2013年01月

2013年01月31日

膝関節(70)

変形性膝関節症

老人の姿勢において、もう少し

立位での膝角度と変形性関節症との相関関係については以下のように述べられています。

 正常者では仙骨傾斜角度は36,9°、老人の平均は17、4°である。
 すなわち老人は骨盤を後傾している。
 この骨盤の後傾は下肢関節にて行われるが、体幹の前傾が強いほど
 股関節伸展による代償は少なくなり、膝関節屈曲による代償が増加する。

 立位膝角度は15°〜25°に集中し、25°以上は少ない。
 膝による代償は25〜30°が限界で、これを超えると手膝上型になる。

 手を膝意置いて歩く老人に、無理に手を放して歩かせるのは、大腿四頭筋の放電が増加し、
 四頭筋の疲労を覚える。

 このことから、手を膝に置いて歩く老人に対しては、無理に手を離して歩かせるのは意味がない。

 ここまでは、老人の姿勢としての前回のまとめです。

そして、
立位における膝関節と変形性膝関節症との相関性について以下のようにも述べられています。

 膝関節内側の骨棘と、膝角度との間には相関は無く、
 膝蓋骨の前上方の骨棘と膝角度との間には相関を認めた。
 つまり、膝蓋大腿関節変化と関係があるが、
 膝関節内側コンパーメントの変化はおこらないことがわかった。

膝関節の伸展力が低下し、膝関節が屈曲拘縮すれば大腿四頭筋の伸張性の低下なども
相まって膝蓋骨付着部や大腿骨と膝蓋骨の接触面も大きくなるので、骨棘の形成も容易になるため
膝角度との間に相関関係が生じることは理解できます。

一方では内側コンパーメントの変化は起こらない。とも述べられています。

あくまでも膝関節内側の骨棘と膝角度との相関性は無いということでしょう。

これらの老人の姿勢は著しく歩行の際に足部での重心移動の距離は少なくなります。

実際、高齢者では20%以下とされ80歳においては約11%しか移動していない。

しかも膝関節屈曲位という状態で歩行しますので、膝関節の運動はすでに不可能な状況です。

重心移動も少なくなり股関節でバランスをとり歩容の幅も少なくなることは容易に想像できます。

結果として、膝関節の動揺性や回旋運動は少なくなってしまいます。

したがって内側コンパーメントの変化は起こりにくい。・・・・・と理解しています。

老人の姿勢を起こしてしまうと内側コンパーメントの変化は起こりにくいのでしょう。

あくまで変化が起こりにくい。・・・と解釈しています。

そして老人の姿勢を起こすと膝蓋大腿関節変化が多く発症するも解釈できます。


膝関節は大腿脛骨関節(内側コンパーメント、外側コンパーメント)、膝蓋大腿関節に分類されており、

変形性膝関節症の罹患部位によって、内側型、外側型、膝蓋型に分類されています。

その中でも内側型変形性膝関節症の発症率が日本のみならず世界的にも高いとされています。


ちなみに変形性膝関節症におけるX線上の診断が臨床で最も多く用いられている

Kellgren-Lawrenceのグレードの分類では大腿膝蓋関節ではなく大腿ー脛骨関節のX線です。

そして一次性変形性膝関節症は約50〜60歳代で初発するとされています。

もう少し述べてみます。

touyou8syok9 at 21:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年01月24日

膝関節(69)

変形性膝関節症

今回も姿勢について

老人の姿勢について、

 腰椎椎間板変性が姿勢に重大な影響を及ぼしているという論文から抜粋してみます。


仲田らは、立位側面写真とX線像の脊椎変化により,以下の4群に分類を行っている。

1、伸展型(従来の平背,凹背)
   
  背部が一直線となり,後方へと反るもので,X線像では腰椎での椎間板変性が比較的多く見られる。

2、S字 型(従来の凹円背)
  
  胸椎の後弩と腰椎の前弩が正常より強調されるものである。
  X線像では胸椎圧迫骨折(Th8,Th9 Thl2)が主体であり,腰椎椎間板変性は少ない。

3、屈曲型(従来の円背,全後湾,亀背)

  背部全体が円背となり,頭部が前方へと出るもので、X線像では胸椎圧迫骨折に加え、
  腰椎椎間板変形も多く、腰痛をうたえる患者では比較的この型が多い。

4、手膝上型

  これは文字通り膝の上に置いたもので、X線像では胸椎圧迫骨折に加え、
  腰椎椎間板変性がさらに著しく、先の屈曲型と似たパターンを示す。
  腰椎椎間板変性はこの型が一番多い。

特徴

★伸展型、屈曲型、手膝型の3型は、胸椎圧迫骨折よりも腰椎椎間板変性が主である。

 お互いに類似しており、各型の間での移行を思わせている。

★S字型は胸椎圧迫骨折が主体という点で他の3型とは明らかに異なっている。

 S字型は、圧迫骨折により増加した胸椎の後弯を、正常な腰椎が前弯を増加させることにより
 S字状の脊柱を形成しているといえる。


通常腰椎椎間板変性がある場合腰椎の前弯を減少させる。

もし、代償運動がおこなければ、老人は屈曲型あるいは手膝上型姿勢になる。

多くの老人は、

1、脊柱をそのままで骨盤を後傾して立位を保つ。

  前弯はすでに減少しているために、脊柱はフラットバック(平背)になる。

2、骨盤を後傾しないで無理に脊柱を起こし立位を保つ。

 この場合は、背筋力が正常に働いているので正常姿勢を保つことができる。

 腰椎椎間板変性がありながら正常姿勢を保っている壮年期の人に多い。

3、2の人が背筋力が低下すると屈曲型あるいは手膝型となり、この姿勢を起こそうとすると、

 骨盤が後傾して伸展型となる。

 老人では背筋力が減少し、また背筋の萎縮をおこすことは証明されている。

以上のように、腰椎椎間板変性は、重大な姿勢変化をおこし、背筋力がそのカギを握っている。

壮年期で腰椎椎間板変性がみられた場合は、背筋のトレーニングにより将来の姿勢変化を
防ぐことができると思われる。

またすでに姿勢変化が起こってしまった場合でも、初期であれば背筋トレーニングにより
正常姿勢を保てる可能性がある。

脊椎圧迫骨折による姿勢変化は治療が不可能であるが、腰椎椎間板変性による姿勢変化は、
初期であれば矯正できる可能性がある。



骨盤の後傾は下肢関節によって行われるが、概して老人で体幹の前傾が強いほど

股関節伸展による代償は少なくなり、膝関節屈曲による代償が増加する。

さらに骨盤の後傾は股関節を伸展させ、その角度以上に膝関節を屈曲させ、

足関節の背屈位でバランスを保つ。

ただし、膝関節による代償は25〜30°が限界。

それをこえた老人は手を膝の上に置いて歩くとされている。

25°以上になると筋電図で大腿四頭筋の放電が著しく増加し、四頭筋の疲労を訴える。


詳細は、仲田和正:老人姿勢の研究・日整会誌62:1149−1161、1988
      仲田和正:高齢者の姿勢ーそのメカニズム。別冊整形外科12:1-6 1987


この論文は単に老人の姿勢のみならず、腰のコンパーメントや神経支配なども含め様々な下肢への
影響を与えるという多くの事実を示唆していると思われます。
臨床に大いに役立つと思います。 是非詳細をお読みください。





touyou8syok9 at 21:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年01月17日

膝関節(68)

変形性膝関節症

今回は、変形性膝関節症の危険因子として姿勢の加齢変化を述べてみます。

まず加齢によって姿勢はどのように変化するのでしょうか?

通常は脊柱後弯になり骨盤が後傾に変化していくとされています。

脊柱後弯姿勢は高齢者の約60%に認められる。
なかでも胸椎後弯角増大が最も多いとの報告があります。

原因として、

胸椎後弯角の増大は、加齢変化に伴う多発性椎間板変性と背筋の弱化、椎骨の変性変化、
および椎骨の骨粗鬆症に基づく椎体の圧潰などに起因しており、高齢者特有の姿勢としてとらえられています。

脊柱後弯が発生すると膝関節にはどのような影響をあたえるのか?

腰椎の変性後弯に伴い腰椎の前弯が減少すると、上半身の重心は前方に変位します。
前方に変位した重心の代償として骨盤を後傾にする必要が生じます。

特に、高齢者においては重心移動の際には、足関節による姿勢抑制の機能は衰え
股関節により姿勢抑制をするために骨盤の後傾にする必要性がより大きくなる。

そのために膝関節を屈曲位に保つ必要が生じます。(膝関節伸展力の低下がおこる)

(ちなみに足部での重心移動は若年者では約60%で重心移動を行うが、
高齢者においては、約20%以下で重心移動を行なっているとされています。)

結果

立位姿勢や歩行時においては常に膝関節が屈曲位になります。

長期に続けば膝関節の屈曲位拘縮すなわち膝関節の伸展力が低下し
膝蓋大腿関節の障害や内反変形を加速させることとなる。

変形性膝関節症が進行していくこととなります。


姿勢分類には,Staffelの分類(前回述べた4種類、その他)や
Wilesの分類(平背、凹背、円背、凹円背)が用いられているようです。

そしてこれらの姿勢は腰痛症の原因として、広く良く知られています。

姿勢はこのように腰椎関節にはもちろんですが膝関節のどちらにも影響を与えるのです。


ここで、少し疑問が生じますね。

つまり、変形性膝関節症は、

1、脊柱後弯→腰椎の変化あるいは腰痛症(腰椎の前弯の減少)による姿勢の変化がおこる。

  →膝関節屈曲位拘縮(膝関節機能の低下により疼痛などがおこり)→変形性膝関節症

2、膝関節の変化(疼痛などにより膝関節屈曲位拘縮がおこり機能低下)→脊柱後弯

  → 腰椎の変化(腰椎の前弯の減少)→変形性膝関節症

一体どちらでしょう?

どちらにも影響し関連性があることは間違いない事実なのですが、

非常に興味のある論文を一部抜粋して紹介してみます。

 男女とも円背・膝屈曲拘縮・膝伸展筋力低下は、膝OA との関係を認め、膝OA の関連因子で
 あることが示唆された。

 円背・膝屈曲拘縮・膝伸展筋力低下の各々の関係で、女性では膝OA の有無に関係なく
 すべてにおいて関連を認めた。

 このことから男性では、膝屈曲拘縮や膝伸展筋力低下は円背との関係より膝OA との関係の
 影響が大きいことが考えられた

 非OA 群で膝屈曲拘縮なしの対象では女性のみ円背と膝伸展筋力低下の関連を認め、
 膝伸展筋力低下への影響は、男性では円背より膝屈曲拘縮の要素が大きく、
 女性では膝屈曲拘縮より円背の要素が大きいことが考えられた。
 
 すなわち膝伸展筋力低下は、男性では膝関節機能の影響が主であり、
 一方女性では膝関節機能以外の因子として円背が挙げられ、骨盤後傾との関係から
 体幹や骨盤周囲機能の関与が考えられた。

 そのため女性では、膝機能の改善だけでなく全身的な姿勢調整も重要であることが示唆された

結論

 1.円背と膝伸展筋力低下の関係、およびこれらと膝OA との関連を男女別に検討した。

 2.膝伸展筋力低下に影響する因子について、
   男性では膝機能が主で、女性は膝機能以外に円背が関連することを認めた。

 3.膝OA 患者に対し、理学療法を行う上で特に女性では、
   膝機能の改善だけでなく全身的な姿勢調節も考慮することが重要であると確認された。

文献詳細は、「変形性膝関節症における円背姿勢と膝伸展筋力の関連に関する疫学調査」
      (厚生連医誌第20巻1号37〜42 2011)

※OA:変形性関節症  膝OA:変形性膝関節症

これらの研究論文は、変形性膝関節症の危険因子としての女性とも関連していますね。



touyou8syok9 at 20:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年01月10日

膝関節(67)

変形性膝関節

一次性変形性膝関節症の危険因子としてO脚、X脚、偏平足などがあげられています。

このように下肢のアライメントが重要視されているようですが、アライメントという意味では、

姿勢(骨盤・脊柱)からも下肢に機能的な影響を与えます。

代表的な基本姿勢には以下の4つがあります。

1、フラットバック姿勢

 骨盤が軽度に前方変位して骨盤が後方回旋(後傾)している。

 腰椎の前弯が減少し、骨盤が後傾しています。

 各胸椎部の屈曲が減少し、胸椎後弯は減少して、胸椎が真っ直ぐになる。

2、スウェイバック姿勢・・日本人に多いとされているが。

 骨盤が重度に前方変位して後方回旋変位(後傾)を起こしている。

 胸椎が後弯し、腰椎はやや前弯かフラット、骨盤は後傾し、前方へ移動します。

 骨盤だけが前に飛び出した「く」の字のように見える。

 一見すると次の腰椎前弯亢進&胸椎後弯更新姿勢と間違いやすい。

 骨盤が後傾していることに注意。

3、腰椎前弯亢進&胸椎後弯更新姿勢

 骨盤の前方変位の代償として起こるとされています。
 
 骨盤が前方回旋変位(前傾)している。

 この姿勢は骨盤前傾、股関節屈筋群の短縮により過度の腰椎前弯をおこす。

 上部〜中部の胸椎が部分的な屈曲変位をおこし、全体として後弯亢進となる。

4、円背

 背中が曲がって頭部が前方に出る。

 骨盤後方に移動し、骨盤が前方回旋(前傾)ならびに腰椎の前弯が減少の代償として

 起こることが多い。



これらの姿勢が下肢の機能にどのように影響するのでしょうか?

○骨盤が前方に移動し骨盤が後方回旋(後傾)しているタイプ

  骨盤の前方移動の程度によって胸椎の代償変位の大きさが異なる。

  スウエイバック姿勢では重度の前方移動により胸郭は後方回旋する。

  フラットバック姿勢では軽度の骨盤の前方移動では、胸郭は上方移動を起こし、

  腰椎は真っ直ぐに見える。

  両姿勢において大転子は前方に移動しているため垂直線は膝関節の後方を通る。

  垂直線は外耳孔→肩の中心→大転子→膝のやや前方→外果のやや前方が理想


○骨盤が前方移動し骨盤が前方回旋(前傾)しているタイプ

  腰椎前弯亢進&胸椎後弯更新姿勢では、骨盤が前方回旋しているため腰椎は前弯亢進をおこし、

  代償運動として胸椎後弯亢進が起こる。

  大転子が軽度前方に移動し、重力線は膝の後方を通過する。


○骨盤後方移動し骨盤が前方回旋(前傾)しているタイプ

 胸部の屈曲代償運動を伴い円背姿勢になります。

 大転子は後方に移動している。

 重力線は膝関節の膝蓋骨の前方を通過する。


このように姿勢の変化は明らかに下肢に機能的な影響を与えます。


そして一次性変形性膝関節症の危険因子として加齢があげられています。

一次性変形性膝関節症は約50〜60歳代で初発するとされています。

加齢による姿勢の変化も見逃せません。

高齢者の姿勢はどのようになっているのでしょうか?



 


touyou8syok9 at 21:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症