2012年06月

2012年06月28日

膝関節(43)

大腿四頭筋とハムストリング

遠心性(伸張性)収縮:筋長が長くなりながらの筋収縮する。

求心性(短縮性)収縮:筋長が短くなりながら筋収縮する。

求心性収縮は、正の仕事とも呼ばれ、抵抗負荷に打ち勝つ仕事。


よくたとえられるのが、肘関節の屈曲・伸展の上腕二頭筋と上腕三頭筋の例です。

 重〜いダンベルを持ってゆっくりと身体に近づけていく時(肘の屈曲時)、

  上腕二頭筋は求心性収縮をしており、

  上腕三頭筋は二頭筋をコントロールしながら遠位性収縮をしています。

 逆に身体からゆっくりと遠ざけていく時(肘の伸展時)、

  上腕三頭筋は求心性し収縮しており、

  上腕二頭筋は遠心性収縮をしながら三頭筋をコントロールしています。

開放性運動連鎖においてもこのように負荷をかけながらゆっくりと運動すれば、

肘関節における求心性収縮、遠心性収縮を感じ取ることができると思います。


そして従来は求心性収縮における筋力訓練が重要視されていた傾向があります。


一方の遠心性収縮は、負の仕事とも呼ばれ、

運動の減速時や着地時の衝撃を吸収し衝撃緩衝作用としての役をしています。

遠心性収縮は、筋の伸張に伴う弾性エネルギーを貯え、

かつ伸張反射による筋の活性化も関与するために、引き続く求心性収縮率を高めます。

このために、生体の機能的動作時などでは、

実はこの遠心性収縮相での筋作用が中心となっている場合が多い。

したがって最近は、臨床的にも遠心性収縮の筋力訓練に関心がもたれつつある。

このように遠心性収縮と求心性収縮は、拮抗筋と主導筋の共同収縮過程や、

一連の動作の中で特定筋の連続した相互収縮過程として使用されています。

たとえば歩行の際、大腿四頭筋は、立脚前半に遠心性収縮により衝撃緩衝として働き、

ハムストリングは、主に遊脚期後半から立脚期初期にかけて遠心性収縮により、減速として働く。

また、階段昇る時の前足は大腿四頭筋の求心性収縮であり、

下り時の後ろ足は大腿四頭筋の遠心性収縮である。
 
日常の大部分がこの遠心性収縮と求心性収縮の組み合わせによって成り立ち、

運動過程にある膝の安定性と運動の繰り返しを行っているとされています。

前回述べたスプリンターの例はこの伸長ー短縮回路の典型的な例です。

このように毎日行っている歩行という日常動作においても行われているのです。


加えて最近では、

閉鎖性運動連鎖における筋と神経の協調による身体反応の訓練が重要視されている。

実際のところこの閉鎖性運動連鎖における訓練は重要だということは理解できるのですが、

説明はもっと先に延ばしたいと思っています。

とにかく、膝関節は地に足が着いた訓練が重要だと思っています。

私自身がもっと理解を深めてから述べようと思っています。

そろそろ次の項目に移ります。



touyou8syok9 at 20:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 

2012年06月21日

膝関節(42)

大腿四頭筋とハムストリング


私たちが膝関節の運動を考える際に注意すべきことは、

膝関節を膝関節の単体として考えることが多い。

大腿四頭筋は膝関節の伸筋・ハムストリングは屈筋として考えると

これは単純だし非常に理解しやすいためもあるのだが、

しかし、実際は膝関節には多くの関節や筋と結びついている。・・・・(なにも膝に限らないが)

しかも、二本足動物の人間は、自己の荷重+重力という荷重位という、

足が地面に接し多状態の中で膝の活動が営まれています。

つまり閉鎖運動連鎖ではハムストリングが伸筋として作用しているという事実を知ることは、

臨床では重要とされています。


一般には解放運動連鎖での訓練・・・・・求心性筋力の訓練が多く知られているのですが、

膝関節の代表的な筋である大腿四頭筋とハムストリングを例として

閉鎖性運動連鎖の訓練として遠心性筋力の訓練は忘れがちであるが、

非常に重要であると確認してほしかった。


今回もひつこいようですがもう少しお付き合いお願いします。


ハムストリングが膝伸筋として最もよく理解できるのがスプリンターの蹴りだし期です。

スプリンターがスタートする際、

スタート直前は、膝屈曲しハムストリングは弛緩した状態です。

用意の合図で、

大腿四頭筋が緊張して膝関節が伸展するためハムストリングは伸長される。

その時に強い収縮力を発揮できる最適の状態になる。

また、下腿三頭筋も緊張する。

ドン!!のスタート時には、

大腿四頭筋、ハムストリング、下腿三頭筋、大殿筋などが強力に収縮して、

股関節・膝関節は伸展し足関節は底屈して、強力な瞬発力を地面に与えて走り出す。

このように

閉鎖性運動連鎖の中で、遠心性収縮に引き続いて求心性収縮が連続して素早く行われると

遠心性収縮相で蓄積されたエネルギーが、続く求心性収縮相で利用される。

これを伸長ー短縮回路と呼んでいます。(Komi PV)


この収縮の変換をスプリンターが駆け抜ける際のハムストリングは、次のように述べられています。

遊脚期後期から末期にかけて、

膝最終伸展位から経度屈曲の間では、遠心性収縮による減速が行われる。

引き続く立脚初期のために粘弾性エネルギーが蓄積される。

立脚相初期では、そのエネルギーを利用して、

求心性収縮による股関節伸展補助と膝伸展防止としして機能し、さらに前方推進力を提供する。

立脚期後期においては、

膝過伸展防止として働く。

立脚期末期である蹴り出し期まで大腿四頭筋を補助し、腓腹筋と共同して膝伸筋として活躍する。

となっています。


大腿四頭筋とハムストリングの伸長ー短縮回路による協調作用は、

何もスプリンターに限ったことではなく、日常においての動作においても見られる作用です。


touyou8syok9 at 20:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 

2012年06月14日

膝関節(41)

ハムストリング

前回のまとめ

ハムストリングは立脚期には膝関節の伸展作用を有している。

閉鎖運動連鎖におけるハムストリングは膝伸展作用を有しているという事実です。

立脚相が多いのだから閉鎖運動連鎖での訓練が重要。

ということでした。


もう少し詳しく興味のある重要な内容をお伝えします。

 Blaimont(1988)は膝屈曲60°までの直立体モデルにおいて

 足が地面に固定された立位での膝0〜60°屈曲位において、

 ハムストリングの膝関節伸展作用を強調しています。

 膝蓋骨は250〜280キロで骨折するが、

 膝45度屈曲位においてはおける膝蓋骨には、ハムストリングを考慮しない

 生体力学上の計算では400キロの力が加わるにもかかわらず骨折しない。

 これはハムストリングが同時収縮して膝蓋骨応力を均一化しているためである。

 以下が理由
 
 膝60°までの範囲はハムストリングのレバーアームは股関節で膝より長いため、

 ハムストリングの収縮によって、股関節(骨盤)は伸展(後傾)する。

 この時、骨盤の前面を垂直応力で固定すると膝の伸展作用が生じる。

 この前面の垂直固定分は大腿直筋が相当することとなる。

 更にしゃがみ込み動作時は、

 腓腹筋の作用も加わりより大腿部が後方に牽引されるため膝蓋骨の応力は減少する。

 逆に、

 ハムストリングの短縮や筋力低下は膝蓋骨の過度の負荷を生じさせることとなる。

 また、Viel、萩島(1985)は、大腿四頭筋のみでは膝関節の安定性は確保できないとし、

 立位時のハムストリングの重要性を強調しています。

 機能的立位荷重位では大腿骨に対して脛骨が動くのではなく、

 床に固定された脛骨上を大腿骨が移動しているので、

 筋訓練は実用性のない可動域での最大筋力を目指すのではなく、

 靭帯に働く強力な動的機能として期待すべきだと述べられております。


これらの内容は臨床的にすこぶる重要です。

膝関節筋のエクササイズとして閉鎖運動連鎖での訓練が重要な意味を持つことになります。


touyou8syok9 at 20:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 

2012年06月07日

膝関節(40)

ハムストリング

ハムストリングの主な作用は膝関節の屈筋です。(股関節の伸筋でもあります。)

一方、大腿四頭筋は膝関節の伸筋(股関節の屈筋でもあります。)

ハムストリングは膝関節において減速作用・衝撃吸収筋としての作用が重要であるとされています。

大腿四頭筋が膝関節のアクセルであり、抑制するのがハムストリングとされています。

両筋肉はこのように拮抗筋として知られており、

膝関節の基本的な機能は伸展機構であるので、ハムストリング筋群は減速筋として作用し、

たぶん運動固有感覚受容器になっている。

とも言い換えることができます。

しかしそれだけではありません。


ハムストリングは膝屈曲筋として作用するだけではなく、膝伸展筋としても作用しています。

ん???

ハムストリングにも膝伸展機能が存在する????

どういうことでしょう?


大腿四頭筋とハムストリングは筋の活動の基本は、

遊脚相から立脚相のへの変換期に働き、

遊脚相での下肢の振り子運動を減速して運動の向きをかえます。


特に、初期接地から足底接地に働き、立脚中期においては膝折れ防止に働き、立脚終期まで活動します。

遊脚初期から腸腰筋、大腿四頭筋が働き、

続いて遊脚相においては下肢の振り子運動を減速して遊脚期後半から接地期にかけては、

主にハムストリングスが活動する。

この事実は、歩行周期において、

大腿四頭筋は、膝関節に対して求心性収縮にて伸展作用に働き、屈曲時には

遠心性収縮収縮として働いていることとなる。

ハムストリングは膝屈曲位から伸展位に移行する際に非常に働いていることとなります。

その多くは遠心性収縮による筋作用


更に筋電図においてこの両筋肉を見てみますと、

大腿四頭筋は歩行周期全域に働いているのですが(四頭筋の各筋肉で違いがあるが)

ハムストリングの主な筋である大腿二頭筋においては、

大腿四頭筋の働きが終わるころ急速に働きだし、働きが終わると大腿四頭筋が緩やかに働く。

ハムストリングの主要な筋である大腿二頭筋は、立脚期全体に働いていいます。

特に足底接地から立脚中期に強く働いている。

この時期は、

膝関節の動きにおいては膝関節屈曲位から伸展位に移行する大部分を占めています。

また大腿二頭筋は両脚支持期の後半から前遊脚相において強く働き遊脚初期まで働いています。

この時期は

膝関節の動きにおいては屈曲位から伸展位に移行する最終段階になっています。

このように、筋電図においてハムストリングの主要筋肉である大腿二頭筋は、

明らかに膝関節の伸展作用に働いています。

そして注目すべき点は、足が接地している時期に大腿二頭筋は多く働いている

正常歩行周期においても60%を立脚相が占めており、(両足が床に接地している両脚支持期は25%)、

遊脚相は40%とされている。

そして歩行速度が増すにつれ遊脚相の時間が減少するとされています。


人は二本足で直立して生活している動物です。

荷重位(および重力という荷重の含む)、

足が地面に接した状態のなかで膝関節の活動は含まれているのです。

つまり、閉鎖性運動連鎖が重要になるのです。

オープンとクローズの関係ですね。

次回に、


touyou8syok9 at 21:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節