2017年11月

2017年11月30日

腰痛(30)

腰痛症

特異的腰痛の問題


最近、インナーマッスルである体幹筋を鍛えましょう!!・・・・・・・・?

という主旨の出版物が多いですね。

インナーマッスル=体幹筋、と誤解されて使用されている場合があります。

一般的に筋の存在する部位(深さの概念)によって浅層筋と深層筋に分類する方法

 浅層筋のアウターマッスル

 深層筋のインナーマッス(コアな筋)


今回は、前回の説明不足の補足です。・・・・筋をもう少し説明


通常、骨格筋は体幹筋と体肢筋に分類されます。

 体幹筋

  後体幹筋:背部の筋

  前体幹筋:頭部の筋、頚部の筋、胸部の筋、腹部の筋

 体肢筋

  上肢の筋、下肢の筋

上記の骨格筋の体幹筋をその解剖学的特性から次の2種類に大別されます。

体幹の筋

 ★グローバル筋・・・・・・表在にある大きな体幹筋群。
 
 ★ローカル筋・・・・・・・・体幹深部の脊椎分節間制御に関与する体幹筋群。

体幹の筋群=インナーマッスルと理解している場合があります。

重なる部分もありますが、筋の特性の分類の趣旨が全く違っています。


グローバル筋、ローカル筋は、腰痛症などの体幹筋を主眼とした疾患などの場合に

この方法で分類される場合があります。

インナーマッス、アウターマッスルに類似点も多いので少し補足説明しておきます。


★グローバル筋:表層にある大きな体幹筋群

<特性>

   胸郭と骨盤をつないでいる筋。

   腰椎などの各椎体に直接附着しいない筋。

   最長筋、腸肋筋などの胸郭と骨盤を継いでいる筋。

   浅層に存在する筋

      体幹背部の筋:最長筋、腸肋筋など

       最長筋、腸肋筋は一つ一つの筋は小さいが脊柱起立筋として胸腰筋膜で被われて

       大きなコンパーメントを形成しています。

      体幹腹部の筋:腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋など

   グローバル筋の多くは多関節筋で脊柱の大きな力、力強い動作を司ります。

   つまり主たる目的運動を起す筋肉です。

  ※その他にも体幹筋群のグローバル筋は存在します。
    煩雑になるので、この項の最後に。
    

★ローカル筋:体幹深部の脊椎分節間の制御に関与する筋群。

<特性>

   腰椎などの各椎体に直接附着している筋

   多裂筋、腰方形筋、大腰筋、腹横筋などの腰椎に直接附着する筋など

   多列筋は最長筋、腸肋筋の深層に有り脊柱起立筋として胸腰筋膜で被われ

   コンパーメントを形成しています。

   中位の腰椎レベルでは脊柱起立筋と多列筋の筋横断面積の割合は

   約50%である。

   下位の腰椎レベルにおいては多列筋の割合が次第に大きくなっています。

   その深層に腰方形筋が横突起部に存在し、大腰筋が椎体に接して存在している。

   全方向位に対して姿勢保持の張力を発揮する筋肉。

   ローカル筋の多くは単関節筋で分節的に腰椎の安定性に働きます。

   固有受容器が豊富で脊柱の動きを脳に伝える。

   腰椎の安定筋として作用するのはモチロンなのですが、

   重要な作用は円滑な運動を行うためには、このローカル筋が各動作に先立って収縮し

   脊柱を安定させ、次に体幹の浅層筋であるグローバル筋、四肢の筋群が順次活動します。

   ローカル筋が、「先読みの筋」と呼ばれている由縁です。

  ※この他にも体幹筋群のローカル筋は存在しています。
    煩雑になりますのでこの項目の最後に。


グローバル筋とローカル筋の相互作用によって体幹は安定し、正しい運動がでる。



※体幹の筋群

〇後体幹筋

背部の筋

 浅層筋:すべて椎骨の棘突起からおこります

     上肢、ことに上腕との関係が深いので棘腕筋と呼ばれる。

     僧帽筋、広背筋、

     菱形筋、肩甲挙筋

 深背筋

     棘肋筋:上後鋸筋、下後鋸筋、

     棘背筋(固有背筋とよばれる)

     長背筋:板状筋、脊柱起立筋(腸肋筋、最長筋)、棘筋、半棘筋、頭半棘筋

          多列筋、回旋筋

     短背筋:棘間筋、横突間筋

     深項筋:大後頭直筋、、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋、外側頭直筋


〇前体幹筋

 頭部の筋

 頚部の筋

 胸部の筋

 腹部の筋

  前腹筋

    縦走筋:腹直筋、錐体筋

    斜走筋:外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋

    腹筋の腱膜

    腹膜筋

  後腹筋

    腰方形筋

  尾骨の筋

    前仙骨筋、後仙骨筋、尾骨筋


どの筋がグロ-バル筋、ローカル筋なのか。

各筋の特性を考慮してください。臨床では必要です。

最近では、ローカル筋である多列筋、腰横筋の重要性が多く取り上げられていますね。


   

       

touyou8syok9 at 21:00|PermalinkComments(0) 腰痛 | 特異的腰痛

2017年11月22日

腰痛(29)

腰痛症

特異的腰痛の問題

今回から治療

ヘルニアがL2〜S1におこるのだからその付近のヘルニア根を排除する。あるいは

脊柱狭窄を広げたりする治療が観血的治療法の手術の目的ですね。

保存療法における薬物療法は、鎮痛剤、ビタミン剤、抗うつ剤等が主体です。

炎症を抑制する、筋緊張を低下させる、血行を改善させる、精神の不安、負担を和らげる。

これらの目的で薬剤を服薬するのです。

感覚麻痺、筋力低下、馬尾症状などには効果的な薬物ではありません。

これらの薬剤は手術療法によるヘルニア、脊椎狭窄を直接ターゲットとしている

手術療法とは目的が全く違っています。

つまり特異的腰痛の腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄に直接的に効果があるわけではありません。

特異的腰痛の症状の一部をターゲットとして行われています。

薬物療法は特異的腰痛にかぎらず非特異的腰痛の治療法とそれほど大差はありません。


一方、保存療法による手技療法はどうでしょうか?

多種多様な保存療法が存在しますが、特別腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄に対応する

特別、特殊な手技療法は無いといっても良いでしょう。

少しの工夫と時間が必要ですが基本的には通常の腰痛症とそれほど変わりません。

順次お読みになれば理解されると思いますが、薬物療法と手技療法の目的も

それほど変わりません。

どちらが優れているかは一長一短、ケースバイケースだと思っています。

上手に併用されるのが良いと思います。

担当していただいている先生とご相談されるのが良いでしょう


腰部椎間板の障害、椎間関節あるいは仙腸関節の障害はなぜ発生するのか?

日常動作、あるいは特定動作の繰り返しによる物理的な力学的なストレスです。

当然、事故などにより急激的な物理的に大きな負荷による場合もあるでしょうが、

むしろ、そのような場合は稀なケースでしょう。

一体?何時から?腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄になったか分からないでしょう。

慢性的な腰痛症で悩んでおり、MRIを撮影して診断を受けた人がほとんどでしょう。


さて、手技療法を行うならば腰痛症における基本的な考えは理解する必要があります。
 
 腰椎を含む脊柱は脊椎の積み重なった不安定な構造です。

 椎体間の動き、腰椎としての動き、腰椎・胸椎・頸椎として脊柱全体の動き

 脊椎の分節的な動きに連なり蛇腹のように脊柱全体への動きとなります。

 更に、その脊柱は下方において骨盤、下肢、上方には胸郭、肩甲帯、上肢へと繋がります。

 脊椎には直接附着する筋があります。
 
 更にその安定性は体幹の筋群による張力によってまかなわれてバランスと安定を得ます。

 これらの体幹の筋群を大きく分類すると、胸郭と骨盤、肩甲帯などに附着する浅層筋と

 各椎体に直接附着している深層筋に分類されています。

 
日常的な動作においてこれらはどのように作用しているのでしょうか?

 体幹の深部筋が運動の始まる前から働き脊柱分節の安定性を得ます。

 次に

 体幹の浅層筋が働き胸郭と骨盤の運動が起こります。

 次に

 四肢(上肢あるいは下肢)が働くことになります。

極めて当たり前のように記述していますが、運動学ではとっても重要なことなのです。

シッカリとした支点(軸)があってこそ初めてキチントした・バランスのある動作ができるのです。

その支点(軸)がグラグラと動いていたら正しい動作はできないのです。

これらが知らず知らずに最終的に椎間間関節に器質的な障害を引きおこす結果となるのです。

日常生活で行う歩行や座る、立ち上がる、さらには肩を上げる、腕を振る、物を持ち上げる、

物を握る等々全ての動作に関係しているのです。

更に複雑なのは、動作によっては支点が作用点になったり、作用点が支点になったり

非常に複雑な変化をしながら各動作が行われているのです。


手術療法は観血的に一部の腰椎を取り除いたり、削ったり、広げたりしていますので

極めて少ない脊椎の分節の器質的障害をターゲットにしてして症状を改善させます。


椎体の器質的な障害が直接的に症状を引きおこしているかどうかは別にして、

手技療法では椎体の器質的な部位には直接アプローチはできないことは理解すべきです。

したがって、手技療法を行う場合は、単に障害関節の腰椎、一部椎体の分節を

治療のターゲットするだけでは療法とし全く不十分だと言うことが理解できると思います。

障害関節の単関節あるいは腰椎のユニットのみの療法では不十分です。

モチロン全ての関節をターゲットとしてはあまりにも膨大になりますので

少なくとも障害関節である腰の関節(腰椎関節)の上方では胸椎、頸椎、肩甲帯、

下方の関節では、腰仙関節、仙腸関節、股関節、膝関節が対象になるでしょう。

罹患期間が長期にわたるほど更に多くの多関節を考慮しなければなりません。

これが、症状の改善には少しの工夫と時間が必要になる大きな理由ですね。


これが1回、数回で治る?あり得ません。期待はしない方が良いでしょう。

奇跡は滅多に起こらないから奇跡なのです。

奇跡は信じるもので期待するものではアリマセン。






touyou8syok9 at 23:00|PermalinkComments(0) 腰痛 | 特異的腰痛

2017年11月13日

腰痛(28)

腰痛症

特異的腰痛の問題

腰椎椎間板ヘルニアあるいは脊柱管狭窄と診断された皆さんは

なぜか?

通常に診られる腰痛症である非特異的腰痛と全く違った疼痛の腰痛では?・・・・・・

と勘違いしております。

腰痛という疼痛に関してはギックリ腰などの方が疼痛が強い場合も多い。

二者の大きな違いは、特異性腰痛には、

MRIなどの画像診断で明らかな椎間板ヘルニアの脱出が認められる。

そのために、神経根などが圧迫されている。

そのために、脊柱管などが狭窄されている。

そのために、馬尾症候などが引きおこされている。

症状は、

疼痛は椎間板が脱出した直後には組織の損傷が強い場合には炎症も強いために、

疼痛が強い場合もある。

炎症が治るにつけ疼痛もそれに伴い治まる。

重要な症状は、脱出した椎間板の圧迫神経根、脊柱管狭窄に伴う神経症状が必ず存在する。

運動麻痺による筋力の低下、感覚麻痺による感覚の消失などの障害がある。

正常反射の減弱が認められる。

病的反射の亢進が認められる。

馬尾症候群が認められる。


これらの症状とMRIの診断と症状が一致する。

一致しなければ、非特異性腰痛つまり普通の腰痛と何ら変わりはアリマセン。


ただし、注意するのは画像に写っているのは事実ですので、

腰に負担のかかる激しい運動や事故などには注意してください。

今の脱出しているヘルニアが一気に大きく脱出してしまう可能性があります。

今のヘルニアの状況が進行して筋力の低下や馬尾症候がおこることもあるわけです。

疼痛の増加はモチロンですが、その他の症状が現れた際には、再度MRIを撮影してください。

前回との映像と比較することは必要です。

単に症状だけの変化なのか?

症状の悪化と共に画像も悪化しているのか?

常に比較する必要はあります。


そういった注意をしながら保存療法を続けてください。

ヘルニアや脊柱管狭窄は必ず治る?

ヘルニアや脊柱管狭窄は絶対に手術が必要?

どちらも正しくはアリマセン。 正しい場合もあるし、ない場合もある。


このようなことを理解し保存療法を続けましょう!!

保存療法は、手術以外は少しの工夫と時間が必要ですが・・・・・・・・

通常の腰痛症とそれほど変わりません。

それ故に、巷ではヘルニアは切らずに治る!!

年間〇〇〇人のヘルニアを治した!!?奇跡の治療家!!?・・・・・等

とにかく宣伝も多々存在するのも事実ですね。

MRIの画像診断と症状が一致する場合が非常に少ない。という事実から

大袈裟にこのような宣伝も多く出現するのも事実でしょう。

臨床では「十把一絡げ」にならないように注意すべきです。

また、腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄症と診断された方も決してあきらめてはダメです。

保存療法によって回復する見込みの方が遙かに多いのですから。



touyou8syok9 at 17:04|PermalinkComments(0) 腰痛 | 特異的腰痛