ゲームレガシー

アップル、アタリ、コモドールといった海外レトロPCゲームについて。iPhoneのレトロゲーム情報もあわせて紹介します。このブログについて→ 電子書籍『ハルシオン・デイズ~コンピュータ・ゲームの先駆者たち』 (刊行準備中)→

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FPGAは万能ではない~あるSNESエミュレータ開発者の主張

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このところレトロゲーム界でよく見られるようになった存在としてFPGAがあります。FPGAとはプログラミングにより回路構成を改変できる集積回路のことで、その利便性の高さによって以前からレトロハードの再現に使われており、商用ベースにも乗るようになってきました。その一例が、今年春にアメリカの互換機メーカーAnalogue社より発売されたSNES互換機、Super Ntです。
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対立と融和〜レトロゲームの互換機メーカーとオープンソースのエミュレータ開発者をめぐる複雑な関係

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今では8ビット、16ビット時代の家庭用ゲーム機のソフトを互換機で手軽に遊べるようになりました。中でも転機になったのが、2014年に発売されたRetroN 5でしょう。他機種対応に加えて、HD出力やステートセーブなど、数々の先進的な機能を備えていたことで大きな話題となりました。
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精度の代償~究極のSNES保存計画と消えたカートリッジ その2 ゲームソフト編

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byuuさんのSNES保存計画において、エミュレータの開発と並行して進められていたのが、ゲームソフトの保存でした。それも、一般に販売された作品であれば、地域にかかわりなく、すべて対象にするという壮大なものです。
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精度の代償~究極のSNES保存計画と消えたカートリッジ その1 エミュレータ編

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今年の1月初め、ドイツからアメリカに国際便が送られました。続きを読む

エミュレーションによるゲームのオンライン公開を推進するインターネット・アーカイブ、著作権への見解を問われ沈黙

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家庭用ゲーム機、PC、アーケードと、インターネット・アーカイブがオンラインで提供しているゲームは拡大の一途をたどっています。今年からはついにMS-DOSのソフトウェアまで扱うようになりました。従来とは別のエミュレーション方式を採用してまで実現にこぎつけたのですから、その熱意には頭が下がります。続きを読む

インターネット・アーカイブがMS-DOSプログラムのエミュレーションを開始

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かねてよりPCやゲームのブラウザ駆動によるエミュレーションを提供してきたインターネット・アーカイブですが、今年に入ってからはついにMS-DOSのプログラムまで扱うようになりました。

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プロジェクト世話人が明かす、ブラウザ駆動のアーケードゲーム集「インターネット・アーケード」(Internet Arcade)使用のコツ

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「インターネット・アーケード」は、インターネット・アーカイブが運営するネットサービスで、ブラウザ上でアーケードゲームをエミュレーションするというものです。現在900種類のゲームが登録されており、自由に遊ぶことができます。
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Javascriptによる多機種PCエミュレータ、MESS(JSMESS)の対応機種が拡大中

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以前お伝えした、Javascriptによるブラウザベースの複合エミュレータ、MESSですが、その後も開発は順調に進んでおり、すでに300を超える機種をサポートするようになりました。続きを読む

Javascriptによる複合エミュレータ、MESSの8ビットPCへの対応が進行中

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MESSはJavascriptによるブラウザベースの複合エミュレータで、すでに数多くの機種に対応していますが、今月より新たにアタリ800、アップルⅡc、コモドール64、コモドールPETといったメジャーな8ビット機に対応するようになりました。続きを読む

ゲーム研究者が語る「エミュレータの功罪」

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エミュレータは便利なものですが、単に遊べればいいというレベルで考えるわけにはいかない人たち、たとえば本職の研究者の間ではいろいろと問題視する声もあるようです。エミュレータでいくら遊んだところで、実機でのプレイとはまた異なる体験にしかなりません。なにしろPCゲームはともかく、アーケードやゲーム専用機では、コントローラひとつとってもまったく違いますので。

この問題について、英国立ゲーム博物館(NAV)のスタッフであるノッティンガム トレント大学のジェームス ニューマン教授が昨年4月にNAVのブログに発表した文章がありますので、それを要約してご紹介したいと思います。

―――

エミュレータはすばらしい。過去の遺産を埋もれさせないために多くの人々が努力し、すぐれた成果をあげている。このことは賞賛に値するし、商業的な利益とは無縁の場所で行われているこうした活動は、今後研究の対象とされるべきだろう。

ところが、過去のゲームを保管し展示することを目的とするNVAのような組織にとっては、エミュレータは安易に歓迎できるものではないのだ。

まず最初に、エミュレータが対象としているものの存在がある。

エミュレータはすべてをカバーできているわけではない。たとえばメガドライブ版の「ソニック ザ ヘッジホッグ」は、NTSC版とPAL版では画面表示にかなりの違いがある。端的にいって、オリジナルであるNTSC版の方が遥かにすぐれているし、現行のエミュレータが再現しているのもそちらである。

ところが、ヨーロッパのゲーマーにとっては、ソニックといえばPAL版だという事実は、この作品を語るうえでの前提になっている。そして通常、メガドライブのエミュレータはPAL版のソニックを対象としていない。

このようなローカライズによる違いのほか、ROMのバージョンについても同様の問題がある。

そもそも、オリジナルのハード自体にもバージョンの違いが存在する。たとえばコモドール64のSIDチップに音質面でのバラツキがあるのはよく知られているし、メガドライブも後期型は明らかに音が悪い。

エミュレータを語るにも、それが何を対象としているのか、そのことをまず考えないといけないのだ。

当たり前の話で、メガドライブのエミュレータは、メガドライブそのものとは違う。個々のエミュレータの出来がどうこうという話以前に、ゲーム研究者としては、この点は見過ごすことができない。たとえばコントローラは、どうやってもエミュレータでは再現できない。それに、たいていのゲーム専用機では複数のコントローラを使い分けることができる。となると、特定のゲームを語るにあたっては、ソフトウェアのバージョンのほか、使用するコントローラも考慮しなければならないことになる。

さらに携帯ゲーム機や、いわゆる体感型のゲームとなると、元来のゲーム体験はエミュレータではけして再現できない。


(セガの体感型ゲーム筐体、R360)

NVAはすべてのアイテムを収蔵することを目的としていない。そのため、ハードウェアについては、研究内容の意図に沿ったかたちで、基本的には一般的なものを選んでゆくということになるだろう。

またエミュレータは、性能や互換性のために独自の改変を施している場合がある。たとえば重いゲームをエミュレートする場合に、速度を上げるためにフレームをスキップしていることは多い。これも見た目には違いが生じてしまう。

個人的な話をしよう。数年前、ゲームボーイ用の「ゲーム&ウォッチ コレクション」を購入したことがある。このソフトにはゲームウォッチ版の「ドンキーコング」が収録されていた。もちろん、技術的にはこれはエミュレータである。

わたしは、今でもオリジナルである「ドンキーコング」のゲームウォッチを所有しており、どういうゲームなのかもよく知っている。とても好きなゲームであるだけに、ゲームボーイで遊べるなら、それはそれで便利だなと思ったので購入したわけだ。

結果として、ゲームボーイ版にはたちまち失望してしまった。確かに、音も見た目も「ドンキーコング」によく似ている。それでも、オリジナルのゲームウォッチ版と同じものではなかった。何が違うのか。ゲームのテンポが違うのだ。

「ドンキーコング」では、マリオや樽が動くたびにクリック音が鳴る。樽は鉄骨のスロープをひとりでに降りてくるが、マリオはプレイヤーが十字キーで操作し、キーを一方向に押しっぱなしにしていると移動スピードが上がる。マリオはゲーム内のテンポに従って、位置を変えてゆく(テンポはゲームが進むにつれて速くなる)。

このゲームではマリオと樽がそれぞれ違うテンポで動いている。ゲームウォッチの「ドンキーコング」をやりこんだ人ならよく知っていることだが、樽をよける場合には、画面表示ではなく、ゲームのテンポに従って操作するのがコツだ。とりわけテンポが速くなってからはそうなる。

ところがゲームボーイ版は、マリオと樽のテンポの違いがオリジナルと同じように再現されていないのだ。

これはもう、単なる表面上の問題ではなく、ゲームプレイの根底に関わる違いである。ゲームボーイ版も「ドンキーコング」のゲームとしては面白い。だがゲームウォッチ版とは違う。要はまったくの別物だということだ。

最近、「ストリート ファイター4」のXBox360版とPS3版をめぐる論争があった。


(「ストリート ファイター4」の比較映像)

ゲーマーの間では、特定のゲームに関してどのゲーム機がベストなのか、という話は昔からあるものだ。単なるゲームファンの罵倒合戦になってしまうことも少なくない。ところが、この映像では着実な分析が行われている。画面を2つに分割して、それぞれのバージョンの違いを詳細に見せているのだが、PS3がフルフレームでのアンチエイリアス機能を備えていないことによる影響や、720pと630pという解像度の違いを分かりやすく表している。このような映像を作るのは容易なことではない。これを見れば、ゲーマーという人々の熱意や知識が相当なものであることが、実によく伝わってくる。個人的には、この映像が主張しているのは、アンチエイリアスの有無がゲームプレイにどう影響しているのか、ということではないかと感じた。

以上のことを踏まえて、NVAとしては、あくまでオリジナルのゲーム体験を第一に考える方針を採りたい。エミュレータの限界とはまた別に、オリジナルのオブジェ、オリジナルの作品には、それ自体のアウラがある。オリジナルと寸分違わぬ複製が可能となった、このデジタル時代においても、オリジナルそれ自体の価値は、やはり存在しているのだ。


原文
On Emulation

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