joust-screen

ウィリアムズのアーケードゲームといえば、何といってもディフェンダー、ロボトロン、スマッシュTVといったユージン・ジャーヴィスの諸作が有名ですが、他にもシニスターのようなすぐれた作品を残しており、中でも大きなヒットになったのがジャウストでした。

ジャウストは1982年に発表されたアクションゲームで、浮遊感の表現などで後続の作品に大きな影響を与えたといわれています。また早くからPCや家庭用ゲーム機に移植されており、日本でもファミコン版が発売されました。

当初よりジャウストはアーケードで高い人気を呼び、さっそくハイスコア競争が始まります。同じ年には大会が開かれ、その結果ウィリアムズ公認で初代世界チャンピオンが選出されました。それがロニー・マクドナルドという名の青年でした。

それから37年が経った今、マクドナルド氏がどうしているのかというと、実はまだジャウストをプレイしているのです。

ジャウストにはスコアに上限があり、7ケタいっぱいまでしか表示されません。つまり一千万点に達するとスコアが0に戻ってしまいます。ただしゲーム終了後、ハイスコアのランキングは上限で記録され、ネームも残すことができます。

氏はもちろん一千万点プレイヤーですが、それだけでは飽き足らず、さらなる目標を立てます。それが、全米50州すべてでハイスコアを達成することでした。やがてそれもクリアしたのですが、氏のジャウスト探訪の旅は終わらず、いまなおアメリカ各地を巡っては筐体に向かっています。

そんな氏の近況を伝える記事が昨年、ハイスコア認定機関ツインギャラクシーズのサイトに載っていましたので、ここで要約してお目にかけたいと思います。

* * *

lonnie-mcdonald-joust
(マクドナルドさん近影)twingalaxies.com

ゲームの世界では、ロニー・マクドナルドという名前はもっぱらジャウストのプレイヤーとして知られている。1982年に彼はジャウストの24時間耐久プレイを行い、また93万5050点というスコアをたたき出したことでウィリアムズから初代世界チャンピオンに認定された。

そんな彼は、ジャウストが出てまもない頃からプレイしてきた。

「もともとは友だちと二人で競っていたんだ。もっとも友だちの方は100万点に近づいたあたりで別のゲームに移ってしまったけど、ぼくはジャウストにこだわった」

「あの頃は、30マイル近辺にあるアーケードのすべてでジャウストのハイスコアを記録していた。もしぼくのスコアが抜かれるようなことがあれば、さっそくそこに行って抜き返すわけ」

同じ年、ジャウストをめぐる最初の大きな記録が24時間耐久プレイで、みごとそれに成功している。

「そもそもこのゲームを24時間連続で動かすことができるのかどうか分からなかったんだけどね。でも12時間だったら何度かやっていたから、いけそうな気はしていた」

次に狙ったのはハイスコア記録だった。

「人に頼んで、メモ帳とポラロイドカメラを持って待機してもらったんだ。それで1時間おきにスコアをメモに書き留めてもらって、画面もポラロイドカメラで撮影して、証人ってことでサインもしてもらった。それをウィリアムズに送って、世界チャンピオンに認定してもらったんだ」

こうして、さしあたっての目標は達成されたが、それで終わりとはならなかった。今度はスコアではなく、何か変わったことをやりたいと思い、それで思いついたのが、できるだけ多くの筐体で一千万点をたたき出すということだった。それはこの取材の時点で181台を数えている。

もっとも、当初の狙いは全米50州のすべてで一千万点を記録するというものだった。その後、目標をさらに広げて、できるだけ多くの筐体でハイスコアを出すという方針に変わったのだ。

最初の目標だった50州制覇についてはこう語っている。

「6年間かかったし、何千マイルと移動したよ。どこの州でもまずプレイできる筐体のありかを探すんだけど、こいつが手間でね。やっとのことで見つけ出しても、今度はその場所まで移動しないといけない。そうしてようやくプレイになるんだけど、一千万点出すにはだいたい4時間半かかる」

もっとも、その旅ではさまざまな思い出を作ることができた。

「いろんなところでプレイしてきたよ。おかげで面白い人たちに会えたし、興味深いコレクションも見せてもらった。場所もまちまちだった。アーケードやゲームバー、立派な博物館だったこともあれば、寒い倉庫やガレージもあった。個人宅の地下室とかね。背中を雨に打たれながらプレイしたこともあったな」

とりわけ気に入っているのが100番目だという。

「100番目はウィリアムズの本社ビルで達成したんだ。いろんな人にも来てもらったよ。ウォルター・デイ(ツインギャラクシーズの設立者でレトロゲーム競技の名審判として知られる)や、ジャウストの作者であるジョン・ニューカマーとかね。司会はロジャー・シャープ(ピンボール界の有名人)にやってもらった」

では、ジャウストに上達するにはどうすればいいのか。彼によれば、ジャウストはチェスと物理法則を組み合わせたゲームで、まずはそれを念頭に置いておくのがコツだという。またそれ以外にも、さまざまな物事を参考にしてきた。

「ぼくは若い頃からビリヤードをやっていて、そっちでもけっこういい成績を残してきたんだ。ビリヤードもショットの時に角度をどう考えるかっていうのが重要で、その点ではジャウストと共通している。それからピンボールとチェスもかなりやってきたよ」

そんな彼がいま熱心に取り組んでいるのがピンボールの保存活動である。

「以前、一年間ピンボールに集中して取り組んだことがあって、その時は世界ランクの271位まで行った。上位1%に入る成績を挙げることができたんだ。いくつかのトーナメントでは優勝もしているよ」

また保存活動についても、すでにいくつかのピンボールやビデオゲームを復元しており、そのうちの一台はテキサスのピンボールイベントでレストア賞を獲得するなど、一定の実績もあげている。

このように数々の実績を残してきたが、彼自身がいちばん気に入っているのは、人々を励ます立場になることだという。

「いろんな人たちにハイスコアに挑んでもらいたいし、その手助けをすることが、ぼく自身いちばん満たされた気持ちになるんだ」

* * *

元記事をさらに補足すると、マクドナルドさんは37年間ずっとジャウストをプレイしていたわけではありません。本文にもピンボールにのめりこんでいた時期のことが触れられていましたが、実際には1984年をもってジャウストからはいったん離れています。その後2011年に復帰し、また全米各地を回ってのプレイも始めており、今に至るというわけです。

それにしても、各地を旅しながらアーケードゲームをプレイするとはよく思いついたものです。また選んだ作品がジャウストであったことも有利に働きました。ヒット作だけあって基板だけでも2万枚以上が製造されており、まだかなりの数が残っているのです。それに有名プレイヤーに試してもらえるとあれば、ぜひお願いしたいというオーナーも多いことでしょう。スコア表示に制限があることも、プレイにちょうどいい区切りになっています。

マクドナルドさんは自身のサイト Joustmaster.com でもジャウストのノウハウを公開されています。また筐体をプレイしてほしい人も募集中だそうで、もしジャウストをお持ちの方がおられたら、サイトを通じて連絡されてみるのもいいかもしれません。日本まで来てくれるかどうか分かりませんが、きっと興味は持ってもらえる気がします。

なおマクドナルドさんはファミコンのバルーンファイトは存在は知っているもののプレイしたことはないそうです。その理由までは分からなかったのですが、それもまた何かのこだわりなのかもしれません。




(ジャウストツアーの宣伝映像です)

Joust Champion Lonnie McDonald Talks Classic Games And Maxing Machines - twingalaxies.com