2011年05月13日

早朝の故郷より

A.M.6:30。
私達は白石ICで降り、沿岸部を目指していた。

ここ白石市には「バスケットボールで町おこし」という考えがあり、精力的にJBLや県内の大会を開催していた。
会場となったのは、いつも「白石ホワイトキューブ」。
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バスケットコートが横並びに4面も広がる巨大施設である。
懐かしい。そうだ、キュウブ行こう。(通り道だし)


リアルな被害
 
国道から細かい道に入ると、震災の被害がリアルに伝わってくる。
道路が裂けて、歪んでいる。それは高速のそれとはまったく比べ物にならない。
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さらに液状化でだろうか、マンホールが飛び出している。

震災のひどさを見せつけられる。
これらをすべて工事することを想像し、ちょっと気が遠くなった。


沿岸部の惨状

車は、白石市から角田市を通り、沿岸部の亘理町に入る。
亘理町といえば、なんといっても「はらこ飯」だ。今はそんな状況じゃないけど。
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さて、いよいよだ。
さらに海の方へ車を走らせる。
ハンドルが重い。空気が重い。

そして、南北の沿岸部をつなぐ常磐道の下をくぐると、そこにはTVで見た惨状が広がっていた。
車が横転し、さら地になった家、折れた電柱…映像はTVで見たものだ。
が、実際はTVとはまったくの別物である。呼吸すら苦しいほどの重さ。

ずっと誰かに話しかけられているような気がする。
今すぐに逃げ出したくなる気持ちを抑えて車を走らせる。

気づけば車内から言葉は消えていた。


そういえば先日、被災地を見た俳優の渡辺謙さんがこう言っていた。

「あれはがれきではない。ここに住む人の壊された生活の破片だ。」

今思うと、それが正しい。
見た目はがれきでも、落ちている物すべてに意味があり、情や念が入りこんで私たちに助けを求めてる気がして、周辺や車内の空気がどっと重くなる。

そこから車は仙台空港あたりまで北上し、沿岸部を離れた。


チャリTしかない

そこから少し走ると、あたりはほぼ普段の仙台だった。

徐々に私も落ちつきを取り戻し、冷静になる。そして思った。

初めからわかっていたことだけど、Trapeziumができることは本当に小さい。
しかも人によっては迷惑になるかもしれない。
被災地を見てその不安は強くなったが、このチャリTを着て元気を出してもらう以外にできることはなく、オレらはとにかく動くしかない!という思いも逆に強くなった。

よし!まず風呂だ!ということで極楽湯に行った。最高。
東京にも欲しい。極楽湯。残念。

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利府の勇者はグラディエーター

昼食後、いよいよチャリT活動だ。

まず1人目は、Hさん(男性)。
実はこの方、お茶くみのご両親がコーチを務める
「荒浜小学校バスケットボールクラブ」の代表の方で、ご自身もがっつり被災された。

しかし新たな仕事に就き、いち早くアパートも借り生活している。たくましい。

Hさんはお仕事中にもかかわらず、わざわざ時間を割いて下さった。とても気さくで明るい方だった。
Hさんとお話をしていて、印象深いものがある。

「(バスケットボール)協会も、自粛自粛ではパワーが出ない。こっち(被災地住民)はもう切り替えようとしているんだから、協会も大会を再開してほしい。」

自らの悲しみは内に秘め、力強く子どもたちのために奔走するHさん。
こちら側が元気をもらい、代わりにクラブ分のチャリTをお渡しし、お別れした。


偶然の情報ライブ
 
P.M.2:00。
Hさんと別れそのまま日本三景・松島へ。

ここにはお茶くみの高校の同級生で、私も親交のあるアヤちゃんが働くカフェがある。
事前の連絡では、P.M.5:00頃に仕込みが終わるとのことだったので、まずは日本三景を久々に観光。

松島の場合、海との距離がとても近い。そのためかなりの被害を心配していたのだが、意外にも6〜7割程度は営業していて活気もある。

話によると、松島特有の浮島が、各所で津波の勢いを分散させた効果が大きいらしい。
松島を守る住民と、住民を守る松島。
最高の相互関係。

とはいえ、ただでは済むはずがない中、GWまでに間に合わせた松島の皆さんに心から拍手を送りたい。

そしてこの日、松島に活気をもたらすもう一つの出来事があった。

日本テレビ「ミヤネ屋」の収録に遭遇したのだ!

一帯は中高年の皆さんで大賑わいだった。さすが。
 
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松島の勇者はオーガニック
 
まだP.M.4:00なのでどうしようか迷ったが、カフェならそこで待てばいいじゃんという基本的な答えにたどり着き、お店へ向かった。

お店は、1階がハイセンスなお土産屋さんで2階が菓子店およびカフェとなっていて、松島の中でも群を抜いてオシャレ!
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階段を上り、2階のお店に入るなりアヤちゃんとバッチリ目が合ったが、仕込みの真っ最中な感じなので無言で挨拶し、そっとした。

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4人でテーブル席に座る。
店内は和モダンで統一され、東京・青山を彷彿とさせる。
店員さんからも「無添加」感が溢れ出る。か、かわいい。

アヤちゃんもしばらく見ないうちに無添加感が増してさらにいい女に。

お茶くみとAtsに緊張が走る。


お姉さん、とりあえず注文を。
 
男3人は自家製カステラとほうじ茶。
冨井は自家製ダックワーズとコーフィーを。

ダ、ダックワーズ?

え、それってもしや、90年代前半からポートランド・トレイルブレイザーズで活躍したC、ケビン・ダックワース!?

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いやー、あの頃のポートランドは強かった。
クライド・ザ・グライドにテリー・ポーター、ジェローム・カーシーさらにはベンチにクリフ・ロビ…
「おい。」

ダックワース妄想にふけっていると、アヤちゃんが合間を見てテーブルに来てくれた。
冨井と岡やんを紹介し、すぐに近況話へ。

そうそう、この話しやすさだ。見た目オーガニックになってもサバサバした性格は変わってない。よかった。

そうこうしているうちに3つのカステラとケビン(ダックワース)が来る。
アヤちゃんも仕事へ戻った。

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カステラ尋常じゃない。尋常じゃないオーガニックさ。うまい。
聞けば国産のハチミツを使用してるのだとか。スピッツ。

続いてケビン(ダックワース)。
一口食べた冨井がなぜか幸福な表情で固まっているので、少しもらう。

な、なんということでしょう!

このお口いっぱいに広がる和な甘さは…    …きなこ!

きなこのケビン・ダックワース!
 
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なんか本格的におかしくなってきたけど本当にうまい!

これはお土産だね、そうだね、とささやく4人。


っていうか、マジやることやんないと。
このままじゃNBAに詳しい彦麿呂おじさんだ。


満を持して登場した、あらかじめサイズと枚数を見つくろっておいたチャリTを持っていく。

透明感のある店員さんのお気に召すかがかなり不安だったが、アヤちゃんは喜んでくれた。

「けっぱれだって。アハハー」

本当にうれしかったかはわからないけど、まだ不安の残るであろうアヤちゃんはじめお店の方々に少しでもほっとしてもらえたらと願う。

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応援しに行ったはずなのに、帰りにちゃっかりきなこのケビンをお土産にもらう。
被災地の方々は本当に力強い。
お礼を言って、お店を出た。清々しい気分。

さあ仙台へ帰ろう。
今P.M.5:30、まだ夜は長い。


次号
「Trapezium仙台復興応援記vol.3
       国分町の勇者となま粋」



「松華堂 菓子店しょうかどう かしてん」
TEL 022-355-5002
宮城県宮城郡松島町松島字町内109 2F
営業時間:11:00〜 / 定休日:火曜日


(04:20)

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