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今では外国からの観光客で混雑するようになって久しい秋葉原ですが、すでに80年代初めには海外マスコミに取り上げられるようになっていました。もっともそれは今とは違い、世界でも有数の電気街として注目を集めていたのですが。
そのひとつに、イギリスのテムズTVというテレビ局が制作した番組があります。1984年春にわざわざ東京にやってきて、秋葉原の様子を取材しているのです。幸いにも、その映像の一部をYouTubeで見ることができます。もっとも、残念ながら番組の冒頭から6分までしか入っておらず、途中で切れてしまうのですが、それでもなかなかに貴重なものといえます。


(最初の1分ほどは秋葉原とは無関係のため、それ以降から再生するようにしてあります)

最初の場面ではレポーターがお寺の境内らしき場所を歩きつつ、伝統とハイテクが同居しているのが日本の特徴とか、ありがちな話をしています。

1分ほどして登場するのが、秋葉原の光景です。日曜日の午後ということであたりはにぎわっており、何かしら買ったものを抱えている人々も多く見られます。

レポーターは狭い電気街に入っていき、そのひとつに足を止め、買い物をします。シャープ製のZ80を注文し、680円ということで、千円札でおつりと商品を受け取ります。このように、こういう部品がかんたんに入手できるのです、などと言っています。どうやらソ連のスパイでも誰でも電子部品が買えてしまうのが問題だと言いたいようです。冷戦時代を思い起こさせる話です。

つづいてカメラはパソコン店らしきところに入っていきます。

店内にはアップルⅡによく似たパソコンが展示されていますが、よく似ているだけでまったく同じではありません。続いて店の関係者らしき黒人男性が登場し、英語でレポーターとやり取りします。先ほどのアップルやIBM-PCとよく似たマシンの基盤を見せつつ、オリジナルより機能が高くて、しかも値段は半分なんだ、などと売り込み文句を並べます。

ところがレポーターが、こういうものは法律的にどうなのか、合法なのか、という質問をすると、愛想笑いを浮かべつつ、まともに答えようとしません。

次に画面はパソコン関係の量販店に切り替わります。店内の様子があちこち映し出されていくのですが、ここもたくさんの人でにぎわっており、パソコン教室など、いかにもこの時代らしい場面も見えます。

店内に展示されているパソコンを人々が熱心にさわっています。その多くは子供たちです。当時はパソコンも高価な買い物であり、そうおいそれと手に入るものではありませんでした。結果として、店のデモ機を目当てに、特に子供たちがパソコン店に出入りするようになり、中にはそれでゲームやプログラミングなどをしているケースまでありました。もっとも、店の方でもそうしたことを黙認していたわけです。

ここにあるコンピュータはどれも日本製のものばかりです、とレポーターが驚いたような言い方をしています。当時のイギリスでも主だったパソコンはシンクレアにエイコーンと国産機ばかりなのは同じだったと思いますが、日本製のパソコンというものがイギリス人には珍しかったということでしょうか。

残念ながらここで映像は終わっています。どうも番組の権利元がアップロードしたものらしく、業者向けにサンプルとして見せているようです。同じ番組にはMSXを始めとする当時の日本製パソコンを解説したものもあったようなのですが、そちらの映像は残念ながらネットでは見つかりませんでした。

ネットには意外にも当時の電気街やパソコン店の様子を捉えた映像はあまりないようなので、なかなか貴重なものとして紹介してみました。



(やはり途中までですが、同じ番組の別の回で、今度は電子メールを取り上げています。これも同じ時期に日本で撮影されたものですが、新幹線の車内から始まり、一瞬ですが食堂車まで映っています。使われているのは当時の新機種である京セラ製のTRS-80モデル100で、旅館の部屋にある電話からロンドンのホストコンピュータを呼び出し、300ボーの音響カプラをつないでメールの受信をする様子が捉えられています)