1月14日(土)23時からNHKで「認知症とともによく生きる~丹野智文42歳」が放映されました。39歳で若年性認知症と診断された丹野さんが、認知症の人が自立して暮らすスコットランドを旅する番組です。スコットランドは、かなり以前から、認知症の人が自主的に集まり、社会に参画し、政策提言をしている国としてよく知られています。

日本でも、このところ、「認知症とともに生きる」とか「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」などと言われています。しかし、何となく健常者による上から目線の感がぬぐえませんでした。ただ「生きる」とか「暮らす」のではなく、「よく生きる(living well with demensia)」ことが大切であることに気付かされました。

認知症になったからといって、何もわからなくなる訳ではなく、ある日、すべての記憶が飛んでしまう訳でもありません。少しずつ失われていく能力を上手に活かすことで、かなり長期にわたって普通の暮らしを営むことは可能です。
何よりも必要なのは、認知症に対する誤解を解くことでしょう。

認知症だけでなく、障害者、性的マイノリティ、外国人など異質な存在をとかく排除しがちなのが、現在の日本人の特徴です。異質な存在を見下したり、排除しよるという自己中心的な傾向を廃し、寛容な社会を構築することが今もっとも必要とされているのです。

このところテレビは、ばかばかしいお笑い番組ばかりで、ドキュメンタリーは少なくなりました。少なくなっただけでなく、たまに放映されるとしても、23時とか0時といった、きわめて遅い時間です。こうした傾向を何とかしてほしいと節に願います。