肩甲上腕関節

2011年02月24日

肩関節(71)

肩関節

○菱形筋

どのような筋肉でもいえるのですが、日常生活においては筋肉の性が大きく関与します。

特に肩甲帯周囲の筋は、姿勢に影響を与えやすい。

一度お話ししていますが、姿勢筋と相動筋の関係です。


 僧帽筋の上部線維は姿勢筋で短縮し易い。

 僧帽筋の中部・下部線維は相動筋であり弱化し易い。

 菱形筋は相動筋で弱化しやすい。


胸郭出口症候群の牽引型は臨床では肩甲骨が胸郭に固定力の低下される場合が多く、

菱形筋、僧帽筋の中部線維による弱化が大きな原因とされている。


上肢帯で多くみられる筋の短縮と弱化。

 僧帽筋上部線維は短縮し肩が挙がって首が硬くなりやすい。→投球などでは肘が下がった位置での投球になりやすい。

 僧帽筋中部・下部線維は弱くなりやすい。大胸筋は短縮しやすい。→腕が前に落ち、腰椎が過伸展し易い

 大胸筋・小胸筋・広背筋は短縮になりやすい。菱形筋・棘下筋・小円筋は弱くなりやすい。

 →肩甲骨が外転しやすい。

 広背筋の短縮は僧帽筋の中・下線維の弱化→肘が曲がる

 広背筋の短縮・緊張は上肢が肩関節から内旋してしまっている。

 
その他に一般的に多くみられるのは、

 僧帽筋の上部線維は腕(首から肩甲骨、上肢)を長時間支える結果、

 首のこりあるいは硬直して頭痛などを引き起こす。

 上部僧帽筋は後頭骨、項靭帯、上部胸椎に棘突起から起始している。

 肩が挙がってしまっている肩コリの人は多い。

 その意味においては肩甲挙筋も肩コリ筋として有名です。

 胸鎖乳突筋や斜角筋群は短縮、頭長筋。頚長筋は弱化し易い。→首が前に出る。


姿勢で多い変化(立位・上肢下垂位で)

 例えば右利きのひとは右肩が前方に、右肩が挙がり、→肩甲骨が側方に、肩峰が上昇移動している人が多くみられる。

 首は利き手の同側へ側屈し、反対側への回旋。

 肩甲骨が上方に移動し肩甲骨の内側縁がやや浮いたようになっている。

 上肢が肩関節から内旋し、腕は屈曲して体幹の前方に垂れ、手掌が後方に向く。

 おおむね円背

 痩せた人は右側弯になりやすい。


このように肩甲骨周囲の形状、位置の左右差の観察、確認は臨床では非常に重要です。






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2011年02月21日

肩関節(70)

肩関節

○菱形筋

 僧帽筋に隠れた菱形筋

復習として僧帽筋の肩甲骨に対する働きは、
 僧帽筋の上部線維は、肩甲骨の挙上または肩甲骨の上方回旋して鎖骨も上昇。
 僧帽筋の中部線維は、肩甲骨の内転とともに上方回旋。
  この場合の主な作用は前鋸筋と共同して肩甲骨を固定する。
 僧帽筋の下部線維は、肩甲骨の下制と上方回旋

 全ての僧帽筋の線維が収縮すると、肩甲骨の主な作用は内転。

 上肢挙上に伴う肩甲骨の上方回旋は3つの線維群と前鋸筋の共同運動。

 僧帽筋の麻痺による翼状肩甲は肩関節外転時に著明にあらわれる。
 前鋸筋の麻痺による翼状肩甲は肩関節屈曲時に著明にあらわれる。

 僧帽筋の各部線維は三角筋の各部線維と拮抗関係にある。


菱形筋は主に肩甲骨の内転あるいは下方回旋。

この下方回旋はむしろ肩甲挙筋、小胸筋との共同作用だと思われる。

最も主な作用は前鋸筋と協同して肩甲骨内側縁を胸郭に保持する。

これは僧帽筋中部線維と重なっている作用です。

違う点は、僧帽筋は上方回旋に関与し下方回旋は菱形筋が関与する点です。


肩関節において肩甲骨の下方回旋がおこるのはどのような時か?

最も思いつくのが、肘屈曲位において上腕骨が外旋する場合です。

あるいは上肢を身体に近づけ脇をしめる動作ですね。(内転が主体となりますが)

通常は基本的に身体の中心に動く動作は力(エネルギー)をためこみより素早い動作あるいはより大きな力を発揮するために必要な動作です。

スポーツなどでは多くみられる動作ですが、どちらも日常的な動作では少ないですね。

投球動作などでは加速に移る直前のMERでも大切な役目とされています。


では日常生活においてはあまり重要ではないのでしょうか?



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2011年02月17日

肩関節(69)

肩関節

○菱形筋(大・小菱形筋)

肩甲帯筋群の一つです。

解剖学的には、浅背筋第2層に移ります。

○菱形筋(大・小菱形筋)

○肩甲挙筋

いずれも僧帽筋に被われています。

これらの筋はいづれも、肩甲帯筋群として肩甲胸郭関節の動きに関連します。

○菱形筋

 解剖学の本などでは、大菱形筋と小菱形筋と分類して記載されていますが、

 実際臨床ではそれほど厳密に分類しなくても問題ないと思っています。

 小菱形筋

  起始:最下2頚椎の棘突起と項靭帯

 大菱形筋

  起始:第1〜4胸椎の棘突起および棘間靭帯
  付着:肩甲骨内側縁下部3分の2 、小菱形筋は大菱形筋の上方に付着する。
  神経支配は肩甲背神経(C4〜C6)

菱形筋の作用は、肩甲骨を内側上方に引く。

肩甲骨の運動としては内転と下方回旋あるいはわずかな挙上という事になります。

筋の機能として重要なのは前鋸筋と協同して肩甲骨内側縁を胸郭に保持することです。

前鋸筋が肩甲骨の前面の胸部から、菱形筋が背部の後面から引っ張り合って

肩甲骨内側面を胸郭に保持しています。


実際に肩甲骨を胸郭に保持する主要な筋は僧帽筋および前鋸筋であります。

この菱形筋も支持筋であると同時に肩甲骨の回旋を行っています。


僧帽筋に隠れた、この筋肉の役割はもうひとつ理解が難しいです。

どのように理解すればいいのでしょうか?


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2011年02月14日

肩関節(68)

肩関節

広背筋

もし何らかの理由において広背筋が短縮したり硬くなったり、筋スパズムなどが起こった場合は

肩甲上腕関節と広背筋の関係は

広背筋の停止部と起始部の筋線維の走行において、およその想像がつくでしょう。


ついでですので、今回はもう少しこの広背筋について観察すると、

起始部が胸腰筋膜(胸背筋膜)の浅葉という非常に広い範囲にわたっている点に注目。

胸腰筋膜(胸背筋膜)

 腰背部にある厚い強靭な筋膜で、浅葉および深葉からできる。

 1、浅葉(後葉)

 背筋の浅・深両層の間に張り、僧帽筋、広背筋、および菱形筋の下、脊柱起立筋の背側に位し、
 内側方は全ての椎骨の棘突起、棘上靭帯および正中仙骨稜に、外側方は肋骨角に、 上端は上項線に、下端は腸骨稜および仙骨の後面に付く。

 この筋膜の腰部は背筋の浅層がないので皮下に現れ、著しく厚くなって胸腰筋膜の腱様部となる。
 腱様部の上方の大部分は広背筋および下後鋸筋の、また下方は大殿筋の一部の起始となる。

 また浅葉は脊柱起立筋の外側縁で深葉と癒着する。

 2、深葉(前葉)

 深胸腰筋膜または腰肋筋膜ともいう。
 背筋の前面に位し、第12肋骨、すべての腰椎の肋骨突起および腸骨稜の間に張り、
 深背筋ことに脊柱起立筋と腰方形筋と隔てている。
 
 深背筋腰部の外側縁で浅葉と癒合して鞘状につつみ、同時に内腹斜筋および腹横筋の起始をなす。

 3項筋膜

 胸腰筋膜の上方のつづきで、項部の諸筋をつつみ、内側は項靭帯に結合するが、
 外側は僧帽筋の外側縁から頚筋膜に移行する。


普段の広背筋が短縮したり、硬かったり、筋スパズムが強い場合は、

当然、胸腰筋膜もこわばり上手に動かない。

結果的に腰椎の前弯あるいは骨盤が前屈することは容易に想像されます。

また相反反射にて腹筋の活動は抑性されてしまいます。

呼吸、腹圧にも当然影響を与えます。

ちなみに腹圧が高まった時上肢、下肢にその力を伝達することも広背筋の重要な機能なのです。


背筋というと真っ先に脊柱起立筋を思い浮かぶのですが、このように背筋の表層筋である

広背筋は臨床では非常に重要です。

ちなみにアナトミー・トレインの機能線の機能線の項目において広背筋が取り上げられています。

後機能線

 広背筋→胸腰筋膜→仙骨筋膜→大殿筋→外側広筋→膝蓋靭帯→

前機能線
 
 大胸筋の下縁→腹直筋鞘の外側縁→長内転筋

機能線は運動競技などの活動時に働く

 その際、一側の上肢・下肢が、対側の上肢・下肢によって安定化され、バランスをとりあるいは強化される。

一般的に機能線は身体の表層にあって日常生活で非常によく使われる筋である。

その他には姿勢安定化の機能がある。

上肢帯を体幹に固定しなければならない姿勢(頭上での作業)では、

機能線は下方への牽引を伝達するか、上肢の支持基盤を固定するために上向きの安定性を与える。


このように正常で柔軟な広背筋は身体の多くの機能に影響を与えるといっても過言ではないです。

従手療法を行う我々にとってこの事実は重要だと思います。

この広背筋をよ~~~く観察して臨床に応用することは非常に重要です。



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2011年02月07日

肩関節(67)

肩関節

○広背筋

 
広背筋に関連した障害として広背筋症候群、広背筋挫傷がある。

広背筋症候群(信原)

 広背筋は骨盤と上肢を結ぶ筋として、下肢の捻りのエネルギーを上肢に伝える重要な役割をもつ。

 腰痛や広背筋の攣縮があると、肩関節の外転・外旋運動が制限され、肘(手)下がりのフオームとなり、

 ゼロポジションがとれなくなり投球がしにくくなる。

 その結果、腱板疎部損傷や肩峰下インピジメントが生じる。

 肩関節部の疼痛を訴える。

広背筋挫傷

 肩関節後下方部の伸長性の低下、僧帽筋中部・下部線維の筋力低下により肩甲骨の過剰な上方回旋と

 外転による肩甲骨下角の摩擦が原因で生じる。

 背部の疼痛特に肩甲骨下部痛を訴える。

 投球のアクセッレレーション期での痛みが強く、投球困難になる。

この二つは主にスポーツ障害として広背筋に関連した障害として有名です。


一般的な人ではどうでしょうか?

もう一度、広背筋の起始・停止部をよ~~~~~く観察してください。

難しい事を考えないでも、

もし広背筋が緊張したり硬く短縮すれば、肩関節の屈曲の可動性は制限されます。

日常の臨床で数回の治療施術で動かない肩関節が治ったという場合、ほとんどが

この広背筋単独の筋スパズムによる短縮している単純な場合です。


また下肢や骨盤が固定された状態で上肢を伸ばそうとしたには硬い広背筋が引き延ばされます。

その結果は、

長い大きな筋の停止部である仙椎や腰椎に力のモーメントが大きくかかります。

腸骨稜や胸椎も同様ですが、運動方向のより距離の離れた方向に力のモーメントが

大きくかかる停止部に大きな負担がかかることとなります。

このような場合はギックリ腰を起こしたりします。

これも単純な簡単な腰痛の場合です。

これも日常臨床で多く経験します。


広背筋は広く薄く長い筋、筋の起始と停止の距離が長く、筋線維の方向も様々です。

このように日常の臨床で様々な疾患や障害の原因に関連することは容易に想像できます。


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2011年02月03日

肩関節(66)

肩関節

背中にある大きく広い筋肉、僧帽筋と広背筋。

この二つの筋は浅背筋の第1層の筋肉です。

この背筋は浅背筋は機能的に上肢ことに上腕と関係深く、棘腕筋と呼ばれています。

浅背筋は2層からなりたています。

 1層は僧帽筋、広背筋
 
 2層は、肩甲挙筋、菱形筋

僧帽筋が浅背筋第1層で背部の表層上方に存在し上部線維が肩コリ筋?あるいは

上部・中部・下部線維が三角筋の各線維との拮抗筋としても有名なのですが、


この背部の表層下方に存在する三角形の大きな筋は意外と見逃されています。

広背筋この筋肉は非常に大きな筋肉です。

<解剖>

 起始:胸腰筋膜の浅葉、
    下位4~8胸椎、全腰・仙椎の棘突起、
    肩甲骨の下角、
    腸骨稜、
    下位3~4肋骨からおこり

 上部はほとんど外側方へ、
 下部は次第に斜め外側上方に走る。

 停止:上腕骨の小結節稜(ここには滑液包がみられ、その付着腱は大円筋の付着腱の前にある)
    
 作用:下垂せる上腕を内側後方に引く、上腕が挙げられている時はこれを引き下げる。

<機能>

 伸展、内旋に作用し、肩関節下垂においては筋全体が弛緩しておりその機能は低い。


この最後の作用のみが頭の中にあったから、この広背筋の重要な事実に気がつかなかったのです。

まさに、知識のみが先行した結果です。

確かに広背筋の機能は伸展、内旋です。

しかし、日常生活において上肢を伸展する動作はあまりないですね。

上肢は屈曲、外転、外旋の動作を多用します。


広背筋の機能である伸展内旋作用は

スポーツにおける野球やバレーボールなどに代表される屈曲位からのオーバッヘッドドの動作などで多用されています。


このように

広背筋は特に挙上肢位からの伸展内旋の作用が強力とされています。

ちなみに

肩関節90度外転位では、内転、内旋に作用します。

肩関節90度屈曲位では伸展、内旋に作用します。

上肢を固定した場合には、骨盤の引き上げ作用が主体となります。

同様に上肢固定時には、肋骨に起始する線維群は胸郭を引き上げ吸気に関与します。



では日常動作において広背筋は重要ではないのでしょうか?

仮に、上肢を挙上、外転したとしましょう。

この大きな筋肉が動くのです。

大きいだけでなく長い筋肉です。

もう一度起始部をよ~~~~~く観察してください。


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2011年01月31日

肩関節(65)

肩関節

肩甲上腕関節

今回からまた筋のお話に戻します。

肩関節周囲筋の機能的な分類として

肩甲上腕筋群には
インナーマッスルとして:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋
アウターマッスルとして:三角筋、大円筋、大胸筋、広背筋

大円筋と広背筋の説明がまだでしたね。

○大円筋と広背筋

 大円筋は解剖学的には上肢帯筋で棘上筋、小円筋、棘下筋とともに後上肢帯筋に区別されています。

 ちなみに、肩甲下筋は前上肢帯筋であり三角筋は外上肢帯筋に区別されています。

 広背筋は解剖学的には体幹の背部の筋であり浅背筋でありますが、

 機能的には上肢とくに上腕との関係が深いので棘腕筋(棘突起から上腕に停止する筋のため)として
 僧帽筋とともに良く知られています。

しかし臨床上、この大円筋と広背筋の両筋肉は一緒に考えた方が便利です。
大円筋を広背筋の一部と考えると解剖学的にも臨床的にも無理は無いでしょう

 大円筋の起始部は広背筋の一部と重なっている。

 両筋の停止部は上腕骨の小結節稜に付着しています。

 広背筋は腋窩周囲で大円筋を包み込むように前方に回り込み、大円筋の前方の小結節稜に停止します。

 広背筋は小結節稜の前面に付着し、

 大円筋は広背筋の停止部よりもやや内側に停止することとなります。

 大円筋付着腱と広背筋付着腱との間には、多くの粘液包がみられる。(古泉)

以上の理由により解剖学的にも、大円筋は広背筋の肩甲頭とも言われています。

両筋の神経支配は異なっており

 広背筋が胸背神経(C5、C6)、大円筋が肩甲下神経(C5、C6)

広背筋、大円筋は肩関節において腋窩の後壁を形成する筋になっています。

ちなみに後壁は上腕三頭筋長頭も構成筋の一部になっております
なお上腕三頭筋は強力な肘伸展筋であるが長頭には肩関節伸展作用を有しています。


実際この筋は臨床上非常に重要な筋になります。

それも急性あるいは慢性における肩関節あるいは腰にも重要です。


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2010年10月18日

肩関節(41)

肩関節

前回は、なぜ肩甲骨が胸郭に固定できないか?肩甲骨の周囲筋以外の問題はどこか?


今回は、肩甲骨を固定し検査してみましょう。

肩甲骨を固定することで肩甲骨と上腕筋をつなぐ筋群および体幹と上腕骨をつなぐ

筋群の柔軟性を観察することになります。

○Combined Abduction Test(CAT)
 
 肩甲骨を徒手的に体側に固定抑えながら上肢を外転させる。

 可動域の制限あるは柔軟性の低下があるかないか?

○Horizontal Flexion Test (HFT)

 肩甲骨を徒手的に固定抑えながら上肢を水平屈曲させる。

 可動域制限あるいは柔軟性の低下があるかないか?

これらの二つのテストが陽性の場合は、結局は上腕骨と肩甲骨の求心位が取れていない。


○Hyper External Rotation Test(HERT)

 仰臥位にて肩関節を過水平外旋させ疼痛を訴えるかどうかを調べる。

 テストは90度外転、120度外転、180度屈曲位と肩関節外転の肢位を変化させ

 腱板関節面の挟まり具合を診る。

 このテストは、

 仰臥位で肩甲骨を固定し、インターナルインピジメントの肢位を他動的に取らせ、

 外転運動させることで疼痛や引っ掛かりの有無を調べる。

 インターナルインピジメントとは関節窩の上方~後方関節唇と腱板関節面との挟まり具合の事。

 結局、棘上筋腱や棘下筋腱、 SLPAのインピジメントを観ることになる

 特に120度前後で陽性になりやすい。

 大結節が最も近づくところですね。

 角度は外転・屈曲の三相を思い出してください。

 CAT、HFTが陽性の場合は上腕骨が求心位を取ることができていないので、

 このテストは陽性に出やすいので注意する。

 CAT・HFTが陰性化でき、この疼痛誘発テストが陰性化しない場合は、

 解剖学的破綻の存在を疑いMRIなどの画像診断を勧める。


○小山のWing Test

 仰臥位での肩甲骨および上肢を完全に固定した状態で、下半身の回旋の可動域をみる。

 広背筋は起始部を肩甲骨下角、下位4~8胸椎・全腰椎・仙椎の棘突起、腸骨陵、

 下位2~3肋骨、腰背筋膜と広く持ち、上腕骨小結節稜に停止する筋です。

このテストは停止部を固定することで広背筋および胸郭の柔軟性も確かめることなる。


その他



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2010年10月14日

肩関節(40)

肩関節

 腱板そのもの問題

 肩甲胸郭関節の周囲筋の問題

 次に

 なぜ? 肩甲骨周囲筋が筋力を発揮できないか?を

 他関節からの影響による問題なのか?
 
 腹筋、背筋、下肢の筋力あるいは柔軟性の問題等を関連つけて観察する。

ハッキリいって問題点を探索するのは時間がかかりますね。


臨床では、それほど時間はかけられませんね。

そこで、最初に視診によって肩および姿勢を観察をしましょう。

どこが悪いか大まかな検討に役立ちます。


まず肩周囲を観察する点。

○肩の高さ 左右の高さの比較

 肩が挙上し、頭部が伸展、他側に回旋、同側に側屈。

 肩挙上側の僧帽筋上部線維が緊張・短縮が存在している。

○上肢の位置を観察

 意外と見逃しています。
 
 前腕が屈曲し体幹の前方に垂れたようになり、内旋している。

 上肢が肩関節から内旋している場合は、広背筋の過緊張・短縮の典型的なサイン。

 広背筋の過緊張・短縮が起こると、肩関節複合体は前下方に変位し胸椎屈曲が

 亢進した姿勢になる。 


○肩が前方に変位しているかどうか?

 仰臥位にて患者の頭部方向から観察し左右を比較する。
 
 大胸筋部の膨隆と肩が上方に移動しているか?

 肩甲骨と上腕骨の相対的な位置を変化させます。

 上腕骨の軽度外転に移動する。→棘上筋のオーバーユースにより、機能低下を引き起こす。
 

○肩甲骨の位置異常を診る。

 肩甲骨が下制し内側縁が少し胸郭から持ち上がった状態・・・・僧帽筋の弱化。

 肩甲骨がやや挙上し、下角が少し胸郭から持ち上がった状態・・・・前鋸筋の弱化。

 肩甲骨間の筋が十分発達していない。・・・僧帽筋中部・下部線維の弱化。

 僧帽筋の中部・下部線維は相動筋に分類され、肩関節外転運動時には、

 肩甲骨の安定化に貢献する筋であり、相動筋のため弱化しやすい。


全体の姿勢を観察する。

典型的にはKendallの姿勢の分類がありますが、ここではおおまかに

○頭部前方変位があるかどうか?

 頭部前方位は、

 胸筋、斜角筋、僧帽筋上部線維、胸鎖乳突筋、後頭骨下筋等の姿勢筋の機能亢進

 僧帽筋中部・下部線維や深頚筋の機能低下を疑う。

 これらは、肩関節の前方移動を亢進させます。


○胸椎の後弯の亢進があるかどうか?

 大・小胸筋の緊張・短縮、僧帽筋中部・下部の機能低下

 胸鎖関節・肋椎骨関節の可動域の減少が起きる。


○腰椎の前弯亢進があるかどうか?

 腰椎後部の脊柱起立筋や腰方形筋と大腿前部の大腿直筋の姿勢筋が機能亢進・短縮し、

 腰椎前部の腹直筋・腹斜筋や大腿後部の大殿筋・中殿筋などの相動筋が弛緩する。

 骨盤前屈亢進・仙腸関節伸展変位、腰仙関節屈曲変位、腰椎関節伸展変位、股関節内旋変位がおこる。


以上は慣れればそれほど難しくありませんし比較的短時間で観察できます。

これらを参考にして次に移ります。


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2010年07月22日

肩関節(20)

肩関節

今回も、肩甲上腕関節の関節包周辺についてまとめながらもうすこし述べてみます。

肩甲上腕関節の関節包周囲には、

機能関節である第2肩関節(肩峰下関節)があります。


第2肩関節(肩峰下関節)は関節の形態をなしていませんが、

肩甲上腕関節の運動が可能になるには、この第2肩関節の正常な機能が必要です。

肩甲上腕関節を第1肩関節、肩峰下関節を第2肩関節という場合があります。

第2肩関節は、

 鳥口突起、肩峰、これらを連絡している鳥口肩峰靭帯から成る鳥口肩峰アーチと

 その直下の肩峰下滑液包、これに腱板、骨頭を加えた部分で構成されています。

○鳥口肩峰靭帯

 この靭帯機能は、挙上に伴う骨頭の上昇防止、棘上筋の作用方向をより求心位に向けるための

 滑車機能があります。

○肩峰下滑液包

 肩峰下滑液包、三角筋下滑液包、鳥口下滑液包(個々の滑液包か一つの滑液包かの定説はない)が、

 腱板と肩峰ー三角筋アーチの狭い空間に十分に広がることは、第2関節の動きを

 滑らかにすることになる。


第2肩関節の通過障害としてインピジメント症候群があります。

インピジメントという意味は挟み込みや衝突という意味でつかわれています。

つまり、

骨頭の変形や石灰沈着したりして骨棘ができた場合にインピジメントがおきるとされていました。


しかし、

肩峰前下部から鳥口肩峰靭帯下での圧力の測定において、

インピジメントが生じているならば、前方挙上などにおいて外転内旋位以上の

圧力の上昇がみられるべきであるが、その現象はほとんど見られなかった。

ただし、非常に拘縮の強い症例のみで観察された。

拘縮の強い場合には、挙上動作の際に内旋位から外旋運動がおこらずに、

上腕骨の大結節が肩峰上腕アーチや肩峰の下に留まるためである。

通常においては、

内圧が高くなるために腱板が押し込まれインイジメント様にされているように見えるためです。

インピジメントサインが陽性であっても、衝突や挟み込みが必ずしもおこっているとは限らないのです。

投球動作などの外転外旋位でも肩峰下圧は上昇せず、疼痛があるからといって、

ただちに前方肩峰形成術の適応となるとは限らない。




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