2017年01月

2017年01月26日

腰痛(5)

腰痛症

特異的腰痛の問題

まず、事実として

1、パトリック・ウオール(イギリス生理学者で疼痛研究の先駆者1925〜2001)は、

  椎間板ヘルニアと診断される患者は人口の1〜3%存在する。

  しかし、腰痛を持つ人、そうでない人も、椎間板ヘルニアの発症率は変わらない。

2、椎間版ヘルニア等の診断に欠かせないMRI画像

  軟骨、靱帯、筋肉、神経の状態を得ることができる。

  しかしながら現在の画像は、馬尾神経や神経根などの神経組織の病態を抽出するよりも、

  周囲組織の形態異常の抽出に重きを置かれている。

  MRIの矢状面の画像は、椎間孔の診断に有効です。

  MRIの横断面の画像は、脊柱管の狭窄の程度が理解しやすい。

  矢状面と横断面の両面の診断と臨床症状との乖離があるかないか?

  何を評価するための画像検査するのか?

  したがって、画像診断のみでは過大評価あるいは過小評価につながりやすい。

3、高齢者の7割には椎間板ヘルニアが存在する。

4、腰痛経験者の47%が正常なMRI所見

  MRIなどの画像診断fで椎間板が突出している人の健常人が5年、あるいは7年後に

  坐骨神経痛や重篤な腰痛に発生しないという報告があります。

  神経障害の存在を明らかにするために造影MRIが用いられるが、MRI造影診断の

  神経放射線学的診断価値は不明との報告がある。

  MRI、CTあるいは脊髄造影は神経症状のある症例には有効だが、無症状例にも

  同様な変化が認められる

  したがってMRI画像の感度は有効だが特異性は低い。

5、神経根の圧迫(機械的刺激)が根性疼痛の原因と考えられていたが、現在では後根節への

  圧迫を含めむしろ化学的な刺激によることが認められています。

  (P物質、フォスフォリパーゼA2などのペプチドや酵素などによる化学的刺激)

6、ヘルニアは消失する場合がある。

  髄核が炎症を起こすと白血球中のマクロフアージの働きが活発になります

  マクロフアージは飛び出した髄核を次第に吸収するために

  輪線維の外まで髄核が脱出しないほうが、疼痛が持続する可能性が大きい。

  脱出したヘルニア周囲に血管の豊富な肉芽が形成され、蛋白分解酵素

  貧食細胞などが出現しヘルニア組織を、貧食吸収してしまう。

  したがって前回述べた以下の報告は理解できます。

  脱出型ヘルニアは時間と共に小さくなりやすく、膨隆型はなかなか小さくならないという

  報告もあります。

  その分、改善が早いというのも少しずつ研究から報告されています。

  脱出型ヘルニアは膨隆型に比べて強い痛みが出やすい。

7、輪線維の外層には椎骨洞神経が分布しています。

  椎骨板の内部には分布していない。

  椎骨板が損傷すると、血管と椎骨洞神経が椎骨板内に伸びていき、椎骨板内の炎症に反応し、

  痛みを引きおこす。

  ヘルニアが脊髄神経ではなく後根神経節を圧迫すると、坐骨神経痛を引きおこす。

  また脊髄後根が変性すると、求心路遮断痛を引きおこす。

  (※求心路遮断痛:ごく簡単に、末梢からの感覚入力が遮断された後に生じる痛み。)

   しかしながら、慢性的に腰痛の人の多くはこのような原因を発見されない。

  後根神経節は、体の感覚信号の中継であります。

  後根神経節は、ブラジキニンやプロスタグランジンを感知する受容体もあり、

  強烈な痛覚信号を後根神経節自らが発することもできる。

  後根神経節は、侵害受容器が存在するが、脊髄後角から後根神経節に至るまでの間には

  侵害受容器が存在しない。

8、その他

  
次回に






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2017年01月20日

腰痛(4)

腰痛症

特異的腰痛の問題

 腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症は神経根や硬膜内の馬尾神経などを

 圧迫・絞扼して神経障害を引きおこします。

 圧迫・絞扼期間が長引くほど、神経障害が回復困難、回復不能に陥っていきます。

 手術の眼目は直接的に神経の圧迫・絞扼よっておこる圧力を取り除くことです。(除圧)

 あるいは区画内圧を手術によって間接的に神経・絞扼を取り除く事を目的に行われます。

 適切な時期、適切な手術によって神経障害が回復します。

 前回述べた事柄を考慮して保存療法を続けます。


本題に入る前に注意して欲しいこと!!(前置きが長いですが・・・・重要だと思います)

腰椎椎間板ヘルニアとは何でしょうか?

椎間板

  椎間板はムコ多糖類ゲルで構成される水力学的に弾力性の構造物

  椎間板は中心の核である髄核と線維輪と呼ばれる硬い結合組織からなっている。

  髄核は況燭離灰蕁璽殴鸚維を含むプロテオグリカンのゲル。

  その細胞間質は日常の機能において水を吸収する親水性の物質。

  その髄核の周りに輪線維の鞘(または椎間線維軟骨)が取り巻く。

  線維輪は椎骨骨端板に附着している。


椎間板ヘルニア=椎間板の脱出という意味で解釈されていますが・・・・・

1、ヘルニア(脱出)にもいろいろあります

   膨隆型ヘルニア:髄核が線維輪を突き破らない。

   脱出型ヘルニア:髄核が線維輪を突き破った状態。

              後縦靭帯の断裂は伴う場合と伴わない場合がある。

       脱出遊離型:脱出した髄核の先端のほうが独立して遊離(分離)された状態

2、膨隆

   椎間板の膨隆:椎間板にダメージを受けてふくらんだ状態。


※MRIにて椎間板の突出が4分の1周=25%までをヘルニア、それ以上を膨隆という。


<脱出型と膨隆型の最近の報告>

 〇脱出型ヘルニアは時間と共に小さくなりやすく、膨隆型はなかなか小さくならない。

 〇脱出型ヘルニアは膨隆型に比べて強い痛みが出やすい。

 〇手術が必要とされている椎間板ヘルニアの症状の患者に、保存治療の期間を

   2〜3週間伸ばしたところ、脱出型ヘルニアの患者は手術を行わないでも大丈夫な人が増え、

   膨隆型は変化がない。・・・・・・・・・・・・・という報告

 
椎間板ヘルニア(脱出)の起こる原因

 椎間板に回旋力とともに圧縮力が加わり、椎間板の核を取り巻いている線維輪に障害を起こす。

 従ってギックリ腰、腰椎辷症、圧迫骨折などでも椎間板が脱出、膨隆、断裂、突出や変性によって

 腰椎ヘルニアや脊柱管狭窄症などを引きおこす。

 さらにもともと椎間板ヘルニアがある人、椎間板に加齢変性のある人は、わずかな外力により

 椎間板性の障害を発生しやすい。


1、2により移動した、髄核あるいは線維輪によって様々な臨床症状を引きおこすのです。

 輪線維の断裂により髄核が内部でとどまっているがいろいろな方向に移動する。

 髄核が内部でヘルニアをおこし外層の線維輪が突出すると、椎間孔内で神経根を圧迫。

更に

 椎間板ヘルニアにかかわらず、椎間板の変性で脱水症状による椎間腔の減少が起こります。

 前方で椎骨が近接すると、後方でも同様に椎間関節の近接が起こり、軟骨の損傷を加える

 機械的に前方および後方での狭窄は椎間孔を閉じてしまう。

 椎対の近接は骨棘と呼ばれる変形性の骨過剰形成をおこします。

 これもまた、椎間孔を狭めます。

 関節軟骨関節面の変形状疾患は椎間孔を閉じる要因となります。

 脊柱管の短縮によって黄色靱帯にたるみが出て狭窄を引きおこします。

 これらが相まって椎間孔狭窄と脊柱管狭窄を引きおこします。

 狭窄した部位の神経が圧迫されて様々な臨床症状をおこします。


さて、画像で明らかにヘルニアがあるが

 全く無症状の人。

 初期には激痛、疼痛があったのだが・・・・・・・・今は無症状。

 あるいは軽い疼痛はときおり存在するが、シビレや筋力低下などの神経障害はない。

 反対に疼痛は無いがシビレなどが存在する

このようなケースは臨床の場では多く存在するのです。

なぜでしょう? 

今回の説明で想像できると思いますが・・・・・次回に



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2017年01月12日

腰痛(3)

腰痛症

特異的腰痛の問題

 特異性腰痛ですので、レントゲンやMRIなどの画像診断で異常が発見されます。

 それでもすでに述べたように手術に至るには非常に少ない。

 病名で多いのは腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、圧迫骨折、腰痛分離症、すべり症など。

 最近は非常に脊柱管狭窄症の患者さんが多くなっています。

 これは50歳後半からはヘルニアがある場合に中を通っている神経の束や血管や脊柱管から

 出ている神経(神経根)が圧迫され留場合が多いために、一昔前ならヘルニアと診断されたのですが

 現在では脊柱管狭窄症と診断されるためです。


皆さんは、非特異的腰痛、特異的腰痛にかかわらず腰の疼痛やシビレに目を向けがちです。

疼痛、シビレは非常に辛いですが手術の非適応の非特異性疼痛でも多くおこります。

まず最初に見過ごしてはいけないポイントは、

〇脊髄に起きた神経障害か?(脊髄神経ではアリマセン)

  頚椎(けいつい)から腰椎最上部にあり、脳と同じく中枢神経系の障害です。

  血行が悪くなって麻痺(まひ)を起こしたときには、早く血行を再開させないと回復しにくいです。


〇馬尾に起きた神経障害か?

  脊髄の一番下から下に向かって、神経の束が伸びています。

  この束は、下方のいくつかの椎骨を通って、仙骨(脊椎の根元にある骨)の上まで達しています。

  この神経の束は、馬の尾に似た形をしているため、馬尾と呼ばれています

  この神経の束が圧迫されると、下半身の広い範囲に痛み、しびれ、麻痺などが現れます。

  圧迫が進行すると、腰痛や下肢の神経痛・しびれなどの感覚障害、下肢の運動麻痺、

  尿閉や尿・便失禁、性機能障害などの馬尾症候群を引きおこします。

  馬尾症候群はヘルニアや脊柱管狭窄症が進行、あるいは脊髄・脊椎の腫瘍、硬膜外血腫

  感染からの化膿性椎間板炎や膿瘍が原因で起こります。

  特に、急速に発生した腰椎ヘルニア、脊椎骨折は非常に危険です。

  レントゲン撮影、MRIなどの画像診断のおかげで診断は比較的容易になっています。

  とにかく急性は少し趣が違ってきます。


〇神経根に起きた神経障害か?

 背骨から左右に出ている脊髄神経の根元で、ほとんどは左右どちらかに障害が起きて、

 片方の脚に痛みやしびれなどの症状が現れます。

 特異的腰痛においては一般的には、この神経根のレベルが問題になります。


本題の特異的腰痛おいては、手術するかどうか?・・・・・・・・・・・は

痛み、シビレに関わらず以下の神経障害に注意してください。

1、反射:腱反射などを調べる

  支配神経の腱反射が正常か? 鈍くなったり亢進したりしているかどうか?

  中枢性障害(脳、脊髄)では深部腱反射は亢進もしくは異常反射が出現します。

  腱反射は末梢神経障害では低下もしくは消失します。

2、筋力:筋力を調べる。

  支配神経が正常に働き、その支配されている筋肉が正常に働いているかどうか?

  筋麻痺をおこしているのか?

  神経根の支配する筋肉の筋力を0〜5段階で記録する。

  筋力5:強い抵抗を与えても、完全に運動可能・・・・これが正常の筋力です
  筋力4:ある程度の抵抗に打ち勝って、正常可動域の運動可能
  筋力3:抵抗を加え無ければ、重力に抗して正常可動域の運動可能
  筋力2:重力を除外すれば、正常可動域の運動可能
  筋力1:筋のわずかな収縮は起こるが、関節は動かない
  筋力0:筋の収縮が全く認められない。

  筋力3以下ならば要注意!!

3、感覚:皮膚感覚を調べる。

  支配神経の領域の皮膚感覚が正常か? 減弱しているかどうか?

  触覚:感覚鈍麻、感覚消失、感覚過敏
  
  痛覚:痛覚鈍麻、痛覚消失、痛覚過敏

  その他に温度感覚もあるがあまり関係ないので省略

レントゲン撮影、MRIなどの画像診断に加え上記の3点は必ず確認してください。







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