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2009年08月23日

恋愛を科学する婚活の女神

フロント ランナー

 人類学者 ヘレン・フィッシャーさん(64歳)

 恋は厄介だ。運命の人だと思った相手が、同じように自分を好いてくれるとは限らない。実ってもなかなか長続きしない。生死を左右することさえある。なぜ、こんな面倒な気持ちに振り回されるのか。そう、「人はなぜ恋に落ちるのか」。
 その謎を人類学の見地から30年余りにわたって研究してきた「恋愛科学」の第一人者だ。脳内をスキャンして特定の科学物質と恋愛感情にかかわりがあることを発見した。
 さらに、この脳内物質に注目して人間の行動を分析し、性格を四つに分けて、それぞれの相性や恋愛傾向を探る方法を恋愛・結婚ネットサービス「マッチ・ドットコム」の依頼で調査し、著作で発表した。「私は何を相手に求め、相手は何を私に求めているか」を科学的に示し、カップルのマッチングに役立たせようとしている。

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 「伝統的で堅実な『建設型』の人は、脳内のセロトニンが多い。日本人に一番多いタイプです」。6月、フィッシャーさんは同社が東京・中目黒で開いた婚活パーティー会場で参加者に呼びかけた。
 会場では、フィッシャーさんが開発した性格診断テストを事前に受けた男女100人の参加者たちが四つのグループに分けられた。
 最初は所在なさげだった参加者が打ち解けたのは、グループごとにケーキのデコレーションを競うコンテストのときだ。
 論理的で分析を好むという「指導型」グループは、静かに等間隔で果物やクリームで飾っていく。人との和を大事にする「交渉型」は笑顔をケーキの中心に描いた。正統派のデコレーションを作り上げた「建設型」の横で、好奇心旺盛でリスクをいとわない「冒険型」は、テーブルにあった真っ赤のバラのブーケをケーキの真ん中に刺して完成させた。
 「こんなに各型の傾向が顕著に出るなんて私も驚いた」とフィッシャーさんは興奮気味だ。
 恋愛のメカニズムを解明しようという研究は、フィッシャーさんを中心にニューヨーク大の神経科学センターで全米3大学の共同プロジェクトとして96年から始まった。
 fMRI(機能的磁気共鳴断層撮影装置)でカップルの脳内を調べると、興味深い現象が見られるという。熱烈に愛し合っているどのカップルも、脳の共通する場所が激しく活動しているのだ。しかも、そこは感情に関係する比較的新しい部分ではなく、もっと奥深く、すべての脊椎(せきつい)動物に共通する原始的な脳の分野だった。
 「つまり恋は感じたり考えたりするものではなく、抑えきれない衝動といえるのです」

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 この「衝動」とどう付き合うのか。恋は喜び、共感、無私といったプラスの感情も生むが、嫉妬(しっと)、執着、憎しみも生む。己を知り、相手を理解して違いを認めることで、いたずらに感情の海におぼれることを避けられるのなら、それに越したことはない。
 でも、「私がどうしてこの人を好きになったか」なんて全部わかってしまったら、何だか味気なくないだろうか。
 「まだ全体の絵は見えてないですよ」。いまや婚活市場をも支える米国の「ロマンスの女神」はほほえむ。「恋愛にはさらに、いろいろな不思議が潜んでいるんです」
                                        文・渡部薫


「科学的に相手を見つける目安になれば」

 ――新たに出版された「Why Him? Why Her?」(10月に日本訳版「『運命の人』は脳内ホルモンで決まる!」が講談社から発売予定)で示した四つの性格タイプ、「冒険型」「建設型」「指導型」「交渉型」はどのように分類したのですか。
 脳内にある化学物質の中で、特にドーパミン、セロトニン、テストステロン、エストロゲンに注目しました。
 冒険型は脳内のドーパミンが多く、リスクを恐れず冒険を好み、好奇心が強くて積極的。一方、建設型はセロトニンが多く、伝統的で落ち着いていて、家族に愛着を感じます。指導型はテストステロン値が高い。大胆で独創的、意志が強く率直で、発想が豊か。交渉型はエストロゲンです。全体像を描いて長期的な計画を立てられ、社交性や言語感覚に優れている。
 30年にわたる研究の蓄積や脳内スキャンなどを使って得られた米国の2万8千人の行動特性、日本を含む世界34カ国500万人のマッチ・ドットコム会員の統計データなどを併せて分析した結果です。質問に答えることで、自分がどのタイプに属するかがわかる診断テストも編み出しました。
 ――どの人も4パターンに分けられるものでしょうか。
 単純に分類するわけではありません。どの人も四つの要素は持っています。重要なのは、それがどのようなバランスかということ。最も顕著に表れているものを「主」、2番目に数値が高く出るものを「副」として考えることで、その人の行動やものの考え方の傾向がある程度わかってきます。

   双子ゆえに興味

 ――どのタイプと、どのタイプが相性ぴったり、ということはわかるのですか。
 いい相性、悪い相性というのがあるとは考えていません。ただ、ひかれやすいタイプがあるという結果は出ています。例えば、冒険型と建設型の人はそれぞれ、自分と似たような人を好ましく思う傾向がみられます。一方で、交渉型は指導型に、指導型は交渉型によりより魅力を感じるようです。従来の社会的、経済的な背景だけでなく、科学的な面からも自分と相性のよい相手を見つける目安になればいいですね。王子様のはずと思って、多くのカエルにキスしないでも済むように(笑い)。
 ――どうして人類学の道に進んだのですか。
 私は一卵性双生児として生まれました。物心がついてから、みんなが同じことを聞く。「同じ食べ物が好きなの?」「同じ人を好きになるの?」「やっぱり同じ遊びが好き?」って。それが人間性に興味を持つきっかけ。大学に入って、その答えをくれる人間学に出会ったのです。
 ――何のために私たちは人を好きになるのでしょう?
 人類は交配と生殖のために三つの脳内システムを進化させてきたと考えています。それは「恋愛」「性欲」「愛着」です。恋愛はどきどきして、相手のこと以外、目に入らなくなる高揚感をもたらします。これに対して性欲は、ほぼどんな相手でも関係を結べる脳システム。そして愛着は長い間付き合っている相手に抱く、落ち着いた感情。特に「恋愛」と「性欲」は混同しやすいですが、全く別のシステムです。「私たち人類はだれとでもセックスはできるが、一度に複数に恋する能力はない」と考えています。
 ――結婚の経験は?
 23歳で結婚して24歳で離婚しました(笑い)。その後、ジャーナリストだったパートナーと34歳のときに知り合い、30年間を共に過ごしました。結婚という形は取りませんでしたが、私たちはとてもすばらしい関係をつくりました。彼ほど知性を備えた男性を私はほかに知りません。5月に84歳で亡くなりました。

   私と相手を知る

 ――寿命は伸び、カップルのあり方も変化していくのでしょうか。
 愛を形づくる三つの脳内システムは原始のころから変わりません。ただ、そのうち何を一番大事にするかについては、文化などの背景によって変わってきます。それは個人によっても違います。カップルを続けるにしても、別れるにしても、大切なのは自分の意思。長く続けたいのであれば、その関係をどう持続させていくかを考えなければなりません。そのためにも、自分が何者であるか知るだけでなく、相手が何を考え、何を感じ、それを表現するのかを理解することがますます必要になるでしょう。
 私も今なら、結婚の準備ができているかもしれませんね。次に出会った人とは、結婚しようと思っていますよ。

                             朝日新聞 8月22日(土)より

tskf1165 at 15:07│Comments(0) 婚活 | 恋愛

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