2014年03月

2014年03月27日

膝関節(128)

変形性膝関節症

大腿四頭筋の運動療法

1.筋力低下

 加齢による筋力低下は避けようがありません。

 筋肉は加齢とともに、筋肉を構成する筋繊維数の減少と筋繊維自体が萎縮してしまいます。
 人は誰でも加齢とともに筋肉量の低下がみられます。
 加齢による筋変化は筋繊維自体の変化よりは筋肉量の減少が主で、加齢に伴う筋力低下の
 本質は筋萎縮とされています。
 
 筋肉の重量は、成人で体重の約40%とされ個人差はありますが、年齢と筋肉量の変化について、
 40歳から年に0,5%ずつ減少し、65歳以降には減少率が増大していき、
 最終的に80歳までに30%から40%の低下がみられるといわれています。

 それに対して加齢による筋力の変化は筋肉量の変化より遅れて、50歳まで維持されますが、
 50歳から70歳では10年間に15%ずつ減少するといわれています。

 大腿四頭筋は、前回述べたように抗重力筋であり加齢によって筋力が低下しやすい筋。

 その構成筋である
 
 3つの単関節筋の筋肉は、各筋肉の位置により内側広筋→中間広筋→外側広筋の順で
 萎縮しやすく筋力が低下しやすい。
 
 二関節筋である大腿直筋は、緊張しやすく短縮しやすい。

 筋委縮すれば本来の筋力は発揮できずに筋力は当然低下します。

 一方、緊張して短縮した筋も本来の筋力を発揮できないため筋力は低下します。

 どちらの筋も筋力は低下するので運動療法は必要なのですが、・・・・

 筋が短縮位になり緊張する筋はまずその緊張を緩目る必要があります。
 加えて短縮傾向にある筋をストレッチなどで伸張させる必要があります。
 
 その後に初めて筋力低下した筋に対して運動療法を行う必要があります。
 
つまり、緊張して短縮しやすい大腿直筋に対しては、単純に運動療法を実施すれば良い

というわけにはいきません。

単純に運動療法を行えばむしろますます緊張して短縮位に陥る可能性もあるのです。

膝が悪いので単純に運動療法すれば良いというわけではありません。

一方の委縮して筋力低下した3つの単関節筋は、純粋に運動療法を行います。


内側広筋は膝関節の可動域においては0〜5°で最も働きます。

外側広筋は大腿直筋とともに働きを安定させる働きがあります。
ほぼ全域の可動範囲で働きます。
また外側には大腿筋膜張筋も存在しています。
この外側広筋も大腿直筋に加えて大腿筋膜張筋も緊張の緩和が重要になります。

中間広筋は0°〜90°の可動範囲で働きます。
中間広筋は大腿直筋の下層に位置し、その下層に膝関節筋、膝蓋上嚢が存在しています。
伸展位拘縮で問題になります。

 膝関節が伸展位から屈曲する場合、
 0°〜30、40°は膝蓋靭帯が働くことによって屈曲可能。
 40°〜60°〜90、100°は中間広筋が働くこと屈曲可能。
 膝蓋上嚢が高度の炎症によって筋腱の高度の炎症によって筋性仮骨により、骨化がおこり
 膝関節筋が癒着して屈曲が不可能になってしまいます。
 膝蓋骨の近くで起きると60°の屈曲位遠くなるほど90°の屈曲
 90°〜110°になると膝蓋骨が動くので癒着は関係なくなる。

中間広筋は膝蓋上嚢と膝関節筋との機能を考えると運動療法における筋力よりもむしろ
膝蓋骨の運動性に重点を置くべきです。
水腫の早期消失などを図り、加えて膝関節の手術後の筋性化骨を防止し拘縮予防が重要。


以上のように、

加齢による絶対的な筋力低下による筋力の向上の運動量が最低必要であります。

これは単純な伸展力のトレーニング或いは特別な運動療法ではなく歩行訓練で充分だとおもいます。

その中でも繰り返しますが特に内側広筋の運動療法が重要になります。


変形性膝関節症は炎症性の疾患ではない?と言われているのですが、

エクステンションラグを含めて、明らかに炎症性の問題を含んでいると思われます。

これは臨床では非常に重要です。

治療や施術をせず、膝関節の評価の行わず単純に運動療法すれば良い結果は得られません。

膝関節の運動療法を実施するうえで、もう少し述べてみます。


touyou8syok9 at 21:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2014年03月20日

膝関節(127)

変形性膝関節症

運動療法について、

運動療法を実施する際には筋の特徴は知っておくべきです。

大腿四頭筋を例にして

○大腿四頭筋は抗重力筋の代表的な筋とされています。

 抗重力筋

  重力に対抗して立位姿勢を保持する働きを抗重力機構といいます。
  そこに働く筋群を抗重力筋といいます。
  地球においては常に1Gという重力がかかっています。
  加えて直立して二歩足で立位歩行を行う人間にとって極めて重要な筋ともいえます。

  身体が重力に逆らって意識しないでも姿勢や運動を保つことができます。

  筋や関節に存在する感覚受容器に入った感覚が感覚神経→脊髄→運動神経→骨格筋
  に伝わって骨格筋が運動します。
  あるいは一方では、脊髄→脳幹→大脳、小脳などの中枢で運動の補正がされます。
  
  加齢とともに委縮しやすいという特徴があります。

  その他には、同じ一つの筋の中に筋線維はそれぞれ羽状に分化し、

  そのうち短い腱を持った筋線維が抗重力性が高く、

  長い腱をもった筋線維が推進性が高いという規則性がみられます。

  長い腱を持った筋ほど緊張が強く、短い腱を持った筋ほど緊張が少ない傾向がある。

○大腿四頭筋は、随意筋としての骨格筋として相性筋と筋張筋で構成されている。 

 随意筋としての骨格筋を相性筋と緊張筋と分類します。

 どのような状態でも姿勢を保つのが緊張筋で、それに動きを与えるのが相性筋。

 内側広筋・外側広筋・中間広筋・・・・・筋張筋

  収縮速度が小さく持続性が高い筋。 
  赤筋繊維が多い。 
  静的な状況での安定を保つ。
  正確性と緻密性の運動が主体。
  姿勢を保つ役目の筋。
  随意筋だが脊髄反射により自動的にコントロールされている。
  脳細胞の老化を防ぐための情報を送

 大腿直筋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・相性筋

  収縮速度が大きく持続性が低い筋。
  白筋繊維が多い。
  動的運動が主体。 
  早い運動、すばやい運動が主体。
  随意筋で大脳によりコントロールされ機能が発揮されるとされている。

○大腿四頭筋は1つの二関節筋と4つの単関節筋で構成されています。

  内側広筋・外側広筋・中間広筋・・・・・・・・単関節筋

   安定筋として働く。
   内側、近位に位置して運動筋よりも深層に位置する。
   赤い線維(有酸素が必要)に富む。
   運動を持続させるのに役立つ。
   保持作業、共同収縮を行う。
   緊張性ー刺激閾は高く、反応は緩慢。
   負荷に際して安定化させるよう作用し、伸展位で主要な働きをする。
   もっぱら「重労作」を行う。
   巧緻運動の際、近位部の保持の中心的役割を果たす。

  大腿直筋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・二関節筋
 
   運動筋として働く。
   外側、遠位に位置し安定筋より表層。
   「白い」線維に富む。
   屈筋あるいは屈筋パターンと関連した筋。
   (膝関節の伸展筋であるが、股関節の屈筋でもある。)
   運動の開始時に働き、短期間の活動を発揮する。
   相性ー刺激閾は低く、反応はすばやい。
   重い梃子に対して軽く小さな梃子を動かすといった「軽労作」中心。
   収縮のさいに短縮する。
   相反性運動や巧緻運動に際して中心的な役割果たす。

   二関節筋は2つの関節をまたいでいることから、
   エネルギーの伝達に関与しているといわれている。
   レバーアームの長さにより大きな関節トルクを生み出し、パフォーマンスに関与している。

○大腿四頭筋の機能を要約すると

  単関節筋の内側広筋、外側広筋は体を空間に保持する膝の抗重力伸展筋。

  二関節筋の大腿直筋は蹴り出し推進のときの膝の伸展筋の機能を兼ね備えた筋。

  安定筋としては内側、近位に位置する筋の傾向がある。
  (内側広筋→中間広筋→外側広筋の順)
  
  運動筋としては外側、遠位に位置する筋の傾向がある。
  (大腿直筋→外側広筋→中間広筋→内側広筋の順)


このように筋にたいする運動療法には、筋の性質、特徴を知って行う必要があります。

その他には、

姿勢に対応した劣性筋(ゆるい筋)、優勢筋(筋張筋)なども考慮しなければいけません。




touyou8syok9 at 20:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2014年03月13日

膝関節(126)

変形性膝関節症

運動療法

内側広筋

 エクステンションラグに対して内側広筋の特異性の有無について様々な報告があります。

 膝関節における内側広筋の伸展力の低下はそれほど問題ではないように思います。

 伸展力の低下は歩行周期の踵接地時において膝の関節軟骨に加わる衝撃が増大しますが、

 これは内側広筋のみの問題では無いでしょう。


ではなぜ局所的に、内側広筋に対する運動療法が重要なのでしょうか?

 エクステンションラグによって、膝関節の軽度屈曲位が長期に続くことが問題なのです。

 膝関節は屈曲すれば脛骨が内旋し伸展すれば脛骨は外旋します。

 膝関節の長期の軽度屈曲位は脛骨の内旋が長期に継続されることになります。

 これは膝関節伸展時の脛骨の外旋運動(Screw home motion)の破綻につながります。

 歩行においては、立脚時から立脚初期における大腿骨の移動からその回旋の中心が

 正常では脛骨の外側であるが、荷重面での前後軸の移動により前方そして内方に

 移動する傾向が増強してしまいます。

 
長期の膝関節屈曲位における様々な過剰な力学的な負荷の変化が問題になるのです。


一般的な下肢アライメントの指標は

 1、FTA(膝外側角)・・・・・・・・・・・・膝関節の前額面での偏位

   176〜8°が正常です。膝関節は軽度の外反が正常でこれより増加すると内反膝になる。

   内反膝が目立てば明らかなO脚です。

 2、ミクリック線(下肢荷重線)・・・・・・・・・・・・・・・・膝関節の前額面での偏位

   この線と膝中心からの距離が2.5儖幣緡イ譴討い訃豺腓鷲妥。

   O脚ではミクリック線が膝の内方を通り内方にメカノストレス(過剰な力学的負荷)がかかる。

   荷重線の通過点は前額面のみではなく前後方向にも影響を与えます。

日本人の変形性膝関節症は内側変形型変形性膝関節症ですのでこれらの指標は重要です。

これらは立位X線上での指標であり、初期変形性膝関節症のFTAは180°未満なので

指標が明らかに異常である場合は、膝関節はの変形のグレードは供銑靴両豺腓ほとんどでしょう。

外見上でもO脚が明らかにみられると思います。

 3、Q角・・・・・・・・・・・膝蓋骨の前額面での偏位

    大腿四頭筋と膝蓋骨靭帯のそれぞれの力のベクトル方向

    20°以下で正常、平均14°とされています。膝蓋骨の外側脱臼で問題になりますが、

    大腿四頭筋の内側広筋が膝蓋骨内側に引っ張っぱり膝蓋骨が安定しますが

    内側広筋斜走線維が萎縮したりして弱化すると膝蓋骨は外側偏位し易くなります。

以上の3点は膝関節が外側に動揺するlateral thrustの原因にもなりますね。
 

要は、内側広筋斜方線維の収縮力に対して運動療法が必要になります。

変形性膝関節症において最も多く発症する内側型変形性膝関節症には重要になります。

基本的には膝蓋骨の外側変位によって不安定になり、

膝関節の内側(関節包内あるいは関節包外の筋腱など)に様々なストレス

(メカニカルストレス)が負荷され炎症や疼痛が引き起こされ

 レントゲンでは骨棘形成→関節裂隙の狭小化→軟骨下骨の骨硬化→膝関節アラメントの変化

 順次変形のグレードが高くなっていく。

 変形性膝関節症の指標であるFTA、Mikulicz線の病的な偏位、明らかなO脚と進行
 

最初に始めるべき必要最低限度の運動療法は、膝蓋骨を内方に安定させる内側広筋になります。

しかも、膝蓋骨を内方に安定させる内側広筋斜方線維を収縮させるような運動療法が必要になるわけです。

良く見かける大腿四頭筋の運動療法では伸展力の強化には有効でしょうが、

膝蓋骨の外側変位を修正することには少し無理があります。


局所には膝蓋骨を含めた大腿四頭筋の滑走の問題、ハムストリングの緊張・短縮の問題等など

全体的には骨盤後傾、胸椎後弯などのアライメント、二―インに対する股関節内転・内旋、

足部の回外などのアライメントの問題あるいは膝関節内反・外反の制御のため

股関節筋群の問題など足部、下腿、大腿、骨盤、体幹の適切な位置の問題等など

これらを考慮して運動療法を行う必要があります。


エクステンションラグが存在して膝関節が屈曲位に拘縮される傾向が強くなることは、

明らかに変形性膝関節症の発症あるいは進行に重要な要素になることは明白です。

なにも手術後の問題だけではありません。


運動療法によって膝関節の伸展力を強化することはそれほど重要な問題ではありません。

筋力強化という概念は捨てましょう!!

膝関節に対してメカニカルストレスの負荷を減少させる方向に運動療法を行う。

この根本的な概念が無ければ、運動療法は無意味だけではなく有害に働きます。

膝関節の手術における高位脛骨骨切術、楔状板を用いた足底挿板などの目的は、

膝関節の関節機能を温存して過重な力学的負荷の軽減あるいは分散させることです。

すなわち膝関節に対するメカニカルストレスの負荷を減少する方法です。


保存療法に最も早期に始める運動療法が内側広筋(内側広筋斜方線維)だと思っています。

さて、そろそろ本題である内側広筋の運動療法に移ろうと思ったのですが・・・・・・

その前になぜ内側広筋斜走線維が特異的に委縮するのか?(内側広筋が委縮という意味で)

加えて運動療法を始める前に筋肉の性質など知っておくべき事柄をお伝えしたいと思います。



touyou8syok9 at 21:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症

2014年03月06日

膝関節(125)

変形性膝関節症

運動療法

内側広筋について

カリエ(膝の痛みと機能解剖)によると以下のように述べています。

 膝は内側広筋の斜走線維によってのみの伸展が不可能。
 膝の最後の15°伸展にはそれまでの伸展に要した力の60%増しの力が必要とされている。
 そこで斜走線維が膝蓋骨を中心に位置させるように収縮すれば13%より少ない力で可能となる。
 内側広筋の単純な力だけでは難しく、斜走線維の働きにより最終伸展が可能。

一方では前回のべたように、大腿直筋のみで膝関節の完全伸展が可能という報告もあります。

内側広筋について、もう一度調べてみると(機能解剖学的触診技術)

 内側広筋は共同腱(大腿四頭筋腱)の内側に連続する内側広筋と、膝蓋骨内側ならびに
 内側膝蓋支帯に連続する内側広筋斜走線維に分けられる。

内側広筋

  起始:大腿骨粗線内側唇
  停止:共同腱(大腿四頭筋腱)へ移行後、膝蓋骨を介して脛骨粗面

内側広筋斜走線維
 
  起始:広筋内転筋腱板を介して大内転筋腱
  停止:膝蓋骨内側縁および内側膝蓋支帯

  内側広筋斜走線維の深層には比較的大きな滑液包が広がり、膝関節屈伸時の摩擦軽減に
  役立っている。
  この部分での癒着は、膝関節可動域制限の大きな要因となる。

内側広筋と内側広筋斜走線維角の違い

   共同腱の遠位での内側広筋で平均25、6°
   膝蓋骨に最も遠位で付着する線維で平均40、8°   
   このように内側広筋部に比べ遠位にあり内側広筋斜走線維部にては
   鈍角となるため膝関節の伸展ベクトルよりも、膝蓋骨の内方牽引ベクトルや下腿への
   内旋ベクトルの割合が増加する。

<内側膝蓋支帯>

  内側膝蓋支帯の緊張は内側広筋斜走線維の活動性に大きく依存する。
  内側膝蓋支帯の起始は内側広筋であり、膝蓋骨を介さず脛骨の内側上端に広く付着
  内側膝蓋支帯の前方は膝蓋骨の内縁から膝蓋靭帯、後方は内側側副靭帯につながる。

内側広筋の作用として

 膝関節の伸展。 走行上、下腿の内旋、内転を有している。
 
 内側広筋斜走線維では、膝関節の伸展作用以上に膝蓋骨の内方牽引力としての役割が大きい。

 下腿の内旋

 Knee-in toe outのアライメントにおける膝関節の安定化には内側広筋が中心的な役割を果たす。


ここまで読めば、内側広筋に対する運動療法が単純に伸展力の強化では無いことが理解できます。

内側広筋の近位部から中央の筋腹には膝関節の伸展作用として主に働いている。

(これは大腿四頭筋の共同腱として働く事によるためでしょう。)

そして、本来の最も力のモーメントのかかる遠位部に位置する部位である膝蓋骨内側ならびに

内側膝蓋支帯に連続する内側広筋斜走線維は、膝関節の安定に働く。

変形性膝関節症にとっては膝関節の安定性の確保は非常に重要です。

また癒着の問題も含め内側広筋斜方線維の重要性が理解できます。

この深層に位置する滑液包は炎症によって滑液が増量して非常に腫れる場合が多い。

次回に。

touyou8syok9 at 20:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 膝関節 | 変形性膝関節症