20090902
D&D鬼草紙 第5回「青鬼」



暗い青の肌を持つこのオニは、赤鬼などに比べるとすらりとした長身で、膂力も赤鬼には及ばない。しかしながら、俊敏さにおいてはオニ随一のものを持ち、その素早さで敵を翻弄する。
好んで用いる刺又(さすまた)は先端がふたまたに分かれた長柄の武器で、槍のように使用することもできるが、そのふたまたの先端の間に相手を挟み込むことで動けなくしてしまうのが本領である。青鬼はこの武器を器用に操って、自分たちの奴隷と(時には食料にも)なる哀れなクリーチャーを捕らえるのである。
・遭遇グループ
◆レベル8遭遇(XP1600)
・青鬼の兵卒(レベル8 遊撃役) 2体
・黒鬼の兵卒(レベル7 兵士役) 3体(第6回に登場予定)
◆レベル13遭遇(XP4600)
・青鬼大将(レベル13 遊撃役) 2体
・鬼女の般若(レベル11 砲撃役) 5体(第7回に登場予定)
青鬼の兵卒 中型・自然・人型、オニ | レベル8 遊撃役 XP350 |
イニシアチブ+13 感覚:〈知覚〉+11;暗視 hp:71;重傷値:35 AC22;頑健20、反応22、意志18 移動速度:7、飛行3(飛行時劣悪) | |
[m]刺又(標準;無限回)◆[武器] | |
間合い2;+13対AC;1d8+1ダメージ。 | |
[M]刺又の捕縛術(標準;無限回)◆[武器] | |
刺又が必要;間合い2;+11対“反応”;2d8+5ダメージ。目標は動けない状態になる(セーヴ・終了)。青鬼の獄卒が新たな目標にこのパワーを使用するか、目標から離れるように移動を行なったなら、その時点でこの動けない状態は終了する。 | |
[M]引きずり回す(標準;無限回)◆[武器] | |
目標は動けない状態の敵のみ;間合い2;+11対“頑健”;1d8+5ダメージ。目標は青鬼の獄卒に隣接する何者にも占有されていないマス目に横滑りさせられる。 | |
朧渡り | |
青鬼が自分のターンにおいて3マス以上移動し、なおかつターン終了時点にいる位置がターン開始時にいた位置から少なくとも3マス以上離れている場合、この青鬼の獄卒は次の自分のターンが終了するまでのあいだ視認困難を得る。 | |
属性:悪 言語:共通語、巨人語 技能:〈隠密〉+14 【筋】12(+5) 【敏】20(+9) 【判】14(+6) 【耐】17(+7) 【知】13(+5) 【魅】13(+5) | |
装備:ハイド・アーマー、刺又(トライデント) |
・青鬼の兵卒の戦術
青鬼の兵卒は、刺又の捕縛術で敵を捕らえるまでは、積極的に戦場を動き回り、朧渡りによる視認困難を最大限に享受しようとする。捕縛術で敵を捕らえた後は、引きずり回すを使用して敵の位置を調整し、仲間たちが挟撃や敵の後衛に対する突撃などの戦術が行えるようにする。
青鬼大将 大型・自然・人型、オニ | レベル13 遊撃役 XP800 |
イニシアチブ+16 感覚:〈知覚〉+13;暗視 hp:104;重傷値:52 AC27;頑健25、反応26、意志23 移動速度:7、飛行3(飛行時劣悪) | |
[m]刺又(標準;無限回)◆[武器] | |
間合い3;+18対AC;1d10+3ダメージ。 | |
[M]刺又の捕縛術(標準;無限回)◆[武器] | |
刺又が必要;間合い3;+16対“反応”;2d10+6ダメージ。目標は動けない状態になる(セーヴ・終了)。青鬼大将が新たな目標にこのパワーを使用するか、目標から離れるように移動を行なったなら、その時点でこの動けない状態は終了する。 | |
[M]引きずり回す(標準;無限回)◆[武器] | |
目標は動けない状態の敵のみ;間合い3;+16対“頑健”;1d10+6ダメージ。目標は青鬼大将に隣接する何者にも占有されていないマス目に横滑りさせられる。 | |
[R]鬼の眼力(マイナー、再チャージ5、6)◆[恐怖] | |
遠隔6;+15対“意志”;青鬼大将は自分の次回のターンの終了時まで、目標に対する戦術的優位を得る。 | |
朧渡り | |
青鬼大将が自分のターンにおいて3マス以上移動し、なおかつターン終了時点にいる位置がターン開始時にいた位置から少なくとも3マス以上離れている場合、この青鬼大将は次の自分のターンが終了するまでのあいだ視認困難を得る。 | |
属性:悪 言語:共通語、巨人語 技能:〈隠密〉+17、〈軽業〉+17 【筋】16(+9) 【敏】23(+12) 【判】15(+8) 【耐】20(+11) 【知】17(+9) 【魅】14(+8) | |
装備:ハイド・アーマー、刺又(大型トライデント) |
・青鬼大将の戦術
青鬼大将は朧渡りを活用しながら敵の中に駆け込むと、敵の中で突出しているものに鬼の眼力を使用して戦術的優位を得ようとする。その後、刺又の捕縛術で敵を動けない状態にすると、引きずり回すによって敵を孤立させ、他の仲間と取り囲んで集中攻撃を行なおうとする。
・青鬼に関する知識
〈自然〉判定に成功したキャラクターは以下の情報を知っていることになる。
難易度15:青鬼はオニの一族である。オニは多くの人型クリーチャーを奴隷として扱う支配的種族であり、強靱な肉体的戦闘能力と妖術と呼ばれる魔法戦闘能力を併せ持つ。青鬼はその中でも敏捷さを誇り、敵陣に切り込んでは撹乱する戦術を好む。
難易度20:青鬼は刺又とよばれる独特のポールウェポンを好む。このポールウェポンは敵を押さえつけて引きずり回す形状をしており、サディスティックな青鬼は刺又を利用して弱者を引き回す。
難易度30:青鬼はオニの中でも比較的ポピュラーな種族で、様々な強さのものが見られる。彼らは宝石を首飾りとして身につけることが多い。

以下のパワーは青鬼の兵卒、青鬼大将の持つ朧渡りの代替パワーとして入れ替えて使用することができる。
自在縮地の術(移動;初めて重傷になったとき再チャージ)◆[瞬間移動] | |
青鬼は自分から5マス以内の味方に隣接するマス目に瞬間移動を行なう。 |
ましらの如き踏込み(移動;無限回) | |
青鬼は4マスまでシフトを行なう。また、この青鬼が自分の次回のターンの開始時までに行なうすべての攻撃ロールに+1のボーナスを得る。 |


青鬼は遊撃役として赤鬼や黒鬼からなる遭遇グループの中で活躍する。
自らは移動用のパワーを用いて敵陣の中を動き回り、さらに敵の移動を阻害して、攪乱を行なうと遊撃役としての役目を充分に果たしたことになりだろう。
ここに記載された青鬼の兵卒、および青鬼大将は標準的なレベルのモンスターとして記載されている。
以下にカスタマイズの指針を示す。
レベルの増減:±3以内(青鬼の兵卒:5〜11、青鬼大将10〜16)。調整方法は『DMG』p.174参照。
役割の変更(雑魚化):hpを1に変更すること。攻撃パワーのダメージは平均ダメージと等しい固定ダメージ表記に改めること(たとえば2d6+5ダメージなら、固定12ダメージとなる)。その他雑魚では発動しないパワー、表記は削除する(重傷時に発動、等は意味がないので削除をしよう)
役割の変更(精鋭化1):後述の用途テンプレート「シュルード・トレイター」を適用する。
役割の変更(精鋭化2):『DMG』p.185の方法で各種数値を底上げする。さらに以下のパワーを追加する。
[m]刺又の脚払い(標準;無限回)◆[武器] | |
青鬼は刺又による攻撃を2回行なう。攻撃が1体の目標に対して両方ともヒットした場合、目標は伏せ状態になる。 |
役割の変更(単独化):精鋭化1と精鋭化2を同時に適用する。
魔法のアイテムの所持:青鬼が所持している可能性のあるアイテムは、おもに装飾品である。『DMG』p.174「装備の追加」。こうした特殊な装飾品は殆どが略奪品であり、人間から奪った物や、奪ったアイテムの魔力を自分たちの好みの細工ものに付与した物だ。

シュルード・トレイター(抜け目ない逆賊ほどの意味)はオニの武将やホブゴブリンの攻撃部隊長、トログロダイトの名のある戦士といった野蛮で好戦的な人型クリーチャーのひとつの頂点である。彼らは腕利きの戦士で、どのような戦場でも敵の前線をやすやすと突破し、(時に血なまぐさい)戦果を上げることに習熟している。 シュルード・トレイターは任意の人型モンスターに適用可能なテンプレートである。ノンプレイヤー・キャラクターに適用するなら、ローグ、レンジャー、などのクラスが最も向いている。
前提条件:人型
シュルード・トレイター 人型 | 精鋭 遊撃役 XP 精鋭 |
防御値:AC+2、頑健+1、反応+2 セーヴィング・スロー:+2 アクションポイント:1 ヒット・ポイント:【耐久力】に加えて1レベルごとに+6 パワー | |
[M]精妙なる足取り(移動;遭遇毎) | |
シュルード・トレイターは自分に対するマークをすべて解除し、4マスまでのシフトを行なう。 | |
ねじ曲げの詐術(即応・割込;シュルード・トレイターが近接攻撃の目標になったとき;1ラウンド1回まで;無限回) | |
攻撃者は別の目標を選ぶか、その攻撃を中止しなければならない。シュルード・トレイターは次の自分のターンの開始時まで動けない状態になり、すべての防御値に−4のペナルティを受ける。 | |
目くらましの一撃(標準;再チャージ5、6)◆[武器] | |
シュルード・トレイターは1回の近接基礎攻撃を行なう。この攻撃がヒットした場合、目標は3マス横滑りさせられ、幻惑状態になる(セーヴ・終了)。 |

D&D鬼草紙、第5回「青鬼」でした。遊撃役として敵中を動き回りながら、冒険者たちの動きは阻害する、なかなかイヤな敵にできたのではと思います。前回の赤鬼と遭遇グループを組みやすいようなデータになるように心がけてみましたよ! せっかくですから単色のオニの集団よりは、いろいろ混ざってたほうがアソートっぽく(?)ていいいですよね。
だけど、アソートと言うならば2色ではもの足りないかも知れません。ということで、次回第6回は「黒鬼」。ちょっとマイナーな感じですが、オニの中では基本色のひとつのようです。お楽しみに!
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