前回までのハードコアすぎるゲイ漫画の解説です。

 tsonag4漫画『アナザー・L.A.コンフィデンシャル』制作後記tsonag4
  アナザー・L.A. コンフィデンシャル』とは、ゲイ映画を見倒す決心をした人なりに、別視点から『L.A. Confidential (1997)』の秘密を洗い出そうという挑戦の記録だった。
  全五回で『L.A. Confidential (1997)』も含め三本のゲイ・テーマ映画の紹介がされてもいく。しかし実際には、筆者がピックアップしたゲイシーンは映画のそれぞれの中で全くメインストーリーになく、この漫画を読んだ人がこれから映画を見たとするといかに筆者が些細な事柄を拡大し装飾しまくって描いたかとあきれられるだろう。
 つまりこの漫画はゲイ・テーマ映画の紹介役を仕れるようなものではない。
 願わくば、『L.A. Confidential (1997)』のファンの方の目に触れますように。また、『L.A. Confidential (1997)』を見たことがないという方がビデオ屋さんで手に取りますように....
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 この漫画が一番言いたかったのは
 ・人食嗜食と性生活の関係、である。
 4人のソドミスト達はそれぞれセックスや拷問を楽しんで長生きしてきたが、それができたのは自分達が人食に未だ踏み切らないでいるためだと考える。彼らのセックスは「生殖行為」ではなく、拷問は「ストレス行動」ではない。彼らは動物的な本能と遠ざかり、自分自身で培った美学で欲望を満たしている。つまり彼らは理性的である。ソドミストと称される現実の人々は理性などなく肉体が欲するままに邪業を繰り返していると思われているが、今作に登場する4人は細く長く変わり映えしない退屈なセックスと拷問を続けながら継続的に周囲の人間を不幸に陥れてこそソドミストの名に値する人間だと考え、未だ知らぬ人食の誘惑には決して負けまいと、理性を保ち続けている。
 セックスなんて本当に知り尽くされていて、ことに漫画に登場する4ソドミストはそのスペシャリストだ。しかし彼らは理性を失い、短命なソドミストとして早々に自らが神によって地獄に落とされないように、自制の鍵を握りしめ続けている。
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 人食とは人類が思いつく限りの非道徳的行為である。
 でもなぜ人食は恐ろしいことなのか
 取りあえず4人は、人食が楽しくなったらもうセックスする意味が分からなくなるだろうと思っている。実際、猿もパンダも同種族の肉を食べるが、人間は人間の共食いに対して「呪い」の儀式のような考えを結びつけてしまう。
 高等生物である鯨肉は食べないという人間はいるが、その人達も無脊椎動物のような下等生物は気味悪がって食べない。また、ネズミよりも百獣の王のライオンの肉の方がおいしそうだと思う。というのはつまり、頭の良い生物を食べることはありがたいことだという考えに結びつくのではないか。
 トラの毛皮が猫の毛皮より持て囃されるのは、トラが高等生物なのでより下等な猫よりも個体数が少ないためだ。これもやはり高等な生物の皮を身にはおりたいという欲望だ。
 だから究極的に人間が食べたいものは自分より頭の良い人の肉であり、着飾りたいのはその人の皮なのである。
 現代では肉の一片を食べても自分たちの血肉は変化しないことが科学的に理解されているけれども、原始的な人間達は変わると信じて食べてきたのだろう。
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 セックスと拷問を賛美するソドミスト達にとって人肉嗜食がそのように呪術的でありがたいことと捉えられているとは断言できない。しかし多くの人が彼らと同じように人食は恐ろしいことだと信じているのも、感覚的なものに過ぎない。
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 漫画の2番目のテーマは、Edと Dudleyの父子的関係である。
 カエサルはブルータスの生物学的父親なのではないかと感じ彼を愛していたが、裏切られて暗殺されてしまう。
 『L.A. Confidential (1997)』の二人の間にこのような関係を想像してみたのは面白かった。
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  (映画紹介:ゲイ映画を見倒す : Guy Pearceに夢中① 私を抱くって彼を抱くのと同じよ!?それでも新米刑事が彼女を抱いたのはやはり??1950年代LA市警に潜む血塗られた秘密~『L.A. Confidential (1997)』)
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 そもそも、映画では Dudleyが一人暮らししているように描かれており、その部屋の飾り気のなさや、スマートな着こなしからも、彼は既婚者には見えない。しかし人望厚い警部だった彼は Edや Budの理想の父親として映るのである。
 ここまで想像すると、父親殺しの犯人ロロ・トマシは Dudleyではないどころか、そもそも存在すらしなかったのにいつまでもその亡霊を追い続け自我が育たない Edのため、Dudleyがあえて殺されてやったかのように私には思えてくるのだ!!
 しかし漫画では、Dudleyのその願いをよそに、Edは誰でもいいから彼の正義に反する人間はロロ・トマシとして処刑することに快感を見出し始めてしまった....
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 漫画の過度に正義心の強い役柄はもちろん映画で演じた Guy Pearce のイメージだ。Guy Pearce ほど真っすぐな男を演じ続け揺るがないイメージにしたハリウッドスターはいない、とゲイ映画を見倒す決心をした人は思っている。
 定番なところだとトム・クルーズなんか派手なヒーロー演者だが、Guy Pearce は美学だカッコつけだ、ではなく内面の神経質さで正義を全うしている印象がある。
 『L.A. Confidential (1997)』で演じた Edは正義の警察官ではあるが、憎まれっ子で天然ボケ。一途に妄信するド・ストレートさ加減が Guy Pearce のイメージにピッタリで大好きである。
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 漫画で Dudleyと Mrs.Exleyの切ない恋模様が描かれたにも関わらず、最後に実は Edは男女のセックスでできたのではなく Mrs.Exleyが自己増殖してできた子だった、というオチがくる。これは が『Priscilla (1994)』でドラッグしていたので、Mrs.Exleyが女装の Edだったという設定にした。
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 (映画紹介:ゲイ映画を見倒す : Guy Pearceに夢中②エンジン全開オカマ度全開! ドラッグ・クイーンがバスの旅~『Priscilla (1994)』+ゲイ・ボーイのロマン+筋肉マンの心くすぐるコメント)
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  3番目のテーマ、というかあえて関連付けたのは12月16日に控えていた衆議院選で、その前に描かれた今作では民主党トップクラスに陣取っていた Koshiishiがまだ勝敗を知らず、今後もさらに日本の若者を絶望に追い込み国ごと地獄送りにしようと企んでいた。
 現在12月26日、安倍内閣の面々が発表された。
 老いた男だけで構成されたこの集団によって「取り戻される」日本の未来は如何に。
abe
                                  ↗tsonaguのこんな感じイメージ画。「強国復活」
―漫画で Koshiishiは自民党によって日本が武装するだろうと言った。腹の出た老兵どもが勇ましいことを言い、数少ない青年達に護る価値もない地震しかない日本を体を張って守らせようとしているが、Koshiishiが言うようにそれは無理だ。自分の生活もままならないロクでもない若者達が国境を越えた関係でまで警戒せざるをえなくなるなんて、本当に自殺しちまうよ。
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 4人のソドミスト達が人食と同じように恐れ、決してしなかったことは自殺である。漫画にも描いたが、自殺者はそれまでいかに不幸で本人が悪くなくても、地獄に送られるのである。ここで言う地獄とは、絶ち切れない輪廻の中かもしれない。その人は何回生まれても上手く生きられず自殺し続けるだろう。これは地獄の窯で煮続けられることと同じである。
 これは同時に、前世で自殺してしまった人間は今世も自殺が運命付けられていて、自殺するしかないということも言ってしまっている。しかしそのような人もこの世で誰かに殺害されたり不遇の死を遂げたら、悪い業がチャラになるのかもしれない。
 いずれにしても、我々は自分の死ぬときを知らず、死んだことに気付く余裕もなく、新しく生まれ変わり同じ間違いを犯すのだろう。
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 その他、
  検事、大統領、Koshiishiの耳が巨大なのは『』でイギリス人捕虜が日本人将校を「Big ears」と言って馬鹿にしていたことによる。西洋人に馬鹿にされる日本人の(またはモンゴロイド全般の)容姿の特徴として福耳(映画の役者は単に耳が奇妙な人だったが)があるのかと驚いた。漫画の三人は福耳ではないが、耳がデカイということをむしろチャームポイントとしていると思う。
 大統領が披露した「マンピーのウンコ詰め」の話は映画ではなく原作小説の『ソドム120日』に描いてあったように記憶している。
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 (映画紹介:ゲイ映画を見倒す : WWⅡ下、首斬りの礼儀が分からない連合国軍捕虜とキリスト教精神が通じない日本兵の血塗られた同害報復合戦~『To End All Wars (2001)』) 
   (映画紹介:ゲイ映画を見倒す : 4人のソドミストは異常性愛の饗宴を開くが誘拐してきた処女童貞の挿入解禁日を夢見、人食はせずいたって理性的~『Salo,or the 120 Days of Sodom (1975)』)

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 来年も漫画を載せようと思います。乞うご期待!!