豊浦彰太郎のMLBブログ ”Baseball Spoken Here”

MLBをフォローして42年目の豊浦彰太郎が、その魅力を判りやすくお伝えいたします。

MLBについて、広く深く書いています。最新情報を詳細に掘り下げるというよりは、ある事実に関する自分なりの考えをお伝えすることに、主眼を置いていきたいと思います。もちろん、愛する日本の野球についても、時おり取り上げます。

泥酔・暴行は良くないが、だれが巨人 山口俊の立場を守るのか?

泥酔の果てに暴行事件を起こした巨人の山口俊は、予想通りと言うか、厳しい批判に晒されている。最終的にどのような処分が下されるのだろうか。

しばらく謹慎させた後に涙の復帰会見というのがソフトランディングに向けた巨人のシナリオかもしれない。しかし、同球団は野球とばく事件で世間の非難を浴びた。したがって、「コンプラ重視」を印象付けるために自由契約という事実上の解雇で処する可能性を示唆する記事も見られた。山口はDeNAからFA移籍してきた外様ということもあり、そう言われるとそれもありそうな気もする。

アスリートが酩酊するほど酒を飲むのは感心しないし、暴力行為には弁解の余地はない。少年少女に対するロールモデルであるべきプロ野球選手としての社会的責任も確かにあると思う。しかし、ここで是非とも望みたいのが、犯した過ちに対して過不足のない処分だ。

今回の一件は、被害者との間に示談が成立すれば最終的には不起訴となる可能性も十分あるだろう。個人的には、今後の野球人生が危機にさらされるほどのことではないと思う。その点からすると、現在の非読売系メディアの論調はややバッシングが過ぎると思う。また、長嶋茂雄さんの「巨人軍たる者・・・」という発言も、巨人の終身名誉監督という立場を考慮しても時代錯誤の印象が拭えない。

たとえ不起訴になっても、球界として処分を下すというのは大いにアリだと思う。しかし、これは本来一球団の判断に委ねられるべきものではなく、中立なNPB機構が事の重大さや社会的影響を考慮し、過去の不祥事などと照らし合わせ過不足ないペナルティーを決定すべきだ。球団が判断を独自に下すのは、選手の権利の保護の観点から感心しない。繰り返すが今回の山口の一件は愚かそのものだ。しかし、彼にも人権、生活権がある。それは守られねばならない。その意味では、山口の立場を守り、過剰な処分を蒙らないようにモニターする立場の組織、人物が必要だと思うし、それを本来担うべきは選手会だ。しかし、そのような動きはここまで見られないのは残念だ。

個人的には、処分を下すのは機構で、それに対し選手会が睨みを利かし、処分が不服であれば異議申し立てができる、これが理想だと思う。そのスキームがあれば、偏った判断が下される恐れを排除できると思う。

今回の「山口事件」を機に、処分のあり方に対する議論が湧き出て欲しい。

MLB ワールドシリーズ 日本人選出出場の可能性は?(2)出場だけなら青木、前田は登録から外れるかも

 (1)から続く

イチロー(と田澤)所属のマーリンズは今季も精彩がない。若いスターを数多く抱えるが、ジェフリー・ロリア・オーナーはここから巻き返しを図りフラッグディールで補強に走るより、主砲ジャンカルロ・スタントンの年俸が来季から跳ね上がる前に球団売却を決めてしまうことのほうに執着しているはずだ。今年もイチローの悲願は叶いそうもない。

ちなみにイチローは今季終了後契約が切れる。勝利よりも儲け?のマーリンズは、その年俸の安さとマーケティング効果でイチローとの契約を保持してきたが、新しい経営者に変わってもその方針が踏襲される保証はない。来季以降、他球団が獲得に乗り出す可能性もゼロではないが、その場合は戦力的には見劣りする球団が、若手選手へのロールモデルとしての役割やレジェンドとしての話題性を評価してのものとなると思われる。この稀代の安打製造機も、残念ながらワールドシリーズには縁がないまま球歴を終える可能性は高いだろう。

そうなると、今季のワールドシリーズ出場の可能性では青木と前田がリードで田中がそれに次ぐと見るべきか?いや、事情はそれほど簡単ではないだろう。

今季精彩を欠く前田の場合、ここから先相当奮起しないと、仮にドジャースがワールドシリーズに駒を進めたとしても、そもそもポストシーズンの登録枠から外れる恐れがある。5人の先発投手でローテーションを組む公式戦とは異なり、短期決戦のポストシーズンでは4人いや、場合によっては3人の先発投手で廻していくのが一般的だ。そうなると、ローテ5番目の投手はロングリリーフとしてブルペンに回るか、登録枠から外される。

メジャーでは登録枠を外れても物理的なベンチ入りは可能だ。したがって、昨季のカブスの川崎宗則(現ソフトバンク)のように、応援団?として試合前のセレモニーには参加するも出場資格はないという、ある種屈辱的な立場となることも十分あり得る。

その点、そもそもレギュラー半として、チーム内の戦力的位置付けが明確な青木のほうが、出場の可能性が高い。ナ・リーグ球団本拠地での試合と、相手先発投手が左腕の場合以外はスタメンで起用されるだろう。しかし、そんな青木にも懸念点は皆無ではない。基本的にアストロズは、来年以降の左翼手は現在マイナー所属のプロスペクトのデレック・フィッシャーと考えているはずだ。そして、彼をポストシーズンで起用するために8月末までに昇格させるだろう(すでに6月に一度メジャーを経験している)。そして、彼が9月に目覚ましい活躍を見せるようなことがあると、青木のポストシーズン出場のというより登録自体に黄色信号が灯ることにも決してあり得ない訳ではない。

そうなると、チームがワールドシリーズに進出した場合、中心選手としての役割が期待できるのはやはり田中となる。「出入り」の激しい登板が続いた田中だが、それこそ、ヤンキースが先発投手を3人くらい爆買い(もはや死語か?)しない限り、シリーズでも先発投手としての活躍が求められるはずだ。ここでの結論は、単に出場なら青木が可能性1番手、それなりの活躍となると、田中がイチ押しで上原が続くとしておこう。

MLBワールドシリーズ 日本人選手出場の可能性は?(1)苦戦のレンジャース ダルビッシュは望み薄か

メジャーリーグも球宴を終え、後半戦に突入した。今は、ウェバーを経由しないトレードの期限となる今月末に向けたフラッグディール戦線の真っ只中だ。最終的に10月の戦いに進める10球団はどこか、その中でも頂点であるワールドシリーズに駒を進めるチームはどこか、ペナントレースはここからが一層面白くなる。

ワールドシリーズは選手にとって特別なものだ。ケン・グリフィー・ジュニアやロッド・カルーのように、栄光に満ち溢れたキャリアを誇りながら、ついぞこの檜舞台に縁がなかったスーパースターも少なくない。

一方で日本人選手では、2009年にヤンキースの松井秀喜が打率.615、3本塁打、8打点の活躍でシリーズMVPに輝いた。2013年にはレッドソックスの上原浩治が日本流に言えば胴上げ投手なり、同僚の田澤純一(レッドソックス)も中継ぎとしてシリーズ制覇に多大な貢献を見せた。2005年の井口資仁(ホワイトソックス)はレギュラーとしてフル出場し、2006年には田口壮が貴重なバイブレーヤーとして、カージナルス世界一を支えた。また、世界一には手が届かなかったが、ワールドシリーズを中心選手の1人として戦った2008年の岩村憲一(レイズ)のようなケースもある。今年は、果たしてワールドシリーズの舞台を踏める日本人選手は出るのだろうか。その可能性を考えてみた。

言うまでもないが、選手がワールドシリーズにプレーする前提として、チームがポストシーズンに進出する可能性が高いことが必須条件だ(ポストシーズンで勝ち進めるかどうかは、運やその時点での勢いも必要になってくるため、現時点で戦力を詳細に分析することあまり意味があるとは思えない)。その点では、アストロズの青木宣親とドジャースの前田健太が、ともに所属球団が現在地区優勝争いで独走状態にあるため、可能性大だ。

そして、地区2位のヤンキースの田中将大がそれに続く。上原のカブスも、勝率は現在やっとこさ5割ラインで2位だが、同じシカゴに本拠地を置くホワイトソックスから、フラッグディールの目玉の1人でもあった左腕の先発投手ホゼ・キンターナを獲得し、追撃体制を整えつつある。首位のブルワーズは、若手中心でしょせんサプライズ球団だ。自力では昨季のワールドチャンピオンカブスが大きく上回っているだけに、現在の4.5差(16日現在)を覆し、上原が4年ぶりの「フォール・クラシック」の舞台を貴重な中継ぎ戦力として踏む可能性は十分ある。

ダルビッシュはどうだろう。レンジャーズは現在、首位アストロズとのゲーム差は16.5もあり、地区優勝は絶望的だ。ポストシーズン出場権を得られるワイルドカード2位のレイズには3.0差と一見射程圏だが、レイズとレンジャーズの間には3球団がひしめいており、状況は決して楽観できない。むしろ、ダルビッシュがワールドシリーズに出場の機会を得られるとすると、それはレンジャーズの一員としてではなく、フラッグディールで他の球団に「買われた」場合だろう。それこそ、ヤンキースというシナリオもなくはない。一時期の深刻な状態からは脱し6日のレッドソックス戦も好投したが、今季の田中には全幅の信頼は置けないし、勝ち頭のマイケル・ピネイダが故障で今季の登板はほぼ絶望と見られるからだ。また、先発投手補強の際の最大の狙いだったキンターナを獲り損なった事情もある。

しかし、レンジャーズはダルビッシュ放出には後ろ向きと伝えられている。なぜなら、今年のフラッグディール戦線には、キンターナが消えたとはいえ、ソニー・グレイ(アスレチックス)、ゲリット・コール(パイレーツ)ら有力な先発投手が数多く出回っている買い手市場だからだ。そのため、オフにはFAで故障再発のリスクもあるダルビッシュの場合は、獲得を目指す球団もレンタル移籍と割り切っているはずで、そうなると交換相手に選りすぐりのトッププロスペクトを得るのは難しいと見られるのだ。それなら、レンジャーズとしてもまだポストシーズンが絶望という訳ではないので、このままダルビッシュを戦力として抱え、オフに再契約の意思(クオリファイングオファーという)を表明し、その上でFAとして流出した場合は補償としてドラフト指名権を得る、としたほうが得策かもしれない。


(2)に続く

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