ゲームレガシー

アップル、アタリ、コモドールといった海外レトロPCゲームについて。iPhoneのレトロゲーム情報もあわせて紹介します。このブログについて→ 電子書籍『ハルシオン・デイズ~コンピュータ・ゲームの先駆者たち』 (刊行準備中)→

2013年05月

ノーラン・ブッシュネルが新たに始めたネット教育ベンチャー「ブレインラッシュ」

bushnell-dylan

このところマスコミへの露出が増えているノーラン・ブッシュネル。3月に初めての著書を出したためだと思われますが、そのブッシュネルがいま最も力を入れているのが、ネット教育ベンチャーの「ブレインラッシュ」です。

brainrush

この会社、ブッシュネル自らが最高経営者として2010年に創業したもので、教育ソフトにビデオゲームの技術を取り入れることを目的としています。2012年にはベンチャーキャピタリストからの出資を受け、いよいよ本格的に動き出そうとしてます。

具体的には、さまざまな教科に関するカリキュラムを、ミニゲームを中心としたレッスンで進めていくというものです。一種のオープンシステムで運営されており、目的のテーマに基づいて教師が自分でゲームを作ることも出来るのだとか。

すでにアメリカのスペイン語教師2200人に試用してもらい、2年間で8万人の学生に対して実施したところ、学習の速度面で従来のコースに比べて8~10倍もの改善が見られたのだとか。先に紹介したベンチャーキャピタルからの出資も、そうした成果が評価されたのでしょう。

ブレインラッシュの本格的なサービス開始は2013年の秋を予定しているとのことです。

そのブッシュネル、ゲームの今後について聞かれると、ジンガなどのモバイルゲームはもう終わりなのだそうで、これからはグーグルグラスが来ると力説するあたり、あいかわらずVRへの思い入れを感じさせますが、健在そうなのは何よりでした。

From The Inner City To Private Schools, How Video Games Can Help Solve U.S. Educational Problems - Jace Hall Show




インタフェース面が大幅に刷新されたiOS版のインフォコム作品集

infocom-titles

昨年末と、すこし前の話なのですが、テキストアドベンチャーの最高峰、インフォコムの作品集が、現在の権利者であるアクティビジョンよりiOS版で登場しています。

アプリ自体は無料で、「ゾーク1」がそのまま遊べるようになっています。(ただし、残りの作品はアプリ内で購入する必要があります)

テキストアドベンチャーといえば、キーボードでコマンドを入力するのが前提でしたが、今回のアプリは数々の新機軸が盛り込まれています。とりわけインタフェースが大幅に改新されており、タッチスクリーンでの操作が格段にやりやすくなっています。


(新しいインタフェースを紹介した動画)

ゲーム内でのアイテムの操作も、すでに持っているものと照合しては先読みする機能を備えているので、手間が大幅に省けるようになりました。

「トル」「シラベル」といった頻出するコマンドは、あらかじめボタンが用意されているほか、ゲーム内の移動も画面上のコンパスで指示できるようになっています。

ゲーム内のヒント機能(別売り)も、かつてインフォコムが自社で販売していたヒント集「Invisiclues」を意識した作りになっており、またインフォコム作品の特徴であった各種の付属品も、(しょせんは画面上ですので制約はありますが)なるべく再現しようという意志が感じられます。


(付属品やヒント機能の再現部分を紹介した動画)

別途購入できるゲームですが、インフォコム作品のテキストアドベンチャーはほぼ網羅されています(ただし、アクティビジョンに権利のない「銀河ヒッチハイク・ガイド」と「ビュロクラシー」は対象外)。

販売自体はタイトル別ではなく、ファンタシイやミステリのジャンルでまとめられたものと、全ての作品の一括購入が選べます。一括購入を選択した場合、特典として「Zork: The Undiscovered Underground」が付いてきます。これはかつてプロモーション目的でのみ配布された稀少品です。

それにしても、このアプリ版は嬉しい驚きでした。アクティビジョンは90年代にも何度かCD-ROMでインフォコム作品集を出していましたが、いささか安直な作りで、マニュアルに欠落があるなどの問題もあり、今回のアプリ版も期待していませんでした。

ところが、今回の再発はじつに配慮の行き届いたもので、とりわけインタフェース面においては、後続のアドベンチャーゲームにも良い影響を与えるのではと思わせるほどの出来になっています。

アプリ本体は無料ですので、まずは試してみてはいかがでしょうか。

APP STORE: Lost Treasures of Infocom 無料

'Lost Treasures of Infocom' Review - Text Adventures at Their Best - TouchArcade

ゲームは芸術か~ニューヨーク現代美術館の「ゲーム展」が論議に

MoMAの略称で知られるニューヨーク現代美術館では、先月より「応用意匠」(Applied Design)と題して、ゲームの展示を始めました。ピカソなどの名画と同じように、たとえばパックマンなどが並んでいるわけですが、これが一方では波紋を呼んでいます。つまり「ゲームは芸術か否か」という、おなじみの論議が再燃しているのです。

賛成派は、あらゆる偉大な芸術作品と同じように、ゲームもまた人間の視野を広げるものなのだから望ましいという意見を表明しています。一方で反対する人々は、ゲームはあくまで遊び道具であり、一個人の作品でもないため、いわゆる純粋芸術の定義には収まらないと言います。

この論争に対して、明確に「ゲームは芸術ではない」という意見を表明したのが、ニューヨーク大学准教授のリエル・レイボウィッツ氏でした。

氏の意見は単純明快で、つまりゲームとは何より「コード」、すなわちプログラムなのであり、それ故に芸術ではない、というものです。その根拠として、氏が挙げたのが、過去の判例でした。

アメリカでは1980年代初頭に、パックマンのコピーを製造していたアークティックという会社が、当時パックマンのアメリカでの代理店だったミッドウェイに訴えられたことがありました。その時に被告が主張したのが、ビデオゲームは著作権保護の対象にはなり得ないという論法でした。米著作権法には「作者によって、有形の表現媒体上に“固定”された独自作品」(original works of authorship fixed in any tangible medium of expression、強調引用者)とあるが、ビデオゲームは一連の命令に従ってコンピュータチップが生成するものであり、「固定」されてはいないため、著作権の適用外だというのです。

それに対する裁判所の判断は次のようなものでした。ゲームが一連の命令による生成物にすぎないというのは、その通りかもしれないが、ただしゲームのコードはきわめて一意性が高く、常に同じものが生成される。よって被告はコピー機の製造を止め、賠償金を支払え。

これは重要な判決だったようで、その直後に米特許庁はゲームに関する方針を変更しています。出願にあたっては、画面に現れる画像や音声を「聴視覚にかかわる作品」(audiovisual work)とするか、あるいはプログラム自体を「著作物」(literary work)とするか、そのいずれかの選択を出願者に義務付けるようになったのです。

(つづきます)

ノキアの携帯電話で人気を呼んだシューティング「スペース・インパクト」がiOS版で再登場

iOSに最近登場した「スペース・インパクト」というシューティングがあります。

space_impact_title

一見すると昔ふうの横スクロールゲームに過ぎないのですが、2000年頃からの数年の間にノキアの携帯電話で動いたもので、ユーザーなら知らない者はいないほどの人気作だったそうです。続編や関連作品もいろいろ出たそうですが、やはりこの第一作がもっとも人気なのだとか。

space_impact_1

ご覧の通り、あえて粗いドットを使い、かなり忠実に再現しているようです。

当然、権利は今もノキアが持っていると思われますので、このiOS版は未許諾の勝手移植ということなのでしょう。

それにしても、2000年頃でこのようなゲームが人気を呼んでいたという事実には驚きます。今ではすっかり海外勢に追い抜かれたとはいえ、かつて日本という国は、携帯電話に関してはやはり相当に時代を先取りしていたのでしょう。

このiOS版、残念なことにiPhone 5のワイドスクリーンには対応していないのですが、「当時はそんなものはなかったのだから無理もない」と元記事は結論づけています。

APP STORE: Space Impact ¥85

O.G. Nokia Mobile Classic 'Space Impact' Will Not Be Left Behind - Now Available for iOS - TouchArcade

「カラテカ」作者、J・メックナーの幻となった第1作がネットで公開

jordan-mechner-pax-east

「カラテカ」「プリンス・オブ・ペルシャ」の作者、ジョーダン・メックナーが初めて完成させたゲームがネットで公開されました。この作品、タイトルを「デスバウンス」という、簡単なアクションゲームです。

これは元々、17歳のメックナーがアップルⅡで制作し、ブローダーバンドに持ち込んだ作品でしたが、結局は採用されなかったものでした。1982年当時の水準でも、商用ゲームの水準には達していないと見なされたことになります。

ところが、今年3月に講演でメックナーがこの作品に触れたところ、聴衆の中から、資金公募サイトのキックスターターでキャンペーンをやって、iOSとアンドロイド版の「デスバウンス」を制作しようとの声が上がったのです。

メックナーとしては、その意見に従うつもりはありませんでした。ゲームとしては発売できるほどの出来ではないという当時のブローダーバンドの判断には、メックナー自身も納得していたのです。

それでも人々は納得せず、講演の後にメックナーのところにやってきてはお金を渡そうとしました。

そこでメックナーは解決案を思いつきました。その時、彼が持参していたMacBook Airには偶然にも「デスバウンス」のディスクイメージが入っていたため、会場で渡されたお金を「公募資金」として、その当日に会場のカフェからディスクイメージをネットに投稿し、ゲームを公開したのです。ディスクイメージはこちらにあります。

また、あえてゲームを起動せずともゲームの雰囲気が分かるようにと、メックナーはゲームの動画をネットでも公開しています。



メックナー自身「この方がキックスターターよりずっと手軽」だとコメントしていますが、なかなか面白い解決策だといえるでしょう。

Deathbounce Kickstarter: Fully Funded! - JordanMechner.com

親会社の吸収合併によって解散が決まったルーカスアーツを振り返る

ucasarts_logo
かねてより交渉の進んでいた、ジョージ・ルーカスの映画会社ルーカスフィルムがディズニーに吸収されるという話が正式に発表されたのが4月初めのことでした。それをもって、子会社であるゲーム制作会社ルーカスアーツは解散ということになりました。

今後、ルーカス関連作品のゲーム版はディズニー自身のゲーム会社であるディズニー・インタラクティブか、あるいは外部のゲーム会社で制作されることになります。(スターウォーズ関連のゲームはEAに委託するとか)

もっともこれは無理もないことではありました。近年のルーカスアーツは「スターウォーズ」「インディアナ・ジョーンズ」といった有力な著作物を使えたにもかかわらず、これといったヒットを出せていなかったのです。

ただし、ゲーム史から見れば、ルーカスアーツの功績は、そうした有名映画のゲーム版ではなく、もっぱら80年代後半から90年代にかけて発表していた一連のアドベンチャーゲームにあるといえます。タイトルをあげるなら、「マニアック・マンション」「デイ・オブ・ザ・テンタクル」「シークレット・オブ・モンキー・アイランド」「グリム・ファンダンゴ」「サム&マックス」シリーズ、「LOOM」といったあたりでしょう。とりわけ人気が高かったのが「デイ・オブ・ザ・テンタクル」で、作者のティム・シェーファーは今では大御所のゲーム作家となりました。


(「デイ・オブ・ザ・テンタクル」のオープニング。すばらしい導入部です)

残念ながら、これらの作品は日本ではほとんど知られていません。ジョークを多用するなどアメリカに特化した要素が強く、どちらかといえば移植の難しいものではありました。国産機に移植されたものもあるにはあるのですが、それなりに知名度がある作品といえば「マニアック・マンション」と「LOOM」でしょうか。一方、本国アメリカでは、上にあげたようなルーカスアーツのアドベンチャーゲームといえば、かつては相当な人気を呼び、今なお根強いファンがいます。

とりわけ「マニアック・マンション」や「デイ・オブ・ザ・テンタクル」などは通称SCUMMと呼ばれたエンジンで動作していたのですが、現在はそのエンジン部分だけが切り離され、一種のエミュレータ、ゲーム用スクリプト言語として使われています。既存のゲームを動かせるほか、ゲーム制作ツールでもあり、それ用に書いたシナリオをSCUMMに組み込むことで、「マニアック・マンション」風のゲームを自作できるというわけです。

もっとも、上の2作は、要はポイント&クリック・ゲームであり、グラフィック主体のやりとりで進めていくというもので、テキスト中心の作品を愛好していた層にはあまり支持されなかったのも事実なのですが。

むしろ、最初期の作品である「ボールブレイザー」や「フラクタルスからの救出」の方が、先進的なイメージがあったほか、映像や演出に映画的手法の影響が感じられ、この会社らしいと思わせるものがあったように思います。




なんにしても、80年代より活動してきたゲーム会社がまたひとつ消滅したわけで、やむを得ないこととはいえ、いささか残念な出来事ではありました。

コモドール64をアップルⅡ互換機にしてしまう外部機器 「スパルタン」

日本もアメリカも、今のようにコンピュータがウィンドウズとマッキントッシュのふたつにまとまる前には、さまざまな独自規格のコンピュータが乱立していたわけですが、そうした機種間には互換性はないのが普通でした。

ただし、その中にも例外はあって、本来は対応していないはずのソフトウェアを使えるようにする方法もありました。たとえばPC-98シリーズなどの国産機でも、CP/Mを導入することで、CP/M向けのソフトウェア(の一部)を動かせました。ゲームはどうしてもハードウェアの特性に依存することが多いので、この方法で動くソフトはさほどありませんでしたが、そうではない作品、たとえばインフォコムのテキストアドベンチャーなら、この方法が有効だったのです。

一方で、ハードウェア的に、ある意味強引なかたちで互換性を確保しようとするものもありました。アップルⅡでMS-DOSを動かすための8086カードなどがこれに当たります。

この手の機器は、接続するPCにある程度の拡張性が必要になるため、ある程度のクラス以上の機種を対象にするのが普通です。つまり、ゲームが主な用途となるような低価格マシンではまずありえない。ところが、その例外となるのがここで紹介する「スパルタン」なのです。

spartan

これは、コモドール64向けのアップルⅡ互換ボードです。モノ自体はコモドールより少し大きい箱型の筐体で、コモドール本体の後ろ側に接続するようになっており、上にモニタを載せることもできます。これを接続することで、C64とアップルⅡ両方のソフトを走らせることができる、というのがセールスポイントでした。

この機器を手がけたのはカナダの「ミミック・システムズ」という会社でした。ちなみにミミックとは「物まね」という意味で、なかなかに含蓄のある名前といえます。

「スパルタン」は一種の拡張機器でもあり、たとえばROMカートリッジのスロットが3つ備わっていました。アップルⅡにはそのようなものはないので、これはコモドールの規格ですが、C64のROMカートリッジにはゲームだけでなくユーティリティなども出ていたので、よく使うものについては常時挿したままの状態にできたのです。(各スロットはオン、オフの切替え式でした)

また、ゲームポート(いわゆるジョイスティック端子)も付いていましたが、こちらはアップルⅡ互換です。アップルⅡのジョイスティックはアナログですが、C64のジョイスティックはデジタルでした。つまり、ゲームに応じてアナログ、デジタルのジョイスティックを使い分けることができたのです。どちらもゲームによって向き不向きがあるため、このように使い分けできるのは便利ではありました。

「スパルタン」の規格はアップルⅡプラス互換で、64kのRAMが搭載されており、内部の拡張スロットも9つ備わっていました。それ自体がほとんど独立したコンピュータだったのですが、実際に、キーボードを接続してジャンパを設定すれば、アップルⅡ互換機として使うことも可能でした。

宣伝もわりと積極的に行っていたようで、たとえば次のような広告をパソコン雑誌に載せていました。

spartan-ad
(ピエロを使った、挑戦的というか、なかなかに人を喰った感じの広告です)

それでこの「スパルタン」、成功したのかというと、残念ながらそうはならなかったのです。価格は599ドルと、アップルⅡのコンパチ機より少し安い程度だったのですが、いかんせん時期が遅すぎました。発売されたのは1985年末だったのですが、この頃にはコモドール64のソフトウェア資産は相当な規模になっており、とりわけゲームにおいてはアップルⅡを遥かに凌いでいました。平均的なコモドール・ユーザーにとっては、いまさらアップルのゲームが走ろうがどうだろうが興味ない、というのが大方のところだったのでしょう。せめて発売がもう数年早ければよかったのですが。

実際のところ、開発元も、この製品にはかなり早くから着手していたのが、開発に手間取っているうちに時期を逃してしまったのです。また動作もけして安定していたわけではなかったようです。

そんなわけで、やがて消えていった「スパルタン」なのですが、今でもたまにイーベイなどに出品されるとけっこうな値段が付いていたりします。製品のコンセプトが強烈だったせいか、あるいは例の広告が印象的だったためか、いまだに根強い人気があるようです。確かに、この製品に限らず、動くはずのないものを動かすというコンパチボードの性質には、ある種の痛快さが感じられるところもあり、そうしたところが人気の理由なのかもしれません。

The Spartans Invade Cupertino - resetvector.com

文字通り「発掘」された幻のウルティマ関連アイテム 「ドラッシュ山からの脱出」

drash_screen

1983年にシエラ・オンラインから出た「ドラッシュ山からの脱出」というゲームがあります。対応機種はVIC-20(日本のVIC-1001と同機種)で、カセットテープ版での発売でした。

内容はいわゆる迷路探検ゲームで、毎回ランダムで生成される迷路を探検し、登場するモンスターと闘い、制限時間内にクリアできれば次の迷路(面)に進むというものでした。グラフィック機能はいっさい使っておらず、キャラクタだけを使った、いわゆるキャラクタ・グラフィックというもので、プログラム自体はBASIC(一部マシン語)で書かれてありますが、内容的にも技術的にも、ゲームとしてはさほど目立った出来ではありません。


(グラフィックはともかく、サウンドはなかなかの出来です)

いってみれば凡作なのですが、そんな存在でありながら、レトロゲームの世界では大変な知名度を持つ作品になっています。

その理由は、このゲームが「ウルティマ」のブランドを冠して発売されたこと、そして、その存在自体が長いあいだ確認されていなかったことによります。

なにしろこのゲーム、シエラ・オンラインという大手から発売されたにもかかわらず、実物を所有しているという人が皆無でした。つまり売れなかったわけですが、そもそも発売元のシエラも、このゲームに関しては雑誌に広告を載せたのが一度あるだけで、それ以外まったく宣伝した形跡がないのです。(シエラの製品カタログでは紹介されていたとの説もありますが、いずれにしても外部に出たものではありません)

そもそもVIC-20自体がマイナーな機種であり、しかもこの機種の場合、出ているゲームソフトはROMカートリッジ版が大半なのですが、「ドラッシュ山」はカセットテープ版のみでの発売でした。データレコーダーを所有しているVICユーザーはさほど多くなかったでしょうから、このことも売行きに関しては不利に働いてしまいます。

このような状況が、世間の大きな関心を呼び、さまざまな憶測が語られるようになります。その中でもとりわけ有名なのが、シエラ・オンラインはこの作品を「ウルティマ」の作者、リチャード・ギャリオットに無断で出したのではないか、というものでした。

当時、シエラは「ウルティマ2」の発売元でもあり、ギャリオットとはいわば仕事上でのパートナーではありました。その関係につけこんで、平凡なゲームに「ウルティマ」のブランドを付けて出そうとしたものの、いざ発売が決まった段階になって、権利者に無断で出すというのはやはりまずいと判断し、製造ロットは最小限に抑えて、宣伝もほとんど行わず、存在自体を闇に葬り去ろうとしたというのです。後に判明するのですが、このような主張のほとんどが間違いでした。

とはいえ、肝心のモノがない以上、単なる憶測でしかありません。「ドラッシュ山」は、実は存在しないか、あるいは発売されなかったのではないかという見方まで出るほどで、いわば幻の「ウルティマ」とされていたのです。

それが覆ったのが2000年のことでした。実物の「ドラッシュ山」が発見されたのです。しかも見つかった状況が意外きわまりないものでした。カナダはバンクーバーにある崖の底に捨てられてあったゲームソフトの中に混ざっていたというのです。誰のしわざなのかは分かりませんが、おそらくは小売店か流通業者が過剰在庫を不法投棄したのでしょう。その中に「ドラッシュ山」が入っていたわけです。

見つかったゲームは、長年野外に放置されていたため、箱の状態は悪かったのですが、中のカセットテープは完動品でした。しかも、付属品である説明書とユーザー登録ハガキもちゃんと揃っていました。

drash_front
(「発掘」されたゲームの箱。かなり劣化しています。箱絵は「ウルティマ2」に使われたものの流用)

こうして実在が確認されると、あちこちで改めて探されるようになったのか、「ドラッシュ山」のカセットテープがぽつりぽつりと出てくるようになりました(そもそも、現物が出てくるまで「ドラッシュ山」はROMカートリッジで出ていたと思われていたところがあり、それもまた見つかりにくかった原因でしょう)。その一部はネットオークションにも出品されています。とはいえ、今に至るまで確認されている実物は10数点のみ、しかも付属品がすべて揃っているものはほとんどないという状態で、あいかわらず相当な稀少品であり続けています。

また現物が出てきたということで、ゲーム自体も改めて検証されたのですが、そうして分かったのは、この作品は「ウルティマ」とはほとんど何の関係もない、ということでした。

「ドラッシュ山」とは「ウルティマ1」に登場するダンジョンの名前です。また作中に「garrintrots」というキャラクタが登場しており、これはリチャード・ギャリオットの名前をもじったものと思われますが、いずれにしても、それ以外には何の関連も見つからなかったのです。

カセットテープで出た理由も判明しました。プログラムがROMカートリッジには収まらないサイズだったのです。また動作には8kまたは16kの拡張メモリが必要で、これもまた売れにくい要素といえます。

drash-casette
(「ドラッシュ山」のカセットテープ。なぜか発売年の表記がありません)

また、発売にまつわる事情も次第に分かってきました。2011年にこのゲームをイーベイに出品した人がいたのですが、売主にリチャード・ギャリオット本人が連絡して事情を説明したほか、当時シエラの関係者だったという人物が詳細なコメントを残しており、当時の状況が改めて明らかにされたのです。(現在は残念ながらギャリオット氏のコメントは見られないようです)

この元関係者氏によると、ギャリオット氏は「ドラッシュ山」について当初から知っており、シエラは「ウルティマ」の商標を無断で使用していたわけではなく、またシエラが「ドラッシュ山」の存在を隠そうとしていた事実もないとのことです。

考えてみれば、こうした主張にはすべて裏付けがあります。まず「ドラッシュ山」の作者はギャリオット氏の旧友であり、何らかの協力(「ウルティマ」ブランドの提供に同意)をしたとしても不思議ではありません。またシエラは当時すでに商標がらみのトラブルをいくつも経験しており、そうした問題にいいかげんな対処をするとも考えにくい。ゲームの宣伝をほとんどしなかったのも、発売当時にVIC-20のゲーム市場が相当に冷え込んでいたことを考えると、積極的に売るつもりになれなかったと見ても違和感はないでしょう。(ではなぜ、そもそも発売したのかという疑問が出てくるのですが、これについて元関係者氏は、デバッグに手間取っていて発売が遅れたと説明しています)

こうして数々の疑問が解消されたわけですが、現在レトロゲーム研究者の間で問題とされているのは、むしろかつての憶測がいまだに事実として語られていることなのです。確かに話としては「権利者に無断で商標が使われた」「発売元は存在自体を隠蔽しようとした」という方が面白いかもしれませんが、事実は事実です。新たに判明した時点で、過去の誤りは積極的に訂正していくべきでしょう。

The Digital Antiquarian - The Legend of Escape from Mt. Drash

リチャード・ギャリオットの第1作「アカラベス」 iOS版は独自インタフェースを実装

akalabeth-art

前のエントリで取り上げた、「ウルティマ」作者のリチャード・ギャリオットが最初に発表したゲーム、「アカラベス」ですが、すでにiOS版が発表されています。ゲーム自体は同じもの(アップルⅡ版のエミュレート)ですが、機能面でさまざまな改良が施されています。

ゲーム自体は、ランダムで生成されるマップを移動し、町で食料や武器などを仕入れて、あちこちのダンジョンに侵入してはモンスターと闘うというものです。

ダンジョン内では3D視点に切り替わりますが、この趣向はそのまま最初の「ウルティマ」に引き継がれています(というより、「ウルティマ1」のダンジョン部分は、「アカラベス」のコードをほとんどそのまま使ったのだそうです)。

すでに書いたとおり、プログラム自体はアップルⅡ版をエミュレータで動かしています。そのため、グラフィックスやサウンドはオリジナルと同じですが、機能面では新たな要素が追加されています。セーブ機能が使えるようになったほか、インタフェース面でも簡易キーボードが実装されました。

akalabeth-keyboard

なお、このiOS版、第三者が無断で作った勝手移植ではなく、リチャード・ギャリオットの監修を受けているそうです。つまり権利的な問題はきちんとクリアされているわけで、その意味では安心してプレイできます。

ゲームとして考えると現時点でプレイする意義はさほどないと思いますが、ゲームの歴史においては重要な作品であり、その意味において体験する価値はあるといえるでしょう。

APP STORE: Akalabeth ¥170

Gammabit - Akaladeth: World of Doom (iOS) Review

ゲーム業界に復帰したリチャード・ギャリオットの資金公募キャンペーンに見る「本気度」

akalabeth-title-screen

リチャード・ギャリオットといえば「ウルティマ」の作者であり、コンピュータRPGの先達のひとりとしてゲーム史に名を残す存在です。

その彼が、しばらくのブランクを経て、ゲームの世界に戻ることを発表し、今年3月には資金公募サイトのキックスターターでキャンペーンを開始しました。目標額はすでに達成されていますが、注目したいのはその中身です。用意されたプランのうち最高額のもので、ギャリオットのデビュー作「アカラベス」のオリジナル版をサイン入りで贈呈するというのです。

garriott+akalabeth
(「アカラベス」を手にするリチャード・ギャリオット)

「アカラベス」は、1980年に高校3年生だったギャリオットがアップルⅡで制作したRPGでした。出来上がったプログラムを入れたフロッピーディスクと、解説書をジップロックに入れ、バイト先のコンピュータ店に出してみたところ、11部が売れました。というより、それだけ売れて、12部目を店頭に出したところで、カリフォルニア・パシフィックという会社に誘われ、販売を任せることにしたのです。

この製品版も、ジップロック入りのパッケージということではオリジナル版と同じでしたが、再発された「アカラベス」は、またたく間に3万部を売るヒットとなり、印税契約だったことが幸いして、ギャリオットの元には15万ドルという大金が転がり込んできました。それをきっかけに、ギャリオットは「ウルティマ」を作ることになります。

そして、今回提供されたオリジナル版「アカラベス」とは、まさに高校時代のギャリオットが、バイト先でせっせと売っていた手製のパッケージなのです。複製ではなく、当時のものをそのまま使った、正真正銘の本物です。

akalabeth-package_vertical
(ギャリオットが保管していたオリジナル版「アカラベス」の素材)

幸いにもギャリオットは、当時の素材をすべて保管していました。今に至るまで、パッケージを作るために用意したフロッピーディスクや説明書、ジップロックなどを、きちんとした状態で残してあったのです。そして、1万ドルという高額のオプションを出資してくれた10人のために、ギャリオット自らが高校時代にやったように、手製のパッケージを作るのだそうです。

ただし、フロッピーディスクはブランク品のため、新しくファイルをコピーする必要がありますが、当時も売れるたびにファイルをコピーしていたそうなので、これは仕方のないところでしょう。

このオリジナル版「アカラベス」、これまでにも何度かチャリティなどで提供されたことがありました。2011年にはかつて店頭で販売されたものがイーベイに出品され、4900ドルという値が付いています。それを考えると、今回の1万ドルという値段も、他にギャリオット邸の見学などの特典が付いていることを考えると、けして割高なものとはいえないでしょう。

ギャリオットの元にどれほど素材が残っているのか分かりませんが、今後オリジナル版の「アカラベス」を入手できるチャンスはそうないでしょうし、これが最後になる可能性も十分にあります。そしてなにより、このような思い出の品を一気に放出したところに、今回の新作に対するリチャード・ギャリオットの意気込みが感じられる気がします。

新作「アバターの遺骸布」Shroud of the Avatarは、シングルプレイにも対応するなど、かつてのRPGにあった要素も重視しているそうですので、ぜひ期待したいところです。

Back Lord British's Kickstarter, Get This $5,000 Game - Wired.com



アップルⅡDOSの制作にまつわるエピソードが改めて紹介される

しばらく前に、ニュースサイトでアップルⅡDOSの制作にまつわるエピソードが紹介されていました。ここではニュースを参考にしつつ、このDOSが制作された事情についてまとめてみたいと思います。

アップルⅡは本体だけでも十分に革新的なマシンでしたが、世界で初めて商業的な成功を収めたパーソナル・コンピュータという今日の評価を得たのは、ひとえに安価で信頼できるディスクドライブ、ディスクⅡの存在があったからこそといえます。

diskII-one

アップルⅡが登場した当時、PCの記録媒体といえばカセットテープでしたが、データ転送に時間がかかり、信頼性にも欠けていました。そして、アップルⅡを趣味や家庭用だけではなく、ビジネスにも使えるようにするには、どうしてもディスクドライブが必要でした。

そのことはアップルの面々もよく分かっていたのですが、ウォズを筆頭に、キャプテン・クランチという別名で知られるジョン・ドレイパー、後にマックの父といわれるジェフ・ラスキンといった、当時のシリコンバレーを代表する凄腕ぞろいだったアップルの技術陣も、ディスクドライブとDOSは、そうおいそれと手の出せるものではなかったのです。

そんな訳で、アップルⅡは発売からしばらくはカセットテープにしか対応していませんでした。

diskII-card

1977年のクリスマスに、ウォズはディスクドライブのコントローラ・カードを設計します。そのカードは、通常なら60~70ものチップを必要とするような機能を、たった6つのチップで実現していました。チップが少なければ、コストを大幅に節約できるだけでなく、信頼性も大いに高まります。誰でも分かっていることではありますが、それを実現させてしまうところが、まさしくウォズの天才技術者である所以でした。こうして、アップルⅡの優位性は盤石のものになったのです。

ところで、ディスクドライブを動かすにはハードウェアだけでなく、ソフトウェアも必要です。ハードに関してはウォズによってクリアされたものの、ソフトに関してはさすがのアップルもこれといった手が打てない状態でした。なにしろ当時、6502で動作するDOSじたい、世の中に存在しなかったのです。

アップルⅡの内蔵ROMには、いちおうディスクドライブを制御できるミニDOS的な機能が組み込まれていましたが、任意のスロットに対してデータの入出力を指示できるものでしかなく、当然のことながら、ウォズはもっと機能が必要だと考えていました。

ウォズの取れる選択肢は限られていました。ひとつは、人気のOSだったCP/Mです。ただし、当時CP/Mといえば、洗練さに欠けるとしてあまり評判がよくありませんでした。ウォズはいちおうCP/Mの作者であるゲイリー・キルドールにも接触していましたが、もうひとつの案として「誰か他に、もっと使いやすいシステムを作ることのできる人材を探していた」(ウォズ)のです。

ウォズ自身は、DOSの知識はほとんどないとはいえ、それなりのものを書ける自信はありました。ですが、時間がないといってそれに反対した人物がいました。アップルの共同設立者、スティーブ・ジョブズです。短気なジョブズはさっさと候補者を探してきました。それがシェパードソン・マイクロシステムズという会社でした。やる気があったし、知識もありそうだから、という理由で、ウォズも任せることに同意します。

当時シェパードソンの社員だったポール・ロウトン(ロフトン)は、ウォズの訪問を受けた時のことをこう回想しています。ある日ウォズがやってきて、アップルⅡにはディスクドライブはあるけど、DOSがなくて、どうしようか困っている、というのです。ロウトンはOSの知識があることを話すと、じゃ作ってもらおうかということになったのだとか。

話はとんとん拍子に進み、やがて契約が成立しました。それからロウトンはDOSの制作に着手し、33日後にぶじ完成させます。ここから、ロウトンも相当に優れた技術者であることが分かります。いわば1か月ちょっとでOSを書いたわけで、これは当時の基準からしても、かなり速いものでした。しかも、開発に使えるツールもなく、ハードウェアもきっちり動作するわけでもないのですから、相当なものです。

それでも、ロウトンにとってはとりたてて難しい仕事でもなかったようで、彼自身は単にミニコンでせっせとシステムを作り、出来上がったところでデバッグをして、完成させたと淡々と語っています。ただし、契約書を見ると技術的なことについてウォズ自身が数々の注意書きをしており、けして楽なプロジェクトではなかったことがうかがえます。

ところで、アップルⅡのDOSを書いたなどというと、さぞ大きなお金が動いたかのように思ってしまいますが、実際にはこの仕事で、シェパードソンもロウトンもとりたてて経済的に潤うことはありませんでした。それもそのはず、このDOSは印税ベースではなく、買取り契約だったのです。

当時のアップルは、業界内でこそ注目されていましたが、世間的には単なる新興企業に過ぎませんでした。だからこそ、このような条件が成立したのでしょう。アップルⅡが社会現象といえるほどの売り上げを記録するのは、ディスクⅡが発売され、世界初の表計算ソフトであるビジカルクが登場した後のことなのです。

>visicalc

とはいえ、自分が作ったわけでもないDOSをIBMにライセンス供与して、やがては世界一の大金持ちになったビル・ゲイツのような人物もいることを思うと、やはり運命の皮肉のようなものを感じてしまいます。

それにしても、このニュースを目にした時、どうしてこのタイミングでアップルDOSの制作にまつわる話題が出てきたのか不思議でした。なにしろロウトンはかなり前に自身のウェブサイトを開設しており、そこでアップルⅡDOSに関する文章も載せていたのです。

いろいろ見てゆくうちに、その理由が見えてきました。最近になってロウトンはアップルⅡDOSに関する契約書をさる団体に寄付したらしく、そのことがきっかけでニュースに取り上げられたようなのです。何でも、その契約書は「アップルの歴史において最も重要な文書」という声もあるとか。確かにこのDOSが無ければ、アップルⅡがあれほど売れることはなかったでしょうから、一理ある意見といえるでしょう。

The untold story behind Apple's $13,000 operating system

※追記 元記事の翻訳版がありました

30年の歳月を経て完成したアタリ5200版「テンペスト」

tempest_monitor


「テンペスト」といえば、「バトルゾーン」「アステロイド」などと並んで、アタリのベクター・グラフィクス作品を代表する存在です。

もっとも、高い知名度をもつわりには、長いあいだ移植版に恵まれなかった作品でもありました。よく知られているものとしては、ジェフ・ミンターが手がけた「テンペスト2000」くらいでしょうか(正式にはオリジナルの移植ではなく、続編にあたるものですが)。もっとも現在ではオリジナル版が数多くの機種でプレイできます。

この作品に関して、かねてから噂されていたのが、アタリは80年代当時、自社ゲーム機向けの移植版に着手していたという説でした。これはけして根拠のない話ではなく、アタリ2600版の「テンペスト」は未完成のものが確認されており、5200版も過去にデモが展示されていたため、実際に制作されていたことは判明していましたが、残念ながらその先の事情は分からずじまいでした。


(2600版の「テンペスト」。さすがに苦しい出来です)

それが覆ったのが1999年のことでした。突然、アタリ5200版「テンペスト」の試作版ROMがイーベイに出品されたのです。

出品者はアタリの元社員でした。この人物は退社時に半完成状態のROMを持ち出しており、それを10数年後にネットオークションに出品したのです。その後、このROMから吸い出されたデータがネットにアップロードされ、プログラム自体はたちまち広がっていきました。

ただし、このバージョンは当たり判定が機能しない状態だったため(当たり判定のルーチン自体はすでにプログラムに組み込まれてはいたのですが)、ゲームとしてはとうてい遊べるものではありませんでした。また敵キャラも1種類しか入っていませんでした。

もっとも、流出版とは別に、プログラム自体は最終的には完成に近いところまで進んでいたようです。たとえば、最初に流出したものを50パーセントの完成度とすると、最終版は90パーセントというところまで仕上がっていたのだとか。

どうして流出したのが、ほぼ完成したものではなく、このような制作途中のバージョンだったのかについては、ひとつの仮説があります。

アタリ5200版「テンペスト」はジョイスティックのほか、トラックボールでも遊べるようになっていました。そして、流出版のROMを持ち出した元社員は、その5200版トラックボールの設計担当者だったのです。

ここからは推測になりますが、おそらくこの元社員は、トラックボールの制作に必要ということで、手近なところに半完成品のROMを置いておけたのでしょう。トラックボールの動作確認にのみ使うのなら、要は自機が動けばいいわけで、当たり判定は不要だったのかもしれません。

一方、アタリ5200版「テンペスト」をめぐる状況は意外な展開を見せます。最近になって、その5200版を手がけていた元アタリのプログラマが「テンペスト」の仕上げに着手し、昨年の10月ごろに、30年の歳月を経て、ようやく完成させたのです。そして今年の2月には、箱入りのパッケージ版(ROMカセットと説明書入り)が250個限定で売り出されました。


完成したゲームは、グラフィクス、サウンド共にアーケード版にかなり忠実なものとなっており、高い評価を受けています。

そもそも、この移植版「テンペスト」が世に出なかったのは、有名なゲーム市場の崩壊によるものでした。この作品に限らず、アタリで当時開発中だった5200向けゲームはすべて発売中止になったのですが、「テンペスト」に関しては完成寸前の状態だっただけに、作者としてもすっきりしないものがあったのではないでしょうか。

そのような作品が、いささか遅きに期したとはいえ、作者自身の手で完成し、こうして理想的な形で世に出たのは、実に喜ばしいことといえるでしょう。

Atari Age Store - Atari 5200 Tempest

Tempest_Mockup_600

米アマゾンでレトロゲーム ストアがオープン

article_post_width_AmazonRetroGaming

ハード、ソフトに限らず、周辺機器などにも力を入れているアマゾンですが、4月にはレトロゲーム・ストアが開設されました。

Amazon.com - More Systems & Retro Gaming

アマゾンは以前からレトロゲームを扱っており、今回のオープンにあたって品揃えが特に変わったわけでもないようですが、ストアとして独立したカテゴリが出来たことで、これまで以上に探しやすくなったとはいえそうです。

米アマゾンの場合、対象となるプラットフォームはインテリビジョンから初代Xboxまでとなっています。通例のレトロゲームの定義に比べるとかなり後の時代のものまで含まれており、このあたりは意見の分かるところかもしれません。

まだ整備が行き届いていないらしく、正しく分類されていないアイテムがあるのも気になるところです。確認されているところでは、ファミコンのソフトがインテリビジョンに分類されているケースが目立っているとか。ただし、まだ始まったばかりですので、いずれ改善されていくことでしょう。

一方、各国で展開しているアマゾンですが、レトロゲーム・ストアは今のところ米アマゾンにしか存在しないようです。たとえば日本のアマゾンを見ると、ストアの名前は「中古ゲームストア」となっています。URLの分類には「レトロゲーム-ストア」と入っているのですが、ストア自体の名称はそれとは異なっているわけです。サイトを見ると、中には「レトロ中古ゲーム」という分類もあります。どうやらレトロゲームは、あくまで中古ソフトという大きな分類のひとつという位置づけのようです。現世代のゲーム機向けには中古ソフト、プレイステーション以前ならレトロゲームというカテゴリを使い分けているようで、これも米アマゾンの方針とは異なっています。

英アマゾンにも「レトロゲームストア」という名称のセクションはあるのですが、アクセスしてみると現在は稼動していないようです(どうもアマゾンではなく外部の業者が運営していたようですが)。

というわけで、今のところ独立したストアとして動いているのは米アマゾンだけらしいのですが、国によって状況も違うことを考えると仕方のないところかもしれません。

ここではむしろ、このようなサービスが始まったことの意義に注目するべきでしょう。独立したストアになったということは、レトロゲーム市場が重要であるとアマゾンも認知しているということに他ならないわけで、今後の展開を注目したいところです。

Amazon opens 'Retro Gaming Store' - GameZone

アプリ『カラテカ・クラシック』は移植ではなく、アップルⅡ版のプログラムがそのまま使われている

先日出たばかりのiOS/android版『カラテカ・クラシック』は、1984年にアップルⅡで発表された『カラテカ』を復刻したもので、発売早々なかなかの好評価を得ているようです。

このアプリ、あちこちのニュースサイトで「移植」と書かれていますが、これは厳密には正しくありません。実際にはオリジナルであるアップルⅡ版をエミュレータによって動作させており、ゲーム本体に関しては、いわば原典がそのまま使われています。

そもそもこの『カラテカ・クラシック』、2年前にリメイク版が発表された時から、オリジナル版も復刻してほしいとの要望が作者であるジョーダン・メックナーの元に寄せられており、それに応えての措置なのだとか。メックナー自身のブログでも、「これはリメイクでも移植でもなく、オリジナルのアップルⅡ版をエミュレートしたもの」だと明言されています。

もっとも、エミュレータを使ったレトロゲームアプリは以前からありますが、『カラテカ・クラシック』の特徴は、動作音まで忠実に再現していることでしょう。


本体の起動音や、ディスクⅡのヘッドが開始位置に戻りシークを実行するところの動作音がサンプリング音源で鳴らされています。

また、オリジナルのアップルⅡ版にしか存在しない「隠し要素」も健在です。

『カラテカ・クラシックス』で使われているのはActiveGSというApple IIGSエミュレータです。このエミュレータは元々、アプリケーションとウェブ用プラグインとして世に出たものですが、2011年にはiOSとandroidに移植されており、それが今回の『カラテカ・クラシックス』に採用されたわけです。ただし、アプリとしては今のところエミュレータ単体では公開されておらず、あくまで他のプログラムのランタイムとしてのみ使われています。

今回の『カラテカ・クラシックス』には、操作用の画面キーや巻き戻し機能など、オリジナルにはない要素も追加されているのですが、そのプログラミング自体もActiveGS側のスタッフが担当したようです。


ActiveGSの開発者からフル機能版を提供してもらったという人が公開している動画。アップルⅡやGSのさまざまなゲームがiPad2で動作しています。もちろんこれは未公開のものですので、一般には利用できません。

APP STORE - Karateka Classic ¥85

Touch Arcade - 'karateka Classic' Brings the 1984 Apple II Original to iOS
twitterでブログの更新告知を行っています




記事検索
スポンサード リンク
過去記事抜粋表示
ランダム記事表示ボタン
お問い合わせ
  • ライブドアブログ