August 23, 2007

THERE WERE SILENT GAPS IN THE CONVERSATION.

東京へ戻る前に、ケアホームのおばあちゃんのところへ寄りました。
もう既に、娘も孫も、分からない状態。
「行ったって誰か分かっとらへんし、会話になんかならへんよ」
予めハハに言われていました。ショックを受けないように、という配慮でしょう。
実際、会いにいっても、ハハに向かって「昨日○○が来た」と、実際には来ていないハハの名を出してみたり、こちらから話しかけても「ふーん」と理解できないような顔をしたり。

There were silent gaps in the conversation.
会話は途切れ途切れでした。


しかし、意味の分からない言葉を多々挟みながらではあるものの、よく喋ってくれました。
聞いていて胸が苦しかったです。
口を開いたら涙が出そうで、何も言えませんでした。
意味をなした部分だけつなげると…。



 私にもっと教育があれば…
 もっと早くから気付いていれば…
 いろいろやってやれることもあったのに…
 こんなおばあになってまった…
 私は間に合わん…
 ここの方にそれを言っても泣き言になるから言わん… 
 間に合いたいなあ…
 まああかん…
 言葉も出なくなった…
 こうなってはつまらん…
 毎日こうしとるだけ…
 大きな息をついてもむなしい…
gapは、「割れ目、途切れ、すきま、穴」。「格差、違い」といった意味合いもあるので、「間」であることが明確になるよう、silent(無音の)gapとしました。
毎日おとなしく世話をされているだけで、何も考えていないかのように見えても、一人の人間であることをやめたわけではない。
どんどん現実と切り離されていく頭の中で、かろうじて残った機能で途切れ途切れに考えているのが、こんなことなのです。
この後、別れ際の握手のとき、おばあちゃんは更にびっくりすることを言いました。
つづく。



transmedia at 17:02│Comments(0)TrackBack(0)General 

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多岐川恵理

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