◆株価が急落する中、決算内容は?
昨日5月15日、スルガ銀行は、
2017年度(2017年4月〜2108年3月)の、
決算発表を行いました。
かぼちゃの馬車を含めた、
シェアハウス投資の破綻による影響は、
どうだったのか?
不正が横行した背景は?
内部調査の結果はどうだったのか?
今後の不動産投資への影響は?
かつて無いほど注目された決算発表となりました。
決算発表を受けて、
5月16日スタート時点での株価は、
1500円代から一気に1300円代へと値を下げています。

そして、決算内容を読み解いていくと、
驚くべき内容が明らかになってきました。
銀行の決算内容を読むと、
専門用語も多くて頭が痛くなりますが、
不動産投資家としても起業家として、
決算内容を読み解く力を養うためにも、
一緒に数字を見ていきたいと思います。
◆2018年3月期の決算
まず当期純利益ですが、
おおよそGW明けに出された業績予想通り、
大幅に減益となりました。
・経常利益 570億円 → 290億円 前期比49.2%減
・当期純利益 417億円 → 193億円 前期比53.7%減

※営業利益・・・本業に必要な経費を差し引いて得た利益
経常利益・・・本業以外での収益を加味して残った利益
税引前利益・・・一時的な損失や利益を加味して残った利益
当期純利益・・・支払う税金を引いて最終的な利益
要因としては、「与信費用」が、
大幅に増えたためとしています。
前期比 384億円も急増しています。
・与信費用 65億円 → 450億円
※与信費用とは・・・?
参考記事「スルガ銀行はどこで歯車が狂ってしまったのか・・・?」
◆不安要因
「与信費用」は、簡単に言ってしまえば、
かぼちゃの馬車オーナーなどへの融資が焦げ付き、
回収不能になったときに備える費用ということになります。
与信費用の内容をもう少し細かく見ていくと、
・破産更生債権 77億円 → 105億円
与信費用の内容をもう少し細かく見ていくと、
・破産更生債権 77億円 → 105億円
合計で721億円もの不良債権が計上され、
昨年290億円から大幅に増加していることが分かります。
これだけの不安要因を抱えて、
スルガ銀行へ影響はどうなのでしょうか?
◆驚くべき収益構造
株価は大幅に下がり、利益は50%減少し、
与信費用は大幅に増える。
やはりかぼちゃの馬車など、
シェアハウス投資破綻の影響は、
少なくないことが伺い知れます。
しかし、利益の方を見ていくと、
驚くべき事が分かってきます。
このような状況にも関わらず、
利益を順調に伸ばしているのです。
これには驚きました。
・業務粗利益 1108億円 → 1151億円
・資金利益 1126億円 → 1180億円
・コア業務純益 634億円 → 681億円
※コア業務純益は、一般企業の「営業利益」に相当し、
本来の金融機関の収益力を表すバロメーターとなります。


◆延滞率・毀損(きそん)率の状況
さらに、延滞率・毀損率についても、
無担保ローンで若干上昇傾向であるものの、
いずれも低い数字となっています。


◆自己資本比率
自己資本比率(単体)では、
なんとっ!?12.75%に上昇しています。

連結でも7.9%と、
銀行業界でもトップクラスを維持しています。

(2017年度 銀行自己資本比率ランキング)
◆まとめ
以上のように決算を見ていくと、
シェアハウス投資破綻の影響度合いは少なくないものの、
依然として高い収益構造を維持しているため、
ちょっとやそっとでは揺るがない財務状況だと言えそうです。
それでは、かばちゃの馬車を始めとした、
シェアハウス投資への融資状況はどうだったのでしょうか?
スルガ銀行の業績にどう影響して来るのでしょうか?
本当に今後の財務状況に影響しないと言えるのでしょうか?
次回に続きます。
◆追伸
スルガ銀行が、不正を見逃したり、
不正を行ったことについては大きな問題がありますが、
決算の収益率の高さを考えると、
リスクを取って、金利を高く取るビジネスモデル自体は、
成果をおさめていたと言えそうです。
たしかに、私たち不動産投資家にとっても、
他の銀行が融資を渋るような物件に、
融資をしてくれるスルガ銀行は有り難い存在でした。
4.5%、3.5%という高い金利を、
払う価値がありました。
そう考えると、スルガ銀行は、
自己資金1割という条件を無くしていれば、
不正してまで融資する必要はなかったのでないか。
自己資金1割という条件があるから、
ここまで不正が横行してしまったとも、
言えるのかもしれません。
自己資金1割の場合は金利4.5%だけれど、
自己資金0の場合は金利5.5%。
といった感じで段階的に設定したりすることで、
もっと上手くいった可能性もあります。
スルガ銀行としては、
リスクや破綻は増えるかも知れませんが、
それ以上に利益を得ることができるからです。
(実際はより詳細なシュミレーションが必要ですが)
そして、私たち不動産投資家にとっても、
多少金利が高かったとしても、
自己資金0はとても大きな魅力です。
しかも、金利の高さは、
物件利回りが高ければさほど問題無いからです。
結局、物件利回りと金利の差である、
「イールドギャップ」が重要ですから、
たとえ金利5.5%だったとしても、
物件利回りが20%あれば、
さほど問題ないわけです。
ましてや物件利回り8%の物件に、
金利3.5%を払うより、はるかに安全です。
このように考えて、金利は高いけれど、
融資エリアに柔軟で、自己資金0でもOK。
といった銀行が出てきてほしいなと、
常々感じている次第です。