拡大する。

これらの性質を利用した理学的検査があります。

 肩関節不安定テスト

 内旋により腱板疎部および鳥口上腕靭帯が弛緩
 肩内旋位下方牽引を加えると骨頭の下方への不安定性が出現
 しかし、
 肩外旋位では腱板疎および鳥口靭帯が緊張し下方不安定性は現れない。

 もし、
 下方不安定肩において、外旋位に不安定性をしめすSulcus sign(サルカスサイン)が
 見られる場合は鳥口上腕靭帯を含めた前上方組織の弛緩を疑う

  ※Sulcus sign(サルカスサイン)
    肩関節を下垂位にして、上腕を把握し下方へ牽引を加える。
    この時に肩峰と上腕骨頭の間に陥没を認めると陽性とする。
    肩関節内旋位、中間位、外旋位の3種類の肢位で比較する。

このように

腱板疎部を構成している鳥口上腕靭帯は、鳥口突起から上腕骨に付着する唯一の靭帯であり、
肩甲上腕関節の求心性の安定化および運動制限に関わっている。

肩の関節上腕靭帯が関節包と一体化して、肩甲上腕関節を安定させ、および運動制限に関わる靭帯であるならば、

この鳥口上腕靭帯も求心性による安定化および運動制限因子として重要な機能を持つ。

そして烏口突起上腕靭帯の下層には棘上筋腱部が重なるようにひっついており、

肩甲下筋腱との間には関節包・滑膜が介在している。

この構造が機能的には棘上筋腱と肩甲下筋腱の走行の作用の違いを緩衡して、

上肢挙上・回旋運動を円滑にしていると考えられている。


次回は腱板疎部の上腕二頭筋長頭





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