2019年09月

シェアリングの裏に地道なメンテナンス

前二輪の三輪自転車トライクショップの自転車ニュース(2019年9月30日)


車、自転車…シェアの裏に地道なメンテ

都市部中心に車や自転車のシェアが広がっている。所有せずに、いつでも乗れる手軽さが売りだ。でもふと気になった。借りるのも返すのも無人のスポット。サービスはどのように成り立っているのか。シェアの裏側を探った。


三井不動産リアルティのカーシェアサービス「カレコ」は10日に1度、車のメンテナンスと掃除を行う(東京・江東)=山田 麻那美撮影

三井不動産リアルティのカーシェアサービス「カレコ」は10日に1度、車のメンテナンスと掃除を行う(東京・江東)=山田 麻那美撮影


■ベンツの前に立つ男性

9月のある平日夕方、東京・豊洲の駐車場に菊地洋平さんが現れた。菊地さんは青いベンツの前に立つとボンネットを開けて、エンジンルームの点検を始めた。ウオッシャー液の残量やエンジンオイルの確認作業だ。

車のオーナーではない。三井不動産リアルティが運営する大手カーシェアリングサービス「カレコ」のメンテナンス担当。こうした作業を1台ごとに10日に1度、平日に実施する。


清掃も「拠点」となる駐車場で念入りに

清掃も「拠点」となる駐車場で念入りに

車内外でワイパーが動くか、ライトの電球が切れていないかなどを確認する。続いて、タイヤの空気圧をチェック。点検を終えると、車内清掃に移る。シートを拭いてマットのホコリを取り、消臭剤を噴く。窓ガラスを内側まで拭いて、良好な視界を確保するという。

■臭いのクレーム、当事者特定

たまに「置き忘れた買い物袋を発見することもある」と菊地さん。一連の作業が全部で30分ほど。その後、ガソリンが半分以下になっていれば、スタンドへ給油しにいく。

車内にはウエットシートなどの清掃キットを置いており、利用者には車両返却時に簡単な清掃を求めている。備え付けのカードを利用して洗車をすれば、次回以降の利用料を割り引くクーポンも配布。利用者を巻き込む形のメンテナンスはレンタカーとの大きな違いだろう。

喫煙やペット同乗は禁止だ。だが、まれにルール違反もある。次の利用者から「臭いが気になった」などのクレームを受け「当事者を特定し、電話で注意を促すこともある」(同社)という。

車体にキズをつけてしまったらどうすればいいか。料金には保険料も含まれており、修理は保険でカバーできる。ただ大事故などで車が使えなくなった場合は営業補償金を支払う必要がある。これは一般的なレンタカーと変わらない。


台数が少なくなったポートに自転車を積み下ろす。年中無休で昼夜問わず作業を行う(東京・港)

台数が少なくなったポートに自転車を積み下ろす。年中無休で昼夜問わず作業を行う(東京・港)

自転車の場合はどうだろう。東京23区や大阪市などで仕事や観光の足としてシェアが普及しつつある。ポートからポートへ乗り捨て自由が基本。特定の拠点に利用が偏ることもあり、再配置が大変なはずだ。大手のドコモ・バイクシェアに再配置作業を見せてもらうことにした。

■GPSで効率的に配置

午前9時。東京都港区のあるポートに自転車をたくさん積んだ2トントラックがやって来た。自転車には全地球測位システム(GPS)機能が搭載されており、作業員はどのポートにどれくらいの台数があるか端末でチェックしているという。作業員2人が1台しか残っていなかったポートに、あっという間に20台ほどの自転車を下ろした。

手早くタイヤやブレーキの状態を確認している。走行に支障が出るキズがないかも確かめる。自転車は電動アシスト機能付きだ。バッテリーの充電率が3割を切る場合は、充電ずみのものと交換。10分ほどで作業が終わると、作業員は次のポートへ向かった。

作業は委託先が24時間365日、三交代制で請け負っている。これを支えるのが人工知能(AI)だ。ドコモは2011年の事業開始以来蓄積してきたデータを効率的な再配置に活用する。天気や人口動態データと掛け合わせ、最適な回収台数や配置先をはじき出す。

ただ自転車を再配置する作業は「人力に頼るしかない」(同社経営企画部の山口恵さん)。便利なシェアサービスは、裏で地道な作業を担う人たちがいてこそと実感した。

■カーシェアに抵抗なく



共有することに抵抗がない人が増えている。カーシェアは車両数、会員数ともに拡大が続く。ドコモ・バイクシェアも登録会員数が59万人(6月末時点)に増えた。タイムズ24が運営するタイムズカーシェアは「安全点検・清掃は10日から2週間に1度」。オリックスカーシェアを運営するオリックス自動車は「月3回の頻度で車内を清掃している」と話してくれた。安心して利用できるという信頼感と利用者のマナーの高さが相まって、普及を後押ししている面もあると感じた。(生活情報部 天野由輝子)
(2019.09.29付  日本経済新聞 から転載)

自転車と旅の日(マルベロ)宮城・丸森

前二輪の三輪自転車トライクショップの自転車ニュース(2019年9月29日)


複合イベント、自転車と旅の日「MARUVELO a marumori」が宮城県丸森町で10月5日に開催

 宮城県丸森町の齋理屋敷を舞台にした複合イベント、自転車と旅の日 「MARUVELO a marumori」(マルベロ)が10月5日に開催される。イベントでは様々な飲食ブースや雑貨屋、アーティストによる音楽演奏、アート展示などを実施。イラストレーター小河原政男氏の絵画販売も行われる。


昨年の様子。イベントには多くのサイクリストが訪れた Photo: Asumi FUJIWARA

 MARUVELO(マルベロ)は東北地方の活性化や、自転車の活用を推進を目的とし、宮城県南部在住の有志メンバーによって企画・運営されているイベント。今年で3回目の開催を迎える。


「マルベロ」が開催される齋理屋敷の蔵 Photo: Asumi FUJIWARA

 会場の齋理屋敷は江戸時代後期から昭和初期にかけて栄えた豪商、齋藤理助氏の屋敷。邸宅と収蔵品の寄贈を受けた町が「蔵の郷土館」として開放している場所だ。通常は入場料が610円かかるところ、イベント当日は無料で入ることができる。

 会場のマーケットブースには、丸森産の採れたて野菜と加工品を提供する「ふれあい農園直売所」や、ミシュラン星付きフレンチレストラン「nacree」(ナクレ)など24店舗が出展し、様々な国の飲食物や雑貨などを販売。


飲食店など24店舗が出店する Photo: MARUVELO 実行委員会

小河原政男氏のアート展示・販売も行われる  提供: MARUVELO 実行委員会

 自転車関連では、仙台市のプロサイクリングショップ「ベルエキップ」やイギリスのウェアブランド「Velobici」(ヴェロビチ)、ニュージーランドの自転車メーカー「Chapter2」(チャプター2)が出展。1994年から毎年ツール・ド・フランスを追い掛けるイラストレーター、小河原政男氏のアート展示・販売も行われる。

 そのほか会場では音楽ライブやワークショップなど様々な催しが行われる予定だ。
(2019.09.27付  サイクリスト から転載)

自転車保険加入義務化10月から 神奈川

前二輪の三輪自転車トライクショップの自転車ニュース(2019年9月28日)


自転車保険 10月に加入義務化 1億円の高額賠償事例も / 神奈川

県の啓発チラシ

県の啓発チラシ
 自転車損害賠償責任保険の加入義務化が10月1日から始まる。自転車対歩行者の事故が増加し、全国で高額賠償が請求される判決が出たことなどから、県が条例を制定した。地元事業者から話を聞いた。

 利便性が高く、身近な交通手段として幅広い年齢層に利用されている自転車だが、一方で交通ルールや速度に対する認識が甘く、少しの気のゆるみが重大な事故の発生につながる。兵庫県では2008年、夜間に自転車に乗って高速で坂を下っていた小学生が60代の歩行者と衝突し、頭がい骨などを骨折した歩行者の意識が戻らなくなるケースがあった。神戸地裁は児童の保護者に対し、約9500万円の賠償を命じている。こうした背景から、安全で適正な自転車利用の促進と、万一の事故に備えた保険の加入を義務付ける条例が今年4月から施行。保険加入の義務化は10月からとなっていた。

 今年8月末までに大磯警察署と松田警察署管内で発生した自転車交通事故は、交通事故全体の2割を占める。神奈川県自転車商協同組合大磯・二宮支部の蛯澤幸干支部長は「店でも加入を呼びかけているが、自ら聞きにくる人もいる。保険の加入と整備をきちんとして、安心して自転車を利用してもらえれば」と話す。
(2019.09.26付  タウンニュース から転載)

淡路島と四国 大鳴門橋サイクリングロード

前二輪の三輪自転車トライクショップの自転車ニュース(2019年9月27日)

淡路と四国、自転車で行き来 大鳴門橋サイクリングロード実現へ


自転車道が敷設される予定の大鳴門橋の桁下空間(兵庫県提供)

            
自転車道が敷設される予定の大鳴門橋の桁下空間(兵庫県提供)
渦潮で知られる鳴門海峡をまたぐ大鳴門橋
            
渦潮で知られる鳴門海峡をまたぐ大鳴門橋

 大鳴門橋のサイクリングロード敷設に向けて安全性を検証してきた兵庫県は25日、橋の下部に専用道を新設すれば自転車が安全に通行でき、橋の強度や耐風安定性にも問題ないとする試験結果を発表した。県は来年度、敷設に向け構造設計に取り掛かる。淡路島と四国を結ぶ自転車道構想は実現へ大きく前進した。

 橋は全長1629メートルのつり橋で上下2層構造の上部に車道がある。下部は新幹線を通せる構造になっているが、現状はレールなどはなく、ほぼ骨組みの状態。

 調査は徳島県と共同で昨年5月に開始。橋の下部に幅4メートルのアスファルト舗装を施し、両側に高さ2・5メートルの防護柵を取り付けたという設定で検証した。鳴門海峡は風が強いため、精密な模型を作って「風洞実験」を重ねた結果、設計風速の1・2倍に当たる秒速87メートルの暴風時でも橋の破壊につながる振動が発生しないことを確認。重量増加による強度も問題ないという。

 自転車道では、広島県尾道市から愛媛県今治市に至る「しまなみ海道」などが人気を集める。今年9月16日には淡路島を自転車で一周する「淡路島ロングライド150」が節目の10回目を迎えた。四国と行き来できる自転車道を望む地元の声は高まっており、兵庫県の担当者は「淡路島と四国が自転車道でつながれば、交流人口が増加し観光活性化が期待できる」と見込む。(赤松沙和)
(2019.09.25付  神戸新聞 から転載)

嬬恋キャベツヒルクライムに1075人

前二輪の三輪自転車トライクショップの自転車ニュース(2019年9月26日)

有料道路が年に一度自転車の聖地に 「嬬恋キャベツヒルクライム2019」1000人が疾走


群馬県我妻郡嬬恋村で9月1日、「嬬恋キャベツヒルクライム大会」が行われ、普段は自動車専用有料道路の「万座ハイウェー」の上り坂をサイクリストが走り抜いた。国内外から1075人のライダーがエントリーし、今年で第4回の本大会は過去最高の参加者数となった。


万座ハイウェーを疾走する参加者たち Photo: Marvo FAVARO

嬬恋キャベツヒルクライムとは

 「嬬恋キャベツヒルクライム大会」は、嬬恋村と万座温泉を結ぶ有料道路「万座ハイウェー」を走破する、19.8kmの市民レーサー向けの人気の大会だ。「万座ハイウェー」は自転車通行禁止の自動車専用道路だが、一年に一度だけ自転車に解放され、これを目当てに全国から集まる自転車愛好家も多い。標高差1010m・平均勾配5.1%と、ヒルクライムを極める人からビギナーや女性まで最適なコースだ。ファミリー向けのショートコースも設定され、子供にレースの雰囲気を味わわせたい家族が多く見られる。コースや景色の良さ、地元の温かいおもてなしを絶賛する声が多く、嬬恋を代表する大会にまで成長した。


大会のお楽しみの一つ、参加賞。嬬恋村の特産の高原キャベツをモチーフとしたものが人気。今年はポケットに収めるリュックサック Photo: Marvo FAVARO

特産のキャベツや地元野菜は人気 Photo: Marvo FAVARO

自転車活用推進法発足以前にも注目の大会

 本大会は自転車活用推進法が成立する以前に2015年から始まり、嬬恋村、プリンスホテルグループと地元企業の全面的なバックアップを受け、スキーやアイススケートなど、ウィンタースポーツがメインスポーツだった嬬恋村に新しい可能性を生み出した。自転車が健康維持促進のきっかけになると国が定めた指針以前に、大会は地方創生につながるということから地元自治体が注目し、この大会が誕生した。産経新聞社・吉川達郎執行役員から次のコメントを頂いた。

 「サンケイスポーツとしてこれまでマラソンや、色々なスポーツイベントに携わってきましたが、自転車の熱は日本でも高まってきて、ヨーロッパの大会は日本でも見られるようになりました。もともと幅広い層が支持しているので、我々も自転車大会を手伝うことを決めました。嬬恋村は温泉も高原野菜もありますし、東京から近いし、人情も厚い場所です。非常に面白い大会です。1日だけ有料道路を全面ストップさせ、このような舞台設定はそんなにありません。この大会に参加するサイクリストの皆様は、様々な大会に出ていると思いますが、ここで大きな魅力を感じていると思います。国際色豊かで大会で年々に参加人数が増えており、これからもより良い大会に育てていきたいと努力いたします」


千葉県松戸市から来た和田さん「毎年子供を連れて来ています。大会の雰囲気がいいし、楽しい。今年はショートコースで息子と走ります」 Photo: Marvo FAVARO

静岡県三島市から蕎麦屋を中心に集まったグループ。代表の山川さん「昨年5人で来ましたが、今年は8人に増えました。大会とコースは楽しいので、来年はもっと来ますよ」 Photo: Marvo FAVARO

地元の中学生も参加(左から、山崎くん、滝沢くん、松橋くん) Photo: Marvo FAVARO

温かい食事を振る舞う地元のボランティアの皆さん Photo: Marvo FAVARO

年々人気上昇の理由

 参加者の多くは、レースだけでなく、前日に行われた様々なイベントを楽しみ、会場が賑わいに包まれた。一つの目玉は、イタリアのプロコンチネンタルチームNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ専属のメカニックが行う「ラヴァッジョ」と呼ばれる洗車の無料サービスだ。


西勉さんによる説明を真剣に聞く参加者。洗車は一人の特権だが、見学は自由 Photo: Marvo FAVARO

 チームトラックの前で抽選に選ばれた6人の参加者だけが受けることができる特別サービスとあって、抽選の倍率はとても狭き門。メカニックの西勉さんは、綺麗に自転車を保つ意味とメンテナンスの重要性を丁寧に説明しながら自転車を長く使うコツを伝えた。会場のすぐ横にプロ選手仕様のチームバイクの無料試乗会が行われ、多くの人は高級自転車の乗り心地を体感した。

 もう一つの新しい試みが子供向けの自転車教室だった。車と自転車の接触事故が増えている中で、子供たちに交通ルールとレースルールを楽しく教えることが一つの大きな課題になってきた。子供向け自転車教室を専門的に行う「ウィーラースクール」によるスラロームや集団走行などの技術練習が行われ、NIPPOの選手も参加。一方、会場のメインステージでは、ジロ・デ・イタリアで大活躍し、話題となった初山翔選手のトークショーが行われ、多くの人はヒルクライム大会を攻略するためのコツだけでなく、ヨーロッパのレース中の体験談を楽しんだ。


子供自転車教室のウィーラースクールには、2歳から10歳まで、延べ17人が参加 Photo: Marvo FAVARO

実習の前に簡単な交通ルールレッスンも行われる Photo: Marvo FAVARO

NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの選手たちも子供を指導 Photo: Marvo FAVARO

西村育人さんがエキスパート2連覇

 大会当日は、午前9時にレースがスタート。先頭を切ったのが、エキスパート・一般の部の選手たちだ。このカテゴリーは18歳から70歳までの人たちがエントリーし、タイムを争う部だ。


スタートを切る先頭グループ。初山翔選手と伊藤雅和選手が先導する Photo: Marvo FAVARO

 男子で優勝を飾ったのが、西村育人さん(神奈川県)。昨年に続き2連覇を達成。昨年より14秒タイムを短縮し、47分45秒の大会新記録となった。女性の部でトップ記録を出したのは宮下朋子さん(愛知県)で、タイムは58分33秒。NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネの選手も一般参加者に加わり、参加者から「まるでヨーロッパのレースを味わっているようだ」との声が聞かれた。


普段は自動車専用の道路が年に一度、自転車のための道に Photo: Marvo FAVARO

ゴールに向かう先頭集団 Photo: Marvo FAVARO

ゴール直前で抜け出した西村育人さんがエキスパート2連覇を達成 Photo: Marvo FAVARO

優勝を果たした西村育人さんのコメント


優勝トロフィーとして、地元の野菜の組み合わせ、優勝ジャージ、チームNIPPOのヘルメットとバッグ(非売品) Photo: Marvo FAVARO

 万座ハイウェーの料金所前まで10人でグループを固めていたが、そこから逃げ合戦が始まりました。しかし、今年もNIPPOの選手が前を逃げた選手を捕まえて、我々がついていくような形で追ってきました。最後の集団は6人に絞られ、ペースが安定したところ、ゴールの100m手前で私が飛び出し、優勝を果たしました。とにかくレース展開は早かったです。

トップ集団と一緒に走っていた伊藤雅和選手のコメント

 下からすごく早いペースでした。私たちもがんばってついていきました。みなさんの“足の見せ合い”のような感じでした。我こそが!という雰囲気が伝わってきてすごくいいレースでした。みなさん強かったです。


ゴールを切った選手たちに人気の笹団子が振舞われる Photo: Marvo FAVARO

下山後、温かい豚汁を味わう参加者 Photo: Marvo FAVARO

 授賞式の後はNIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネによるじゃんけん大会が行われ、チームのスポンサーが提供した豪華商品やオリジナルグッズ、ジャージ、サイン入りポスター、地元温泉の無料宿泊券が配られ、大会は幕を閉じた。来年の再会を誓う参加者が多く、大会のフィナーレは微笑みに包まれた。
(2019.09.25付  サイクリスト から転載)

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