2013年10月

2013年10月31日

膝関節(108)

変形性膝関節症

拘縮そのものについては、もっと述べたいのですが、またの機会に、

関節可動域制限を起こしてしまうと、変形性でなくても回復には時間と労力が必要です。

拘縮(関節可動域制限が固定化)すると関節変形の進行のスピードも加速します。

従って、拘縮には予防が一番大切です。

予防には拘縮の促進因子をできるだけ少なくすることが重要とされています。

一般に以下の点に留意することが必要である。

症状において留意するポイントは3点

1、浮腫のコントロール

   炎症期の、末梢血管の透過性更新により障害関節周囲には組織液が貯留します。

   周囲軟部組織は低栄養、低酸素状態に強いられ壊死を生じ、これを貧食する目的で

   細胞浸潤も活発になる。

   特に筋線維はこの影響を受けやすく、再生が困難な場合は消化された筋線維を

   置換するように結合組織の発生が見られます。

   浮腫などによる浸出液は、心不全やネフローゼによる漏出液と成分に違いがあり、

   線維素が多量に含まれることから周辺組織に線維化を促進し拘縮を発生し易くなります。

   浮腫の発生は、軟部組織の器質的変化を生み出すため、関節可動域制限の発生に

   直接的な影響を与えます。


2、疼痛のコントロール

   急性期であろうと慢性期であろうと傷害が無いにもかかわらず疼痛が発生していれば、

   脊髄の後角は過剰に興奮して、運動神経が刺激され、筋スパズムと呼ばれる筋収縮が起こる。

   このような状態は続くと筋の防御収縮(筋短縮)による関節の不動が継続され、

   関節可動域制限が発生します。

   筋スパズムは一過性の筋収縮ではなく持続的な筋収縮であるために、

   発生すれば末梢組織の乏血を招き、これが続くと新たな痛み物質の生成に繋がるという、

   痛みの悪循環が起こってしまいます。

   このように疼痛は筋の防御収縮や筋スパズムの原因となり、筋の短縮や血流阻害により

   拘縮を助長する結果を招きます。

 
3、安静や良肢位による固定など関節の不動をコントロール

   いかなる要因があろうとも、関節の不動は関節可動域制限に直接的に影響します。

   不動の期間が長期化するほど関節可動域制限は進行します。

   不動の最たるものが固定ですが、

   膝関節を長期間屈曲位で固定を行うと、tension がかかる前方には構造変化が

   生じにくく屈曲制限は生じないが、tension がかからない後方関節部は組織変化が生じ、

   伸展制限が生じます。


4、その他、総合的には

  罹患期間の影響

   罹患期間が長いほど関節可動域制限は著しい。

  日常生活活動能力の影響

   日常生活活動能力が低いと関節運動の時間も少なくなり、結果的に関節の不動が惹起される。

  年齢による影響

   健常人においても四肢、体幹の関節可動域は加齢により低下する。

   年齢の要因は関節の不動を惹起させる直接的なものではなく、

   筋力の低下などが二次的要因として関与し、その結果として身体活動あ低下すると、

   関節運動も減少することから関節の不動状態が長期化すると考えられている。

   加齢変化ととも二関節筋優位の筋活動になるといわれている。

   膝関節筋優位の筋活動では、膝のスタビライザーである大腿広筋群に代わって、
   ハムストリングスと大腿直筋が動作中に持続的活動を示すようになり、
   筋放電量も増加するという特徴を示す。
   これら拮抗二関節筋ペアの筋活動の増加は、1つの関節に対して拮抗筋を
   同時収縮させることによって、関節の剛性を高めようとする反応であると指摘されている。
   一方、大殿筋や大腿広筋群の活動は著しく減弱する。
   
   高齢者に特徴的な円背姿勢(胸椎の後彎増強)も膝屈曲拘縮を来たす要因になり、
   70歳代の男性76.9%、女性の100%が立位時に膝屈曲位をとるとの報告がある。
   このような姿勢変化や膝OAの存在は高齢者における歩行能力の低下を招きます。



touyou8syok9 at 20:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年10月24日

膝関節(107)

変形性膝関節症

みなさんは「膝関節の拘縮」と言葉からどのような状況を想像されますか?

とっても重篤な状態を想像するのではないでしょうか?

「拘縮」とは?

 拘縮とは各関節が他動的にも自動的にも可動域制限を起こす状態です。

 一般的には、関節包と関節包外の関節構成体である軟部組織の変化によって

 起こる関節運動制限を拘縮と呼んでいる。(分類には様々原因による種類があります)

 要は、関節運動の可動域の制限です。

 一方、「強直」とは、

 軟骨や骨など関節包内の構成体そのものに起因する関節運動の消失を言います。


変形性膝関節症は変形が進行しグレードが高くなるにつれ、拘縮の程度も高くなり、

関節包内の構成体の軟骨部の破壊が進み、骨棘形成、関節裂隙が狭少が進行し、

骨性の可動域制限を呈しますので徐々に関節の強直に移行してしまいます。


変形性膝関節症の治療法あるいは進行の予防とは?

異論もあろうかと思いますが膝関節の拘縮の治療法。

つまり膝関節の関節可動域の拡大あるいは可動域制限の予防になります。


何度も言いますが変形性膝関節症の初期は「膝関節が伸展できにくい」という

可動域制限に気づくことが重要です。


ご自身で一度試してください。

仰向きで寝ころんだ状態(仰臥位)で下肢を伸ばしリラックスした状態で両膝の高さは同じですか?

患側と健側の膝の裏が床面に着いていますか?

もし着いていなければ、膝を軽く抑えると膝裏が床に着きますか?

健側と患側の膝関節をよく比較してください。


他動的に可動域制限を感じるには、検者に感じ取る最終可動域の感覚が重要です。

<関節可動域の評価(終末感)>

 他動的関節可動域の測定の際に検者の手には可動制限域である種の終末感を感じ取る。
 
 この関節の終末感(end feel)から病態組織を推測することができる。

専門的にはCyriax の end-feel 分類が有名です。

  1、bone-to-bone

    二つの硬い骨面がぶつかるとき突然停止する感覚。
    正常肘関節を他動的に伸展したときに感じられる感覚。
    正常関節であれ病的な異常関節であれ関節の解剖学的制限が示唆される。

  2、 springy block 

    可能な最終域で"跳ね返る感覚。
    正常ではみられない。
    膝関節の半月板ロッキングなどの関節内障 が示唆される。

  3、elastic stretch (capsular feel)

    弾力性伸張終末感(関節包伸張感)。
    皮革片を引き伸ばし、かたく止められる様な感じ。

  4、tissue approximation: 

    筋群と筋群が接触して柔らかく止められる感覚。
    正常な膝・肘関節の最終屈曲域でみられる。

 5、spasm

  筋が反射的に緊張し、"ビクッ" とする感覚。
  正常関節ではみられない。

 6、empty feel

   運動が最終可動域に到達する前にかなりの痛みが起き、空虚な終末感がある。
   正常関節ではみられない。


関節拘縮は、予防にまさる治療法はないと言われています。

つまり、膝関節の可動域の制限を発生させないことです。

そして膝関節が伸展しづらい状態に気づき、早期に可動域制限を回復させることです。

臨床上、拘縮を予防するにどのような点に注意すべきでしょうか?

次回に。





touyou8syok9 at 19:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年10月17日

膝関節(106)

変形性膝関節症

膝関節水腫


関節水腫はどの程度の期間続けば問題なのか?

これも悩ましい問題ですね。


膝関節の水腫によって、膝関節の伸展力が低下しハムストリングの優位になることが

自然に備わった膝関節の安全装置であり、この膝関節の軽度屈曲位が安静の肢位であっても、

結果的に本来の大腿四頭筋優位の歩行ではなくハムストリング優位の歩行になります。

このような歩行を長期間続けると様々な問題を引き起こしてしまいます。


運動連鎖の乱れ・姿勢の変化・アライメントの変化などがお互いに影響し様々な悪循環を生じます。

その結果、変形性膝関節症が進行する一つの原因を創りだすこととなります。


皆さんは、正座ができない、あるいは膝を曲げてしゃがめないという膝関節が屈曲しづらいことを

非常に心配されます。

これらは、変形性膝関節症が非常に進行してしまった状態なのです。


本来は、膝関節が曲がりにくいという状態のもっと以前に膝関節が伸びづらいという状況が

存在します。

重要なのは、このような膝関節の状況にもっともっと早く気づくことです。

それは脛骨と大腿骨との関節裂隙が狭くなっていなくても起こるのです。

そして、膝関節が完全に伸展できない状態は変形性膝関節症の第一歩ともいえます。

一種の膝関節の拘縮とも言い換えることができると思います。

このような状況に陥らないようにすることが変形性膝関節症の治療および進行の予防の

第一段階という事になります。


拘縮は実際にはそれほど簡単に短期間で完成することはありません。

ここで問題にしているのは、大腿四頭筋(特に大腿内側広筋)の筋活動の低下です。

★廃用により筋力低下は当然問題なりますが、

  通常は、最大筋力の20〜30%の筋活動があれば、筋力は維持され、
  30%以上であれば、筋力は増強するとされています。
  20%以下であれば筋力は低下を示すことが報告されています。
  筋活動が無い場合では1日に3〜6%、1か月間で50%の低下を示す。

★ちなみに安静臥床による、筋力低下(厚生労働省調べ)。

  1週間寝たきりになれば筋力は20%低下する。
  2週間寝たきりになれば筋力は36%低下する
  3週間寝たきりになれば筋力は68%低下する。
  4週間寝たきりになれば筋力は88%低下する。
  5週間寝たきりになれば筋力は96%低下する。

★骨折などの固定の場合

  1週間ギプスで固定するだけで、その固定された筋肉は数十%も力が落ちます。
  膝を固定した報告で、30日以内の固定では軟骨・軟部組織像、可動域ともに正常に回復。
  40日以上の固定では回復が遅くなり、60日以上では関節内に強い結合織性癒着が生じ、
  関節軟骨の崩壊も回復せず、可動域の回復も期待しがたかったとしている。
  正常関節でさえ4週を越えた固定で不可逆的変化が存在するとしている。
  拘縮予防という観点からすれば関節の固定は長くても4週間以内が理想とされています。

いかがでしょうか?

日常生活にて歩行していればそれほどスグには筋力は低下しないと思われます。

筋活動が低下してもわずかな低下であり、加えて期間が短ければ充分回復が可能なのです。

むしろハムストリングの短縮には注意が必要だと思います。

アイシングをしながら日常の歩行を行い、治療をしていく過程で2〜3週間の期間内で

膝関節水腫を消失させればそれほどの問題は起こらないように思います。

当然、早く消失させる程将来的にも安心なことは言うまでもありません。


臨床上、拘縮を予防するにどのような点に注意すべきでしょうか?







touyou8syok9 at 21:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年10月10日

膝関節(105)

変形性膝関節症

膝関節水腫

膝関節に水がたまった(水腫)場合。

1、関節穿刺の必要性は理解されたでしょう。

2、関節穿刺後のケアーも理解されたでしょう。

3、関節水腫による腫脹は、膝関節の自己防衛機構も理解されたでしょう。


では、関節腔内の関節液がどの程度の量までならば穿刺しなくて良いのか?

非常に悩ましい問題ですね。


変形性膝関節症において急速に関節液が溜まることは稀でしょう。

変形性膝関節症の水腫の多くの場合は徐々に溜まって来るのが通常のケースだと思います。

或いは、

水腫が大きくなったり、また減少したりと凝り返す場合が通常のケースだと思います。


変形性膝関節症においてどの程度の水腫であれば穿刺するのか?

もう一度、

関節水腫は大腿四頭筋、特に内側広筋の活動に対して、神経学的抑制回路が起こり、

筋委縮が引き起こされるとされています。

内側広筋は20mlという量で有意の筋活動が抑制される。

外側広筋ではそれ以上の量が必要とされています。


<関節液の量の問題>

 20mlの程度以上関節水腫を貯留させない。

 反対に20ml以上が長期間貯留すれば穿刺も考慮する。・・・・・と思っています。

 実際に穿刺してみなければ関節液の量はハッキリと決定することはできません。

 膝関節水腫を知る方法に膝蓋骨跳動テストがあります。

  この方法は、関節腔内の水を遠位に押し集め出し膝蓋骨を押すと大腿骨に衝突し、
 
  コツコツと音がすることをいいますが、実際はかなりの量が溜まらないと陽性なりません。

  したがって、この方法で明らかに簡単に陽性と判断すれば、おそらく20ml程度の量は

  溜まっていると判断しています。

  わずかな量ではこの膝蓋骨跳動テストは陽性にはなりづらい。

 その他には、膝蓋骨上縁から約10cm近位の大腿周囲径を測定する方法があります。

  これは、本来は大腿四頭筋の萎縮や肥大を測る有名な方法なのですが、

  膝蓋骨上縁0cmの大腿周囲径は関節水腫や関節の腫れなどを把握します。

  患側と健康側の膝蓋骨上縁0セcmの大腿周囲径の比較評価します。

  また、膝蓋骨上縁から5cmでは内側広筋、10cmでは外側広筋の筋の発達

  15cmでは大腿周囲全体の筋の発達程度になるとされています。

  これは、患側の萎縮の程度をある程度把握できる方法です。

  ただし、誤差もありますのが一つの参考にするできでしょう。

 
これらから関節穿刺の一つの目安として、

明らかな膝蓋跳動の陽性。

膝蓋骨上縁0cmの大腿周囲径の測定:必ず患側と健側の測定しその差。

これらを必ず記載しておく。

もし穿刺した場合はその穿刺された関節液の量を確認する。

これによって今後どの程度で穿刺すべきかの判断がある程度分かる。


これらはあくまでも穿刺の目安であって、アイシングによる包帯固定や

テーピングなどを使用しながら適切な治療をくわえれば水腫を減少させることは可能です。

つまり穿刺せずに済む場合もあります。


しかし、やはり長期間いつまでも水腫が減少しなければ穿刺も仕方がないでしょう。

それは一体どの程度の期間なのでしょうか?


関節液が20ml溜まったため内側広筋の有意の活動が抑制され、

大腿四頭筋の活動性が低下したからといってスグに筋萎縮するわけではありません。

また、大腿四頭筋の活動性が低下し、代わりにハムストリング優位になっても

これもスグに膝関節の屈曲位拘縮になるわけではありません。

関節水腫が長期に残存し、膝関節軽度屈曲位の安静肢位が長期に継続することは、

決して、膝関節に好ましくはありません。


つまり関節水腫は、関節液の量の問題とその量がどの程度の期間続けば問題なのか?

これも悩ましい問題ですね。

次回に。



touyou8syok9 at 19:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年10月04日

膝関節(104)

変形性膝関節症

膝関節に水がたまったら(水腫)場合。

1、関節穿刺の必要性は理解されたでしょう。

2、関節穿刺後のケアーも理解されたでしょう。

3、でも関節水腫の場合いつも関節液を抜く(穿刺する)のはどうかと思います。

  これが、実に悩ましいところですね。

この水腫による関節の腫れは、常に悪いものでは無いのです。


少し理由を述べてみます。

まず膝関節に水(関節液)貯留が関節水腫ができると、

大腿四頭筋、特に内側広筋の活動に対して、神経学的抑制回路が起こります。

その結果、大腿四頭筋の筋委縮が引き起こされます。

この大腿四頭筋の筋委縮は自己防衛的な反射性筋委縮とされています。

特に、関節水腫が急激に出現する場合は10〜20mlの関節液の増加でおこり、

関節液の量のが多いほどその抑制の程度は高くなります。

内側広筋は、関節液の貯留量が20mlで有意の活動が抑制される。

外側広筋においては、同程度の抑制を受けるにはさらに多くの量が必要とされています。

反対に、関節液の量が増加するにしたがって、ハムトリングの活動は高くなります。

つまり、膝関節の伸展力が弱まり、膝関節を屈曲位にて膝関節を動かさないようになります。


実際この膝関節軽度屈曲位の肢位は、まさに膝関節を安静にしている肢位になります。

つまり膝関節の腫脹は、自己防衛機構とも呼べるのです。

まさに天が授けてくれた自然治癒力とも呼べるでしょう。


関節水腫は、血性のものや特殊な例を除けば、膝関節内部の損傷に対する

自己修復過程に起こる現象の一つだと考えれば、膝関節に水腫が溜まれば

すぐに関節穿刺という手段には非常に疑問を感じます。(滑膜を傷つける行為も含め)

一方、関節液の還流や滑液の入れ替えという滑液の代謝は、歩行による関節の運動や

荷重による圧力の変化に強く依存していると考えられます。

膝関節のような荷重関節では、組織修復のため滑液の供給量が増加している状態で、

荷重刺激がなくなれば滑液の還流量が減少してしまい、膝関節には滑液が貯留してしまいます。

したがって、膝関節の肢位を安静しながら歩行できるという状況が望ましいのです。

水腫によって大腿四頭筋のアクセルを制御しながら拮抗筋であるブレーキ役の

ハムストリングの遠心性収縮を有効に作用させながら安全に歩行させてくれるのです。

どうでしょう、関節水腫がすべて悪玉だと決めつける必要は無いのです。


ただ関節水腫が長時間経過すると筋委縮の問題はモチロンですが、関節液内に含まれる

炎症物質、タンパク分解酵素などの問題がありますので長時間放置することはよくありません。

モチロン関節液の量も多ければ問題になりますね。


膝関節水腫が溜まったと思えば、ご家庭ではスグに患部のアイシングを実施してください。

そして重要な方法は、患部の膝関節を包帯でアイシングしながら歩行してください。

これにより、炎症の減少、関節液の滑液の還流の促進、筋力の萎縮の防止になります。

日常生活の1日に30分間ほどの包帯をしてのアイシングを数回是非行ってください。


関節水腫について長くなりましたが、もう少し。

touyou8syok9 at 08:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症