久しぶりに音楽の話を書きます。19日日曜日は、昨年のショパン国際コンクール第4位で一躍注目を集めた桑原志織さんを聴きに高崎まで行ってきました。

コンサートの前半は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番。

若きベートーヴェンの作品らしく、モーツァルトの優雅さを受け継ぎながらも、所々に「これから時代を変えていくぞ!」という意志が顔をのぞかせます。桑原さんのピアノは、決して力で押し切る演奏ではありません。一音一音を丁寧に歌い、作品の若々しさを自然に引き出していました。技巧を見せつけるのではなく、音楽そのものを語る演奏でした。

そして後半は、フィンランド期待の若手、ミカエル・ロポネンさんのシベリウス交響曲第2番。

クラシック音楽を初めて聴く人から、「同じ曲なら誰が演奏しても同じでしょう?」と聞かれることがあります。答えは、これがまったく違います。

指揮者が変わるだけでオーケストラの音は大きく変わります。料理に例えると、オーケストラは食材、指揮者は料理人といったところでしょうか。どんな味に仕上げるかは、料理人次第です。同じ牛肉でもステーキにもなるし、シチューにもなる。それが指揮者の仕事です。テンポを速く設定するのか、それともゆっくり歌わせるのか。弦楽器を前に出すのか、はたまた木管楽器を際立たせるのか。それらの無数の選択が、指揮者の個性となります。

ロポネンさんのシベリウスは、北欧の空気を感じさせるものでした。澄み切った空気、静かな森、長い冬から春へと向かう生命感。派手な演出はありませんが、音楽が自然に呼吸していました。群馬交響楽団もそれに見事に応え、弦楽器の厚み、木管の素朴な響き、金管の輝きが一体になり、まさに「シベリウスらしい音」を作り上げていました。

「あの曲、知っているから」そう思っていても、指揮者が変われば、新しい感動に出会える。それこそが、クラシック音楽の醍醐味だと改めて感じた、充実した演奏会でした。

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