回旋筋腱板

2010年12月30日

肩関節(59)

肩関節

インナーマッスルの回旋筋群の問題のなかで、

今回は、回旋筋でも、特に問題になるのは腱板疎部の問題です。

たとえ、アウター・インナーマッスルが正常に動いても上腕骨と肩甲骨を繋げている

関節包の弾力性・伸長性が無ければ肩甲上腕関節が正常に動くわけがありません。

前回の復習として

○静的安定効果の関節包の問題

関節包、腱板、関節上靭帯の伸長性の問題でしたね。

いいかえれば関節包の外層部の線維膜の弾力性と伸長性の問題になります。

上腕骨頭が関節包内で十分に転がり、滑走運動できる余裕が必要なのです。

また関節腔内に十分な余裕がなければ関節包内圧の上昇も問題になります。

これは関節上腕靭帯における Weitbrecht孔(ワイトブレヒト孔)の閉鎖の問題にも

つながっています。


○関節包を含めて腱板疎部の問題。

いろいろ異論もあろう化とは思いますが、

これは、ある意味では関節包の内層の滑膜の問題に関すると思っています。

臨床において非常に多く遭遇する肩関節周囲炎の分類と頻度(信原による)

 1)烏口突起炎(5%)
 2)上腕二頭筋腱炎(12%)
 3)肩峰下滑液包炎(2%)
 4)変性性腱板炎(外傷性腱板炎・腱板不全断裂)(41%)
 5)石灰沈着性腱板炎(4%)
 6)臼蓋上腕靭帯障害(不安定肩関節症)(3%)
 7)いわゆる「五十肩」(疼痛性関節制動症)(25%)
 8)肩関節拘縮(外傷後など)(8%)

となっています。

如何に腱板が影響していることが理解できます。

肩甲上腕関節の問題として、

特に手術の適応以外の臨床においては、疼痛と可動域制限が問題になります。

疼痛においては、炎症が問題になります。

腱板は非常に血行に富んでおり、特に腱板疎部は疼痛閾値が有意に低いとされています。

加えて周囲には、

肩甲下滑液包が存在しています。

 この肩峰下滑液包の上面の一部は、三角筋下面の筋膜、肩峰下面、烏口肩峰靭帯、

 肩鎖関節下面の関節包と一体しています。

 加えて肩峰下滑液包の下面の一部は、腱板表層に密着し一体しています。

上腕二頭筋腱滑液包が存在し関節包内と交通している。

肩甲下滑液包も存在しこの滑液包は、Weitbrecht孔を介して関節包と交通しています。

炎症による様々な疼痛は、滑液包炎、関節包の内圧の問題にもなるわけです。

疼痛は可動域に影響を与えることはモチロンですが、治まった後にも様々な問題を引き起こします。

腱板疎部は棘上筋腱と肩甲下筋腱との間隙の疎な結合組織で覆われた部位で、

そのこの間隙により、内旋・外旋における両筋腱間の軋櫟は軽減されるという点は説明しました。

加えて

鳥口上腕靭帯や腱板疎部の周辺は滑膜に富んでおり炎症は様々な部位に波及し易い。

したがって、

炎症後における腱板疎部の療痕化による伸張性の低下は、肩甲上腕関節の外旋、内旋機能の働きを

阻害し、著明に肩関節運動を制限すると考えられます。


一般の皆さんは、肩の屈曲、外転障害を気にされますが、これには外旋、内旋運動が

できなければまず不可能なのです。

臨床上

 ○回旋筋腱板―関節包―関節上腕靭帯(上・中・下)の伸長性

 ○関節包内を含めた滑膜包炎の炎症あるいは関節腔内圧

 ○回旋筋が集合している腱つまり腱板を中心とした肩周辺筋群の圧痛

 ○持続的な回旋筋群の攣縮により運動が制限

以上が非常に多く臨床では問題になると思います。


多くはこれまで述べています。

これらの問題を様々な手技手法にて解決していくわけです。

最近はインナーマッスルの運動のみが注目されて故障されている人が多くみられます。

とにかく、インナー・アウターマッスルのみ注目され、忘れられているようです。

ご注意してください。


今年は今回で終わります。

肩関節については複合関節であるのでもう少し続きます。

来年もよろしくお願いいたします。

皆様が健康で幸多い年でありますように!!

touyou8syok9 at 17:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年12月27日

肩関節(58)

肩関節

回旋筋は肩甲上腕関節において動的な安定機構で働いています。

肩甲上腕関節は、インナーマッスルの回旋筋群を構成している棘上筋、肩甲下筋、棘下筋、小円筋が

運動しながら求心性の安定機能を果たしながら、アウターマッスルとが協同して

屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋という運動が可能になるのです。


前回

回旋筋を様々な手技で上手に処理できればそれだけでいいのか?の問題ですが、
(あくまでも肩甲上腕関節の問題として)

単純に回旋筋の問題であれば回旋筋を処置できれば、それだけでもOKです。

しかし、

実地臨床では実際はうまくいかない場合のほうが圧倒的に多いのです。

回旋筋のみをターゲットにしても到底対応できません。

なぜでしょう?


回旋筋が動的安定機構であるならば、静的な安定機構があるのです。

それが、関節包であり、腱板であり、関節上腕靭帯(上・中・下)なのです。


関節包は上腕骨頭と肩甲骨関節窩を包み関節腔をもち内層は滑膜、外層は線維膜から成る。

腱板は4つの回旋筋群(棘上筋、肩甲下筋、棘下筋、小円筋)の腱で構成されます。
 
加えて肩甲上腕関節の安定化は腱板によって補強されています。

その腱板は、

関節包の上半分は関節包と癒合しており、関節包とともに線維性の筒の構造物を形成しており、

分離することは困難である事も述べました。


上腕骨―肩甲骨関節窩をつなげている関節包の上半分は腱板と一体化しているのです。

関節包は上腕が動くことにより、関節包の各部が、その運動により緊張したり、弛緩したりします

たとえ筋が上手に緊張、弛緩できるようになっても、この関節包が弛緩、緊張できる事が不可能であれば、

これまた肩甲上腕関節を動かすことができないのです。

肩関節の疾患における運動障害、可動域制限因子としてこれは重要です。


次に、

肩甲上腕関節の関節包は腱板のほかにも関節上腕靭帯が補強に携わっています。

関節上腕関節は、上・中・下の靭帯が存在し、この靭帯も肩甲上腕靭帯の運動によって
弛緩と緊張が生じることとなります。


その他にも鳥口上腕靭帯(関節包の一部分?)、上腕二頭筋長頭(関節包内の一部分)
なども重要ですね。


いかがでしょう?

これが、筋だけの問題ではない大きな理由の一つです。


この関節包の緊張と弛緩をコントロールすることは肩甲上腕関節にとって必要不可欠です。


回旋筋―回旋筋腱板―関節包―関節上腕靭帯(上・中・下)

これらは一体にして考える必要がありますね。

関節包を含めた関節上腕靭帯(上・中・下)および腱板の緊張と弛緩の関係、つまり

正しい適切な伸長性の確保が重要になるのです。


加えて関節包内の圧力、関節内圧も影響します。

通常の正常な肩甲上腕関節の下垂位においては、関節包内圧は陰圧になっています。

この陰圧も関節の安定化に役立っています。

つまり、

肩甲上腕関節の関節包および周囲の靭帯・腱などが弛緩しているばあいは、

関節包の内圧はそれほど高くないということです。

反対に肩甲上腕関節の運動や関節包や靭帯が緊張時には関節包の内圧は上昇して高くなるのです。

このように回旋筋の動的な筋による安定機構のほかに静的安定機構が共に

正常に働く事で肩甲上腕関節が機能することになります。



肩関節の施術、治療において、インナーマッスル、アウターマッスル主体になり

忘れられている重要な要素ですが、治療の中核となる基本の基本として非常に重要です。

静的安定要素の施術、治療を忘れていませんか?


今までのブログで様々な関係を述べていますのでぜひ確認して欲しいと思います。


次回で肩甲上腕関節における回旋筋腱板は終わる予定です。





touyou8syok9 at 20:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年12月20日

肩関節(57)

肩関節

回旋筋群の肩甲下筋は直接触れることはできません。

しかし治療法は様々あると述べました。


よく利用されているのが脊髄反射経の手法を利用する方法です。

最も代表的なのが次の二つの方法です

○Ⅰa群神経線維の利用

 関節が外力によって受動的に動かされると、その筋肉のⅠa群線維の興奮は、

 伸張反射を誘発して自動的に収縮します。

 同時にその拮抗筋に対してⅠa抑性介在ニューロンが発火しその拮抗筋が弛緩します。
 
 たとえば、

 内旋外旋中間で内旋させ棘下筋を反応させ元の位置に戻る際には、拮抗筋である

 肩甲下筋を弛緩させることができます。


○ゴルジ腱器官のⅠb線維の利用

 この線維は、筋肉に発生する張力を検知します。

 加えてⅠb線維は、能動的な筋肉の収縮によって生じた張力に反応します。

 能動的という運動様式が先ほどの受動的の運動様子と違います。

 同時にⅠb線維の抑制介在ニューロンを介して抑制的にその筋肉が反応します。

 回旋筋の内旋・外旋の自動運動時にゴルジ腱器官に働く張力によってⅠb抑制ニューロンを発火させて、

 その筋肉を弛緩させる事ができます。

 拮抗筋ではありません。能動的に筋肉の収縮させた筋肉そのものが弛緩します。


これらの方法は治療において利用される良く知られた方法ではあります。

一方隠れた関節不安定を確認できる方法でもあります。

その他は、

各回旋筋群に対しての運動療法も利用されますね。


みなさんはインナーマッスルである回旋筋群の問題はこれであらかた解決したように感じますか?



touyou8syok9 at 20:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年12月16日

肩関節(56)

肩関節

肩甲上腕筋群のインナーマッスルとしての回旋筋群である

棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋について述べている最後の肩甲下筋の途中で

腱板疎部に移ってしまいました。

話を戻します。

肩甲下筋は肩のインナーマッスルとして唯一触れることができない筋です。

触れることができるとすれば、

小結節、小結節稜付近は触れる事が出来ても、腱の一部? あるいは本当に肩甲下筋の腱?

あるいは、腋窩部の広背筋や大円筋に隠れた一部の下方線維?

つまり、大部分は隠れてしまい、体表から筋腹には十分触れることができません。

つまり、直接触れることができないため、手技が十分に発揮することができない。

手前味噌になりますが、

触圧覚刺激法という手技においては、

直接筋腹に触れることができない筋肉においてもそのターゲットとなる筋走行に

手技を実施すれば深層筋にまで影響を与えることができることができます。


臨床において、棘上筋の筋緊張あるいは筋短縮を緩めようとする場合。

回旋筋群の棘上筋は僧帽筋上部線維に被われています。

この多くの場合、僧帽筋の上部線維は筋スパズムによって緊張しています。

 1、触圧覚刺激法にて最表層部の僧帽筋上部線維を筋スパズムを消失させる。

 2、その奥に隠れている棘上筋の筋走行に触圧覚刺激法を行う。

   棘上筋の筋スパズムを解除させる。

 3、棘上骨の肩甲棘と鎖骨の間から指を入れ込みかなり起始から停止部付近まで

   筋を触れることが可能になり初めて直接的に棘上筋に手技が可能になる。


しかし、肩甲下筋は触圧覚刺激法においても大部分が肩甲骨に邪魔され効果がないのです。

つまり臨床では直接的な手技は肩甲下筋に対してアプローチし辛い非常に厄介な筋になってしまいます。


このような場合に有効な手段は?

様々な方法があるとは思います。

多くの先生方が得意の治療・施術法があると思います。

インナーマッスルの回旋筋の運動療法あるいはストレッチ等も多く述べられています。

でも重要な点が置き去りにされているような気がしています。

もう少しだけ述べてそろそろ肩甲上腕関節における回旋筋腱板は終わろうと思います。


touyou8syok9 at 21:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年11月22日

肩関節(50)

肩関節

○肩甲下筋

 少し関節包と腱板の復習です。

 関節包と腱板は基本的には肩甲上腕関節の安定化に役立っています。

 関節包が緊張すれば、その部位においては関節がある程度安定するので、

 腱板の機能である安定化の必要が少なくなります。

 反対に、

 関節包が弛緩すれば、その部位の関節の安定化が低下してしまうために、

 腱板の機能が重要になります。

 このように、
 
 肩甲上腕関節の動きに対して関節包と腱板はお互いを補う作用になっています。


つまり関節包の緊張が弛緩した肢位において、腱板の機能が重要になる。

この性質を検査に応用すするのです。


関節包の弛緩した肢位において、筋力の検査をすればより腱板機能が正常か?

あるいは低下しているか?ハッキリとする。

関節包の弛緩した肢位において、筋力の検査をすれば、障害された腱板筋に

明らかに筋力の低下が認められることとなります。


前回の話では、挙上90度以内ならば内旋・外旋の筋力は一定でその差は無い。

肩甲下筋の内旋力と棘上筋・小円筋の外旋力はほぼ同程度になる。

ということでした。

ここで、上肢の角度の違いによる筋力検査(MMT)が有効になる。
 ※筋を等尺性に収縮させた状態で徒手抵抗を加える抑制テスト(ブレーキテスト)で行う。

○内旋位においては前方関節包が弛緩する。

 前方の腱板すなわち肩甲下筋の機能が重要。

○外旋位においては後方の関節包が弛緩する。

 後方の腱板すなわち棘下筋・小円筋の機能が重要。


もし、肩甲下筋が障害すれば、

 内旋位での内旋・外旋の筋力低下が認められ、外旋位では筋力低下が無い。

もし棘下筋・小円筋が障害すれば、

 外旋位での内旋・外旋の筋力低下が認められ、内旋位では筋力低下は無い。

このような結果になります。


肩甲下筋についての機能は以上になります。・・・・・・・・・・が

臨床的に大きな問題があります。


一つ目の問題

肩甲下筋の損傷は少ないといわれていましたが(脱臼の既往、変性断裂など)

変性断裂として棘上筋前縁から結節間溝を超え肩甲下筋に広がり、

肩甲下筋断裂の頻度は意外と高く信原らは約6%ほどに上方断裂がみられると報告しています。


このように肩甲下筋の停止部付近は、意外と断裂が多いというのもこの付近は

解剖学的にも厄介な部位なのです。

MRI検査などによって損傷の程度が重度である場合には、

関節鏡による手術する場合は仕方がないとして・・・・・

それ以外において、もし肩甲下筋の機能異常を知りえたとしましょう。


二つ目の問題があります。

肩甲下筋は直接触れることができませんね。


この2点について、



touyou8syok9 at 19:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年11月18日

肩関節(49)

肩関節

○肩甲下筋

<機能>

 上腕を内側方に引き、かつ内方に回す。 一般的には内旋作用です。

 肩甲下筋は肩関節の運動軸を上下にまたぎ、停止も小結節および小結節稜と比較的

 広い範囲に停止しています。

 扁平な薄っぺらい三角形の筋のため機能的には、棘下筋と同じように、上・中・下の

 三つの部分の線維に分けると理解しやすい。

 1、肩関節の下垂位では、

   筋は、運動軸より下の方を通過する中・下線維群は筋が弛緩するために

   内旋作用は低下する。

   一方運動軸の上方を通過する上線維群は筋が緊張するため、有効に作用する。

   つまり、全体で内旋に作用するが主に上方線維が作用している。

 2、肩関節外転位になると、この作用は逆転することとなる。

   肩関節90度外転位の内旋では中・下方線維が強く作用することとなります。

 3、肩関節90度屈曲位では、

   起始と停止が近づき筋が弛緩する位置関係になり活動は低下するが、

   主に下線維が働きます。

   この下方線維は、肩関節を挙上してしまうと、最も緊張する結果となり

   肩関節の挙上時に強い内旋作用を持つことになる。

   これは、小円筋の外旋作用に対応する。

結局、上肢の挙上角度によって、同一の筋でありながら活動する筋線維がことなり、

下垂位では上部線維が主に働き、挙上角度が進むにつれ、中部→下部線維へと

移行することとなる。


実際は機能障害が特定できるかの問題はあるが、

機能的には上・中・下線維に分け、検査の角度を変えて評価することは、

腱板全体の評価にはなる。


結局、肩甲上腕関節における内旋・外旋の作用は

 前方は肩甲下筋→内旋作用

 後方は棘下筋・小円筋→外旋作用

 によって、バランスがとられScapular planen(スキャプラプレーン)上において、

 挙上90度までは徒手的な評価においては、外旋・内旋力の差はないとされています。

 どちらにしても、前方の肩甲下筋と棘下筋・小円筋は一つのユニットと考える。
 

機能は以上になります。・・・・・・・・・・が、

この運動を知るにはアウターマッッスルである強力な大胸筋の内旋作用が影響し、

肩甲下筋の固有の筋力は知りづらい。

 ※実際は大円筋、広背筋、三角筋の前部線維も内旋筋として働く。

  補助的には鳥口腕筋、上腕二頭筋

  三角筋の後部線維は外旋筋として働く。

腱板の肩甲下筋のテストとしては、Lift off test が有名です。

 肩関節内旋位で手背を腰にあて、手掌に抵抗を与えながら、手を背中から離すように命じる。

このテストは疼痛がある場合は無理な動作になるので、

 腹部を押さえるように内旋させた状態で筋力を観るBelly-press testが有名です。

 私は両方とも実際使用したことはありません。

みなさんはどうしているのでしょうか?


次回に、


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2010年11月15日

肩関節(48)

肩関節

腱板を構成する回旋筋の最後になります。

○肩甲下筋

 起始:肩甲骨肋骨面の肩甲下窩

 停止:上腕骨小結節、小結節稜、肩関節包

 支配神経:肩甲下神経(C5,6)

前上肢帯筋であり扁平な三角形の筋です。

腱板を構成する回旋筋群の一つでありますが、前方を支持している唯一の筋になります。

腱板としての前方の安定性に関与しています。

肩甲下筋の深層線維は直接関節包に付着しています。

前方関節包の緊張を高めて、上腕骨頭を支持します。

肩甲下筋の停止部は小結節、小結節稜になります。

腱板の回旋筋である棘上筋、棘下筋、小円筋の三筋は大結節に停止しています。


ここで、

肩関節のゼロポジションにおける腱板筋群の走行を見てみましょう。


ゼロポジションとは?

 インドの整形外科医であるSahaによって提唱された肢位です。

 肩甲骨面上での肩甲棘と上腕骨の長軸が一直線になる肢位です。

 個人差がありますが、155度の挙上肢位です。

 上肢における肩甲上腕関節における、回旋、滑り、転がり運動が最小になる肢位です。
 内旋・外旋しないとも言われています。

 この肢位は、4つ腱板の収縮力は、関節窩に対する上腕骨の求心力が効果的に作用する肢位でもあります。
 
 ちなみに四足動物が上肢支持を得る肢位になっています。

 最大挙上時は最も上腕骨が脱臼し易い肢位であり、このゼロポジションが一番リラックスできる肢位です。
 
 もともとは、脱臼や骨折の際にあまりお金をかけずに治療できる肢位として発見された肢位です。
 
 肩関節脱臼などにおいてもゼロポジションの整復法もあります。

 オーバヘッドを行うスポーツにおいてはこのゼロポジションで行う事が基本となっています。

 Codmanの有名な挿絵にハンモックに寝ている女性の絵があり、この肢位もゼロポジションであります。


ゼロポジションにおける腱板筋群の走行

 ○肩甲骨の前面
  
   肩甲下筋が小結節を頂点として扇状に走行

 ○肩甲骨の後面

   棘上筋、棘下筋、小円筋が大結節を頂点に扇状に走行

 ○肩甲骨の上方
 
   棘上筋

 ○肩甲骨の下方

   小円筋と大円筋(腱板ではありません)

腱板筋群は前方・後方、上方・下方から非常にバランス良く肩甲上腕関節において、

肩甲骨関節窩と上腕骨頭の求心力が高く取れるように走行する。

この結果がゼロポジションの重要性につながっています。

今回のゼロポジションと以前にお話ししたScapular planen (スキャプラプレーン)は、

臨床では非常に重要です。覚えておいて損はありません。

肩甲下筋の機能は次回に、




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2010年11月11日

肩関節(47)

肩関節

○小円筋


肩関節の後方に、

四角形間隙(QLS:Quadrilateral space)という間隙があります。

この間隙は大円筋の上縁、上腕三頭筋の長頭の外側縁、肩甲骨、上腕骨によって

形成される空間です。

この空間の中には腋窩神経、後上腕回旋動脈が通過します。

一見すると、

小円筋とはなんの関係もないように思うのですが、

この間隙は肩関節の運動の方向の違いによって大きくなったり狭くなったりうるのです。

肩関節の水平内転により、この間隙は、

大円筋が前方から圧迫し、上腕三頭筋が下方から押し上げられ、小円筋により後方から抑え込まれて狭小化する。

結局、腋窩神経が絞扼されながら牽引される結果となります。

腋窩神経の支配は小円筋と三角筋のみでした。

腋窩神経にとって、非常に負担がかかり前回のQLSSが起こる事となります。



一般的な小円筋の作用は

 ○腱板の作用として挙上位における骨頭の安定化に働く。

 ○筋の起始:停止の走行上、90度屈曲位での外旋に作用します。

 小円筋の関節包側の線維群は、関節包の後下方部に直接付着している。

 そのために、

 ○外旋時の後方関節包の挟み込みを防止する働きを持ちます。

 ○挙上位における関節包の緊張を高め、骨頭を支持する。



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2010年11月08日

肩関節(46)

肩関節

○小円筋

 起始:肩甲骨外側縁近位三分の二、棘下筋膜

 停止:上腕骨大結節の下正面、肩関節包

 神経支配:腋窩神経(C5,6)→腋窩神経支配は小円筋と三角筋のみ


棘下筋とともに、肩関節の後方の存在する回旋筋で上腕骨の最も下方に停止します。

筋のボリュームは棘下筋よりも遥かに小さい長円錐状筋です。


インナーマッスルの腱板である小円筋は、肩関節後方の大きな三角形の棘下筋の機能に隠れて、

ついつい忘れがちになる筋でもあります。

しかし、この小円筋は腱板としての機能に加えてもう一つの非常に臨床に重要な筋です。


実際の肩関節の臨床において、肩関節の後方の疼痛を訴える場合、

肩関節後方の圧痛あるいは放散痛を訴え、水平内転時の疼痛などを訴え、

後方から肩を視診すると、

前回の棘下筋がやせ衰えて委縮している場合、あるいは

三角筋の後部線維がやせ衰えて委縮している場合に多く遭遇します。


これらは、

肩板損傷の多いスポーツ選手のみならず、肩関節周囲炎などの慢性化された人や

五十肩・四十肩などの場合に、動かせ動かせと無理な運動の強制されていたり、あるいは

無理やり肩関節後方面を強く揉み込んでいる人たちに多く見られます。

どうも? 治療・施術と称してますます悪化している場合に多く遭遇するように思うのは、

私だけでしょうか?

まあどちらにしても、肩関節の求心性機能以外に小円筋の機能の影響が大きいのです。


多くはQLSS(Quadrilateral space syndrome)を起こしているように思われます。

直訳すれば、四角形間隙(QLS:Quadrilateral space)症候群syndromeでしょう。

QLSSの臨床症状
 
 ○肩の後面の疼痛
 
 ○QLSの圧痛

 ○QLS圧迫による上腕への放散痛

 ○上腕外側の知覚障害

 ○外転力の低下

 ○三角筋の筋委縮

 ○水平内転強制による疼痛の増強および放散痛など

先ほど述べた症状と類似していますね。

このような肩関節の症状をお持ちの方は非常に多いのでは?


この説明と腱板機能の説明は次回に、



touyou8syok9 at 20:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2010年11月01日

肩関節(45)

肩関節

○棘下筋

棘下筋の委縮は利き腕に多く認められます。

棘上筋の委縮よりもはるか棘下筋の委縮のほうが多く認められます。


なぜでしょう?

○肩甲上神経の問題

 神経線維は圧迫力よりも伸長力に弱い。

 肩甲上神経が伸長される負担になるストレスは力明らかには棘下筋の支配枝の方が大きい。

 肩甲上神経が絞扼される部位は肩甲切痕と棘下切痕の2か所とされている。

 肩甲切痕で絞扼されれば当然棘上筋、より遠位にある棘下筋筋枝に影響します。

 肩甲上神経は棘下筋枝のほうが影響を受けやすい。

それ以外にも、

日常生活においても上肢は前方で仕事をします。

したがって利き腕は特に普段使わない上肢の側の肩と比較すれば、

 自然と肩が前方位→肩甲骨の外転

 胸椎の後弯および側弯→肩甲骨の外転

これらは、通常の人でさえ棘下筋の委縮は起こりうる可能性があります。

加えてスポーツ選手の利き腕側の肩甲骨の位置は、通常の人よりも

下制、外転、前傾している場合が多く、胸郭が硬く、小胸筋の短縮や、僧帽筋の弱化、
前鋸筋の弱化が予想されます。

肩甲平面上での過剰な肩関節の回旋動作のために棘下筋の委縮は非常に多く認められることになります。



次に

○棘下筋の筋の収縮様式の問題

日常生活においては上肢帯は身体の前方にての動作が多い。

またスポーツにおいても、特にオーバヘッドの動作をする際、上肢はただの力任せで

前方に振りぬくだけではなく、狙ったところに絶えずコントロールが要求されます。

棘上筋は、後方に存在する大きな腱板筋であるために、無理に引き延ばされながらも

収縮するという筋肉の運動様式が必要なのです。

伸長性収縮あるいは遠心性収縮という筋の収縮様式が大きな筋なのです。

これが、委縮する原因ともなります。


筋の収縮様式には幾通りかの分類様式がありますが、ここでは単純に

1、エキセントリック収縮(伸長性収縮):筋が伸長しながら収縮

2、アイソメリック収縮(等尺性収縮):筋の距離が一定で収縮

3、コンセントリック収縮(短縮性収縮):筋が短縮されながら収縮


1のエキセントリック収縮が最も大きな力が出せるが、回復にも長い時間が必要なのです。


もともと、肩甲上腕筋群の回旋筋群はインナーマッスルといわれているように、もともと

大きな筋力を出す目的の筋ではありません。

目的は、上腕骨頭を肩甲骨窩に引き付ける求心力とコントロールする筋です。

それが、大きな力で前方に振り切りながら、目的のポイントに投げたり、打ち付けたりするために、

引き延ばされながら収縮しながら微妙なコントロールしなければなりません。

これが特に後方の筋である棘下筋に要求されるのです。

筋疲労が大きく、あるいは小さな単位での筋の損傷が絶えずひきおこされることは、

容易に想像できることです。

つまり棘下筋は遅発性筋痛と微小損傷とを繰り返す引き起こすこととなります。

その結果が筋委縮になるのです。


腱板のエクササイズではこの棘下筋は非常に重要です。

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