私が初めて英語の仕事でお金をいただいたのは90年代後半のこと。
派遣会社に登録してスキルチェックを受けた後、某自動車会社に2週間くらい派遣されて社内資料を英訳しました。
そのときに一緒に派遣されたお姉さま達がとっても素敵で。
そのうちのお一人はお孫さんがいらっしゃる(ようにはとても見えない)上品なご婦人。今考えると、あの年代の女性で仕事で通用する語学力を持った方は多くなかったのでは。
(ちなみに海外への観光渡航の自由化が1964年でプラザ合意が1985年、男女雇用機会均等法が1986年施行)
もう一人は30代(?)の女性。ハリウッド映画に出てくるアジア人女性のようなメイクにドキドキしました。話してみると気さくな方で「今日はこの後、カレ(外国人?)とデートなのよ。アピアランス大丈夫かしら?」なんて言ってました(笑)
お二人とも御自身のスキルだけを頼りに働いてる感じが眩しくて素敵でした。
そんな彼女たちに「○○さん(私)の書く英語、かっこいいね」と言ってもらえたことは、その後の私の支えになりました。
そんなわけで私にとって“派遣”という形で働くことは「会社を選ぶんじゃなくて“仕事”を選び、自らのスキルだけを武器に戦う傭兵」といったイメージです。ドラマ『ハケンの品格』の大前春子さん的な。
(ちなみに労働者派遣法が施行された1986年当時から、適用対象の“専門13業務”の一つとして「通訳・翻訳・速記」が入っています)
しかしその後、1999年に適用業務の原則自由化、2004年に製造派遣解禁、2008年にはリーマンショックで「派遣切り」「年越し派遣村」と言った言葉が聞かれるようになります。(ちなみに『ハケンの品格』はリーマンショック前の2007年)
もはや「ハケン」という響きはマイナスのイメージしかないのでしょうか…
「非正規雇用」とか、なんだか正しくないような言われ方、悲しいですね…
そして今や、営業さんでも派遣の方がいらっしゃいます。呼び捨てで呼ばれ「頑張りを見せれば社員にしてやってもいいんだぞ」的な目線で扱われているのを目にしてしまうと、「何かがおかしい」という違和感が湧き上がってきて胸がザワザワします。
現実的な問題として「営業のプロ」と言えるほどでは現時点でないとしても、少なくとも「部下」ではなく「外注」のはずです。(そして「上司」ではなく「指揮命令者」)
派遣は社員の二軍ではない。
その方が「育ててもらえてありがたい」「がんばって一軍に上がりたい」と思っているのなら、ただの大きなお世話なのですが…
2021年06月19日20:10