関節軟骨

2009年12月10日

関節を知ろう(25)

関節軟骨の損傷について

通常では二重三重に守られた関節軟骨は一生守ってくれるのですが、

「ある力」が働いた時に関節軟骨に傷害が起こる影響が大きいといわれています。

免荷作用、潤滑作用など二重三重に守られた関節軟骨が最も嫌う「ある力」とは?


それは、

せん断力と言われています。

せん断力(剪断力、せんだんりょく)とは、物体内部でズレを生じさせる力です。

つまり、

逆向きの2つの力によって、部材内にある断面にすべりやズレが生じる力です。

ハサミや地震の際の断層面のズレや、地滑りなどもせん断力が原因です。

物質内では力を横に流そうとする結果、せん断力が引き起こされるのです。


関節に置き換えると、関節の運動時は、関節軟骨には二つの関節面(凸凹面)上では、

圧迫、離開、滑り、転がり、軸回旋という運動をします。

この場合に関節内にある軟骨基質の断面にすべりやずれの力(せん断力)がかかり、

関節軟骨基質であるコラーゲン線維の先端がゆがんでしまうのです。


残念ながら関節の運動時には自然とこの「せん断力」が加わります。



関節軟骨の損傷とは、ゆがんだコラーゲン線維の限度を超えるほどの

過剰な圧力およびせん断力が加わった際に、コラーゲン線維が切れた状態です。



少し例を挙げますと、「せん断力」が最もかかる関節が膝関節と言われています。


膝関節はすねの骨(脛骨)の上に太ももの骨(大腿骨)が乗った状態です。

立位ではもともと体重による垂直方向の圧縮力(あっしゅくりょく)がかかっています。

しかも、もともと大腿骨の軸と脛骨の軸は一直線上にはありません。

生理的外反といって脛骨軸に対して大腿軸が5〜10度外反しているのです。

そのほかにも力学的にも高度な負荷、力学的ストレスで酷使される関節ですが・・・


単純に、

体重がかかった状態で、大腿骨が脛骨の上をこすれあうように動きます。

もともとの「体重の圧縮力」「軸のズレ」がある状態プラス「圧迫、離開、滑り、転がり、軸回旋」

という運動の際に生じる「せん断力」が非常に大きいのです。

スポーツなどの際には、プラス「大きな外力」が加わります。

半月板断裂や大腿骨内側上顆などの軟骨損傷が非常に多い関節です。



もともっと単純に言えば、・・・・・・・・

過剰な「圧縮力」プラス「捻転力」が関節には最も避けるべき関節運動となります。

ついでに、過剰な「張力」プラス「捻転力」も関節には避けるべき運動です。



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2009年12月07日

関節を知ろう(24)

関節軟骨

少し、線維軟骨の性質(硝子軟骨との相違点)を述べてみたいと思います。


関節というと滑膜性の関節です。

滑膜性の関節における関節軟骨は硝子軟骨でありましたね。

関節軟骨イコール硝子軟骨でした。

関節包の内層の滑膜から分泌される滑液を含む関節液が関節腔で満たされています。

この関節液に満たされた硝子軟骨の免荷作用と潤滑作用によって関節が守られていました。

荷重負荷のかかりやすい関節には関節腔の中には関節の補助装置である

関節円板、関節半月などのような線維性軟骨である関節小板が存在する場合があります。

したがって、線維軟骨も少し知っておく必要があります。


ここから、少しだけ線維軟骨の特徴(硝子軟骨との相違点)ついて、

代表的な線維軟骨は、

 膝半月、椎間板、手関節三角線維軟骨などですが関節軟骨の修復過程にも見られます。

 コラーゲンは儀燭最も多く(90%以上)持つが硝子軟骨に多い況燭枠鷯錣望ない。

 儀燭離灰蕁璽殴鵑寮維は況燭寮維よりも太い。

 プロテオグリカンは、儀織灰蕁璽殴鸚維と結合しやすいデルマタン硫酸プロテオグリカン(デコリンとビブリカン)で
 硝子軟骨の軟骨型プロテオグリカン(アグリカン)の成分であるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンは少ない。

以上の結果、

非常に圧縮に強い性質を持っっていることになります

このようにして、私たちの関節は、

硝子軟骨の免荷作用、潤滑作用に加え、さらに圧縮に強い線維軟骨で二重、三重に

補強されることになります。


線維軟骨の血行は、硝子軟骨と同様に非常に乏しい。
 
ただし膝内側半月板の3分の1領域のみには、血行が存在しています。


関節軟骨つまり硝子軟骨の欠損や変性の修復過程においては、線維軟骨が出現します。

ただし、一度、線維軟骨によって修復されると、硝子軟骨に置換されることはありません。


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2009年12月03日

関節を知ろう(23)

関節軟骨

潤滑作用の仕組み

1、流体潤滑機構とは?
 
 関節面がピッタリと一致していないので、その間には関節液が存在しています。

 つまり二つの関節軟骨の面は関節液の膜で隔たれことになります。

 荷重がかかると軟骨間同士は接近し、関節液の層の内圧が上昇し二つの軟骨面は直接接触しません。

 結局二つの軟骨表面の摩擦は起こらずに、その間に存在する液体の層の内部摩擦が起こっている。

従来はこの説が有力であったのですが、この流体潤滑が働くには、

関節が非常に速く休むことない運動、あるいは関節液に一定以上の圧力がが必要であるために、

関節運動がこの条件を満たしているとは限らない。


そのために、

2、境界潤滑機構が必要になります。

  境界潤滑とは?

 摩擦面に柔らかいフイラメントが固着している時に摩擦面の凸凹があり、

 部分的に流体膜がうすくても摩擦が増えない状態をいう。

すなわち関節でもヒアルロン酸の分子や蛋白のフイラメントが関節軟骨の表面に固着しているので

二つの関節軟骨の表面には境界潤滑がおこっていると考えられます。


境界潤滑の種類。

○湿潤潤滑

 関節軟骨を強く圧迫すると、軟骨から水分や分子量の小さいイオンが滲出します。

 その液体が膜を作るために潤滑作用を持つ。

○しぼり膜潤滑

 荷重が増大するにつれ、両者の関節面が近接し、関節液はゆっくりとその周囲に流れ出すれ出ようとするときに

しぼり膜という潤滑膜を形成します。

○弾性流体潤滑。

 この際に関節軟骨の成分による免荷作用で述べたように、高い粘弾性を有している

 関節軟骨は弾性変形し、潤滑膜がつぶれて押し流されないように表面形状を変えます。

 その結果、

 しぼり膜である潤滑膜を保持することができ潤滑作用をすることができるのです。

○持ち上げ潤滑

 関節軟骨の凹面に留まった滑液が押し出される時に関節軟骨表面にあるフイラメントが関節液内の

 高分子(分子量の大きいヒアルロン酸など)の成分が窪みにトラップされ残存し、

 水分は軟骨表面の多数の小孔(100nm)から流出していきます。

 その結果、

 残った関節液が濃縮され粘性の高いものとなり関節面を持ち上げ潤滑作用に働く。


このような様々の潤滑作用によって

実際に関節液が介在していると荷重により、

人の関節軟骨同士を20〜30分間押さえつけてもお互いに接触しないが、

人工関節同士を押しつければ数分間で接触してしまうという報告があります。


関節軟骨である硝子軟骨の構造、成分、関節液の成分すべてが機能することで、

関節軟骨の免荷作用と潤滑作用が働き、関節を守っているのですね。



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2009年11月30日

関節を知ろう(22)

関節軟骨

関節を守っている、重要なもう一つの潤滑作用。


関節軟骨同士の摩擦係数は0、001以下で氷の上を氷で滑るよりも滑らかである。

ちなみに氷の上をアイスケートで滑る際の20分の1に相当するといわれています。

関節軟骨の表面はスケートの約20倍も滑りやすい状態なのですね。

いかに関節が低摩擦で動いているかが、スケートを経験された人ならわかるでしょう。

単純に計算するとスケートの際の摩擦係数は、0、02になります。

人工関節の金属と軟骨の間の摩擦係数は、0、05にすぎません。

いかに関節軟骨の摩擦係数が小さく、この潤滑作用によって摩耗に対して抵抗性を持ち、

生涯関節を守ってくれているのです。


この潤滑作用は一体どのようにして出るのでしょうか?


このように素晴らしい潤滑作用をもつ関節軟骨の表面は、

さぞやツルツルな表面構造の状態を想像しまうのですが・・・・・

実際の関節軟骨の表面は巷で言われているように決してツルツルではありません。

 ○関節軟骨の表面には多数の小さな凸凹が存在しているのです。

  この凸凹は立体的な構造においては、なんと4段階の凸凹からなっています。
  (詳しい解説は後日に)

 ○関節軟骨の表面には多数の小さな孔があいています。

関節軟骨の表面におけるこの構造が実は重要なのです。


この関節面の不整は関節面の可動性を滑らかにするうえでかえって全く平坦なガラス面のような
表面よりも非常に都合が良いのです。

関節軟骨表面の多数の凸凹面による不整は、関節液を関節表面に分散するのに役立っています。

この関節軟骨表面の形状が潤滑作用につながります。

小さな孔は多くの関節軟骨の水分や栄養分の出入口に役立っています。


さて、関節腔内には、粘調な関節液で満たされています。

関節軟骨の間は、結局この関節液で満たされることになります。

この関節液は、ヒアルロン酸や蛋白などの大きな分子からなるコロライド溶液からなっています。

巷ではヒアルロン酸の役目のみが目立っているのですが・・・・・・・


関節軟骨の表面の形状と関節液および既に述べた関節軟骨の成分による粘弾性によって、

非常に優れた潤滑性を発揮することができまるのです。

この関節軟骨の表面の凸凹がどのようにして潤滑作用があるのでしょうか?

それは2種類の潤滑作用の結果です。

 1、流体潤滑による。

 2、境界潤滑による

どのような機構なのでしょう? 


touyou8syok9 at 20:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年11月26日

関節を知ろう(21)

関節の軟骨

前回は軟骨成分のコラーゲンの役目でした。

軟骨成分のプロテオグリカンと水分の役目は?

○軟骨に最も多く存在する水分の役目

 関節軟骨に含まれた多量の水分は、

 単純にそれ自体が水枕のようなクッションのように免荷作用として働きをしています。

○網目状のコラーゲンに絡みついているプロテオグリカンの役目

プロテオグリカンには、アグリカンと呼ばれる軟骨型プロテオグリカンのほかに、
バーシカンと呼ばれるM型プロテオグリカン、軟骨酬織灰蕁璽殴鵐廛蹈謄グリン、デルマタン硫酸プロテオグリカン(デコリンとビグリカン)、基底膜大型へパラン、硫酸プロテオグリカン(バールカン)、細胞膜結合型プロテオグリカン(シンデカン)、セリグリシンがあります。

各種のプロテオグリカンの構成成分である、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタラン硫酸、
へパラン硫酸などは、強い陰性荷電を有しております。

 1、この陰性荷電同士のマイナスとマイナスの反発力が免荷作用に働いています。

 2、この陰性荷電が、ナトリウムなどの陽イオンを引きつけて中性化する際に

   多量の水分を引き寄せ、かつ浸透圧を発生します。

   この抱水性による浸透圧が免荷作用に働くことは容易に想像できます。

各種のプロテオグリカンは、凝集系を形成し極めて大きな抱水性をもつことになり、
軟骨に水枕の作用のような粘弾性という物理的な特性を軟骨に与えています。

  とくにアグリカンと呼ばれる軟骨型のプロテオグリカンには、

  なんと、そのものの重量の50倍もの水分を吸収します。

  非常に大きな抱水力を持っています。

  したがってこのアグリカンによって一定の浸透圧が維持されます。


<関節軟骨の免荷機構のまとめ>

 ○多くの水分とプロテオグリカンによる「抱水力」および「水枕の作用」

 ○プロテオグリカン構成成分の陰性荷電による「反発力」「浸透圧」

 ○網目状に重なり合ったコラーゲン線維による「強い弾力」

関節軟骨の成分である水分と網目状に重なり合ったコラーゲン線維に絡みつくプリテオグリカンの

これらの相互作用によって、

関節軟骨は軟骨特有の強い弾力と柔軟性→粘弾性という免荷作用を持って

私たちの関節を守ってくれるのです。


関節軟骨の成分である

コラーゲン、プロテオグリカン、水による免荷作用と機構の説明が終わりましたが、

一方の潤滑作用は? 一体どのような機構で行われるのでしょうか?



touyou8syok9 at 19:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年11月19日

関節を知ろう(20)

関節の軟骨

関節軟骨の大きな作用である免荷作用と潤滑作用

なぜこのような作用を発揮できるのでしょうか?

それは軟骨の構造を含め、軟骨の成分や滑液による力が大きいのです。

みなさんもコラーゲンとかヒアルロン酸とかコンドロイチンなどいう言葉をご存じでしょう。

サプリメントとして盛んに宣伝されていますね。

飲んで効果があるのかどうか?・・・は別にして関節軟骨成分の役目としては重要です。


軟骨の構造と軟骨成分

関節軟骨は強く弾力のある結合組織でできています。

軟骨細胞と線維がゲル状の基質に埋まっています。

 ゲル状の基質の成分は、

 約80%を占める水分、

 コラーゲンおよび

 プロテオグリカン(コンドロイチン硫酸、ケタラン硫酸、ヒアルロン酸、結合タンパクなど)で

 構成されています。


関節軟骨は構造的に、

 強く弾力のあるコラーゲン線維が網目状になって骨組みをつくっています。

 このコラーゲン線維の中にプロテオグリカンが絡み付いて軟骨細胞を取り囲んでいます。

 軟骨成分である、コラーゲンとプリテオグリカンは軟骨細胞により軟骨内で合成されています。


軟骨成分であるコラーゲンの役目

 コラーゲンは、乾燥重量の約2分の一を占め関節軟骨に強い弾性を与えています。

 関節軟骨はこのコラーゲンの弾性のおかげで圧迫されると薄くなり、

 圧迫が中止されると元の厚さに戻るのです。

 関節軟骨のコラーゲンは、タイプ供↓宗↓将気離織ぅ廚ありますが、

 その多くはタイプ兇任△蝪浬鼎里蕕擦鷙渋い鮖っています。

 コラーゲン線維はらせん状の構造を有しています。

 このコラーゲン線維の構造がコイルのような圧迫されれば戻るという特性も有し、

 スプリング作用としても働いています。

このコラーゲン線維が網目状にいくつも重なって関節軟骨の基質となって

強く弾力のある免荷作用として働くことになります。

ちなみに、

コラーゲンのタイプ召蝋成長線の軟骨細胞によって作られ軟骨の骨化に関係するとされています。



関節軟骨である硝子軟骨以外の軟骨である

 線維軟骨はプロテオグリカンの成分であるコンドロイチン硫酸が少なくコラーゲンが多く

 硝子軟骨より圧縮に強い性質を持っています。この理由は次回に理解できます。

 そのため荷重のかかる関節腔内などに、関節半月や関節円板として存在しています。

 弾性軟骨は弾力線維(エラスチン)に富んでおり、弾力性の大きい軟骨であります。

 耳管、耳介軟骨や咽喉蓋軟骨などを構成しています。関節の様子とは少し違いますね。



一方、絡みついたプロテオグリカンと多量の水分の役目は?



 

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2009年11月16日

関節を知ろう(19)

関節軟骨

軟骨の種類は、硝子軟骨、線維軟骨、弾性軟骨の3種類ありましたね。

可動性の関節である滑膜性関節における軟骨は、一般に硝子軟骨のことでしたね。

関節を形成する関節頭(凸面)と関節窩(凹面)の表面をおおっている関節面の軟骨のことです。

この軟骨を一般に関節軟骨とよんでいます。


関節軟骨は、骨格の成長過程において骨化せずに残った関節面の軟骨です。

関節軟骨の部分は、生まれて死ぬまで、軟骨のままでとどまっており、終始骨には変化していません。

可動性の関節に都合のいいように、関節軟骨として残存するのです。

関節軟骨は骨の上に硝子軟骨を張り付けたようなものではではありません。


関節軟骨の作用

関節軟骨の大きな作用は二つ。

1、免荷作用

 関節軟骨は粘りと弾力性に富んでいて、外力を分散・吸収する能力に優れています。

 荷重や衝激などの圧縮によって、欠けたりヒビが入りにくく、かなりの強さに耐える。

2、関節の潤滑作用。

 関節軟骨同士の摩耗係数が非常に低く、屈曲・伸展・外転・内転・回旋などの際の

 関節面の転がり・圧迫・滑り運動などを滑らかに繰り返すことができることで

 関節表面が摩耗しないで恒常維持ができる。

 関節軟骨同士の摩擦係数は約0、001以下といわれており、なんと

 氷と氷の間の摩擦係数よりも少ない。

 摩擦係数を最も低くなるようにした人工関節の金属と軟骨との間での摩擦係数は

 0、05と一桁も高いことから、関節軟骨の摩耗に対する優秀性が理解できます。


この二つの相互作用によって関節を守ってくれるのです。


関節軟骨はまさに関節の守護神といえます。




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