Steve-Wozniak

アメリカ政府が個人の通信を傍受していた一件は、大きな疑惑に発展しそうな状況ですが、これに関して内部告発をした元CIA職員を、スティーブ・ウォズニアックが支持したことがニュースで取り上げられています。

先月末、自動車メーカー大手のフォードでのイベントに出席するためにミシガン州にやってきたウォズは、現地でマスコミの取材に応じたのですが、その席で密告者であるスノーデン氏を「ヒーロー」と賞賛する一方で、アメリカ政府のプライバシー侵害は明らかに違憲だとして批判しました。

「ぼくに言わせれば、テロは戦争とは違う。テロとは犯罪のことだ。そして、『戦争』という言葉を使うことで、ぼくたちは本来あってはならないことをしでかしてきた」

「エドワード・スノーデンは良心にもとづいて行動した。だからこそヒーローなんだ。正直であること。アメリカ人をスパイすること。そういうことをよくよく考えたうえで、それでも世の中に知らせたいと思い、ああいう行動に出た。そうすることで彼は一生を棒に振ったわけだけれども」

ウォズは、NSAの立場にも一定の理解を示したものの、スノーデン氏への米政府の厳しい対応は不当だとしています。

またインターネットにも初期から関わってきた者として、その技術が個人のプライバシーを脅かしていることを残念に思うとも発言しています。

「ネットショップとかで買い物をしようと思って、アカウントを作る時に、これこれに同意する場合にのみ『OK』をクリックしてください、とか出てくるよね。でも、そうやって示される法律の文章なんて、誰にでも理解できるものじゃないし、いちいち読んでるヒマもない」

「ぼくもこれまでいろんな契約に関わってきたけど、そういう立場から言うと、あの手の文章っていうのは全く先方に有利な内容になっているんだ。相手が取り決めに違反しても、こちらとしては何も言えない。すべての権限は先方にあるってわけ」

「そもそも、今の世の中では、選択肢ってものがほとんどないんだ。世の中のかなりの部分がクラウドで処理されるようになってしまったからね」

「インターネットが登場した時、これこそ人々の自由を実現するものだと思った。どんな相手とも、場所に制約されることなく、意見のやりとりができる。そして、誰もそれを止めることはできない」

「ところが、今になって分かったのは、ぼくたちが送った電子メールを政府は見ることができるし、そうしたところで何の問題もないと解釈されるってことだ。その理由がどんなものであろうとね」

「インターネットとは、そういうものではなかったはずなんだ。それは、ぼくたちが考えていたインターネットの未来像とは似ても似つかない。むしろ、インターネットというものは、ごく普通の人々が巨大な政府に対抗できるための道具であり、ぼくたちを悪政から守ってくれるはずだった」

「それが今のインターネットは、圧政者がぼくたちの生活をますます統制しようとすることを手助けしている」

またウォズは、暗号技術のPGPが普及しなかったのは大きな損失だと見ています。IT業界のトップであるマイクロソフトとアップルは、自社製品にPGPを組み込んでおくべきだったというのです。

「マイクロソフトとアップルがPGP暗号技術を採用していれば、電子メールは完全に暗号化されるし、それを破ることもできなかっただろう」

しばらく前には、いわゆるクラウド技術についても、いろいろな意味で「危ない」として懸念を表明していたウォズですが、今回の盗聴事件はまさしくそれを裏付けることになりました。

それにしても不思議なのが、このウォズの発言を報じている国内のニュースメディアが見あたらないことです。同時期にウォズは、現在のアップルの苦境について「しばらくは様子を見る必要がある」と擁護しているのですが、こちらの発言があちこちで取り上げられているのとは対照的です。日本では、ウォズの存在はアップル絡みでしか扱われないということなのでしょうか。


Steve Wozniak: Snowden 'Is a Hero Because This Came From His Heart' - The Daily Beast