2013年1月から足かけ二年、はじめての連載小説を書かせていただきました。

小説と言ってもAV作品のノベライズです。
もとのお話は、

川上ゆうさん主演、魁監督作品、シネマジック2007年作品
『奴隷市場の女 完全版』

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まだあどけなさの残るゆうちゃんが体当たりでSM表現に挑戦し、被虐の美で世間をあっと言わせた作品です。

脚本・監督の魁さんから「まったく自由に書いていただいて結構です」と言っていただき、
版元の三和出版・枡之利さんとは、

「120分のAVは行為を描くけれども、小説版では主人公・涼子(ゆうちゃん)の心も書かせてほしい」
「まったくSMを知らない女性が、何かを求めてSMの世界に足を踏み入れ、悲しみと悦びを知るまでの経緯を描きたい」

というお話をして、OKを出していたけた、これはとても貴重なことでした。
このお二人の言葉はとても、とてもありがたかったです。

もしかしたら、行為だけを過激に書くことに傾注して終わってしまうのではないか―
と、恐れながら六回の連載を書きました。
最終回を書きながら、まだ恐れていました。

でも・・・最後の10枚ぐらいで自然に涼子は被虐の悦びを知る女になっていきました。
今の自分があれこれ考えて書いた気がしません。
過去の・・・

「私も男の人を愛したり、甘えたり、頼ったりしたい。
でも、その方法がわからない」

と苦しんで、SMでしか男性の前で自分を曝け出せなかった自分が、幽霊のように現れて勝手に書いて消えていった、そんな感じでした。
自分で自分の書いたものに、「ああ、そうだったのね、貴女は」と思いました。

私は決して、自分以外の女性に「SMはいいわよ、貴女もやったら夢中になるわよ」なんて思えません。
こんなことは、普通の愛し方・愛され方がわからない人間が、棘の生えた孤独の谷を埋めるために致し方なくするものです。

SMを風雅な趣味として愉しめる人もいるのですが、私はそうではなかったのです。

涼子は連載最終回で心と体の芯からM女性になりました。
責める側の神藤も、期せずして、S男性として完成しました。
それは私にも想像のできなかった結末で、読者さんより先に自分が深く癒された気がしています。

時代は変わります。
自分を取り巻く環境も変わります。

過去、私はこのblogに楽しそうなSMの記事を書きながら、日常の生活で何度もその棘の谷に降りて、転げまわり、叫んでいました。
この世にはない何かを探していたのかも知れません。
現実に求めたら生きていられないかも知れないものを、ギリギリまで求めては谷から戻ってきていました。

その当時の切実な心境が、最終回を書いているあいだよみがえっていました。
今はもう、私は谷への地図を持っていません。

私にとってSMは暴力ではなく、虐待ではなく、でも趣味でもお楽しみでもなかったのです。
では何だったのかということを2年間かけて探させてくださった魁監督、枡之利さん、川上ゆうさん、どうもありがとうございました。

*連載は三和出版『SMグラフマガジン コレクター』Vol.1〜Vol.6に掲載されました。

MCM75-20150228


ぜんぶまとめると原稿用紙200枚超の中編小説のボリュームです。
宣伝みたいですみませんが、このノベライズが一冊の本になればいいなあと願っています。
応援していただけたら幸いです。