2016きづなづくり大賞

3月7日(火)の午後2時から京王プラザホテルにおいて、2016年度きづなづくり大賞の授賞式が行われました。2007年に家族力大賞としてスタートし、東日本大震災を機にきづなづくり大賞と名称を変更し、第10回を迎えました。私は2009年から運営委員会委員長を務め、選考にあたってきました。とても残念ではありますが、10回をもってこの賞は終わりを告げることになりました。

終了の理由は、何よりも応募者が減少してしまったことです。最近、とりわけ若い人は、スマホや携帯で短い文章を書くことにはなれていますが、長い文章を書くのは苦手のようです。最初は4000字でしたが、しだいに文字数を減らし、最近では2000字程度にまで減らしてきましたが、それでも応募者は増えません。最優秀賞である都知事賞には20万円もの賞金がついているので、学生たちに盛んに応募を勧めましたが、まったく効果がありませんでした。唯一、短大教員である城西国際大学の社会人大学院生が、短大生に呼びかけても反応がなかったので、代わりに自分で応募してくれました。都知事賞は無理でしたが、運営委員長賞に選ばれました。

この賞をきっかけに、さらに活動を広げた団体やいろいろなメディアにとりあげられた人も少なくありません。最近はやりの子ども食堂も、この賞をきっかけに全国にひろがるようになりました。最近では、ボランティア活動に助成する新聞社や団体も増えてきましたので、この辺りで一応のピリオドを打つことにいたしました。

今年の応募者は少なかったけれど、かなり質が高く、落とすには惜しい作品が少なくありませんでした。都知事賞に選ばれたのは、安達聡子さんの「つながる五段活用~陽だまりカフェ」でした。義父が暮らしていた家を改修して、認知症カフェを開いた経緯が描かれています。「つながらない」という焦りから始まり、しだいにご近所の理解が深まり、「つながります」「つながる」「つながれば」と進み、最後には「つながろう!」という段階にまで発展します。

東京新聞賞は、山本昌子さんの「繫がり」です。児童養護施設で育ち、保育士の資格をとって働いている23歳の女性です。成人式の時、お金がなくて式に出られなかった悔しさから、児童養護施設出身者に振袖姿で成人式の写真を撮るというボランティア活動をしています。受賞式にもあでやかな振袖姿で登場し、盛んにカメラのフラッシュをあびていました。振袖は寄贈されたもので、着付けもメイクもボランティア。当日も、ボランティアの中年女性が、彼女の世話をしていました。将来は、児童養護施設で働き、恩返しをしたいそうです。

東京都社会福祉協議会会長賞は、村瀬礼さんの「地域のおじいちゃん、おばあちゃんとのつながり」と深町聡子さんの「ボランティア活動を通しての中学生の見守り」の2作品でした。村瀬さんは小学校6年生、12歳で、最年少受賞者です。アメリカでバイオリンを習いはじめ、帰国後、老人ホームのデイサービスで演奏活動を始めました。最初は、母親と弟の3人でしたが、しだいに協力者が増えて、いまでは20人近くが参加するマジカルストリングスに成長しました。お母さんとお話ししましたが、子どもたちの演奏に、高齢者たちがとても喜んでくれるとのこと。勉強との両立が大変のようですが、是非、続けてほしいものです。深町さんは、村瀬さんよりも60歳年上の72歳。難しい年頃である中学生をボランティア活動に巻き込み、28年間続けてきたことに感心いたしました。中学を卒業した子どもたちのOB会もでき、それを支える大人たちのネットワークも出来上がりました。

運営委員会長のなかの異色は、お笑い芸人の高松奈々さん(23歳)の「笑える! 政治教育ショー」です。18歳に選挙権が引き下げられたのを契機に、高校生にお笑いを通じて政治教育をする出前授業を全国に展開中です。仕事の都合で、当日は欠席でしたが、是非、一度、見てみたいものです。もう一人の異色は、大橋康宏さんの「聞き上手もボランティア」でした。大橋さんは目の不自由な立教大学地域福祉学部の2年生。東日本大震災の支援活動ではリーダーを務めているそうです。引っ込みじあんの大島さんが、思い切って高齢者の仲間入りをし、ほとんどお話しをしなかったにもかかわらず感謝された経験を書いています。名前を隠して選考するので、シャイな女の子かと思ったら、目の不自由な男性であることにびっくりしました。文中には障害のことは一つも書いてありません。本人もあまり意識していないのでしょう。当日は、一緒にボランティア活動をしている女子学生が、さりげなくサポートしている様子がほほえましく感じました。

きづなづくり大賞は終了しますが、東京都社会福祉協議会は別のかたちでボランティア活動への支援を続けていくとのことです。今後、さらに活動の幅が広がることを心より願っております。





 

社会保障研究会100回記念シンポジウム

本日(3月5日)は、私が主宰するシニア社会学会社会保障研究会の100回記念シンポジウムが東京家政学院大学で開催されました。半年ほど前からぼちぼち準備はしていましたが、まじかに迫るとどたばた騒ぎ。どうなることかと心配しましたが、優秀な助っ人たちのおかげでまずまずの成功でした。

シンポジウムは「社会保障の明日を考える」。パネリストは、私(問題提起)、坂本純一さん(野村総研、公的年金)、酒井忠昭さん(医師、医療)であり、コメンテーターは辻哲夫さん(元厚生労働省事務次官で現在は東京大学特任教授でした)。司会は福田明美さん(NEC)でした。私は、日本の社会保障制度にはいろいろ問題はあるものの、世界に誇ることのできる国民皆年金皆保険制度を維持するためには、働いて保険料を支払う人口を増やすことが必須であり、女性・高齢者・障害者の就労促進が不可欠である。そのためには柔軟な働き方やICTの活用が望ましいと述べました。坂本さんからは、人口の高齢化や非正規雇用の増大など日本の公的年金制度を取り巻く環境は厳しいけれど、基本方針はしっかり立てられており、将来とも持続可能である。将来世代に一定の給付水準を保証するためには、できるだけ長く働く必要があると提言されました。酒井さんからは、医療は国民の共有財産であり、この共有財産を守るために、国民、医療関係者、政府、ジャーナリストなど医療にかかわるすべてのステークホルダーたちが力を合わせることの必要性であり、「医療基本法」の制定が求められました。辻さんからは、フレイル(虚弱)になってからの介護予防では手遅れであり、それ以前から活動性を保つことの必要性が説かれました。社会性が失われると虚弱になりやすい。一番良いのは働くことであり、高齢者の就労機会の創出が求められました。

つまるところ、高齢者ができるだけ健康で働き続けることが、医療や介護にかかる費用を節減し、社会保障制度を安定的に維持する鍵であることが判明いたしました。人は誰も老い、衰えていくことは避けられません。しかし、その時期をできるだけ遅らせることが、次世代につけを回さない最大の手段といっていいでしょう。今後とも、食生活に気を付け、週2回の水泳を続けようと思います。

今回のサプライズは、私が初めて教職に就いた淑徳短期大学の卒業生2人が、読売新聞の小さな案内を見てやってきたことでした。45年ぶりです。2人とも地方公務員を定年まで勤め上げたとのこと。女性は働き続けるべきと言い続けてきましたが、それが実を結んだといえましょう。教師冥利につきる思いです。


 

外国人労働者の導入について

東京新聞に掲載された上野千鶴子さんのインタビュー記事が女性たちの反発を受けています。日本に外国人労働者を導入することによって生ずる摩擦やマイナスの効果を指摘し、日本はこのまま衰退していくだろうという、いかにも上野さんらしい悲観的な将来像を示しています。

外国人労働者の導入が難しいのはよくわかりますが、その理由として日本が単一民族であるとか、外国人を導入することが犯罪をはじめとする社会不安につながるという指摘が、外国人の移住問題に取り組んできた人びとの怒りをかいました。

日本人が単一民族であるというのは、まったくの誤りです。先日、国立科学博物館でクロマニヨン人による洞窟絵画を示すラスコー展を見てきました。展覧会の最後には日本列島の成り立ちが示してありましたが、日本列島にはさまざまな人種が異なる方向から入ってきたことは確かです。それ程旧い時代にさかのぼらなくとも、中国や韓国からたくさんの渡来人がやってきました。宗とか秦とか新といった一文字の名字は、そうした渡来人たちの末裔です。天皇家にも韓国からやってきた女性の血が入っていることを天皇自身が語ったことがあります。

とはいえ、日本人が外からやってきた人びとに対してきわめて不寛容であることは確かです。これは外国人に限ったものではありません。福島の子どもたちがいじめに遭ったことが話題になっていますが、福島にかぎらず、転校してきた子どもはいじめられるのが普通です。私自身、四つの小学校に通いましたが、転校の度ごとに壮烈ないじめに遭いました。方言や服装などいじめの原因はいくらでもあります。方言や服装は変えることができますが、福島出身であるという事実は変えられないことには留意しなければなりません。これは子どもたちの問題というよりも、原発をつくってしまった大人たちの問題といえるでしょう。

外国人労働者の導入について話を戻します。超高齢社会を迎える日本では、介護人材不足を外国人によって補おうという動きがあります。実習生として受け入れることはすでに決定済みです。また、特区を設けて家事使用人として導入することもほぼ決まっています。発展途上国から家事使用人を受け入れた国々で、虐待や過重労働などの人権侵害が発生していることはよく知られています。こうした否定的側面があることは否定できませんが、医療・福祉・家事などのサービス業への外国人労働者の流入は避けられないでしょう。

今のところ、日本政府は、若くて未婚の労働者を短期間働かせることを目論んでいるようですが、こうした美味しいところどりがいつまでも許されるわけにはいかないでしょう。いずれ、彼らが結婚して、定住するか、本国から家族を呼び寄せるのを妨げるのは難しくなると思われます。

現在の日本は、外国人労働者の導入を諦めて日本人だけで老い衰えていくか、外国人労働者を導入してある程度の豊かさと活気を維持してゆくかの決断を迫られています。私は後者を支持しますが、外国人労働者が搾取されたり、不当な扱いをされないよう法整備をすることが不可欠です。こうしたことにとりかかるほうが、カジノ法案や共謀罪や家族・家庭支援策を講ずることよりもよほど喫緊の課題だと思うのですが、安倍内閣のやっていることはまったく不可解です。






 
livedoor プロフィール
カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ