2012年09月13日

膝関節(52)

膝関節の靭帯損傷

十字靭帯損傷

○前十字靭帯損傷:比較的頻度は高い。
            膝外反・下腿外旋強要により受傷しやすい。
            ジャンプからの着地、急停止や方向転換などによる、脛骨に
            前方ストレスが加わり発症する。

 この靱帯は大腿骨に対して下腿の前方移動、内旋、膝関節外反、過伸展を制動している。
 そのほかに屈曲・伸展における運動軌跡の誘導に重要となる。

 前十字靭帯が損傷すると、
 屈曲30°から完全伸展する際に、脛骨外側顆が内側側副靭帯付近を中心に、内旋するように
 前方に亜脱臼する。
 この動きには、弾発現象を伴い著しい不安感を伴う。
 
 膝関節伸展位から屈曲する場合にはこの逆のメカニズムが起きる。

 この損傷による不安定を動的前外側回旋不安定性と呼んでいる。

 理学的徒手検査:前方引き出し検査、ラックマンテスト
           
           N―テスト:背臥位、膝関節60度屈曲位
                  母指にて腓骨頭を前方に押し出し、下腿に内旋力、膝関節外反力を
                  加えながら膝を伸展させる。
                  断裂があれば、膝関節20度付近で脛骨外側顆が前方に亜脱臼。
        pivot shift test:下腿遠位部を把握、膝関節軽度屈曲位とする。
                  断裂があれば、この状態で前方に亜脱臼した状態になる。
                  下腿に内旋力と外反力を加えながら屈曲していく。
                  膝関節30度付近で亜脱臼していた脛骨外側顆が整復されるのが
                  触知される。

この靭帯は治癒能力がきわめて低く、自然に修復されることは稀だとされています。

近年、新鮮損傷における十字靭帯(前十字靭帯も)を治癒に導ける保存療法として、
動的制動能力に優れた膝装具による保護的早期運動療法が靭帯修復に有効だという
臨床報告もあります。
但し残念ながらまだまだごく一部の病院で実施されているにすぎないようです。
そのため現状の臨床では、保温療法ではなく手術療法が主流になっています。

従って関節鏡視下靭帯再腱術が主な治療になります。

剥離骨折にも注意が必要です。


○後十字靭帯損傷:コンタクトスポーツやダッシュボード損傷が有名です。
            脛骨に後方ストレスが加わり発症する。
            前十字靭帯の2倍の強度があるとされています。
            前十字靭帯損傷より頻度は少ないとされていますが、
            私のような柔道整復師の臨床レベルにおいてはより多く遭遇する感が強い。
                   
            側副靭帯や後外側機構の損傷を伴うことも多く、機能障害を残しやすく注意。
            特に、膝窩筋複合体などを損傷すると、歩行や走行などの荷重時に、
            膝関節内反動揺や脛骨外旋動揺が増大する後外側回旋不安定性が発生する。
            
脛骨付着剥離骨折を伴いやすいので注意。

動揺性が軽ければ保存療法である装具固定が実施される。

 理学的徒手検査:後方引き出しテスト、ザギング兆候、グラビィティーテスト、

            後外側回旋不安定テスト・・背臥位、膝関節90°屈曲位にて脛骨上端を把握し、
                            後外側方向への動揺性を診る。
                            腓骨頭が後外側に偏移すれば陽性。
            reversed jerk test・・・・・背臥位、膝関節45°以上屈曲させ、下腿を外旋させる。
                           この時、脛骨外側顆は後外側に亜脱臼。
                           ここで、膝関節に外反力を加えながら徐々に
                           伸展させる。
                           完全伸展位になる直前に整復されれば陽性。


※膝関節の靭帯損傷においては、不安定性の有無が重要であり、合併症にも注意が必要。
 理学的徒手検査は重要になります。
 
十字靭帯の前方・後方引き出しによる不安定性のテストは有名すので実施されますが、
前外側回旋不安定性および後外側回旋の不安定性の確認テストも必要ですので、
必ず実施するように注意することが必要です。

膝関節の靭帯損傷においては、私を含め施術者レベルでは、診断能力が最も重要です。
損傷を疑えば、医師に託し、レ線やMRIによる確実な診断そして年齢や日常生活における仕事や
スポーツ等の支障を考慮され、手術になるケースが非常に多い疾患になります。

しかしながら手術後あるいは長期による装具固定後における疼痛の軽減や機能回復においては、
柔道整復師の施術者レベルでも充分に対処、対応ができ効果も大きく期待できる疾患です。

くれぐれも焦らず、自信をもって診断し、疑えば医師に託しその後の施術にシッカリと対応しましょう。


touyou8syok9 at 19:06│Comments(0)TrackBack(0) 膝関節 

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