2013年11月

2013年11月28日

膝関節(112)

変形性膝関節症

一般的にテーピング(固定用、あるいは伸縮性のテープでも)というと、

関節を固定あるいは一定方向への運動制限の目的のために使われます。

また、

一般的ではありませんが無理に一定方向の動作を可能にするためにも行われます。

この場合は危険があるため試合などの一定時間のみに行われる裏ワザで、

本来のテーピングの目的では決してありません。当然治療には使用できません。

このように、テープの固定力、伸縮力というテープの力すなわちパワーを利用しています。

・・・・・・・・・・・ここまでは前回のテーピングの考え方ですね。・・・・・・・・・・・・・


今回は、このような方法ではないテープの利用方法があります。

テーピングの際にテープが直接付着する部位は一体どこでしょう?

答え:皮膚になります。(関節周囲の皮膚)


この皮膚という受容器にたいしての刺激を臨床に応用利用されています。

基本的にはテープを貼ることによって関節の正常な位置、運動の情報を与える。

力というパワーに頼っていませんので変形性膝関節症をふくめ障害関節に応用できます。

テーピング独特の関節への安定感は保持されますが関節の固定という概念はありません。

目的が関節の正常な位置、運動の情報を与えることですので、スポーツの現場においても

目的とする競技のポテンシャルが上がりますので使用されたりします。


テーピングの説明の前に、まず皮膚について述べていきます。

皮膚は単に身体を包んでいる保護膜だけでなく表皮から様々な情報の信号を発信して、

身体に大きな影響を及ぼしています。


その一端として標的の皮膚受容器に刺激を与え、期待する反応(可動域の維持拡大、

疼痛の減少、腫脹の軽減など)を導こうとする手技療法やテーピング法があります。

 1、触圧覚刺激法

 2、PNF法

 3、スパイラルテーピング法

 4、キネシオテーピング法

 5、その他

 (各手技、テーピングの詳細はそれぞれのHPを参考にしてください。)

いずれの方法も関節の固有受容器に適刺激(正しい情報)を加え効果を期待する方法です。

関節の固有受容器とは? (詳しくは関節受容器を覗いてね。)

  メルケル触盤、ルフィニ終末、マイスネル小体、パチニ小体、筋紡錘 、腱紡錘 、ゴルジ腱器様

  自由神経終末、などが皮膚の表層部からやや深い関節包全体や関節包周囲の靭帯や

  関節内靭帯にに存在して様々な種類の器械的刺激の情報を中枢神経系のすべてのレベルで

  視覚や聴覚と統合して、静的および動的姿勢感覚と力の方向を感受しています。

まだまだ確立していない点もありますが徐々に明らかになっており臨床に応用されています。


この項目は、テーピングについてですので

もう少し皮膚と運動器の関係について、そして次に実践に使えるテーピングの応用のポイントを

紹介しようと思っています。 長くなるので今回はここまで。


touyou8syok9 at 19:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年11月21日

膝関節(111)

変形性膝関節症

膝関節に対してテーピングはどうだろう?

 スポーツの世界では膝関節に限らず関節に対してテーピングはよく使用されます。

 スポーツの際には、関節の固定という目的で多く用いられている。

 また○○テープ療法と称して伸縮性のテープを貼ることがあります。

 膝関節のみならず様々な関節の疾患で利用されています。

 これらのテーピングは果たして変形性膝関節症に応用できるでしょうか?


スポーツテーピングは一般的によく知られています。

 基本的には目的とした関節の可動域制限をするためのテーピングです。

 痛む方向への運動制限として軽い固定を目的としています。

 
以下の目的のために使用されています。

 1、傷害の発生予防として
   
    テーピングにより関節の可動域を制限したり固定することで、関節への
    過度なストレス防止として。

 2、再発予防として
   
    損傷部位にテーピングを巻くことで損傷関節対する保護、補強として。
    また競技中の安心感も向上する。メンタル面での期待として。

 3、応急処置として
  
     テーピングで固定、圧迫し冷却するという方法。
     スポーツ現場で負傷し、医師に託すまでの応急処置として。
     
     患部へのRest(安静)、Ice(アイシング)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)
     RICEの処置はあまりにも有名です。

テーピングの固定力を強くすればするほど関節可動域が低下して固定力は増加するが、

固定力の増強に反して目的である競技のポテンシャルは低下します。

これらの欠点を補うために、

不利益な関節運動のみを制限し、その他の関節の可動制限を最小限に抑え

できる限り正常に保つことにより、アスリートのポテンシャルを損なわずに障害・痛みを

軽減するテーピング法としてファンクショナル・テーピングがあるようです。


いずれのテーピングも関節を固定するものという概念から成り立っています。

固定の時間がスポーツの最中のみ極めて短時間のために拘縮への心配はありません。

スポーツ直前に固定用のテープを張り、2時間程度でスポーツ終了後にすぐに剥がす。

あくまでスポーツ競技の現場サイドの要求から発生した窮余の策です。

指の関節のような単関節で一軸性の関節で小さい関節であれば固定力も大きく

可動域制限も期待できスポーツの現場での有効性も大いに期待できるでしょうが、、

膝関節のような複関節、多軸性の関節である大きな関節では、目的方向の運動制限の

固定力に対しての不安は否めなせん。

膝関節においてはむしろ予防用装具のほうに分があるように思います。

前回のべたように予防用装具の効果の有無については、いまだに決着していません。


これらのテーピングの目的は関節可動域を制限する関節の固定を目的としています。

関節可動域を減少させることで関節の安静、疼痛の軽減を目的としています。

或いは、

痛む方向性への関節可動域を制限する一定方向への運動制限を目的としています。


変形性膝関節症に対しては、固定のテーピングはあまり利用されないでしょう。


変形性膝関節症に対しては、伸縮性のテーピングはよく利用されます。

このテーピングは可動域が増加し、疼痛の軽減を図る方法としても、実際の臨床に

役立てることが可能だと思います。

なぜ効果があるか?

臨床に応用するヒントは?



touyou8syok9 at 21:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年11月14日

膝関節(110)

変形性膝関節証

巷では、変形性膝関節症や膝関節の疼痛や歩行しづらい人々の対して、

疼痛の軽減、あるいは歩行が楽になりケガの予防等という理由で様々な種類の

膝関節に対応された簡易装具が販売されているようです。

これらはどうでしょう?

もともとこれらの装具は、骨折や靭帯断裂などの場合のギプス固定の代用あるいは

ギプスを外した後の早期リハビリ用に使用されている装具をもっと簡易化したものです。


これらの代表が両側支柱付サポーター型の膝関節用の装具です。

これらの下肢機能に与える影響は、(井原秀俊著、考える膝より抜粋)

装具の筋に対する影響

 健常ランナーの大腿四頭筋の筋力が12〜30%低下。
 前十字靭帯再腱者において大腿四頭筋の筋力が低下した。
 健常者において、下腿前方コンパーメントの内圧が上昇し、前脛骨筋の易疲労性が増加した。
 前十字靭帯機能不全者の大腿四頭筋、ハムストリング、腓腹筋の脊髄レベルでの反応時間は、
 いくらか改善したが、ハムストリング、大腿四頭筋の大脳皮質経由反射が低下した。
 ハムストリングの筋トルクが低下して疲労率が増加した。
 突発外反力に対す内・外側広筋の反応時間の改善は見られなかった。

膝の装具は、少なくとも筋肉に対してあまり良い影響は持たされないようです。

装具の動作遂行能力に対する影響
 
 前十字靭帯再腱後の限定した期間や、前十字靭帯機能不全患者の特殊動作時には有効。
 健常者においてはむしろ悪い面が出ている。

装具が下肢機能におよぼす危険性として、

 大腿四頭筋とハムストリングの筋力には変化がない。
 内側広筋の著明な萎縮が生じていた。
 姿勢制御能では反応の劣化がみられた。
 関節固有覚では誤認角度が増大していた。

 健常者においては、固有感覚は低下する。
 閉鎖運動連鎖での評価よりも開放運動連鎖での評価で改善がみられる。
 関節包の圧迫に基づく内側広筋の反射性抑制、装具による過度保護機能による
 一種の廃用性委縮。
 
 これらの原因は装具によって関節メカノレセプターの求心性神経の影響を受けて変調し、
 そのために下肢反応および関節固有感覚に変化が生じたと考えられる。

外傷予防用膝装具の効果

 予防用装具の効果の有無については、いまだに決着していない。
 相反する結果のものがおよそ半数づつ存在する。
 
 膝関節の外傷後の治療用、リハビリテーション用として使用するのは問題が無い。、
 健常者に損傷予防的に使用するのはどうであろうか?
 あくまで膝の考える能力を引き出す形で使うべき。


それでは装具を含めて弾力包帯はどうでしょう?

 弾力包帯による圧迫は、健常膝でも関節固有感覚が劣っている場合は改善。
 変形性膝関節症においては改善あるいは改善しないという場合もあるが、
 すくなくとも悪化はしない。

 装具においても弾力包帯においては、圧迫程度、測定のばらつきが存在し、
 健常者においても関節固有覚に対する鋭敏さ(閾値)には個人差があるように、
 疾患群にも個人差があることが推定される。

結論

 筋―神経系調整部分に対するこのような影響は、健常人に膝装具を安易に処方してはいけない。

 変形性膝関節症に対してむしろ有害のようなエビデンスが多いように思われます。


私は以上の理由において、変形性膝関節症における浮腫や軽い水腫の見られる場合には、

バンテージ程度の包帯での圧迫固定包帯を薦めています。(弾力包帯よりは圧迫力は少ない)

出来ればアイシングをしながらの包帯で固定しての歩行を推奨しております。。

例外的に、膝関節の穿刺後の処置としては何度も述べていますが、ある程度の期間を、

ジョーンズの圧迫包帯をお薦めています。


さて巷では各種のテーピングも盛んに行われています。

テーピングはどうでしょう?



touyou8syok9 at 19:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2013年11月07日

膝関節(109)

変形性膝関節症

症状において留意するポイントは3点

1、浮腫のコントロール

2、疼痛のコントロール

3、安静や良肢位による固定など関節の不動をコントロール

4、その他


1の浮腫と2の疼痛はお互いに関連しています。

疼痛に対する治療法は多種の薬剤のその他の方法にも様々な手技などがあります。

浮腫に対してはいかがでしょうか?


浮腫の治療

以前にも述べましたが、患側と健側の膝関節の皮膚の状態をよく観察され早く対処してください。

変形性膝関節症の方は、疼痛があろうと無かろうとも必ず比較してください。

浮腫は組織液の貯留です。

 水腫ではありません。 腫脹でもありません。

 皆さんが思っているような、「膝の関節が腫れている」という状態ではありません。

 炎症などが存在する場合は、熱感が軽く存在しますので軽く、触れるように比較してください。

 患側の膝関節周囲の皺が健側より少なくなっています。

 このような場合は、依然に述べたように筋膜などに組織液が溜まって、組織内圧が高まり、

 皮膚表面まで変化が表れてしまうのです。

 つまり、筋、筋膜間などの比較的深い部分の組織液が原因となっている浮腫です。

 これの治療は、
 
 浅層・深層リンパ浮腫の組織内圧のコントロール方法として以下の方法が行われます。

   ○膝関節関節より遠位関節部での自動運動

   ○膝関節関節周囲筋の等尺性収縮訓練
   
   ○リンパマッサージ

   ○メドマー等による間欠的空気圧マッサージ器の利用

   ○何度もお勧めしています包帯をしてアイシングをしながらの歩行なども有効です。


 但し、炎症などが無い場合あるいは少ない場合は、患側と健側の温度差は非常に少なく

 あってもわずかな感覚的な差ですので見逃しやすい。

 慢性でも急性でも疼痛が無く、熱感などが無い場合に、浮腫は見逃しやすい。

 このような場合でも膝関節周囲の健側と患側の皮膚の皺の状態を比較をしてください。

 皺が少なく皮膚の伸長性が少なくなった状態であったり、皮膚を指で摘まみにくい状態であったり、

 皮膚が分厚くなっていたり、皮膚が硬かったりした状態が見受けられます。

 このような場合は、

 皮膚から筋膜までの浅い部分での組織液の浮腫が存在します。

 皮膚から筋膜までの間にも毛細血管、自由神経終末などが存在します。

 リンパの貯留、リンパの停滞等によって組織間の動きが悪くなります。

 その結果、組織間の摩耗、局所のわずかな熱感、血行の循環特に

 静脈毛細血管間の動きが悪い状態が続くと皮下組織が硬くなり動きが悪くなります。

 皮下の動きが悪くなり、皮膚の伸長性が少なくなり、長期に続くと硬くなる。

 皮膚と筋膜までの結合組織は臨床では非常に重要なフアクターになります。

 
 当然、炎症期の疼痛があれば痛みの悪循環によって

 痛みの知覚→交感神経の過緊張→血行障害→代謝障害→痛みの増悪

 浅い部の組織液のみならず深い部での組織液も溜まります。

 つまり、この浅い部分での浮腫は、変形性膝関節症の炎症期においても、

 あるいは末期の非炎症期にも見受けられます。

 特に、組織液による浮腫はプヨプヨとした浮腫を想像するのですが、慢性化するほどに

 皮膚の下の結合織が硬くなるようです。

 変形性膝関節症の慢性化した膝関節の周囲ほどそのような状態が見受けられます。

 
臨床では、この浅い部位での浮腫に対しては直接的にあまり対処されていないように思います。

  ○マイスナー小体などの機械的受容器に対する手技

  ○結合組織ストレッチなどによる手技


3、は変形性膝関節症においてはステージが高くなり進行すると関節裂隙がなくなってしまいます。

  その状態の最悪がCyriax の end-feel 分類であるbone-to-boneである状態になります。

  つまり進行してしまえば膝関節を他動的に伸ばそうとしても伸ばせない、曲げようとしても

  一定角度からは骨がぶつかって曲げれない状態になってしまいます。

  このような状態になるまで進行させ無いように拘縮の予防は重要です。

  何度も言いますが特に自動的に膝関節が伸展できない拘縮状態は要注意です。

  変形性膝関節症では、骨折などのように経度屈曲位で関節の固定をすることはないでしょう。

  しかし簡易装具などの問題があります。

  巷では歩行が楽になる等という理由で盛んに宣伝されているようで様々な種類が

  販売されているようです。

 次回に、





touyou8syok9 at 20:51|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症