私が定期購読している雑誌の一つに「週刊金曜日」というマイナーな雑誌があります。これは、かつての「朝日ジャーナル」の衣鉢を継ぐ、反体制の、いわゆる「文句たれ」雑誌。夫が、初期の編集委員だった井上ひさし氏や筑紫哲也氏と親しかったので、発起人か賛同人になったため、創刊号から継続して読んでいます。編集委員が交代した頃から、夫は関心を失ったのか、ほとんど読まなくなりました。しかし、私は、ずっと読み続けています。

この雑誌は、あらゆる体制的なものに反対の姿勢を貫いており、政権与党だけでなく、大企業、大労働組合、大宗教団体、大手メディアなど、あらゆる権力保持者に反対の意見を展開しています。興味深いのは、一般紙誌ではタブーになっている、部落問題や右翼団体にも果敢に切り込んでいることです。登場するのは、必ずしも左寄りの人ばかりではなく、鈴木邦夫氏や村上正邦氏も登場しますし、大手メディアから袋叩きにあった鈴木宗男氏にも意見を述べさせる機会を提供していました。

お堅い一方かと言えば、時には芸能記者による芸能界の裏話やLGBTの方たちの本音トークも登場します。ベストセラーになった『買ってはいけない』以来、大企業による製品、とくに食料品や飲料水のもたらす健康被害を指摘しつづけ、香害の恐ろしさを最初に指摘したのも、この雑誌ではなかったかと思います。もちろん、大企業の宣伝広告は一切掲載されないので、台所事情はかなり苦しそうです。

現在の編集委員には、佐高信、田中優子、雨宮処凛、落合恵子、本多勝一など錚々たるメンバーがそろっています。広告がほとんどないので、定価の割にかなり薄っぺらですが(ちなみに「文芸春秋」から広告をはずすと半分の厚さになると言われています)、非常に読みがいのある雑誌です。現代の日本社会に不満を持つ人はもちろんですが、未来に対して不安を抱いている若者世代には、現代社会のどこが間違っているのかを知るために是非、読んでほしいと願っております。