2006年02月12日

聖バレンタインの空爆 Pe−2 By 風神

01Pe-2集結強烈な冬将軍がそろそろ撤退する季節になっていた。昨日から南方から張り出した高気圧は暖かな風をCaldwell高地に優しく送り込んでいた。ハンガー横の対空陣地に積んである土嚢に腰掛けている伊賀神は手にスケッチブックを持って何かを一生懸命描いている。

駐機場は今まで見たこともない風景となっていた。ずらりと並んだ見慣れない機種……。ぬめっとした金属光沢と曲線で構成された機体は以前本で見た南米ペルーで見つかったという金属製のペンダントヘッドやアマゾン川に住むというプレコという魚を連想させた。

雷 「そーいえば風神はプレコを飼っているっていってたなぁ」

そう思いながら雷神は伊賀神に歩み寄っていった。

雷 「へぇ、やっぱり絵がうまいな。」
伊 「ありがとうございます。めったに見られない風景だからスケッチしておこうと思って。」
雷 「今日はこれに乗るらしいぞ。」
伊 「まじっすか?」

1939年初飛行という老兵……しかしその優秀な性能から「本大戦で最も優秀な双発爆撃機」とお墨付きを得ているペトリャコフPe−2である。A20Gsボストンの一年後輩にあたる機体だが、そのデザインセンス、性能どれをとっても格段の差がある。わざわざ英米からレンドリースなどしなくてもよいのだ。しかしソビエトの爆撃機乗りでこいつに乗っている奴はあまりいない。飛んでいると写真を撮られるくらい珍しい機体なのだ。なぜならば我が赤軍航空隊にはツポレフTu−2Sという超高性能の双発爆撃機があるからである。

Pe−2が他陣営で開発されていたらおそらく主要爆撃機として引っ張りだこの人気だったに違いない。まさに不遇の飛行機なのだ。Pe−2にしてもTu−2Sにしても赤軍航空隊の優秀な双発爆撃機は設計者が刑務所収監中に設計されたという逸話がある。今後設計される双発爆撃機も設計は刑務所でしてもらいたいというのがTAC隊での話題のひとつだった。

今日は珍しくTAC隊全員が招集されていた。普段寡黙に爆撃任務・輸送任務に就いている天神もハンガー横で手紙を書いている。護衛隊の白神は監視塔の下で風神に数学を教えてもらっていた。白神はこの爆撃が終わったらモスクワに戻って任官試験を受ける予定になっていたのだ。このため白神はしばらく作戦行動には参加しない。

集合サイレンが鳴り響いた。TAC隊メンバーは司令部に向かって走っていく。司令部前には見慣れたメンバーが揃っている。SAL隊のメンバーだ。そして指揮台には”Mr.ソビエト”、SAL隊のJERO隊長がいた。

【写真】 Caldwell飛行場に集結したPe-2。めったに見られない光景だ。

02Pe-2離陸ソビエト陣営でその名を知らぬものはない猛将、SAL隊のJERO隊長が今回の指揮を執るのだ。勿論TAC隊はその指揮下に入るわけである。独立隊からYUTA機も参加していた。本格的なSAL隊とTAC隊の合同作戦はしばらくぶりだ。BGN隊もおそらく参加するのであろうが、Caldwell第一滑走路にはその姿はいまだ見えない。

J 「本日はPe−2によりWalsh高地に陣取るドイツ軍本部基地を叩く」
皆 「HURRAH!HURRAH!HURRAH!」
J 「不遇の機体Pe−2の優秀なところをゲルマンに見せ付けてやろうではないか!」
皆 「HURRAH!HURRAH!HURRAH!」

激しく燃え上がる闘志の炎。まさに真紅の革命旗の如しだ!

しかしどうも納得できない。もし高速爆撃機で敵基地を叩くのであればTu−2Sでいけばいいのではないか。前回A20Gsボストンで爆撃に出たときはPe−8もTu−2Sも使用不可能であったから使用したわけである。今回はその説明は司令部からもなかった。ブリーフィングが終わると風神はJERO隊長の元に歩み寄りいくつかの確認を行った。すると司令部に人影が見えた。Yamanaka司令ともう一人の男……。

J 「風神隊長、わかるだろ?あの男……」
風 「もしかしてペトリャコフ設計局の男ですか?」

そう……。またもやYamanaka司令にやられたのだ。つまりペトリャコフ設計局が今回の作戦を要請したのだろう。今回の作戦でPe−2の優秀性が確認されればTu−2Sに代わって主力爆撃機となるかもしれないからだ。そして恐らくYamanaka司令の司令官室の棚の中にはウオッカだのバターだのチョコレートなどがその代償として収められているに違いない。嫌な予感がしたが作戦指令書はもう受領してしまった。

数分後、Caldwell第一滑走路から次々とPe−2が舞い上がっていった。

【写真】 SAL_JERO_CO編隊長機を先頭に土埃を上げて舞い上がるPe-2。

03YUTA機Pe−2は不遇な機体である。設計者ペトリャコフはその2号機の事故に巻き込まれて死亡した。そしてTu−2Sの導入によってあっという間に型遅れになってしまったのだ。しかしPe−2は重爆設計者として著名なペトリャコフの全てが注ぎ込まれていた。素晴らしい上昇力と加速、そしてスピード。そのスペックはTu−2Sを凌駕している。積載量もTu−2Sに劣らないのだが、大型爆弾が積めないのが難点だった。

JERO隊長機を先頭にしたPe−2爆撃隊はぐんぐんとスピードを上げ、上昇を続けながら編隊を組んでいった。

【写真】 徐々に編隊を組んでいく。手前はYUTA機。

05 515機襲撃そのとき一機のドイツ機がレーダーで確認された。どうやら92AM戦車工場を叩く模様だ。かなり低い。96AU戦闘機飛行場からで護衛で出発したLa−7・BGN隊kaguyahime会長機が機を翻して迎撃に向かった。

J 「く……通報されたか……」

これだけの編隊がレーダーで確認されていないわけはない。おそらくWalshドイツ軍基地では歓迎パーティの準備が着々と行われているだろう。白神は懐にしまっているお守りのウサギの前足を握り締めていた。

【写真】 ドイツ機が単独で92AM戦車工場を奇襲。GE陣営に通報されたか?

07TAC編隊11機で飛行していくPe−2大編隊。ドイツ軍のパーティが予想されるため風神はTAC隊に編隊を組むように連絡をした。5機が編隊を組んで他の6機の上に傘のように被さるのだ。その編隊をみてSAL隊T4K機から無線が入った。

T 「TAC隊の変態キレイ」

……爆撃機乗りに対する最大の褒め言葉だ!どうもよく前が見えない……風神隊長がゴーグルをはずすと「ざぁぁぁぁ」と涙が零れ落ちた。勿論他の4機の機長も涙が溢れているに違いない。こんな殺し文句がいえるなんてT4K氏はきっと女性にもてるんだろう……。「もう爆撃の成功なんてどうでもいい……」そう心で思ってしまう風神であった。

【写真】 褒められてうきうきしているTAC編隊。

08sakuro機Walsh台地が見えてきたころ、BGN隊sakuro機と2ch隊pugera機が編隊に追いついた。幻の機体「Pe−2」13機による大編隊……ドイツ機もこの編隊をみれば腰を抜かすに違いない……でもパッと見Tu−2Sとあまりかわらんのだよなぁ……と思う雷神であった。

【写真】 BGN_sakuro機が到着。Yak-3に機乗する_BANZAI_Prophet機も応援に駆けつける。

10伊賀神突入意外なことにWalsh飛行場上空には1機のドイツ機も待ち受けていなかった。レーダーをみるとドイツ機がスクランブルしてくるのが確認できた。しかしもう遅い!水平爆撃照準器のあるPe−2であったが、急降下爆撃を実施することになった。

J 「全軍突撃!SU万歳!ヽ(´ー`)ノ」
皆 「HURRAH!HURRAH!HURRAH!」

JERO隊長から十八番のセリフが発せられた!13機のPe−2がドイツ軍基地に機種を向けて突っ込んでいく!

【写真】 Walsh飛行場突撃!伊賀神機から100kg爆弾がばら撒かれる!

11雷神自爆雷 「ぎゃああぁぁぁぁ!!」

最初の犠牲者は雷神であった。なんと自ら投下した爆弾に追突されてしまい空中爆発をしてしまったのだ!こんな事故は想定外であった。

【写真】 右に写っている爆弾が雷神機を撃破した!珍しい事故だ!

12 2ch_pugera機突入13機中3機は61T戦闘機飛行場に突っ込んでいった。まさに怪鳥!空気を切り裂く音が61T飛行場にこだました。

【写真】 61T戦闘機飛行場にも襲撃は行われた!急降下していく2ch_pugera機。

13Pentagram機「。。(o_ _)o ぐわぁ!」
「(lll゚Д゚)ヒィィィィ」
「ひでぶ!ヽ(゚∀゚)ノ」

次々と対空砲火とGE迎撃機の犠牲になっていくPe−2。しかし攻撃は的確に行われた。徹底的な爆撃によりWalsh飛行場にトリガーが掛かったのだ!75AL戦車工場から占領のためのT34戦車中隊が出撃した。

【写真】 トリガー成功!SAL_Pentagram機から見た惨状を呈するWalsh飛行場。

14待合室トリガーはかけたものの全機墜落……。結果的にPe−2の評価はあがらなかったといえよう。しかし新たな歴史の一ページは確かに綴られたのだ。再びCaldwell飛行場に集結したWalsh攻撃隊……。オイルと硝煙で真っ黒になった顔を見合わせた隊員たちはその確かな手ごたえを感じていた。

この攻撃を突破口とした赤軍航空部隊は70AAを占領、激しい航空戦の結果ドイツ軍を撃破したのである。暮れなずむ春の夕刻……。Caldwell飛行場には再びPe−2爆撃機が整列していた。

[SAL隊] 
SAL_JERO_CO
SAL_mazin
SAL_Pentagram
SAL_T4K
SAL_draken

[BGN隊]
BGN_kaguyahime
BGN_sakuro

[2ch隊]
2ch_pugera

[独立部隊]
YUTA
_BANZAI_Prophet

[TAC隊]
TAC_FUDEEN
TAC_LYDEEN
TAC_TENDEEN
TAC_SIRODEEN
TAC_IGADEEN


【写真】 まるで市民病院の待合室のようなCaldwell飛行場。

Posted by tsarsattackingcrew at 15:39│TAC戦記