翻訳者ときどきライター

英語のこと。日本語のこと。翻訳のことetc.(名古屋論も?)

m17n

この世界の共通言語は…

前回はちょっと話がそれて名古屋論になっちゃいましたが、多言語化の話に戻りたいと思います。
「まずは英語版を作ってから各国語版に」ってところまで話してましたね。
 
私は、コーディネーターとして、英語版を中国語、韓国語ヨーロッパの各言語に翻訳するための手配をしてたこともあります。
 
北京、ソウル、ヨーロッパの各担当者に依頼するわけですが、もちろん、私は中国語も韓国語もポルトガル語もできません。
でも、依頼自体も英語でできるわけです。メールも同じ文面で大丈夫ってことですね (^ー^)
 
メールの返信の方は、文面に個性が出てました。
 
北京の担当者は、「Well Noted.」とだけ (^ー^;)
(「了解」って意味だと思いますが、英米でどれほど使われてるか不明で、辞書にも載ってません)
「ホントにわかってんのかなー…」と心配してると、すごい速さで翻訳が上がってきたり (^ー^)
 
ソウルも、北京と同様に東京と時差が少ないのでラクでした。
担当者は女性でしたが、私がその職場を離れるときに、とっても心のこもったメールが来て感動しました (T-T)
 
ヨーロッパからは、さすがにキレイな英語のメールがきましたが、時差の関係で、ちょっとした不明点や不備があると平気で1~2日つぶれるので注意が必要でした。
 
英語を介して世界各国の方々と仕事ができたのは、私にとって貴重な経験になっています。
そして、もうひとつ思ったことは、「英語力も大事だけど、それ以前の“伝える力”って大事だなー」ってことでした。
具体的には、
「ポイントを絞る」とか、
「重要な点は、別の表現で繰り返したりして強調する」とか、
「わかりやすいように構成を考える」とか、
「誤解される表現になってないかチェックする」とか、
「相手の意図してることを汲み取る」といったようなことです。


 

世界中の人に翻訳してもらうための英語

昨日は、「多言語化(マルチリンガライゼーション)を行うには、まず英語版を作ってから各国語版に」というお話を書きました。
 
英語圏以外の国への旅行なんかで、「現地の言葉がわからない日本人」と「日本語がわからない現地の人」が、お互いのカタコトの英語を介してコミュニケーションをとる様子にちょっと似てますね。
 
ただ、プロの仕事としては、カタコトというわけにはいきません (^ー^;)
ちゃんとした英語版をもとに多言語化することが必要です。
 
「多言語化のもとになる英語版」は、正確で、明瞭で、簡潔である(「Correct」「Clear」「Concise」で「3C」と言われます)ことが求められます。
 
「文章の流れの美しさを考慮して繰り返しを避ける」といったことは日本語でも英語でも見られますが、これは翻訳で誤解を生む可能性があります。
(もちろん、翻訳者も、「同じことを異なる表現で表してる」と気づけなくちゃいけないんですが…)
ですので、私は「3C」に「Consistent(一貫性のある)」を加えて、「4C説」を唱えようかと思っています (^ー^)
 
また、広い意味を持った「やわらかい」言葉は、意味が限定された「かたい」言葉にした方が、誤解が少なくなります。
 
『絶対に間違えられない伝言ゲームが、そこにはある』って感じですかね (^ー^;)
 
以前に、「イタリア語から英語に翻訳されたドキュメントを多言語化する」という中の、日本語への翻訳を担当したことがありました。
案の定、伝言ゲームになりそうでした。
特に、食品関係だったので、「日本ではイタリア料理は人気があって、みんなよく知ってる。この言葉(英語)は原文(イタリア語)ではどう言ってるか教えてくれ」ってきいたりして、なんとか乗り切りました。(空腹時にはつらい仕事でした…)
 

日本製品の取説をポーランド語にするには?

前回、「名古屋には、世界中に製品を輸出するメーカーが多い」というあたりまで書いて力尽きてしまい、失礼しました (^ー^;)
 
さて、日本の製品を世界中の国々で使ってもらうためには、マニュアルなどが現地の言葉で書かれてた方がいいですよね。
そこで翻訳の仕事が発生します。
 
中国語に翻訳するとします。
日本語と中国語のバイリンガルの方、たくさんいそうですね。
そういった方々の中から、テクニカルライティングがきちっとできて、その製品に詳しい方に依頼すればうまくいきそうです。
 
では、ポーランド語にしたい場合はどうでしょう?
日本語とポーランド語がわかる方、どのくらいいるでしょうか?
さらに、関連知識があってテクニカルライティングがちゃんとできる方、見つかるでしょうか…
 
じゃあ、どうするか。
 
  :
 
そうです。まず、英語版を作るんです。
 
ポーランドにも英語がわかる方はいっぱいいます。
もちろん、ポーランド以外の国々でも、英語ができる方はいっぱいいます。ポーランドを例に出しましたが、特に深い理由はありません (^ー^;)
 
そういった方々の中から優秀な翻訳者を見つけて、英語版から各国の言葉への翻訳を依頼します。
 
この話、言われてみれば当たり前なんですが、意外にウケる場合があるので、飲み会での知ったかぶり等にお使いいただければ幸いです (^ー^;)
 

ローカライゼーションとインターナショナリゼーション

本当は、今回のタイトルは「“L10n”、“i18n”、“m17n”」にしようかと思ったんですが、文字バケと思われそうなのでやめました (^ー^;)
 
それぞれ、「localization(ローカライゼーション/ローカリゼーション)」「internationalization(インターナショナリゼーション)」「multilingualization(マルチリンガライゼーション)」という長い単語を縮めた表記方法です。
3つとも、産業翻訳に深く関係する言葉ですね。
 
たとえば、「アメリカで開発されたソフトを、日本語で表示されるようにして、さらに“State(州)”を“県”にしたりして日本で使えるようにする」のはローカライゼーションです。
 
これとは逆に、「日本のメーカーが製造したデジタル家電を世界中で販売するために、各国語で表示されるようにして、取扱説明書なども各国語に翻訳する」のは、インターナショナリゼーションです。
(マルチリンガライゼーションは「多言語化」ですので、インターナショナリゼーションに近い意味ですが、翻訳的な意味合いが強いと思います)
 
で、ここ名古屋では、世界に製品を売るメーカーが多いので、「i18n」「m17n」のニーズが大きいんですね。
 
逆に、外資系企業の日本支社はほとんどが東京ですから、「L10n」のニーズは東京(あるいは海外の本社)で発生します。
 
(次回へ続く)
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