安藤忠雄展に行きました

12月2日(土)に安藤忠雄展を見てきました。安藤忠雄については、高卒でボクサー上がり、独学で建築を勉強した人、雨の日には傘をさしてトイレに行かなければならないという変わった家を設計した人というイメージしかありませんでしたが、今回、その集大成を観ることで、彼に対する印象が決定的に変わりました。

一番心に残ったのは、荒廃しつつある地球環境を改善し、安心で安全な環境を次世代に遺したいという熱い想いです。そのために、安藤さんは、桜を植え、オリーブを植え、大阪の中之島には子どものための図書館を建てて大阪市に寄付する予定です。環境を守ることも建築だというのが、彼の哲学なのです。

日本の建築家には、典型的には丹下健三に見られるように、権力に近づき、自身が集団の中のボスとなって、巨大建築を手掛けることに生きがいを見出す人が少なくありません。安藤さんにも、巨大建築は少なくありませんが、その一方で、物凄く狭い土地に個人の住宅をたくさん建てていることを知りました。必ずしも住み心地の良い家でなさそうですが、そこに暮らす人に何かを感じ、考えさせる家であることは確かです。

展覧会の最後には、最近の彼の活動を示すビデオが上映されていました。「まず第一に地球環境のことを考えなあかん。つぎはアジア、そして日本や」という発言は、最近はやりの、「日本ファースト」や「アメリカ・ファースト」とは、まったく違ったものです。自分ファーストの人間が跋扈している今日、安藤さんの言葉は鋭く胸に突き刺さりました。

施設における高齢者虐待

施設における高齢者虐待が増えていると言われます。何年か前には、川崎の老人ホームで、認知症の高齢者が介護職員に虐待を受けたあげく、ベランダから突き落とされて命を喪うという事件がありました。また、最近では、パーキンソン病を患う高齢男性が、度々ふとんを汚すうえに、入浴を済ませたばかりなのに漏らしてしまったことに激高して、首を絞められた後に、浴槽に沈められて亡くなるという事件がありました。

後者は、私にとって大学の先輩にあたることが、友人からのメールで判明いたしました。面識はありませんが、学年が近いので同じ時期にキャンパスで時を過ごしたことになります。敬虔なクリスチャンで、ICU高校で教鞭をとり、帰国子女の教育に大変に熱心であったとのこと。

パーキンソン病は、身体の自由はきかないけれど頭はクリアな人がほとんどなので、首を絞められ、浴槽に沈められた時、どんなに怖かったか・・・想像するだけで胸が締め付けられます。最期の瞬間には神様に助けを求めたのかもしれません。

施設職員による虐待については、長時間労働であることや仕事の負担が大きいことが指摘されるのが常ですが、果たしてそれだけでしょうか。施設職員の多くは、過酷な労働条件にもかかわらず、親切丁寧に高齢者や障害者に接しています。虐待を繰り返し、時には死に至らしめる職員は、そもそも対人サービス業務には向いていないのではないでしょうか。介護職員不足が深刻化する今日、資格のない人や介護に不適切な人まで雇わなければならないというのが現状と言っていいでしょう。対人サービス、とりわけ自分の意思をきちんと伝えられないような人を相手にする仕事については、職業適性検査や性格テストを実施する必要がありそうです。

目下、厚生労働省は住み慣れた家や地域で老い、そして最期を迎える地域包括ケア・システムの確立を呼びかけていますが、施設で最期を迎えなければならない人も少なくありません。人生のしめくくりが悲惨なものにならないためには、質の高い介護職員を確保することが欠かせません。日本人であれ、外国人であれ、人権を尊重し、尊厳を護ることを最優先させる人に介護という仕事を担ってほしいものです。そのためには、賃金アップだけでなく、十分な人員配置をすることが不可欠です。






「週刊金曜日」を読みましょう

私が定期購読している雑誌の一つに「週刊金曜日」というマイナーな雑誌があります。これは、かつての「朝日ジャーナル」の衣鉢を継ぐ、反体制の、いわゆる「文句たれ」雑誌。夫が、初期の編集委員だった井上ひさし氏や筑紫哲也氏と親しかったので、発起人か賛同人になったため、創刊号から継続して読んでいます。編集委員が交代した頃から、夫は関心を失ったのか、ほとんど読まなくなりました。しかし、私は、ずっと読み続けています。

この雑誌は、あらゆる体制的なものに反対の姿勢を貫いており、政権与党だけでなく、大企業、大労働組合、大宗教団体、大手メディアなど、あらゆる権力保持者に反対の意見を展開しています。興味深いのは、一般紙誌ではタブーになっている、部落問題や右翼団体にも果敢に切り込んでいることです。登場するのは、必ずしも左寄りの人ばかりではなく、鈴木邦夫氏や村上正邦氏も登場しますし、大手メディアから袋叩きにあった鈴木宗男氏にも意見を述べさせる機会を提供していました。

お堅い一方かと言えば、時には芸能記者による芸能界の裏話やLGBTの方たちの本音トークも登場します。ベストセラーになった『買ってはいけない』以来、大企業による製品、とくに食料品や飲料水のもたらす健康被害を指摘しつづけ、香害の恐ろしさを最初に指摘したのも、この雑誌ではなかったかと思います。もちろん、大企業の宣伝広告は一切掲載されないので、台所事情はかなり苦しそうです。

現在の編集委員には、佐高信、田中優子、雨宮処凛、落合恵子、本多勝一など錚々たるメンバーがそろっています。広告がほとんどないので、定価の割にかなり薄っぺらですが(ちなみに「文芸春秋」から広告をはずすと半分の厚さになると言われています)、非常に読みがいのある雑誌です。現代の日本社会に不満を持つ人はもちろんですが、未来に対して不安を抱いている若者世代には、現代社会のどこが間違っているのかを知るために是非、読んでほしいと願っております。
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