デンマークの Nicolas Winding Refn監督映画の特集最終回!!

 tsonag4Drive (2011)tsonag4100min
      Country:USA  lll Language:English
      Director: Nicolas Winding Refn
      Writers: Hossein Amini (screenplay), James Sallis (book)
      Stars:Ryan Gosling, Carey Mulligan and Bryan Cranston

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                     ↗tsonaguのこんな感じイメージ画。「グローブをはめた男と車」

 tsonag4あらすじtsonag4
  男は Shannonという足の悪い年配男性の営む自動車修理工場で働いていた。しかし男が専ら握っているのはレンチではなくハンドルである。Shannonは若いころ映画のドライバーとして過激なスタントをこなしていた。そして今は偶然スカウトしたこの男にドライバーの仕事を斡旋しマネージメントしているのである。
 男は撮影所でマスクを被り正確にカーチェイスし、正確に車を大破させて帰って来た。乗ったときも出てきたときも穏やかな微笑みを唇の端に浮かべている。その頬笑みは能面に浮かぶそれのように温度がなく、彼が何を愛し、何を恐れて生きているのかを誰にも読みとらせることができない。
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  男の部屋の同じ階に童顔の男児を連れた人妻 Ireneが移って来た。彼女は買い物バックを持参して効率的な主婦業をこなさなくても誰かが助けてくれることを信じ、小さな体に破けそうな紙袋を抱え、腰に男の子を纏わりつかせていた。男は荷物を持って彼女の部屋に運んでやる。金髪のショート・ヘアがふっくらした頬や細い首を引き立てる彼女は、すぐに男の心を虜にした。
 息子の Benicioはもちろん車が好きだったので男によくなついた。男は彼らをドライブに誘い、安全速度を守って運転した。そして夜には助手席の彼女の手を握った
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 Shannonはユダヤ人のギャング Roseに男の運転を売り込む。Roseの相棒の Ninoの下で Shannonはかつて働いていた。しかし彼と対立し報復を受けた結果、彼は今足を引きずっている。
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 Ireneの夫 Standardはすぐ刑務所から出所してくるところだった。男はもちろんアパートで開かれた出所祝いのパーティーに顔を出さない。しかし 息子がなついている男の存在に危険を感知した Standardは彼の方からご丁寧にも挨拶してくる。
 その後男は、駐車上でボコボコにされた Standardの姿を見つけ、聞けば彼は刑務所で知り合った Cookというギャングにみかじめ料を要求されており、それが払えないので目に物見せられたのだと。男の心を動かしたのは Cookから銃弾を握らされて震えていた Benicioの姿だった。男は結局、Standardに協力してやる。
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 Standardは Cookに脅された通り、質屋を強盗しに行くが、その送迎は男の運転する車である。車は駐車場で Standardともう一人、共犯者の Cookの情婦の戻るのを待っていた。情婦はすぐに戻ってきたが、Standardは店主に撃たれて死亡。男は車を発進させたが、先ほどから近くにつけていた不審者が追いかけてきて、激しいカーチェイスが繰り広げられる。
 情婦とモテルに潜伏した男は、彼女が積みこんだバックの中の金が返済予定の金額よりも桁外れに多額であることに不審を感じ、彼女を詰問すると、さっきの追手は Cookの手下で、男と Standardに無駄に強盗させて全部せしめようと企んでいたのだと吐く。
 その後部屋に銃弾の雨が降り注ぎ、情婦はショットガンで頭を吹き飛ばされてしまった。
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 殺人もスタントのように華麗にこなした男はやはり表情変えずに街に戻り、ストリップ劇場の舞台裏でくつろいでいた Cookを襲いに行く。すると Cookが Ninoの手下だったことが分かり、金はそっちに流れていた。
 Ninoは男のアパートに暗殺者を送り込んだが、男は Ireneと共にそいつとエレベーターに乗り合わせてしまう。
 男は彼女に最初で最後の優しいキスを贈り、暗殺者が懐に手を入れる前になぎ倒し、頭を踏みつぶしてグシャグシャにしてしまった。そして振り向いたけれども彼女は二度と彼の心に戻って来なかった。
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 Shannonは Roseに殺されても 男の居場所を明かさなかった。
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 男は撮影用の特殊マスクを被り、Ninoの車を追い、捉えて海に沈めた。
 Ninoの携帯から Roseを呼び出し、彼がトランクに積んでいた大金を取り戻そうとしたが、首を切りつけられてしまう。その金は残された Ireneとその息子の手元に送られるはずだった....
 彼は死んだのか―取りあえず夜 Ireneがノックした部屋へは帰って来ていなかった――――完

 tsonag4tsonaguの映画熟視熟考tsonag4
 2011年の作品。アメリカで撮影され、台詞は英語である。
  冒頭、猛スピードの運転に怯えるおじさんたちを後部座席に乗せ走る車、上空にはヘリも飛んでいたような。映画のような場面で運転する運転手の映画なんだなぁと思って見ていると、彼が映画のスタントマンとして運転しているということが明らかになるので、その瞬間さっきのは映画の中の映画のカーチェイスシーンだったのかもしれないと思うが、もちろん現実の映画のスタントマンは顔が映されす、映画の主人公ではないのである。"男"は映画のスタントをする以外の日常生活において、シナリオのない危険の中で依頼主の命と金を乗せて走るドライバーとして主人公となる。陰の人、であるスタントマンが実はもっと陰で怪しい闇の輝きに照らされながら暗躍するヒーローとなるという今作のストーリーは面白い。
 手に取るのをためらってきた。私はカーアクションが好きではない。役者の顔が映らないからだ。そして自分自身運転にトラウマがあるので危険な運転を見て爽快な気分になる人の気が知れないのだ。
 けれどもやっぱり Nicolas Winding Refn監督の作品だった。カーチェイスよりも殺人の残酷さの迫力が残る
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 主人公の男は Ryan Goslingが演じた。外見は典型的なアメリカ人という感じだが、高めの声でボソボソ話す様子から神経質で冷酷なものを感じさせられ、一見穏やかに保っている男の外見のその向こうのささくれ立った内面が想像させられて、ゾクゾクさせられる。爽やかに刈り整えられた金髪と眠たげな顔、それではめる黒革のグローブ、おフェチだねェ。
 Nicolas Winding Refn監督は真正面から筋肉をむき出しにして笑う青年よりも、背中に肉体の逞しさと内面の優しさを感じさせる青年がお好きである。今作も眠る少年を抱きかかえる男の背中に、一見ひょろりとしていたはずが素晴らしい筋肉の存在を見て観客がハッとするように仕組まれている。
 男は童顔の人妻と手を握り合って満足するような夢見がちな青年である。彼はもともと彼女の生活に入りこんで落ち着きたいとは考えておらず、だから債務者の夫から彼女を奪って遠くにドライブ、はせず、彼女に慰謝料が入るように立ち回ったのである。他人のもめ事に首を突っ込んだばかりに自分はたぶん殺され、手に入ったはずのものを永久に逃し、馬鹿な男のようにも思えるが、彼の中に元々巣食っていた絶望が彼のヒロイズムに叶う機会を得て、計画通り死に向かって発進した、と考えることもできる。
 男の絶望は、エレベーターで人の顔を踏みつぶしている背中にありありと浮かんでいる。
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 これで「ゲイ映画を見倒す」では Refn監督の全映画を紹介した(Fear Xを除き)。どんな理想の青年像を彼が持っているかなんとなくお分かりいただけたかと思う。若いしこれからもっと楽しみな監督です。