鬱病

一年を振り返って

あと数時間で2012年も終わりを告げます。今年一年を振り返ってみたいと思います。

私にとって、この一年はかなりしんどい年でした。最大の理由は、鬱病による夫の入院です。昨秋の物凄い躁状態から、今年に入ると一転して鬱に陥り、まるでジェットコースターに乗っているような気分でした。躁の時の暴言や罵詈讒謗、止めどない買物、薬害による筋力の衰えと転倒や歩行困難等など。道路で転倒して、たくさんの方々に助けられたこともあります。無縁社会と言いますが、世の中には親切な人が少なくないことを実感いたしました。

鬱が高じて「死にたい」と言い出したために、今年の3月に緊急入院し、6月までの3カ月間入院しました。やっと訪れた静謐な時間。水泳や読書を楽しむことができました。私の行きつけのスポーツクラブは、病院と家の中間にあります。病院で夕食につきあい、その後、バスないし徒歩でプールに向かい、1時間ほど泳ぎました。まるで自分がイルカが魚になったようで、至福のひと時でした。泳げて本当に良かったと思います。

6月に退院しましたが、社会復帰にはかなりかかりました。入院中に筋力が衰え、要支援2になってしまいましたが、困ったのはデイサービスに行きたがらないこと。お迎えの車が来る直前になると、お腹がいたい、頭が痛い、吐き気がすると言いだします。これって、登校拒否と同じですね。あげくの果てに、カバのように肥ったオバサンがいるから嫌だと言いだす始末。仕方なく、曜日を変更してもらいました。進んで行くようになったのは、11月ぐらいから。腕の良い柔整体師がマッサージをしてくれるのが気に入ったようです。

こうした日々にもかかわらず、水泳と手話と歌舞伎は、ほとんど欠かすことがありませんでした。もちろん、大学での非常勤も一日も休みませんでした。これは私を助けてくれる助手の佐藤富士子さんや家事を手伝ってくれるシルバー人材センターの森さんのおかげです。いろいろな人に支えられて生きていることを実感しております。

今年一番残念だったのは、やはり勘三郎さんが亡くなったことです。デビュー以来のファンであり、お茶大の近くの小日向にある勘三郎さんのお宅の前を何度も通りました。家の前に車が止まっていると、今日は勘太郎さんや七之助さんは在宅だと何となく嬉しくなったものです。歌舞伎役者がうまくなるのは、60歳を過ぎてから。今や円熟の境地に達した幸四郎も菊五郎も70歳です。本当におしいことをしたという思いです。

来年4月には、新装なった歌舞伎座が再開されます。どんなことがあっても、4月のチケットを入手したいものです。そして来年こそ、もう少しプロダクティブな年にしたいものです。

大鬱時代がやってきた

6月15日の厚生労働省発表によると、長時間労働や仕事上でのストレス、職場でのいやがらせなどによる精神障害を理由にした労災の請求が2011年度は1272件あり、3年連続で過去最多を更新しました。このうち、自殺(未遂を含む)による請求は過去最多の202件です。

請求を年代別でみると、30代が420件ともっとも多く、40代(365件)、20代(247件)の順です。まさに働き盛りの人たちばかり。男女別の数字は出ていませんが、おそらく男性が女性を上回っているでしょう。

生産年齢人口何人で高齢者を支えるかという数字をよくみかけますが、生産年齢人口の中には、働けない人も少なくないのです。

夫が入院していた病院にも、たくさんの若い患者がいました。はちきれそうに太っていて、一見健康そうな若者もみかけました。数か月前、30代のフリーター男性をインタビューしましたが、大学を卒業して就職したのに、仕事がきつくて鬱病になり、そのまま何年もフリーターという人にぶつかりました。現在、もっとも労働時間が長いのが30代。普通は、結婚して、家庭を築く時期なのですが、30代の未婚率はどんどん上昇していきます。

最近、「日本人が劣化した」という言葉をよく耳にします。こういうことを言うのは、概ね高齢の男性たち。その裏には、俺たちが頑張って高度経済成長を実現したのに、今の若い奴らはだらしないという気持ちが透けてみえます。本当にそうでしょうか。鬱病になるほど若者をこき使い、使い捨てにしているのは、効率化や能率化を求める経営者たちです。

このままいけば、鬱病患者はますます増加することでしょう。

鬱病の夫が退院しました

ひどい鬱病のため精神病院に緊急入院した夫が、ほぼ百日ぶりに帰宅しました。病院への支払いが一月百万円近くかかるのではらはらしていましたが、やっと退院できました。一番高いのが差額室料の一日18900円、それに次ぐのが食費の一日約2500円で、医療費そのものは、健康保険でカバーされるのでさほど高くはありません。幸い簡易保険の入院特約に入っていましたので3分の2ほどは取り戻せますが、もし保険に入っていなかったらどうなったかと空恐ろしくなります。

入院2月目くらいに退院を打診したら、当院ではゆっくり直すのだから、まだ駄目だと主治医に言われてしまいました。しかし、3月目を過ぎたらあっさり許可が下りました。90日を過ぎると加算がぐっと少なくなるので、入院させておいても儲けにはならないからでしょう。現金なものです。

以前は、食費も健康保険でカバーされたのですが、2005年の介護保険改正に合わせて、特養でも病院でもホテルコストがとられるようになりました。家にいても寝たり、食べたりするのですから当然といえば当然ですが、それにしても病院の食事はなぜあんなにまずいのでしょうか。時々、試食してみましたが、全体に量が少なく、薄味で、何とも味気ない食事でした。高齢の夫でさえ腹が減ったとか、まずいと文句をつけるほどなのに、若い患者にとっては到底満足できないでしょう。コンビニで買い食いをしては、看護師にたしなめられている青年もいました。

夫と同じフロアには、認知症の高齢者を3人ほど見かけました。部屋に閉じこもりの人を含めたら、もっと多いかもしれません。特養やグループホームが不足しているために、精神病院に入院せざるを得ないのでしょうが、精神病院には、音楽療法も作業療法もありません。ただ薬を飲ませて、寝かせておくだけです。

大分以前のことですが、朝日新聞記者の大熊一夫さんが「ルポ精神病棟」という本の中で、不潔部屋と呼ばれる部屋に閉じ込められた認知症患者(当時は痴呆症)のみじめな様を描きだして、衝撃を与えたことがありました。さすが現在では、そういうことはありませんが、認知症患者にとって精神病院がふさわしい場所でないことは確かです。特養やグループホームの不足を病院で補完するということは、早急に止めてほしいものです。

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