大6回シニア社会学会大会が終わりました

昨日(6月18日)は、第16回シニア社会学会大会でした。天候が心配されましたが、何とか夕方まではもってくれました。今年はお茶の水女子大学で開催する最後の大会になります。関東大震災の直後に建てられたというクラシックな本館と別れを告げなければならないのは寂しいことです。

大会のテーマは「分断社会を超えて:持続可能な超高齢社会をめざしてII」です。このところ分断とか分断社会という言葉を頻繁に目にし耳にします。経済的格差だけでなく、イデオロギーや心理状態においても、社会のいたるところに大きな亀裂が生じ、それがどんどん深くなっていくようです。

基調講演は井手英策・慶応義塾大学教授。売れっ子の財政社会学者で、「分断社会」という言葉を流行らせた方といっていいでしょう。新自由主義が生み出した分断社会の実態と弱者が弱者の足を引っ張り合う現状を描きだします。世帯収入も貯蓄も低下の一途をたどっているのですが、それでもオリンピックを契機にもう一度、経済成長を期待している人が少なくないのは、とうてい信じられません。オリンピックの後には、確実に不況がやってくるというのに。

現金給付ではなく現物給付をというのは、介護保険以来の原則なので、井手教授の提案には大賛成です。所得にかかわりなく現物給付をするのは所得のチェックをする必要がないので事務費の軽減になるかもしれません。しかし、どこまでを必要とみとめ、どのように配るのか、具体的な方法が見えません。授業料や給食代の無償化はわかりますが、高い制服代やお稽古事の費用はどうなるのでしょうか。
真面目に授業に出る学生が少なく、かなり手抜きの授業をしている教師も少なくない大学の授業料まで無償にする必要があるのかと考えてしまいます。

井手教授が、コミュニティにおける中間的な支援組織とソーシャルワーカーの必要性を説いたことが印象的でした。現在、それに当たるのが社会福祉協議会かと思われますが、よく知られているように社協は玉石混交。カリスマ的なソーシャルワーカーが活躍しているところはごく少数。多くは、自治体の福祉関係管理職の天下り先です。したがって既存の組織に期待するよりも新しい組織に期待するほうがよさそうです。そういう意味では、パネリストを務めてくださった庄司洋子先生、来栖香さん、菊池謙さんのような草の根の活動の出番かもしれません。とりわけ働く人が主体となって仕事を創り出すワーカーズコープの活動は大いに期待されます。

国に期待することが難しい今日、コミュニティ力への期待が高まっています。来年の大会には、この辺りに焦点をあててはと考えています。企画から実施まで、たくさんの方々のお力添えを得て大会が成功裡に終わったことを心から嬉しく思います。やれやれ・・・





外国人介護士の導入

昨日(5月29日)、EPA(経済連携協定)でベトナムから来日し、目下、小田原の特別養護老人ホームで働いているグエン・ティ・フェンさんとお話しする機会がありました。これまでにも、外国人介護士については書いたり喋ったりしたことはありますが、実際にお話しするのは初めてです。

グエンさんは、看護師の資格を持ち、ベトナムで1年間日本語を学んだ後に来日し、幕張で半年間の研修を受けて、昨年8月から働いています。日本に来て1年あまりですが、日本語検定試験で最高レベルであるN1を得ており、会話にはほとんど支障がありません。とはいえ、一番苦労しているのは日本語とのことです。現在は、週に1度、半日程度日本語の講習を受けているそうです。ちなみに、「褥瘡」という言葉を知っているかと尋ねたところ、知っていると答えました。

EPAによる外国人介護士は、2006年のフィリピンからが第一陣でした。この制度自体、小泉首相が東南アジアを歴訪した折に約束してきたもので、事前に厚生労働省に何の打診もなかったとのこと。したがって、当初、厚生労働省はあまり協力的ではありませんでした。厚生労働省の人から、「あれは外務省が決めたことだ」という冷めた言葉を聞いたこともあります。

十分な準備もなくスタートしたこの制度では、日本に来てから半年ほどの研修を受けただけで各施設に配属されたため、受け入れ側としては大変でした。厚生労働省からの依頼(押し付け?)で引き受けたものの特別な支援もなく、日本語教育や介護技術の指導のために施設側は持ち出しだと苦情を述べる特養の施設長もいました。施設側が受け入れにあまり積極的になれなかったのは、今ほど介護人材が逼迫していなかったからでしょう。

しかし、今日では介護人材不足は、目を覆うばかり。特養の待機者がたくさんいるにもかかわらず、介護人材不足のために、ベッドが埋められないという状況です。少子化で若者が減少しているうえに、介護職のイメージが劣悪なために、介護の仕事を希望する日本人は年々減少していきます。外国人に目を向けざると得ない事態に陥りました。制度自体も見直され、来日前に日本語を習得させるように変わってきています。

EPAで来日する外国人はかなりレベルが高いので、現在では奪い合いのようです。介護人材不足を解消するために、日本政府は技能実習生として介護人材を受け入れることを決定しました。どのような人に対して、どのような研修をするのかわかりませんが、あまりレベルの低くない人たちであることを願っています。

高齢化はますます進み、介護を必要とする人口は拡大の一方です。外国人介護士の導入と、彼らの日本への定着を真剣に考える時が来ているようです。若い人たちに、短期間働いてもらうというサイクルがいつまで続けられるのか疑問です。日本もいよいよ開国に踏み切る時が来たようです。











第5回地域プロデューサー養成講座が終わりました

昨日(5月27日)、一般社団法人コミュニティネットワーク協会による第5回地域プロデューサー養成講座が終わりました。地域プロデューサーとは、地域社会に存在する資源を活用し、地域社会にかかわるステークホルダーたちとの協働を通してまちづくりをする人です。地域プロデューサーには、専門的知識をふりかざして人びとを引っ張っていくというよりも、多様な人びとを結びつけるファシリテーターの役割を果たすことが期待されます。

これまでまちづくりといえば、建築や都市計画の専門家が中心でしたが、地域プロデューサーには社会学や心理学の知識が必要です。まちとは、道路や建物によって構成されるのではなく、そこに暮らす人びとの生活や人間関係を核とし、住民にとって満足のいく暮らしを実現するための基盤となるものです。

地域プロデューサー養成講座は、今年で5回目を迎えますが、例年の半分ほどしか人が集まらなかったのは、とても残念です。PRが行き届かなかったこともありますが、最大の原因は、地方創生の波にのって、まちづくり人材に関する講座があちこちで開かれるようになったことです。国からの助成金を得て、受講料がただのものもあり、零細企業のコミュニティネットワーク協会では太刀打ち困難です。なかには、かなりのやっつけ的なプログラムもあり、相談を受けた際に、「ところでいつから始めるのですか」と尋ねたところ、何と4日後というのです。企画書にはまだ空白の部分もたくさんあり、その大胆さと勇気には驚嘆いたしました。なかには、著名人を集めた講演会のようなプログラムもあり、まさに玉石混淆です。

地域プロデューサー養成講座は、毎年、少しずつ進化しております。最初の頃は、張り切りすぎて、大学の授業なみにびっちり詰め込みすぎ、受講者からもっと議論をしたいとか、休憩をとってほしいというクレームないし要望が出てきました。そこで最近では、2時間をとって、質問時間を十分にとることにいたしました。

受講者の多様なニーズに応えるために、講師陣にはいろいろ配慮しております。柏市の元福祉部長の木村清一さんは、毎回、熱のこもった講義で、行政を味方につける秘策をいろいろ教えてくれます。今年初めてお願いした東急電鉄の平江良成さんは、沿線のまちづくりに参加し、まちの活性化のために餅つきやお祭りに参加している様子を語っていました。平江さんを紹介された折に、なぜ東急不動産ではなく東急電鉄なのかといぶかしく思いましたが、電車に乗るお客様あっての電鉄という話を聞いて納得がいきました。まさに、まちづくりには、多様な人びとが、多様なかたちで参加しているのです。

講座を始めた頃には、定年前後の生きがいさがしや20代30代のこれからどう生きるかを模索している人が目立ちましたが、最近では自治体職員や地方議員など、実際に自分たちの暮らすまちを活性化し、大都市からの移住者が増えることを狙っている人が参加するようになりました。今回の受講者の中から、地域プロデューサーとして活躍してくれる人が育ってくれることを心から期待しております。そして、来年はもっと多くの人が参加してくれるよう、プログラムのブラッシュアップを図りたいと思います。

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