2011年05月

2011年05月26日

肩関節(87)

肩関節

臨床では忘れられてしまった腹部の筋。

背部の筋は、一方では臨床では非常に利用されています。


浅背筋義悄Ν響悗麟腕筋は上肢との関係では必須の筋です。

深背筋の棘肋筋と棘背筋(固有背筋)は肋骨あるいは頭部・脊椎の運動筋として

屈曲・伸展・側屈・回旋などのとしても一般に良く知られています。

肩関節、腰関節をはじめとして各種の関節の疾患において、多いに利用されています。

腹部の筋といえば、腹直筋が一般的に知られているにすぎません。

最近ではインナーマッスルとして腸腰筋のエクササイズと同様にヨガやピラティス等で

腹筋の一部である腹横筋あるいは内・外腹斜筋などのエクササイズも知られています。

あくまでエクササイズとして利用されているにすぎない感があります。

まさしく「焼けつくすまでやろうとする仲間」によって過剰運動させられたり、

またセラピストによって十分治療をしてもらえなかったりする。・・・・と言い当て妙ですね。


腹筋の働きといえば、

体幹の屈曲、側屈、回旋
体幹の側屈、脊椎と胸郭の回旋
体幹の屈曲、あるいは腹腔の圧縮→呼吸に関連

したがって腰痛には腹筋を鍛える?と短絡的な発想になるのでしょうか?

まして、腹筋と上肢との運動の関連などなど思いもよりません。


あまり面白くないかもしれませんが、解剖学の腹筋を少し観察してみます。

まず腹筋と言えば腹直筋、外・内腹斜筋、腹横筋の4種類が思い浮かびます。

解剖学で腹筋といえば腹部の筋になります。


腹部の筋は、

肋骨弓および第12肋骨下縁と骨盤上縁との間を張り、

前腹筋は長く、広く全体として腹腔の前壁および側壁をつくり、

後腹筋は短く厚くて腹腔の後壁を作る。


○前腹筋

1、縦走筋

<腹直筋>

 起始:第5〜7肋軟骨、剣状突起、肋剣靭帯からおこり、下方に向かって白線の両側を走る。
 停止:恥骨結合の前面、恥骨結節の上縁

<錐体筋>
小さな三角形の扁平筋で、腹直筋鞘の前葉に被われて、腹直筋下端の前面にある。

 起始:恥骨の上縁からおこり次第に細くなる。
 停止:腹直筋鞘、白線の下端

2、斜走筋

<外腹斜筋> 斜走筋のうち、最も外層

 起始:第5〜12肋骨の外面から起こり、筋束はほとんど並行して斜めに前下方に走り、
    腹直筋の外側縁に近いところで腱膜に移行する。
 停止:腸骨稜の外唇の前半、鼠径靭帯、白線
   
 鼠径靭帯:外腹斜筋腱膜の下方における腱弓と見るべきもので、上前腸骨棘と恥骨結合との間に
      張り、皮膚上から容易に触れることができる。

 腰三角:広背筋の外側縁、外腹斜筋の後縁および腸骨稜の間の三角形の間隙は
     表在性の筋を欠き、脂肪組織に満たされる。
     この組織を腰三角と呼び、その底は胸腰筋膜および内腹斜筋によってつくられ、
      ヘルニア開口部の一つ。(腰ヘルニア)

<内腹斜筋>内腹斜筋のほとんどは外腹斜筋に被われ、筋線維は外腹斜筋と逆に走る。

 起始:鼠径靭帯、腸骨稜の中間線、胸腰筋膜の深葉から起こり、前方に向かて扇状に広がる。
    その大部分は下外側方から内側上方に向かい、腹直筋鞘外側縁の近くで腱膜となり、
    2枚に分かれて腹直筋鞘の前・後葉に入る。
 停止:下位3肋骨の下縁、腹直筋鞘、白線

 精巣挙筋:内腹斜筋の一部で、男では精索
 弓状線:内腹斜筋の腱膜のうち、その後葉が臍の下約5センチのところで
     下方に囲む線をもって終わったところ。
    
<腹横筋> 内腹斜筋に被われ、最も深い層をなす。

 起始:第6〜12肋軟骨の内面、胸腰筋膜、腸骨稜の内唇、鼠径靭帯の外側部から起こり、
    筋束は前方に横走する。
 停止:外側に向かって凸弓形線をなす半月線を境として、腱膜に移行し、腹直筋鞘に付く。

 ※半月線・・・腹横筋線維が腹直筋鞘外側縁で内側方に向かって腱膜に移行する
        凹状境界線であり、鼠径靭帯から胸骨に達する腱膜は弓状線より
        上方では腹直筋の後葉に、それより下方ではその前葉にうつる。


3、腹筋の腱膜
  
<白線>

<腹直筋鞘>
 
4、腹筋膜
   
<浅腹筋膜>
   
<横筋筋膜(旧名:腹横筋膜)>

この・3の腹筋腱膜、4の腹筋膜が腹部の筋の特長的です。

通常の筋とは違っていますね。

しかもこれらすべてが前腹筋として働いています。


○後腹筋

1、腰方形筋

恥ずかしながら、私は腰方形筋を腰部の筋と思っていました。

解剖学では、腹部の筋に分類されています。
 
腰椎の両側で胸腰筋膜の前にあり、長方形をなす。筋束は多様に錯走する。

 起始:その前部は下位3〜4腰椎の肋骨軟骨から起こり上外側方に向かい、
    後部は 腸骨稜および腸腰靭帯から起こり上内方に向かう。
 停止:前部は第12肋骨の下縁、後部は上位3〜4の肋骨突起および第12肋骨。


前腹筋および後腹筋の作用は、

各筋の各筋線維に起始停止に違いがあるので運動方向はに相違がありますが、

胸郭の運動脊柱の運動、骨盤の運動に関与し腹圧を高めるために働いています。


○尾骨の筋
 仙骨尖と尾骨の間にある小さな筋

1、前仙尾筋
2、後仙尾筋
3、尾骨筋

以上に分けられています。


今回は腹部の筋の一部であるあ3の腹筋の腱膜の白線および腹直筋鞘、
 
4の腹筋膜の浅腹筋膜および横筋筋膜(旧名:腹横筋膜)の記述をあえて省きました。


前腹筋および後腹筋の記述のなかで、なにか気づかれませんでした?

大胸筋腹部線維の停止部は腹直筋鞘でした。

前腹筋の斜走筋の起始停止部をもう一度観察してください。

腹直筋はおおむね通常の筋の起始と停止になっていますが、

斜走筋は起始・停止が筋膜であったり、腹直筋を鞘状に包んでいる腱あるいは腱膜であったりしています。

大胸筋の鎖骨部線維・胸肋部線維もこれらの筋膜と関係しています。

腰方形筋は直接腰椎に付着しています。

また胸腰筋膜という筋膜と関係しているのは明らかです。

腹筋の腱膜。筋膜、それらがつながっている筋膜などがポイントになると思っています。



touyou8syok9 at 20:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節 

2011年05月19日

肩関節(86)

肩関節

○大胸筋について

 肩関節の障害にて大胸筋の緊張、短縮に問題アリと考察した場合には、

 必ずと言っていいほど治療が必要な筋肉とは?

それは腹直筋です。


大胸筋が仮に正常だと仮定しても・・・・・・・

腹直筋が短縮していたらどうでしょう?


○大胸筋の腹部線維は、腹直筋鞘最上部の前葉より上腕骨大結節稜につきます。

 単純に考えても、もし腹直筋短縮していれば、モロに大胸筋腹部線維に影響を与えます。

 その結果、

 肩関節の外転あるいは屈曲運動の可動域の制限が発生します。

 これは、背部において、広背筋が短縮していれば、肩の外転、屈曲の制限因子となるのと同じです


その他の大胸筋の

○大胸筋鎖骨部線維は、鎖骨内側2分の1前面から上腕骨大結節稜につく。

○大胸筋胸肋部線維は、胸骨膜、第2〜6肋軟骨から上腕骨大結節陵につく。

となっています。

腹直筋の影響は無いのでしょうか?

腹部線維との関連性として関節的に影響があるのは当然ですが、それだけでしょうか?

腹直筋と大胸筋鎖骨部線維と胸肋部線維は直接的には影響が無いのでしょうか?

<解剖学において>

腹直筋

 起始:第5〜7肋軟骨、剣状突起、肋剣靭帯からおこり、下方に向かって白線の両側を走る。

 停止:恥骨結合の前面、恥骨結節の上縁

 作用:胸郭の前壁を引き下げる、胸郭を固定すると、骨盤の前部を引き上げ同時に    脊柱を前方に曲げて腹圧を加えることとなる。

これだけでは、臨床に何の役にも立ちませんね。


<ちなみにアナトミー・トレインにおいては>

 腹直筋は第5肋骨に強固に付着しているが、その筋膜は、胸骨筋および胸肋関節上の筋膜に続く。

 第5肋骨からは、胸骨筋あるいは周辺の筋膜を経て同じ方向につづけることができる。

 そして胸筋筋膜の下で、胸骨外側縁の胸肋関節と同じ角度で肋骨縁を上行する。

と説明されております。

これを読むと確かに大胸筋の鎖骨部線維・胸肋部線維と関連する可能性は大きくなります。

ただし、解剖学において胸骨筋は、日本人では約10%程度にしかみられないので、

変異筋とされています。

あっても無くても良い筋肉?とされております。だから無視してもかまわない?

しかし、

胸骨筋を(筋線維の走行は異なるが)大胸筋と腹直筋の重なる筋連結の一部と考えれば

臨床上、大胸筋と腹直筋との関係は重要だと思っています。


この本では、さらにかわいそうな腹直筋。・・・と述べられ、

 「焼けつくすまでやろうとする仲間」によって過剰運動させられたり、

 またセラピストによって十分治療をしてもらえなかったりする。・・・・・・と


知っているようで知らない腹直筋

腰痛の原因は、腹筋が弱いから??????

腹筋を鍛えなさい!!など・・・・・・良く聞きます。

本当でしょうか?

肩関節の大胸筋のお話から腹筋の話になりましたが、もう少し述べてみます。

腹直筋の浅葉が肩関節、後葉が腰痛の臨床のポイントになる。・・・と思っています

私もまだまだ理解不足なのですが、

臨床では忘れてはいけない基本的なポイントになるのは確かなようです。



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touyou8syok9 at 21:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節 

2011年05月12日

肩関節(85)

肩関節

小胸筋と腱板について述べましたので今回は、再び大胸筋についてもう少し考察してみます。

○大胸筋

胸部の筋肉です。

解剖学では両方の筋は胸腕筋とされ、胸郭の外面に位置し、胸郭から上肢帯または

上腕骨に付く筋として上肢の運動をつかさどる。

小胸筋も胸部の筋です。

インナーマッスルが小胸筋。

アウターマッスルが大胸筋。胸板ムキムキマンの筋肉ですね。

肩の筋の役割としては肩甲上腕筋としても分類されています。

大胸筋の筋肉は三つの線維束に分かれています。


肩甲上腕関節の屈曲には鎖骨部線維が関与します。

その他の線維束は主に肩関節の回旋筋として働きます。


大胸筋と拮抗している筋肉は肩甲下筋です。

したがって肩甲下筋は、回旋筋腱板としての肩関節の安定筋であり、肩関節の運動の際に

大胸筋の固定筋としても重要だということも述べました。

さてこの大胸筋は大きな筋で強力なパワーを持っている筋ですね。


大胸筋の各線維の役割をもう一度述べますと、

1、大胸筋鎖骨部線維:鎖骨内側2分の1前面から上腕骨大結節稜につく。
  
  肩関節の下垂位→屈曲と内旋
  90度屈曲位→水平屈曲
  90度外転位→水平屈曲

2、大胸筋胸肋部線維:胸骨膜、第2〜6肋軟骨から上腕骨大結節陵につく。

  肩関節の下垂位→内旋
  90度屈曲位→伸展・内転・内旋
  90度外転位→内転・内旋

3、大胸筋腹部線維:腹直筋鞘最上部の前葉より上腕骨大結節稜につく。
 
  肩関節の下垂位→機能しない。
  90度屈曲位→伸展
  90度外転位→内転、内旋

一見ややこしそうですが、各線維の走行を考えればそれほど難しくないです。

ただこのように、大胸筋の起始部が鎖骨から腹部まで非常に幅広いく、

停止部が大結節稜に集中しているので、肢位によって各線維の機能が変化します。

大胸筋で臨床で多くみられるのが、肉離れ(挫傷)ですね。

大きな力を発揮されるために多く診られます。

軽傷が多くみられ、中等度もまれに診ることがあります。

筋断裂があれば重傷とされていますが、重症の場合はスポーツ選手などの場合は手術が実施されるようです。
(大きな病院の外来ではあるのでしょうが、私はまだ診たことがありません。)

どちらにしても大胸筋の臨床で問題になるのは瘢痕化による筋の短縮による肩関節の
拘縮です

あるいは、姿勢などによって筋緊張や筋短縮が問題になるようです。

大胸筋はもともとパワーのある筋ですので筋力低下による機能不全による肩関節の障害は非常に少ない。・・と思っています。


反対に乳がんの手術後における肩関節の疼痛および拘縮例は多く診ます。

また筋力が強く強大なために、回旋筋腱板を傷つけたり、その他の筋のアンバランスのため様々な障害を引き起こす場合が多いとされています。


以前このブログでは、

大胸筋は重要な筋肉ではありますが、一般の人にとって、あるいは肩関節にとって

それほどガンガンと鍛える必要はあるかどうか?

起始・停止をみればむしろ呼吸の補助筋としての方が重要と思ったり?します。

あるいは、肩関節あるいは呼吸筋としても筋短縮した状態のほうが危険かな?
・・・・と以前このブログでも述べている理由です。


確かにこの筋肉を普通は鍛える必要はあまりなく、むしろ筋緊張・筋短縮に注意すべき筋でしょう。

また、姿勢筋としても短縮し易い筋であるために肩関節の機能障害を引き起こす。


しかし、

実際の肩関節の臨床で大胸筋の短縮のみの改善を考えてもあまり効果がない場合に遭遇します。(私だけだろうか?)

なぜだか最初はわかりませんでした。

なぜでしょう?

もう一度大胸筋の起始停止を観察してください。

大きな筋なのに治療をしないで忘れている筋はありませんか?

直接、肩甲骨や上腕骨に付着していませんので見逃してしまいます。



touyou8syok9 at 20:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 肩関節