June 20, 2006

う つ 病 の 漢 方 治 療 ー 昇 清 降 濁 ー

ヒ ト の 構 造 と 機 能 を 併 合 し た 理 論 が 『 五 臓 六 腑 』 。 極 言 す れ ば 人 体 ( 総 体 ) で あ る 。 こ れ に は 「 脳 」 が 見 当 た ら な い 。 こ れ を も っ て、 古 代 に は 脳 と い う 概 念 が 存 在 し な か っ た と、 し た り 顔 で 話 す 者 が い る 。 軽 薄 で 先 人 に 対 し 失 礼 な 考 え で あ る 。 古 代 か ら 戦 に は 兜 を つ け て 臨 む 。 こ れ は 頭 に は 重 要 臓 器 が 秘 め ら れ て い る と の 認 識 で あ る 。 戦 な ど で 頭 部 に 外 傷 を う け る と、 手 足 の 麻 痺 や 言 語 障 害 や 知 能 障 害 や 精 神 障 害 な ど が 引 き 起 こ さ れ る 。 こ れ ら の 見 聞 よ り 先 哲 は、 脳 は す べ て の 臓 器 を 統 括 す る も の で あ り ( 中 枢 神 経 )、 「 神 」 が 舎 る 神 聖 な 場 所 と 考 え た の で あ る 。

『 昇 清 降 濁 』 と い う 言 葉 が あ る 。 「 清 気 を 昇 ら せ、 濁 気 は 降 ろ す 」 と い う 意 味 で あ る 。 「 清 気 」 と は か ら だ に 必 要 な 気 陰 ( 血 ) で あ り、 「 濁 気 」 と は 不 要 ( 有 害 ) な 病 理 産 物 ( 火 ・ 湿 熱 ・ 痰 飲 ・ 瘀 血 な ど ) で あ る 。 「 脳 」 は 五 臓 六 腑 を 統 括 す る 精 密 な コ ン ピ ュ ー タ ー で あ る た め、 最 も 清 気 を 欲 し、 濁 気 を 嫌 う 。清 気 が 不 足 し 濁 気 が 留 ま る と、 脳 は 変 調 を き た す よ う に な る 。 自 律 神 経 失 調 症 ・ う つ 病 ・ 認 知 症 ・ 脳 梗 塞 な ど が 発 症 す る 。

「 濁 気 」 を 降 ろ す た め に は、 そ れ ぞ れ の 「 濁 」 を 処 理 ( 排 除 ) す る 生 薬 を 用 い る わ け で あ る が、 「 清 気 」 が 上 昇 し 脳 内 を 満 た す よ う に な る と、 「 濁 気 」 は 清 気 に 追 い や ら れ る た め、 排 除 は 容 易 と な る 。 昇 清 作 用 を 有 す る 生 薬 と し て は、 柴 胡( 少 量 ) ・ 桂 枝 ・ 升 麻 ・ 桔 梗 ・ 黄 耆 が よ く 知 ら れ て い る 。 前 回 お 話 し た「 抑 肝 散 」 ( エ キ ス 剤 ) に は、 柴 胡 が 2 g 含 ま れ て い る 。 柴 胡 は 少 量 ( 2 g )で は、「 疏 泄 」 よ り 「 昇 清 」 作 用 に 働 く 。 「 加 味 帰 脾 湯 」 や 「 補 中 益 気 湯 」 も、 う つ 病 な ど に 有 効 と の 報 告 が 多 い 。 前 者 に は 柴 胡 が 2 g、 さ ら に 黄 耆 が 3 g 含 ま れ て い る 。 後 者 に は 柴 胡 が 2 g、 黄 耆 が 4 g、 そ し て 升 麻 が 1 g 含 ま れ て い る 。

前 回 述 べ た よ う に、 漢 方 治 療 の 原 則 は 「 不 足 は 補 い、 不 要 は 除 く 」 で あ る 。 そ の 前 提 条 件 と し て 「 気 血 が よ ど み な く 流 れ て い る こ と 」 を 強 調 し た 。 そ う、 清 気 ( 気 血 ) が 脳 内 に 十 分 に 供 給 さ れ る こ と が 必 要 で あ る 。 と く に 精 神 神 経 疾 患 の 治 療 で は 『 昇 清 降 濁 』 の 考 え が 重 要 と な る 。 た だ し、 火 邪 が 上 衝 ・ 上 逆 し て い る 状 況 で は、 昇 清 作 用 の あ る 生 薬 の 使 用 は、 火 邪 の 上 昇 を 促 進 す る 危 険 が あ る た め、 注 意 が 必 要 で あ る 。 降 逆 ( 邪 気 を 降 ろ す こ と ) に 配 慮 が な さ れ て い な け れ ば、 却 っ て 症 状 を 悪 化 さ せ る 場 合 が あ る 。

こ の 点、 婦 人 の 自 律 神 経 失 調 症 や 不 眠 症 な ど に 使 用 さ れ る 柴 胡 桂 枝 乾 姜 湯 に は、 桂 枝 ( 昇 清 ) と 牡 蠣 ( 降 濁 ) が 含 ま れ て い る 。 配 合 に 妙 が あ り、 さ す が 頻 用 処 方 で あ る 。 補 中 益 気 湯 は 「 昇 清 」 が 強 調 さ れ た 方 剤 で、 「 降 濁 」 に は 配 慮 が な く、 補 気 が メ イ ン の た め、 邪 気 が 存 在 す る 場 合 は 火 に 油 を 注 ぐ こ と に な り か ね な い 。 注 意 が 必 要 で あ る 。

PS: 「 神 は 心 に 舎 る 」 と は、 「 心 」 が 「 脳 」 の 機 能 を 代 行 す る こ と を い う ( 心 が 用、 脳 が 体 ) 。 「 思 」 と い う 字 の 解 字 は、 上 の 田 が 幼 児 の 泉 門 を 表 し、 下 の 心 が 心 臓 を 表 す 。 こ の こ と か ら、 「 心 」 が 「 脳 」 の 手 足 と な っ て 機 能 す る こ と が 理 解 で き る 。

 
Posted by tozai4949 at 20:20│TrackBack(0)ヘルス/ビューティ 

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