前回に引き続き、「平成27年度観光サポーター研修」の模様をお伝えいたします


10月29日には、ご儻講座の講師に、方言研究家の蓑島良二さん、ゴ儻講座の講師に、「株式会社ワールドリー・デザイン」代表取締役の明石あおいさんをお迎えし、研修を行いました

ご儻講座 「富山はことばの正倉院」

ご儻講座では、方言研究家の蓑島良二さんに、蓑島さんが編集を務めた「富山方言番付」をもとに、富山で日常的によく使われる、富山弁の語源やその意味について、ご講義いただきました

「富山方言番付」には、約400語の富山弁が掲載
編集:越中方言奉行  蓑島良二、監修:富山大学人文学部教授 中井精一
物産センター富山(富山駅前CiCビル5F)ほかにて、1枚100円(税込)にて販売中
方言番付































講義の中では、たくさんの富山弁をご紹介いただきましたが、その中からいくつかをピックアップ

「富山方言番付」の西の横綱に君臨する、県内でおなじみの富山弁「きときと」
もとは、ハッとする状態を意味する、古語の「屹度」がその語源なのだとか↓
「きときとの目」というように、かつては目の輝きを表していたのが、魚の目の輝きを意味するようになり、現在の「生き生き、新鮮な」という意で使われるようになったそうです
IMG_9562 (2)
















「呼び出し」として、弟・次男以下の子を意味する「おっじゃ」は、漢字で書くと「乙者」となり、古語の若いを意味する「乙」 が語源なのだとか↓
ちなみに、兄・長男を意味する「あんま」は、「兄者」がその語源だそうです
また、昔の方言には、下の子の面倒を見るあまり、上の子がぐずる状態を意味する、「乙見患い(おとみわずらい)」という言葉があったそうです
IMG_9566














また、富山駅から車で約10分、市内電車「大学前行」で約20分 富山県水墨美術館のある富山市五福(ごふく)地区の地名の由来についても、ご説明いただきました
かつては、「呉服」の名で知られており、その由来は、「呉服部(くれはたおりべ)」にあるのだとか
「呉服部」は、富山県を東西に二分する丘陵「呉羽山」の周辺にある地域の由来になっており、五福地区にほど近い「呉羽町」の由来にもなっているのだそう↓
IMG_9612











そして、そもそもの「呉服部」の名の由来は、古事記・日本書紀に登場する、「姉倉比売神」の古代神話にあるのだそう
昔々、富山市大沢野地区(船倉山)に居を構えた、女神「姉倉比売(あねくらひめ)」は、 能登の「伊須流枝比古神」と夫婦であったが、「伊須流枝比古神」が伏木山の「能登比売」と契りを交わしてしまう
怒った「姉倉比売」が「能登比売」を攻撃し、越中国では大乱が勃発出雲の大国主により、混乱を起こした3神に罰がくだり、「姉倉比売」は、呉羽小竹野(富山市呉羽)に流され、村娘たちに機織りを教え、罪を償ったという



このような経緯から、 富山市大沢野船倉と富山市呉羽町小竹には、同名の「姉倉比売神社」があります
昨年度の観光サポーター研修・実地研修では、富山市大沢野の観光ボランティアガイド「あねくら姫の会」の皆さんと「寺家公園」内にある「姉倉比売神社」周辺を散策しました↓ その模様は、こちらから
IMG_5924













また、蓑島さん曰く、富山と出雲のつながりは深く、「富山県方言番付」で東の大関に位置する、「だら」(意:ばか)は、島根県や鳥取県でも通じるのだそう
ちなみに、この「だら」の語源は、仏教用語の陀羅尼(だらに)=長文の呪文にあり、禅宗などのだらに長いお経「千手千限観自在菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経」がその由来なのだとか


このほか
富山市内の縁日の定番「あんばやし」(味噌田楽の一種)の由来の一説として、江戸時代の十返舎一九による滑稽本『東海道中膝栗毛』の中で、「こんにゃく、とうふのあんばいよし」という、おでん屋の呼び込みが登場していることや↓
Page0001 (53)


















戦後、富山市で最初に購入した消防車がアメリカン・ラフランス社製であったことから、市内では当時、消防車が「ラフランス」と呼ばれていたことなど、富山市ならではの富山弁もご紹介してくださいました


また、「富山方言番付」の得意技に登場する、助動詞「〜られ、〜れ」(例:来られ、休まれ)については、親しみや親愛、尊敬を現す、古語の助動詞「れる、られる」が由来となっており、かつては全国的に使われていた言葉であるが、江戸時代には消えてしまい、現在は、富山県全域と岡山県の備前地方にのみ残っているのだとか
簑島さん曰く、「富山のやさしい、県民性を表す言葉であり、これからも大切に使っていきたい」 富山弁とのこと
IMG_9587











普段、何げなく、耳にしたり使ったりする富山弁ですが、その由来が、まさか古語や古代神話、仏教用語にまであるとは なんとも奥深いです


簑島さんは、方言解説『おらっちゃらっちゃの富山弁』、『富山弁またい抄』、エッセー集『魚ごころ人ごころ』、『とやま キトキト魚名考』、方言辞典『日本のまんなか富山弁』、アンソロジー『朝のおと』(いずれも北日本新聞社発行)などの著作を通じても、富山弁の謎とその魅カを伝えていらっしゃいます↓ 
あわせて、こちらもご参考にどうぞ〜
無題


















ゴ儻講座 「当たり前を、とっておきの魅力に。〜「itona」で発信する富山の底力〜」

ゴ儻講座では、「株式会社ワールドリー・デザイン」代表取締役の明石あおいさんより、「まちづくり」において心がけていることについて、自らが編集長を務める、富山の女子が自ら綴る情報誌「itona」のエピソードを交えながら、ご講義いただきました

明石さんは、東京のNPO法人地域交流センターにて、地域づくりのコンサルタントとして、10年以上、全国各地にてまちづくりに携わられた後、富山にUターンされ、平成22年に、初代「富山県定住コンシェルジュ」として、県外からの定住支援活動に励まれ、平成23年に、地域づくりのプランニングを行う、株式会社ワールドリー・デザインを設立されています


ご講演では、富山に戻ってきた明石さんが、富山での日々の暮らしの中で、「素敵だな」、「すごいな」と感じた日常風景をご紹介いただきました

富山市内では、例えば

富山駅から市内電車「南富山駅行」乗車、「荒町」停留所から徒歩約10分
市内を流れる「いたち川」沿いに湧き出る、「石倉町延命地蔵の水」をじょうろに汲んでいかれたお婆さんの姿や、お地蔵様にずっとお参りされるお爺さんの姿に、名水を汲む場だけではない、地元の人々のさりげない日常の1コマを垣間見たことや↓
IMG_9655












富山駅南口から徒歩約10分「富山城址公園」交差点の一角に佇む、市内の小学生の夢や希望が絵や言葉で刻み込まれた、モニュメント「夢の聖地」に心が温まったこと↓
IMG_9670












富山駅北口発の市内電車「ポートラム」にて約25分 「富山港」に停泊する、こぼれ落ちそうなくらい、中古車が積み込まれた船舶の姿に驚いたことや↓
IMG_9657














ガソリンスタンドで、セルフで給油する女性たちの姿に、頼もしさを感じたこと↓
IMG_9663













また、立地に応じて、噴水する穴の数が3・4・6つと融雪装置で異なることや↓
IMG_9665














ワイパーのみを残して雪に埋もれた車、スーツに長靴のビジネスマンの姿、雪つりの際に使う縄の縛り方などに、雪国ならではの風景の面白さを感じたことなどをお話いただきました↓
IMG_9674












明石さん曰く、雪や山、川、海からのそれぞれの恵みがある、「富山の最大の魅力はライフスタイルそのもの」であり、こうした一見、目に見えにくい、「当たり前」こそが力強さをもち、外からみると、「極上の日常」になりうるのだとか

そのため、自分たちの暮らしを「何もないちゃ…」と軽んじず、富山の風土に感謝すること、また、そこでの暮らしを好きだということ、来ていただいた方と一緒に楽しむ・喜ぶ姿勢こそが、「極上の日常」をPRする上で、大切なのだそうです↓
IMG_9699











そうした富山での他愛のない、普段=不断の営みの中に見出す、「富山の底力」を紹介・発信したいとの想いから、情報誌「itona」の創刊に至ったのだそう
「常:いとな(itona)」の名には、営み+日常(日常、暮らしの中にあるホンモノ)、いと・・・な(大好きなひと・もの・こと)、意と名(歴史・文化を大切にする)、糸な(新たに織り上げる豊かなライフスタイル)といった意味が込められているんだとか↓
IMG_9716













情報誌「itona」は、主に県内在住の20〜50代の女性19名により、執筆されています↓
「itona」を創る女性たちは、せけん(世間)デザイナーである、明石さんをはじめ、農家や建築家、陶芸家、野菜ソムリエ、英語講師、醤油屋、イラストレーター、書道家、営業マンなど、仕事や立場、住む地域、年齢、生活スタイルも十人十色 
IMG_9718














昨年度の観光サポーター研修にて、観光講座「地域の魅力を伝える旅作り」の講師を務めてくださった、「エコロの森」代表取締役・森田由樹子さんも、「itona」メンバーのお一人です↓
 「エコロの森」では、立山山麓や五箇山、富山市内中心部など、県内各地の自然や観光資源、郷土の食材・料理を活かした、体験型のエコツーリズム(着地型観光ツアー)を実施しています 
ツアーの内容については、エコロの森 HPをご覧ください
IMG_5631















地域づくりのコンサルタントとして、街を繕う=「まちづくろい」をするにあたり、明石さん自身、「当たり前」こそが宝物であり、古きを敬い近場を軽んじず、それらに魅力を見出すため、新鮮な気持ちをもって、自らが主体的に動くことや、「使われないものは消えていく」ため、使うことを考えて実践すること、また結果的に続くものを、といったことを日々、心がけておられるのだそう↓
IMG_9766













このような心持ちは、情報誌「itona」にも現れています
A5版・オールカラー、160ページ(厚さ1.2cm)の「itona」には、広告が一切なく、そのコンセプトは「富山に生きる女子たちが、自ら綴る。あたりまえだけど、トクベツな日常」
「itona」メンバーが、自らカメラ片手にペンをとり、純粋に「面白い心から好きだ」と思う、地元の慣習や郷土料理、風景、お店や商品、場所、人などを紹介し、それぞれの視点から富山での日常を綴っています
 
写真は、県東部の朝日町にある私立美術館「百河豚美術館」だそう↓
また「itona」では、海外の人にも手にとってもらいやすいように、英訳もつけているのだとか
IMG_9722





















こちらは、「itona」女子たちが、ご近所や行きつけのお店で入手した、丸山&がんも12種を食べ比べした様子↓
同じ富山でも地域によって、呼び名や雰囲気にかなり違いがあるのだそう
IMG_9757













富山の女子が自ら綴る、情報誌「itona」は、平成24年に創刊し、半年〜1年に1冊のペースで発行されており、定価1,620円(本体価格1,500円)にてお求めいただけます 現在、以下の4冊が刊行されています
vol04-250





























富山県内では、BOOKSなかだ(富山市・魚津市・黒部市・砺波市)、紀伊國屋書店 富山店(富山市・総曲輪)などの書店のほか、山元食堂(富山市・八尾)、万里摩理(富山市・呉羽)、リバーリトリート雅樂倶(富山市・春日)、uchikawa 六角堂(射水市・八幡町)等のカフェやホテル、東京のいきいき富山館・情報館、DAIKANYAMA T-SITE 3F旅行フロアなど、全国各所にて発売中 
また、HPよりWeb販売もご利用いただけます 情報誌「itona」の詳細、「itona」メンバー、取扱店舗等については、「itona」HPをご覧ください

明石さんが、富山での日々を気ままに綴る、勝手に☆とやまの定住コンシェルジュBlog もあわせてどうぞ

次回も、引き続き、観光サポーター研修の講座の様子をお届けします


富山市観光協会公式HPはこちらか 富山市観光協会公式HP
富山市観光協会公式Facebookはこちらから 富山市観光協会公式Facebook 
富山市観光協会Twitterはこちらからら  富山市観光協会Twitter