7月26日~27日、国際老年学会議に参加した折に、サンフランシスコの対岸にあるCCRC(Continuing Care Retirement Community) Piedmont Gardensを訪れました。ここには、昔からの知り合いであるRuth & John Campbellが暮らしています。

これまでサンシティ(アリゾナ)をはじめとして、ハワイ、マイアミ、ロスアンゼルス、パロアルトなどのretirement communityを見てきましたが、自分で暮らしてみたいと思ったところは一つもありませんでした。それらは、高額で超豪華なものか低価格でサービスがお粗末なものに二極化されていました。超豪華版は、デベロッパーが経営するものが多く、バブルの頃にできた日本の有料老人ホームのように、シャンデリアやどっしりした家具が置かれ、入居者はいずれもドレスアップして食堂に現れるという感じ。私には到底無理と思いました。他方、低価格のものは、宗教団体や慈善団体が経営するものが多く、なかには清潔で明るいものもありましたが、一番の不安は医療介護サービスです。超豪華版には常駐の看護師がいましたが、低価格なものには看護師はおらず、緊急時にはかかりつけ医に連絡するか救急車をよぶということでした。PGは、初めて私が暮らしてみたいと思ったRetirement Communityです。

Piedmont Gardens は、非営利、無宗派のHuman Goodという組織が運営しています。HGは、全米18か所にCCRCを展開しています。最初のPGは1969年に開設され、自立型・Assisted Living(日本のケアハウスに近い)・Skilled Nursing(日本の特別養護老人ホームに近い)を備えていましたが、2011年にはMemory Support(認知症ケア)がスタートしました。住宅戸数は、自立型173、Assited iving 58, Memory Support 16, Nursing Center 88床(二人部屋)だが、一部を個室にするので、最終的には80床になるとのこと。

現在の入居者は、女性72%、男性28%。平均年齢は88歳。入居時の平均年齢は83歳。もっとも若い入居者は62歳。自立型住宅195人、Assisted Living 53人、Nursing Center(Skilled Nursing) 71人,Memory Support 14人。

入居一時金は、90日以内に契約解除した場合には全額が、44か月以内に退去または死亡した場合には、未償却分を日割り計算した額が払い戻されます。入居者が全資産を使い果たしあ場合には慈善ファンドによって入居し続けることが可能です。入居一時金は、部屋の広さによって異なり、もっとも狭いアルコーブで葯10万ドル、毎月の費用は一人で約3000ドル、二人で約4000ドル、もっとも広い2ベッドルームで18万ドル~24万ドル、毎月の費用は一人5000ドル前後、二人6000ドル前後。この費用には、食費(2~3食)、家事サービス(主として掃除)、24時間警備および緊急呼び出し、リハビリ室やトレーニングルームの利用(トレーナーが常駐)、さまざまなイベント、劇場や音楽会の予約やその他の行事に出かける際の定期的な送迎サービスが含まれます。

PGが魅力的なのは、何よりも普通の住宅街にあって、歩いて街に出られることです。街には、素敵なブティックやレストランがあります。人里離れた場所が苦手な私には、とても気に入りました。もう一つ魅力的なのは、住民たちがfriendlyなこと。超豪華版では、入居者全員がほぼ白人で、何となく気取った雰囲気ですが、PGには日系人や日本人も暮らしています。そのうちの3人にインタビューしましたが、皆さん、ここの暮らしに満足しているようでした。

日本では、サービス付き高齢者住宅を指してCCRCと称していますが、要介護になっても、認知症になっても、そしてお金を使い果たしても暮らし続けることが保証されていなければ、CCRCと名乗るのはおこがましいと、つくづく感じさせられました。