January 01, 2012
独身・実家・東京人というキーワードは、しかし本当に地獄です、正月とか。
yuukaです。

恋の罪サブ3


映画『恋の罪(11 日  監=園子温)
『紀子の食卓』『愛のむきだし』などの話題作を発表し、2012年には主演の染谷将太&二階堂ふみがマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した『ヒミズ』の公開を控えている園子温監督の最新作。90年代に渋谷区円山町で起こったセンセーショナルな殺人事件にインスパイアされ、セックスや狂気に彩られた3人の女性の壮絶な生き様を映像化し、水野美紀、冨樫真、神楽坂恵という女優陣の体当たりの熱演が話題となった作品。

園子温が好きすぎて、クリスマスイブの夜に観に行ったのですが、客席ガラガラ&シネフィル風な出で立ちの男性客しかいない(しかもみな一人!!)侘しい銀座の映画館、無駄に切なくなったわけでありますが、しかし、期待を裏切ることなく、最高にクールでテンションのあがるエンターテイメント映画でした。

スリッパの位置のズレを1mmも許さない神経質な人気AV小説家と暮らす世間知らずの主婦(神楽坂恵)、昼はエリート大学で学生に日本文学を教え、夜は円山町で娼婦として働くファザコン助教授(冨樫真)、刑事、良き妻、そしても愛人の顔を持つ事件を追う女刑事(水野美紀)、三人三様の欲望の渦はぐるぐると螺旋のように絡まり合って、エロティシズムは最高潮!!3人の女優による体当たりな演技バトルがもう壮絶過ぎて気持ちがいい!!「アンタはきっちり堕ちてこい! 私のとこまで堕ちてこい!」と声を荒げる冨樫真の鬼の様相など笑っちゃいけないけどおもしろすぎる。人は余りにも本気すぎると滑稽に見えてしまうのはなぜなのか、しかしほんとまじでかっこいい。

しかも、園子温のなにがずるいって、幸福を探し続ける人生(もちろん見つかることはない)を、カフカの「城」に例えてみたり、

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで帰ってくる

などという素敵すぎる詩を引用し、映画全体を高貴で上品に仕上げてしまうところも憎いよね。ラスト、神楽坂恵が流浪でたどり着いた新天地で、愛なく抱いた男の上で涙を流しながら叫ぶシーンは、間違いなく、彼女の女優魂を開花させた瞬間だったと思うし。思わず、涙出た。

それに、何よりも、神楽坂恵が、もうすさまじく可愛くて、大好きな妻のために撮ったイメージ・ムービーだよね園さん、と、突っ込まずにいられないほど愛が溢れすぎてたのがウケる。ソーセージ持たせて、スーパーの販売やらせている姿とか、シーンを追うごとに「ソーセージ、どんどん太くなってますケドw」的なユーモアさは相変わらずで、にやにやしちゃいました。

ちなみに、男性はどう観るのだろうか、この映画。

あーあ。園子温のフェティシズムって、愛らしくて、好き。
知的な下品で素晴らしい!
新作『ヒミズ』も、楽しみですね。

■田村隆一 「帰途」

言葉なんか覚えるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きてたら
どんなによかったか

あなたが美しい言葉に復讐されても
そいつは ぼくとは無関係だ
きみが静かな意味に血を流したところで
そいつも無関係だ

あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう

あなたの涙に 果実の核ほどの意味があるか
きみの一滴の血に この世界の夕暮れの
ふるえるような夕焼けのひびきがあるか

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで帰ってくる



tr4txx at 22:55│Comments(0)TrackBack(0)movie | YUU

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