2014年12月

2014年12月25日

膝関節(165)

変形性膝関節症

足部について


足部の臨床での第1ターゲットは、距腿関節の背屈障害を改善することです。

変形性膝関節症の臨床においても必須条件です。


もう少し足関節の背屈障害を観察します。

足関節が背屈しづらい状態、つまり底屈位になると、腓骨は収斂して下制して外旋する。

 腓骨に付着している筋肉の緊張が起こる。

 長拇趾屈筋、長趾伸筋、長趾伸筋、後脛骨筋、長・短腓骨筋が常に腓骨を遠位に引っ張られる。
 (筋肉が伸長しながら収縮して緊張している状態が続く。)

 腓骨に付着している、大腿二頭筋も遠位方向に引っ張られ緊張する。

 反作用にて大腿二頭筋は、引き戻そうとして緊張する。
 (筋肉が短縮しながら収縮して緊張している状態が続く。)

 膝関節が屈曲しながら下腿が外旋される。 

 内側凸のX脚になり重心軸が変化する。

 膝関節の内旋筋の膝窩筋、内側鵞足を構成している半腱様筋、半膜様筋、縫工筋が緊張する。
 (筋肉が伸長しながら収縮して緊張している状態が続く。)


 変形性膝関節症の確定診断に至っていない人あるいは既に確定診断されている人の多くは、

 多くは、これが原因です。

 初期には膝関節内側部の疼痛、あるいは内側後部の疼痛を訴えます。

 浮腫は大腿四頭筋の周囲あるいは膝の前部の大腿四頭筋の延長である膝蓋靭帯

 あるいは内側・外側膝蓋支帯の周辺に多く見られる。(水腫ではない)


ここで、なぜ? 内側凸のX脚になり重心軸が変化するのに

内側の関節裂隙が消失するのか?内側の軟骨が焼失していくのか?・・・・

と疑問点が生じる人は 膝関節をまじめに感がせている人?

今回は、まず足関節の背屈障害を回復させることが目的なので、

答えはまだまだ先に述べます。

 
次に、足関節の背屈障害は底屈位での歩行は、足の内在筋を緊張させます。

 足部に存在する多くの関節、重要な関節に障害を起こす結果となります。

 踵に付着している短趾屈筋、拇趾内転筋、小趾外転筋が常に緊張して踵を遠位に引っ張る。
 (筋肉が伸長しながら収縮して緊張している状態が続く。)

 反作用にて下腿三頭筋が緊張する。(短縮した状態でさらに筋を収縮する)

 下腿三頭筋の腓腹筋は大腿骨を後下方に引っ張ることとなります。

 加えて前方の大腿四頭筋は上方に引っ張られ緊張。(引き伸ばされながら筋が収縮)

 膝蓋靭帯などは下方に牽引される。

 更に腓骨を下制させることとなり大腿二頭筋が緊張して、前記と同様の現象が起こる。



各関節の対応する手技には、触圧覚刺激法やPNFなど様々な手技があります。

得意な手技で対応されれば良いでしょう。

私は日頃お世話になっている触圧覚刺激法で距腿関節、足部の各関節を処置します。

しかし、それだけではやはり十分ではありません。

関節を動かしている筋にも直接対処しなければなりません。

今回は比較的、大きな筋肉を中心に述べてみました。

短縮されながら緊張する筋肉は硬くなって拘縮しやすく筋力が発揮できない傾向にある。

引き伸ばされ収縮する筋肉は、疲れやすく筋力低下しやすく弱化の傾向にある。

短縮した筋には直接筋膜リリースや硬結部の深部マッサージなど。

弱化した筋には筋力強化あるいは、弱化して忘れてしまった筋の学習も必要です。

モビライゼーションやマニピュピレーションなども必要かもしれません。

面倒だな〜〜〜〜と思われた方

素足歩行を実行してください。

既に足の固有感覚の観点から素足歩行を推薦しましたが、今回は

<裸足歩行は変形性膝関節症者の下肢関節の負担を軽減する.>

  執筆担当:県立広島大学保健福祉学部理学療法学科掲載:2012年7月1日

  HP参照  https://www.japanpt.or.jp/eibun/2012/1207_2.html







touyou8syok9 at 22:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 変形性膝関節症 | 足部について

2014年12月18日

膝関節(164)

変形性膝関節症

足部について

足部は小さい関節の集合体なのですが、

大きく分類すると、

解剖学的には後足部、中足部、前足部に分類されています。

 後足部:距腿関節、距骨下関節、

 中足部:横足根関節

 前足部:足根中足関節、中足趾節関節、趾節関節

機能的には後足部、前足部に分類されています。


私感とお断りしておきますが、

多数存在する足部の関節が臨床的にどこまで治療できるのか?

あるいは、どの関節をターゲットにするかが非常に重要だと思っています。

まず、 

  後足部の距腿関節、距骨下関節は観察できます。

  しかし、横足根関節の動きを観察するのは難しいと思っています。

  前足部の足根中足関節関節から遠位の関節の動きの観察あるいは一つは一つ

  個々関節の動きの観察もできよく理解できます。

  また前足部は距骨下関節との連動が重要になります。


   
足部においては、臨床で最初に注目すべき関節は、後足部の距腿関節です。

この関節は大きい関節ですし、観察および直接治療も可能な関節です。

実際の臨床では足部の小さな関節に対応できない場合もあります。

したがって、この関節の問題を改善することは臨床では非常に重要だと思います。

「木を見て森を見ず」という諺もあります。

細部にこだわって、何も処置ができないのは困ります。

でも、反対に「森を見て木を見ず」になってもいけないのですが・・・・・・

足部においての臨床は、まず大きな関節である距腿関節から行うのが効果的と思っています。


距腿関節の運動は、

 背屈・底屈・運動が正常にできるかどうか?

 背屈(屈曲)は平均20度、

   注目すべき点はしゃがみ込みの動作の多いアジア人は45°、あるいはそれ以上

   足尖は背屈時には、自然と上外方を向く。

   背屈すると、腓骨は開排して拳上し、内旋する。

 底屈(伸展)は平均40度とされ,個人差が大きく(30°〜60°)

   足尖は底屈時には、自然と下内方を向く。

   底屈すると、腓骨は収斂して下制して外旋する。

 その他の運動として内転・外転が存在しますが複合的な運動をすることとなる。

   内転すると、足尖は内方を向く。

   内転時には回外、底屈が自然に組み合わされて、足は内返しという肢位になる。

   外転すると、足尖は外方を向く。

   外転時には回内、背屈が自然に組み合わされて、足は外返しという肢位になる。

   後足部において回外・回内は一般的には内反・外反と呼ばれています。


これらを単純に考えると足関節における距腿関節としての基本の運動は、

背屈(屈曲)・底屈(伸展)運動になります。


臨床的には背屈・底屈運動を改善して正常化する。

皆さんは足の背屈・底屈運動は正常に出来ている・・・・・・・とお思いでしょうが?

実際は背屈障害をお持ちの方は非常に多く存在しています。


その一例として、

 年少期から足底の前面を床に着底したまましゃがみ込みができない。

 しがみ込むと後方にポテンと転倒してしまう小児や青年が非常に多い。

 距腿関節(足首)が背屈できないためこのように完全にしゃがみ込みことが不可能。

 多くの人はしゃがむと、踵を床からあげてしまい趾先に力をいれ膝が趾先の前に出てしまいます。

 このような人は、膝関節が内側に入ってしまいがちになってしまいます。
 
 このように距腿関節が底屈(気味)して、背屈障害を持っている人が非常に多いのです。

 底屈障害のある人もおられますが、非常に稀です。

 一度、足首をギューと底屈、ギューと背屈させてみてください。

 きっと、底屈はスムーズに動くが、背屈は動きづらく硬く抵抗感があると思います。

 一度、試してください。

 その原因は多種多様でしょうが、文明の発達による生活様式の変化、特に歩行様式の変化

 が最も大きな原因だと思っています。それは靴の着用にあると思っています。

 すでに靴下、靴の着用は足部の固有受容器を低下させるという事を述べましたが、

 直接歩行に影響を与える原因として、かつて凸凹の舗装されていない道路から

 きれいに舗装された道路の完備。

 素足→足半(踵部位が無い草鞋)→草鞋→草履→靴の着用そして様々な生活様式の変化、

 結果的に歩行様式の変化が大きな原因になり過剰回内した歩行になってしまっています。


このような状況になると・・・・・・・・・・・・・

 底屈位気味で趾先とりわけ母趾に力が入りやすい状況が通常化してしまっているのです。

 通常歩行においては、踵接地にすでに距腿関節が底屈位で着地する傾向があります。

 そうなると、通常歩行では踵外側からの接地が非常に困難になります。

 前足部の母趾球など内側から接地しがちで、過剰回内に導かれやすくなります。

 接地時が母趾球から小趾の中足骨頭で中足骨を広げて衝撃を緩衝したりします。
 
 重要な足の機能である足は転がりながら歩くという作用が消失してしまいます。

 踵のやや外側で着地して距骨が地面上をコロコロと転がって足底全体で接地して

 股関節伸展・膝関節伸展し地面を押し上げ踵離地後に第1中足骨、母趾に

 荷重がかかり足尖離地するという順序が狂ってきます。

 また前足部の内反変位になり易く、前回に述べた足の縦アーチが低くなってしまい、

 偏平足になってしまうこととなります。

 階段昇降時の特に降りる際に深く足首と膝関節の屈曲が必要ですが、

 足首が屈曲(背屈)できないと膝に負担がかかってしまいます。

これらは、内側型変形性膝関節症にとっても非常に不都合です。

 
距腿関節の背屈障害による他の変化

 底屈位気味ですのでつまずき易い

 歩幅が小さくなります。

 躓きやすいからに加えて遊脚相に移る手前で背屈が最大になるので、その動作ができないので

 自然と歩幅が狭くなってしまいます

 歩幅が小さくなり背屈障害があると足先を外方に向け足底の内方で歩行する。

 つまり蟹股で歩行するO脚です。

 このO脚は通常のO脚とはすこし様子が違う事に注意が必要です。

 通常のO脚は大腿内旋になっています。

 このO脚は股関節軽度屈曲・外転・外旋位で膝関節軽度屈曲位です。

 重心線は常に膝関節の内方、後方を通過することとなります。

 足部は内転・回外(内反)で補正することとなるので距腿関節は底屈する。

 後足部の過剰回内を促進することとなる。

その他にも

 足関節の背屈障害つまり底屈位は、常に踵が上方に向いている。

 つまり下腿三頭筋(腓腹筋、ひらめ筋)が引っ張られることとなるので、常に緊張し

 短縮してしまい、加えて足底筋膜は遠位の前方に常に牽引されてしまうこととなる。

 足底筋膜炎やアキレス腱炎など足裏やふくらはぎの傷害を起こしやすい。
 


足部の臨床での第1ターゲットは、距腿関節の背屈障害を改善することです。

背屈障害を改善すると足部のみではなく膝関節、腰など様々な関節に効果があります。





 

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2014年12月04日

膝関節(163)

変形性膝関節症

足部について

それでは前足部はどうでしょうか?

前足部の評価は後足部に対してどのような状態か?が問題となります。

足部の問題はあくまでも後足部が基本となります。

前足部は、後足部に対してのお話になります。


前足部の評価

 踵骨下部の接地平面と前足部である第1と第5中足骨を結んだ面とが平行であれば正常。

 前足部の面が外側に向けて傾斜していれば前足部内反

 前足部の面が内側に向けて傾斜していれば前足部外反

 
前足部内反がある人

 前足部が内反してしまっていたら、(後足部に対して過剰な回外状態)

 前足部が完全に接地するまで距骨下関節の回内が続いてしまうため、

 つま先離床時においても中間位に戻らない。

 これは問題ですね。

 常に距骨下関節が回外せずに常に過剰に回内している状態です。


 すでに述べたように過剰回内が継続すると抗重力での縦アーチの消失してしまいます。

 非抗重力においても土踏まずが消失してしまいます。

 完璧な偏平足が出来上がってしまいます。

 これは問題です。

 足部の特徴として

  後足部のみ内反(ほとんどの人)は非抗重力では縦アーチは通常ですが、

  抗重力では低くなる特徴があります。

  しかし、後足部内反に加え前足部内反の人は非抗重力・抗重力共に明らかに

  縦アーチが低くなる特徴があります。

  明らかに偏平足を形成してしまうことになります。

  内側型変形性膝関節症にとっては非常に不都合な足になってしまいます。

 
前足部内反には以下の二通りのタイプがあるとされています。

  
 1、横足根関節の回内制限され立脚中期からの前足部での接地ができないため

   踵離地期に急激な回内がおこる。

   足裏の圧力は、

   足底接地までははほぼ正常歩行だがその後も外側サイドウエッジを通り

   踵離地で第5中足骨底に移り其の後急速に母趾に移る。

 
 2、距骨下関節の回内で保障されているものは、立脚初期から過剰回内がおこる。

   足裏の圧は

   踵接地後外側ではなくいきなり内側のサイドウエッジに荷重がかかり

   踵離地でやや外側、第2,3中足骨底そして母趾内側に移ってしまう。


前足部内反の人がおこり易い症状として

 第2または第4、5趾の内転・内反ハンマー趾変形、外反母趾、膝関節損傷など


前足部外反にも二つのタイプがあるとされています。

 1、歩行時に縦軸で回内・回外をおこす

   踵接地から立脚中期にかけて前足部が外反位から内反位へと回旋し

   距骨下関節は外反へと連動するので自由度は比較的ある。

   足部の特徴として

    非抗重力時は土踏まずは高いが、抗重力時はわずかに下がる。

   症状として、
    
     結果的に、前足部内反と同様の症状がおこり易くなるといわれている。


 2、立脚中期から推進期にかけ前足部荷重が大きくなる時期では、前足部の剛性がなくなり

   過剰回内を生じるとともに、足関節背屈が生じる。

   前足部が後足部に対して剛直で外反した前足部の前後での自由度がない。

   足部の特徴

    抗重力・非抗重力ともに土踏まずが高い。

    したがって、土踏まずが通常より持ち上がった足で甲高の足が特徴

   症状として

     第1および第5中足骨底側胼胝、母趾〜中趾の槌趾 慢性的足関節症 

     足部および下腿筋群の疲労、膝関節外側損傷など


足部については、今まで述べてきたことを理解して臨床に移るのですが・・・・・・・・・・・・ 

イザ!! 臨床となるとこれがまたなかなか難しい。

皆さんは一体どのように対処しているのでしょうか?




touyou8syok9 at 22:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 変形性膝関節症 | 足部について