腰椎椎間板ヘルニア

2017年03月23日

腰痛(12)

腰痛症

特異的腰痛の問題

腰椎椎間板ヘルニア


★神経根絞扼型椎間板ヘルニア

 高齢者に多く、脊柱管狭窄症を併発しているヘルニアです。

<症状>

〇腰椎後屈により生じる下肢痛

 腰椎を後屈すると、ヘルニアがさらに突出して、神経根がヘルニアと狭窄を起こした

 脊柱管の椎骨に強く圧迫されるので、下肢痛があらわれたり、下肢痛がさらに増したりします。

〇下肢痛を伴う腰椎前屈制限

〇Kempテスト陽性

〇高度な前後屈制限

 ヘルニアは前屈痛、脊柱管狭窄症は後屈痛が特徴で前屈すると緩和する。

 ヘルニアと脊柱管狭窄を併発しているため、前屈痛と後屈痛の両方がある。

 前屈、後屈ともに強く制限されることもあります。

〇有痛性の跛行や間歇跛行等の歩行障害

 歩くと腰部や下肢に痛みを感じたり、間欠跛行が起こるなどの歩行障害があらわれます。

 脊柱管狭窄症を併発しているための特徴です。


<椎間板ヘルニアにより各レベルで出現する神経障害>

脱出したヘルニアの位置によっては神経圧排型椎間板ヘルニアの場合と同じです。

ただし、脊柱管狭窄症を併発しているので注意が必要。

50歳後半で脊柱管狭窄症といわれる人の多くはこのタイプのヘルニアの可能性が多い

と考えられます。

高齢者の腰椎椎間板ヘルニアが脊柱管狭窄症と診断名が変化する場合の

多くのケースがこの神経根絞扼型椎間板ヘルニアが多いのでは?

<障害の程度および予後>

 椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫度は様々です。

 臨床的には、ヘルニアの大きさはモチロンですが、椎孔の形態や外側陥凹の狭小化といった

 狭窄因子の存在が、椎間板ヘルニアの障害の程度、予後に関係しています。

したがって、臨床では外科的適応と相対的適応と分けられています。

<外科的適応>

★絶対的手術の適応

 急性馬尾症候群

  下肢・会陰部の知覚障害、下肢の弛緩性麻痺、膀胱・直腸障害、インポテンス、

  坐骨神経痛など

★相対的手術の適応

 絶対的適応以外では通常は手術の有効性は低く、手術は行われない。。・・・・が

 以下が相対的適応となっています。

 1、数ヵ月の保存的療法が無効である。

 2、 痛みはさほどでないが、麻痺が進行し、強いしびれを訴える。

    特に皆さんが気になるしびれは、会陰部のしびれの有無に注意。

 3、 根性痛の複数回の既往があり、保存的療法で完治が望めない。

 4、下肢の強い運動麻痺(母趾背屈力低下、下垂足)

 5、単一根性の間欠性跛行 がある。




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2017年03月09日

腰痛(11)

腰痛症

特異的腰痛の問題

腰椎椎間板ヘルニア

★神経圧排型椎間板ヘルニアの場合

 <一般的な症状>

 〇腰痛

  腰椎椎間板ヘルニアの症状のうち腰痛のみを愁訴とする場合は、側方ヘルニアではなく

  正中ヘルニアで、しかもヘルニア腫瘤の脊柱管内占有率が低いという特徴が見られます。

  このような場合は、腰椎椎間板ヘルニアの特徴的な理学的所見の一つであるとされる

  前屈制限や神経緊張徴候を示すことが低いとされています。

  したがってこのような正中ヘルニアの場合には、非特異的腰痛と診断された症例にも

  椎間板ヘルニアが含まれている可能性があることは否めない。

  したがって、長期間腰痛が持続している場合は、念のため画像診断の必要があります。

  ただ、神経根圧迫症状を呈さない椎間板ヘルニアに対する手術の有効性については、

  懐疑的な意見が多くそんざいします。

 非常に稀ですが 椎間孔外側型ヘルニアの場合は、痛みも通常のヘルニアよりも

  強い傾向があります。

  神経障害性疼痛と呼ばれている痛みが強く出ます。

 〇腰椎前屈(坐位や中腰)により生じる下肢痛

 〇下肢痛を伴う腰椎前屈制限 

 〇患側のSLRテスト陽性

   Crroed SLRは陰性のこともあるが、あれば更に有力な証拠になる。

   ただし、L3ーL4レベル(L4神経根)の場合はFNSが陽性にでる。


<椎間板ヘルニアにより各レベルで出現する神経障害>

神経障害で必ず観察すべきは、脱出した椎間板によって引きおこされる神経障害です。

脱出した椎間板により障害される神経根によって特徴的な神経走行による放散痛の出現と

特定の筋力・特有の反射・特定領域の知覚の低下が現れます。

MRIの画像診断に加えて、これらの程度を知ることが非常に重要になります。


1、L3ーL4レベルの場合(L4神経根)

   疼痛:大腿神経に沿って大腿前面から膝内側にかけて放散痛がある。

       膝疾患と間違われたりするので注意

   筋力:前脛骨筋、大腿四頭筋の筋力低下

       膝関節の伸展力の低下(筋力3は要注意)

       足関節の内反力の低下

       簡単には、しゃがみと立ち上がりに問題が観察される

   反射:膝蓋腱反射低下

   知覚:下腿内側の知覚低下(足の内側デルマトームの低下)

2、L4ーL5レベルの場合(L5神経根)   

   疼痛:坐骨神経に沿って大腿後面から下腿外側後面さらに足指に放散するともある

   筋力:前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋の筋力低下

       足関節背屈力の低下(筋力3は要注意)

       足趾背屈力の低下(筋力3は要注意)

       簡単には、踵立ちに問題が観察できる

   知覚:下腿外側と足背の知覚低下(足の第2・3・4趾周囲デルマトームの低下)

       母趾と第2趾の間はL5の知覚固有領域です。

   反射:反射の低下は見られない。

3、L5ーS1レベルの障害。(S1神経根)

   疼痛:坐骨神経に沿って大腿後面から下腿外側後面さらに足指に放散する

   筋力:下腿三頭筋、長母趾屈筋、長趾屈筋の筋力低下

       足関節底屈力の低下※

       足関節外反力の低下(筋力3は要注意)

       ※下腿三頭筋の筋力は非常に強いので筋力のテストが難しい。
         従って筋力テストよりもつま先歩行。
         片足でのつま先跳躍をさせて観察する方が筋力低下は察知しやすい。

       足趾底屈力の低下(筋力3は要注意)

       簡単には、つま先立ちに問題が観察される

   知覚:足の外側の知覚低下(足の外側デルマトームの低下)

       外果と足底はS1の知覚領域

   反射:アキレス腱反射低下

 ※前回述べたようにL4ーL5レベルのヘルニアでは、L5、S1の両神経根の
   障害がある場合があります。
   L5ーS1のレベルでのヘルニアの場合はS1神経根の障害。

大雑把に知覚のテストでは、

 脛骨陵の内側がL4神経根、外側がL5神経根、外果と足底がS1神経根障害の有無

大雑把な筋力テストでは、

 S1神経根のつま先立ちとL4、L5神経根の踵立ちができるかできないか?で

 椎間板ヘルニアがL4ーL5レベルかL5ーS1レベルかの鑑別ができます。


次回、は神経根絞扼型椎間板ヘルニア


 



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2017年03月02日

腰痛(10)

腰痛症

特異的腰痛の問題

<腰椎椎間板ヘルニアと神経根の関係>

神経根の脱出型はすでに述べています。

一般的な臨床では、後外側型、正中型の二種類です。

〇椎間板ヘルニァの突出方向

 1、後外側型のヘルニア(椎間板ヘルニアの約70〜80%)

  腰椎椎間板は、前方よりは後方に、または正中より側方に脱出するのが普通です。

   脱出した椎間板は各レベルで左右どちらかの一方だけの神経根を障害することが多い。

   従って左右どちらか下肢の放散痛。

   同時に両側に放散する痛みを訴えることは少ない。

 2、後正中型のヘルニア(椎間板ヘルニの約15〜20%)
   
   正中になればなるほど両側に放散しやすい。かつ巨大であればあるほど馬尾に影響。

〇神経根と椎間板腔との関係

  椎間孔を出る前で神経根は椎弓のところで約45度曲がります。

  椎弓根は椎体の上三分の1にあり、神経根はかなり椎弓根に密着しているので

  ここで方向転換した神経根はその下位の椎間板腔を横切らないために、通常その部の

  椎間板ヘルニアでは障害されない。

  したがって、一般的に神経根はその出口より上位にある椎間板のヘルニアのみが、

  障害されます。

  例えば、L5神経根は、L4、L5の椎間板腔を横切り、L5椎弓根のまわりを回り、

  L5ーS1椎間腔に達する前に椎間孔を通って脊椎管より出て行く。

  したがって、この神経根はL4、L5の椎間板ヘルニアにより障害されることがあっても

  L5−S1間のヘルニアでは障害されない。

  したがって、症状がL5神経根支配によるものである患者では、L5の椎体よりより

  上の椎間板腔でのヘルニアの可能性がある。

〇椎間板ヘルニアにより障害されやすい神経根

 ★第3、第4腰椎椎間板のヘルニア(L3ーL4レベル)では、L4神経根が障害される。

 ★第4、第5腰椎椎間板のヘルニア(L4ーL5レベル)では、L5神経根が障害される。

   ※L5とS1神経根が障害される場合もある。(正中型)

   ※ただしS1神経根の単独障害はない。

   ※脊椎椎間で硬膜内の最外側(一番狭い場所)に位置する神経は、そのレベルで分岐して
     硬膜外に出て行く神経です。
     例えば第4第5椎骨間であれば硬膜内で、最も外側にあるのは、L5神経根で、
     その内側にS1神経根があります。
     一つの椎間板ヘルニアが2本の神経根を障害することもあります。
     とくに、L4ーL5レベルでは、ヘルニアが中心にある場合におこりやすい。(正中型)
     この位置で、ヘルニアが硬膜内でいちばん狭いところにあるL5神経を障害せずに
     其れより広い場所にあるS1神経を障害することは考えにくい。
     つまり、第4、第5椎間板のヘルニアにおいてヘルニアが中心型の場合では
     L5とS1の2つの神経根が障害されることはあっても、S1単独の神経根の単独障害は
     起こりえない。

 ★第5腰椎、第1仙椎間の椎間板ヘルニア(L5ーS1レベル)では、S1神経根が障害される。

〇腰椎椎間板ヘルニアの約9割は、L4−L5、L5ーS1の椎間板でおこる。

通常の臨床では以上を大まかに以理解しておきます。


しかしながら非常に稀ですがその他の脱出部位によって神経根の障害も変わってきます。

このあたりが臨床の複雑さであり、MRIとの確認が必要となる理由ですね。

例えば、L4、L5椎間板ヘルニアの場合

 後外側型:L5神経根を圧迫し、L5神経根症状を呈する
 
 正中型:硬膜嚢を圧迫し、複数の神経根(L5・S1症状を呈し、馬尾神経症状を呈する)

 椎間孔外側型:脊柱管外に脱出し、L4神経根を圧迫しL4神経根症状を呈する。

 またL4ー5椎間板ヘルニアが上方へ脱出するとL4神経根症状を呈する。
 同様にL5ーS1椎間板ヘルニアが上方へ脱出するとL5神経根症状を呈する。

 臨床ではMRIなどの画像診断によるヘルニアの神経根圧迫の確認と、神経根障害の症状が

 本当にリンクしているのか?

 重要になります。

次回は神経根症状
 


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2017年02月24日

腰痛(9)

腰痛症

特異的腰痛の問題

画像上に、腰椎ヘルニア、脊柱管狭窄、腰椎滑り、腰椎分離の存在が確認されても

全てが症状をおこしているとは限りません。

特異的、非特異的腰痛に限らずに、退行性疾患において画像診断の評価は、

自覚症状や、他覚所見との対応による解釈があってこそ評価を得ることができます。

また腰痛という退行性疾患というかぎり、加齢という時間的推移を考慮する必要性があります。

進行しているのか? あるいは新たに起こったヘルニアなのか? 全く別の腰痛なのか?

これが皆さんに画像とその時の症状を保存して欲しいといった要因のひとつです。


それでは各論に移ります。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板の突出する位置による分類

通常は椎間板ヘルニアの出るのは、椎間孔内、椎間孔外、椎体内に分かれます。

ほとんどの椎間板ヘルニアは椎間孔内です。

椎間孔内のヘルニアは後正中型、後外側型、椎間孔内外側の3種類になります。

   〇後外側型:椎間板が傍正中に突出(ヘルニアの約70〜80%) 傍正中型   
   〇後正中型:椎間板が後正中に突出(ヘルニアの約15〜20%) 正中型  
   〇椎間孔内外側型:椎間板が椎間孔内の外側に突出(稀)     椎間孔内外側型

椎体孔外のヘルニアは、椎間孔外外側型

   〇椎間孔外外側型:椎間板が椎間孔外のほぼ真横の外側に突出(稀) 椎間孔外型

椎体内のヘルニアはシュモール結節と呼ばれています。


一般的に、腰椎椎間板ヘルニアは後外側型ヘルニアを指します。


腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄などでは神経根圧迫による神経障害が問題になります。

椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫度は様々です。

 狭小化した外側陥凹を有している症例では、前方の椎間版ヘルニアに加え、

 後方の外側陥凹の背側壁からの要素が加わり、神経根の圧迫は高度になります。

 一方、広い外側陥凹を有している症例では、後方の背側に逃げ場が存在するため
 
 神経根の圧迫度はそれほど高くなりません。

 その結果、神経根の圧迫の程度は、軽度になり症状も軽度になると考えられます。


腰椎ヘルニアにおける臨床的、症状による分類
  
  〇神経根圧排型のヘルニア

   広い脊柱管の症例にみられるもので、ヘルニアに圧迫されても神経根は後方へ

   移動できるため神経根疼痛は比較的軽度であることが多い。

   このタイプが腰椎椎間板のヘルニアの大部分で神経障害の程度は低い。

  〇神経根絞扼型のヘルニア

   脊柱管や椎間孔の狭窄、神経根直下のヘルニアでは神経根が椎間孔内で

   回避することができずにヘルニアと椎弓間で絞扼される。

   その結果、著明な神経根性疼痛を伴うことが多い。

   特に、高齢者に多く見られる。

   青年、壮年の腰椎ヘルニアとは臨床像が異なるので注意が必要です。

   このタイプは臨床的には、むしろヘルニアによる脊柱管狭窄の範疇に入ります

  〇(後)正中型ヘルニア

   ヘルニアの症状のなかで、腰痛のみの主症状をとすることが圧倒的に多い。

   神経の周囲のスペースが広いため神経障害もあまり見られない。

   ただし、ヘルニアが巨大な場合には、脊髄神経を圧迫し馬尾症状が出る可能性もある。

   腰椎椎間板ヘルニアの症状のうち腰痛のみを愁訴とする場合は、正中型ヘルニアで、

   しかもヘルニア腫瘤の脊柱管内占有率が低いという特徴が見られる。

   このような場合は、腰椎椎間板ヘルニアの特徴的な理学的所見の一つである
 
   前屈制限や神経緊張徴候を示すことが低いとされています。

   このような正中ヘルニアの場合には、非特異的腰痛と診断された症例にも

   椎間板ヘルニアが含まれている可能性があることは否めない。

   したがって、長期間腰痛が持続している場合は、念のため画像診断の必要があります。

   ただ、神経根圧迫症状を呈さない椎間板ヘルニアに対する手術の有効性については

   懐疑的な意見が多いとされています。

 〇(椎間孔外)外側ヘルニア

   腰椎椎間板ヘルニアはのほとんどは、脊柱管内に突出して、神経障害を起こします。

   しかし稀に、このタイプのヘルニア脊柱管外に突出します。

   外側ヘルニアによる圧迫は、脊髄神経ではなく神経根の後根神経節(DRG)が

   障害されやすく、著明な神経根性疼痛を認めます。

椎間板ヘルニアにおいては、手術の絶対的適応を除いては保存療法が基本となる。


次回、腰椎椎間板ヘルニアと神経根の関係

 

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